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睡眠時間と死亡リスク |
「睡眠時間は長くても短くても死亡リスクが高い」
睡眠時間7時間を最低に、睡眠時間の短さと長さはいずれも心血管疾患や非心血管疾患/非がんによる死亡率の増加と関連しており、総死亡率とU字型の関係があります。ただし、調査では7時間が最低リスクとなっていますが、必要な睡眠時間には個人差がありますので、ご自身の適正な睡眠時間を見つけることも大事です。その話題はまた別の機会でお伝えします。
【ポイント】
睡眠不足や寝すぎは危険!自分に合った睡眠時間で。
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(the JACC study.Sleep.2009) |
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春の快眠
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「春眠 暁を覚えず」
<訳>春の暁は気候も暖かく、心地よい眠りに夜が明けたのも知らず寝すごしてしまった
<影響>実際に睡眠の面から考察すると、@温度や気温、A日照時間、B生活習慣の変化などが影響すると考えられます。
冬の間、寒さに打ち勝つために上げていた基礎代謝を、春モードで下げようとするためバランスがとれず、体調を崩しやすくなります。また、日照時間が長くなると睡眠物質であるメラトニンの分泌も少なくなるのですが、この時期はまだ冬の分泌パターンのままのこともあり、これが眠気をもたらすとも言われています。新年度となり、生活習慣や気苦労、ストレスなども影響しているかもしれません。
【ポイント】
@眠くても朝は一定の時間に起床し、起きたらしっかりと朝陽を浴びる。A朝食は必ず摂る。ことで、生活のリズムがしっかりします。また、日中に眠気がある場合は、お昼から15時までの間に15分から30分までの昼寝をするのも効果的です。
運動や灯りも影響しますが、それはまた別の機会でお話します。 ▲TOPに戻る
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睡眠時無呼吸症候群 |
寝ている間に息が止まっていないですか?
「睡眠時無呼吸症候群」は、眠っている間に息が止まる怖〜い病気です。
2023年に「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」が改定されました。その中で、睡眠時無呼吸症候群の方はいろいろな病気を合併します。合併率が高血圧59%(治療抵抗性高血圧では83%)、糖尿病86%、慢性腎臓病65%、狭心症・心筋梗塞49%、心房細動81%、肺高血圧症89%などと報告されています。
ざっくりとですが、睡眠時無呼吸症候群があると健常人に比べ、高血圧症2倍、冠動脈疾患3倍、脳血管障害4倍、交通事故7倍のリスクがあると言われています。糖尿病に対しても高リスクです。
日本では男性10〜20%程度、女性5〜10%程度の方が治療が必要とされています。(睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン:2020)かなりの頻度ですね。原因は太りすぎや加齢、アルコールの影響などが考えられますが、日本人には肥満が少なくても無呼吸になりやすいのが特徴です。太っていなくてもご用心を。
思い当たる症状はありませんか?
いびき、夜間頻尿、起床時の頭痛・重頭感・倦怠感、日中の眠気・注意力の低下、寝ていて目がよく覚める・口やのどが渇く…。思い当たる方はぜひ医療機関で検査をお受けになってください。自宅でできる検査があります。
【ポイント】
まず気付くことが大事です。自分ではわかりませんので、同居の方に確認してもらったり、睡眠アプリなどで確認してみましょう。
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(循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン:2023)
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睡眠の不満 |
【睡眠と夜間頻尿】
健康・美容機器の専門メーカーの株式会社フジ医療器(https://www.fujiiryoki.co.jp/)さんが、睡眠に関する全国アンケートを行っています。今年(2024年)1月に調査結果が公表されました。気になる内容は…
調査した94%の方が睡眠に不満があると答えています!その不満に感じることとして、年齢が高くなるにつれ「トイレが近い」が増えています。う〜ん、思い当たりますね。
おやすみ中におおむね2回以上トイレに行くようであれば、病気としての夜間頻尿の疑いが強くなります。原因は前立腺肥大などの腎・泌尿器疾患、糖尿病や心疾患など多彩で、生活習慣にも影響されます。睡眠も重要なファクターです。加齢の影響で睡眠が浅くなり抗利尿ホルモンの分泌用が減ることや、睡眠時無呼吸症候群では浅眠化の影響や無呼吸時に腹圧が上がることにより膀胱が圧迫され尿意をもよおしやすくなることもあります。
【ポイント】
寝ている間にコップ一杯分の汗をかくと言われていますが、就寝直前に水分を摂取すると、寝ている間に尿意をもよおしやすくなります。ではどうするか。寝る直前ではなく夕食時から少しづつ多めに水分は摂取するようにしてはいかがでしょう。
また、夜間頻尿には前述のようにいろいろな病気が潜んでいる場合もありますので、必要により医療機関を受診しましょう。
良い眠りを得ることで夜間頻尿を減らせる可能性は大です。良い眠りのために睡眠習慣や睡眠リズムを整えるお話、その話はまた別の機会でご紹介します。
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第11回睡眠に関する調査(株式会社フジ医療器)
https://www.fujiiryoki.co.jp/company/news/news2/n193.html |
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アルコールと睡眠 |
【眠れないから飲酒?飲酒するから眠れない?】
前回に引き続き、健康・美容機器メーカーの株式会社フジ医療器(https://www.fujiiryoki.co.jp/)さんの、睡眠に関する全国アンケートから考察します。今回はアルコールと睡眠の関係です。
(https://www.fujiiryoki.co.jp/company/news/news2/n193.html)
Q.快眠をとるために工夫していることはありますか?の問いに対し、本文では述べられていませんが気になる結果がありました。「お酒を飲む」と回答された方が一定の割合で、特に男性に多くおられました。(男性24.8%、女性9.4%)男女差はありますが、40代以上では「睡眠薬を飲む」より回答割合が多くなっています。
アルコールが睡眠に及ぼす影響として、@睡眠導入効果はあるものの A睡眠が浅くなる B覚醒が増えることから、睡眠の質と量が悪化します。利尿作用によりトイレに起きることも多くなります。更に怖いのは、アルコールの耐性により依存症や肝障害の危険性があるということです。
結局「寝酒は百害あって一利なし」ということになります。むしろしっかりと処方された睡眠薬の方が安全とされています。
【ポイント】
お酒は眠りの為ならず!お酒は夕食までで適量で。お酒の量の話はまた別の機会でお話します。
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睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン(じほう 2014)
Alcohol and sleep I: effects on normal sleep.(Alcohol Clin Exp Res.2013)
Sleep, sleepiness, sleep disorders and alcohol use and abuse.(Sleep medicine reviews,2001) |
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日本人の睡眠時間 と 良い眠りのポイント |
【何だこりゃ!?睡眠時間が短い日本人】
〜睡眠の量と質を確保しましょう〜
グラフは経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った調査結果です。日本の1日の睡眠時間はなんと最短!平均より1時間以上も短くなっています。
(ただし調査方法や対象者の背景はまちまちで、必ずしも睡眠時間そのものを表しているわけでないことにはご注意ください。)
◎健康で気を付ける三原則
「食事・運動・睡眠」
1) 食べすぎ:飲みすぎを控えバランスの取れた食事を心がけます。
2) 適度な運動:動かないよりは少しでも歩けばそれだけの効果はあります。
3) 良い眠り:体と心の休養です。
◎高齢者が良い眠りで気をつける三原則
「早寝・長寝・昼寝」
1) 早寝:何もすることが無いからと、早めに床に就くのは控えます。
2) 長寝:歳を取ると眠れなくなるのは当たり前。寝よう寝ようはストレスに。
3) 昼寝:長すぎる昼寝は認知症の原因とも。
◎若年世代が良い眠りで気をつける三原則
「睡眠不足・休養感不足・休日の長寝」
1) 睡眠不足:睡眠不足は酒気帯び状態と同じです。
2) 休養感不足:休養感の無さは睡眠時無呼吸症などの病気の可能性も。
3) 休日の長寝:生活と睡眠のリズムを崩します。毎日の睡眠時間を確保します。
それぞれの詳細や気になる解決策は実例も含めてまた別の機会でご紹介します。
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ヒカリノチカラ |
【ヒカリノチカラ】
地球の一日はおおむね24時間ですが、多くの方の一日はその24時間周期(サイクル)より長いようです。このこのことをご存じの方もおられるかと思います。真っ暗な洞窟などの中で時計も無い状況で生活すると、だんだんと自覚的な一日が遅れて遅れて行きます。夜更かしは簡単なのに早寝はし辛いのは、この習性も影響しています。
これを補正するのが光です。特に朝!目覚めて浴びる光が時間サイクルをリセットして、一日のリズムに合わせてくれます。他にも朝食を摂ることや仕事・学校などの社会的行動もリズムを整える要因です。
図は洞窟の実験ではありませんが、一日のサイクルが同調できない方の睡眠のグラフです。右へ右へ、寝る時間が遅くなっているのがわかります。この方は幸い、光治療により通常の一日サイクルに戻りました。
【ポイント】
このように朝の光を浴びることはとても大事です。まさに「ヒカリノチカラ」!
その他の要因については、また別の機会でご紹介します。
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(大川匡子:リズム障害と睡眠異常.Medical Science Digest Vol.32(2),2006 より改変)
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良い眠りで安全運転
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【良い眠りで安全運転を!】
不眠・睡眠不足(睡眠負債)はリスクだらけです。こころとからだの不調のみならず日常生活や車の運転にも影響が及びます。これらをもたらす代表的な疾患に睡眠時無呼吸症候群があります。脳・心血管病変の発症リスクは2〜3倍に、更に日中の眠気や注意力低下による交通事故のリスクはなんと健常者の7倍になるというデータが出ています。
【ポイント】
G.W.間近です。お出かけの際はしっかりと睡眠をとり安全運転で!
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サーカディアンリズム サーカセミディアンリズム と パワーナップ |
【パワーナップ!】
今回は午後の眠気と昼寝の効果についてです。パワーナップ(power nap)という言葉をご存じでしょうか。日中に短い仮眠をとることを指します。これにより、
・疲労回復
・集中力アップ(回復)
・作業効率アップ(回復)
・ストレス軽減
・睡眠不足の補完
などの効果があります。
ヒトの一日のリズムは、24時間周期のサーカディアン(概日)リズム、12時間周期のサーカセミディアン(半概日)リズム、2時間周期のウルトラディアン(超日)リズムがあります。夜の睡眠はサーカディアンリズムに影響され、午後の眠気はサーカセミディアンリズムに強く影響されています。
昼ごはんの後に眠くなるのは消化のために胃に血液がまわるから眠くなるんだ。というの、実は半分俗説なんですね。午後の眠気は概日リズムによるものが大半です。ただし、食事の有無やタイミングが概日リズムに影響を及ぼすことも報告されています。
これを上手く利用することにより、体調と身体のリズムを整えます。
パワーナップの注意点は、15時までに20分程度の短時間で昼寝を切り上げ、深い睡眠に入らないようにすることです。睡眠の深さでいえばノンレム睡眠で第2段階(N2)までにとどめることです。深い睡眠に入ってしまうと、目覚め後にぼーっとしてしまうことがあります。(睡眠慣性)
具体的な方法としては、
・場所:作業場や居間など、生活の場で大丈夫
・姿勢:横にならず座ったまま、ゆったりとした姿勢で
・環境:光を避け、ザワザと雑音はあっても良い
・時間:15時までに20分程度
*オマケ:昼寝の前にコーヒーを飲んでおくと目覚めの頃に効いてきてGood!
【ポイント】
午後の短い昼寝でリフレッシュ!ぜひお試しあれ。
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ソーシャル・ジェットラグ 社会的時差ボケ |
【自らすすんで時差ボケに!?】
ソーシャル・ジェットラグ、社会的時差ボケという状態があります。これは睡眠不足・睡眠負債とも関連するのですが、平日と比較して休日前および休日の起床時刻や睡眠時間がおおむね1時間半から2時間程度以上ずれている、特に起床時間が遅れていることが多い状態です。
学生さんや働く世代(特に若い世代)に多く、足りない平日の睡眠時間を補おうと休日に遅くまで寝てしまう状況です。お昼ごろ、お昼すぎまで寝てしまうこともあるようです。
例えば平日は1時に寝て6時に起きるところが、休み前は3時まで起きていて翌日は12時過ぎまで寝ている。というような状況です。この過ごし方をしていると、日曜日もなかなか寝つけず夜ふかしになり、月曜日の朝が辛い!起きられない!起きてもボーっとしてる!となりがちです。思い当たることは無いでしょうか。
このような過ごし方では、休日前・休日の過ごし方のおかげで体内時計が遅れ、月曜日の朝は体内時計は戻らず遅れたままになっています。そりゃ起きられません。図にある通り、月曜日の起床時間は休日の体内時計ではおやすみまんまん中です。自らすすんで時差ボケになっているようなものですね。
【ポイント】
休日もなるべく平日と同じ時刻に起床する。睡眠不足は遅くまで寝ることで補わず、早めに寝ることで解消しましょう。
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眠れていますか? |
【眠れていますか?】
時期は5月、巷で「五月病」について耳にすることが多くなります。「五月病(ごがつびょう)は、社会人や大学生や中高生や小学生などに見られる、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称である。」(ウィキペディア)とされています。前回にお話ししたソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)もその要因となりますのでお気を付けくださいね。(前回分はこちら2004/4/30:https://x.gd/pSNF0)
こころにトラブルがあると、眠れなくなることが往々にしてあります。以前は、精神的なストレスが不眠をもたらすと考えられていたのですが、最近は、精神的ストレスと不眠は相互に影響を及ぼしているという考えに変わってきています。ですので、このようなお悩みの方に対して、まず睡眠を改善することがひとつの解決策になります。ちゃんと眠れるようになると、ストレスを感じにくくなるのですね。
【ポイント】
ストレスを感じる方は、まず良い睡眠をとるようにしましょう。ストレスを抱えている方には、よく眠れていますかと確認してみましょう。
睡眠の改善方法はまた別の機会でしっかりとお話しします。
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図はストレス評価と不眠尺度の相関図(上が高ストレス、右が不眠状態)。灰色のスポットは調査開始時の状態、睡眠指導後をオレンジの点で表示。睡眠指導により、不眠状態が改善され同時にストレスも改善している(スポットが右上から左下方向に移動している)ことがわかる。
「約3,000人のデータ分析結果からわかった効果的なメンタルヘルス対策」セミナー資料cFairWork Inc./NTT PARAVITA(ログミーBizより)
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こどもの睡眠時間は |
【眠る子・眠れない子】
今回は子どもにおける睡眠障害についてご紹介します。2024年4月15日に弘前大学から睡眠障害の有病率と要因研究についての発表がありました。
この調査では、5歳児における睡眠問題の有病率が18%であるとしています。5歳未満で約5人に一人に睡眠障害があるというのはショッキングですね。また、睡眠に影響を与える因子を調査したところ、8つの因子、神経発達症(発達障害含)の診断、収入、兄弟姉妹の数、就寝時間、起床時間、睡眠時間、入眠遅延、スクリーンタイム(テレビやインターネットの視聴など)において有意に睡眠障害の有病率が高いことが明らかになりました。
ここで重要なことは、睡眠障害、特に行動起因性睡眠不足症候群(睡眠不足)については、すぐにでも改善可能な項目があるということです。就寝時間、起床時間、睡眠時間、入眠遅延、スクリーンタイムは、保護者の方が気を付けることにより改善ができることではないでしょうか。このことは、保護者の皆様の生活習慣が子どもさんにも影響していること(親が夜更かしなら子も夜更かし)を意味し、保護者の方の生活習慣の改善や適切な睡眠習慣が、子どもさんにも良い影響となることを示しています。
子どもさんの睡眠時間は3〜5歳では10〜13時間を推奨しています。(米国睡眠医学会)睡眠は発達中の子どもの健康にとって非常に重要です。発達中の子供にとって、認知能力、日中のトラブル、不安、うつ病、肥満、成績などに睡眠は関係している可能性があります。保護者の方は知っておいて欲しいことです。
【ポイント】
親の寝不足は子どもの寝不足。保護者の方が率先して良い睡眠習慣を作りましょう。
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(今回上げた要因は調査結果の一側面であることをご承知おきください。)
Prevalence and factors of sleep problems among Japanese children: a popu lation-based study:Frontiers in Pediatrics 2024
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経済損失15兆円
Sleep! Japan |
【睡眠科を診療科名に追加へ】
今回はトピックス的な内容です。加えて15兆円!睡眠の不調による経済損失の話題も。
診療科名の見直し検討により「睡眠科」の標榜が可能となることが報道されました。来年度からの施行を予定しています。
診療科名を分かりやすく表記することで、患者が医療機関を選択しやすくするものです。(診療科名の見直しは2008年以来)
現在、医療機関が掲示・広告できる診療科名は「 標榜(ひょうぼう )診療科」と呼ばれ、厚生労働省が医療法に基づき定めています。
「内科」「外科」「小児科」などのように単独で標記できるもの20種類あり、これ以外に組み合わせて標記する「呼吸器内科」「糖尿病内科」「心臓血管外科」「脳神経外科」などが可能です。
今後は「睡眠内科」「睡眠精神科」「睡眠耳鼻咽喉科」などの標榜により、私たちが病状に合わせた診療科を探すことができそうですね。例えば、眠れない全般は「睡眠内科」を、うつ病を伴うものであれば「睡眠精神科」であったり、いびきが気になるのであれば「睡眠耳鼻咽喉科」のような選択です。
日本人は睡眠時間が短く、睡眠にかかる不調は「国民病」であるともされています。経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本人の1日あたりの平均睡眠時間は7時間22分で、調査33か国中で最も短い結果でした。また、厚生労働省の国民健康・栄養調査では、睡眠で十分な休養が取れていない人の割合は21.7%に上るとされています。睡眠時無呼吸では潜在患者数が人口の2〜3%(約250万人)になると推計されています。
このような慢性的な睡眠不足は、高血圧や糖尿病、うつ病などのリスクを高める恐れがあります。子どもさんにおいては、成長が妨げられたり成績の悪化、怪我や交通事故リスクが上がることが知られています。
また、睡眠不足(睡眠障害)による日本の経済損失は年間約15兆円(2016・当時のレート)とされています。ゆゆしき数字ですね。
1993年に米国睡眠障害調査研究委員会が議会に提出した報告書は「Wake Up America(目覚めよアメリカ)」と題されていました。現在の日本の状況は、まさに「Sleep! Japan(眠れ!日本)」ですね。
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厚生労働省の国民健康・栄養調査(2018)、経済協力開発機構(OECD)の調査(2021)
Hafner, Marco, Martin Stepanek, Jirka Taylor, Wendy M.Troxel and Christian van Stolk(2016)Why Sleep Matters? The Economic Costs of Insufficient Sleep: A Cross-country Comparative Analysis, RAND Corporation, RR-1791-VH.
Hirshkowitz M, Whiton K, Albert SM, Alessi C, Bruni O, DonCarlos L, Hazen N, Herman J, Adams Hillard PJ, Katz ES, et al. National Sleep Foundation's updated sleep duration recommendations: Final report. Sleep Health 1:233- 243, 2015.
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睡眠は質?量? |
【睡眠は質?量?】
次回より睡眠の問題とその対策をお話ししようと思います。今回はその始まりとして睡眠の質と量のことを少しお話しします。
眠れない、眠れていない、問題は様々です。眠れるための対処・対応の考え方として、睡眠に係る症状からその原因と対策を考えるか、それとも睡眠と睡眠周囲の諸要因から考えるか、それぞれの考え方に長所・短所があります。その一つとして、まず、症状から考えてみます。睡眠の問題として、
1) 眠れない
2) 何度も目が覚める(眠りが途切れ途切れ)
3) 早く目覚めてしまう(眠りが続かない)
4) 眠い
5) 眠った気がしない
6) 眠っているときの好ましくない問題(呼吸、行動など)
7) こころの病
などがあげられます。スパッと分類されたようで、実は症状と原因はそれぞれが絡み合っていますので、「このときはこれをすれば良い!」というようなスッキリした解決策が無いのが現状です。それぞれを少しづつでも見直すことで、最終的に睡眠の問題が改善されると理解しましょう。残念ながら、良い眠りへの特効薬や直通パスポートは無いのが現状です。
逆を考えると、「これをすれば必ず睡眠改善!」や「このサプリで眠りは劇的に改善!」のようなキャッチコピーは、ちょっと立ち止まって見直してくださいね。このコラムをお読みの方はよくご存じでしょうし納得できると思います。
睡眠には質の問題と量の問題があるのですが、質の評価は個人差もあり判断が難しいところです。それでも睡眠により頭や身体が休まっているかどうか、すなわち「睡眠休養感」を確認することが、睡眠の質の評価には良いようです。量の評価は「睡眠時間」です。
そして、質と量を問われたら、まずは量を確保してくださいとお伝えします。特に学生から働き盛りの方はなおさらです。しっかりと睡眠時間を確保してください。逆に高齢者は、布団の上に長く居すぎないようにしてください。長寝を控えて遅寝・遅起きが良いようです。
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眠れない?眠たい?
あなたの睡眠の問題は |
【眠れない?眠たい?】〜あなたの睡眠の問題は?〜
睡眠のお悩みは深刻・切実です。しかしながらそのお悩みの本質をはっきりとさせることはなかなか困難です。
眠れないのか眠たいのか、眠れないこと=昼間に眠たい場合もありますし、両者は密接に関係しておりその線引きが難しい場合も多々認めます。例えば昼間に「眠たい」が主症状の方が実は睡眠時無呼吸で夜に「眠れていない」ということがありますし、逆に夜に「眠れない」が主症状の方が実は昼間「眠く」て長い昼寝をしていた。ということも見受けられます。
睡眠にお悩みがある場合、それがどういうお悩みなのかをはっきりと認知・理解することはとても大切です。まず睡眠の悩みの種類をはっきりさせてみましょう。
今回は「眠たい?眠れない?〜あなたの睡眠の問題は?〜」です。
さぁ、次の問いに答えてみてください。満足のいく睡眠がとれてるかどうかの質問です。
START
睡眠の問題がある
↓
不眠に加え、食欲低下、興味の減退がある
No↓ Yes→@
睡眠中の呼吸停止があるor強いいびきに加え日中の過剰な眠気がある
No↓ Yes→A
夜間の異常感覚・異常運動など睡眠に関連した感覚・運動症状がある
No↓ Yes→B
十分な睡眠を確保しているにもかかわらず、日中の過剰な眠気がある
No↓ Yes→C
睡眠中に大声、手足を動かす、歩き回るなどの異常行動
No↓ Yes→D
昼夜逆転など睡眠・覚醒できる時間帯の異常
No↓ Yes→E
不眠がある →FG
@うつ病の疑い
精神科・心療内科を受診
A睡眠関連呼吸障害の疑い
睡眠中に何度も呼吸停止が起こり覚醒を生じる:睡眠時無呼吸症候群など
B睡眠関連運動障害の疑い
脚がむずむずしたり火照ったりしてよく眠れない:レストレスレッグズ症候群、周期性四肢運動障害など
C中枢性過眠症の疑い
ナルコレプシーなどの過眠症ほか(睡眠時無呼吸症候群により眠気が強い場合あり)
D睡眠時随伴症の疑い
睡眠中に異常行動を示す:夢遊病、レム睡眠行動障害など
E概日リズム睡眠障害の疑い
適切な時間に寝たり、起きたりできない:睡眠相後退症候群など
Fその他の原因による不眠症の疑い
寝つきが悪い、何度も目を覚ます、早く目が覚める、ぐっすり眠れない、精神生理性不眠など
Gその他の睡眠障害
睡眠にともなう頭痛やてんかん、場合によっては不適切な睡眠環境・寝具など
※症状や原因は複合(重複)して出現することもあります。
※日常生活や睡眠衛生の見直しにより改善する場合もありますが、症状が強いあるいは長引く、以前に睡眠障害を診断されたことがある場合などは、早めに医療機関を受診してください。
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厚労省精神・神経疾患研究委託費・睡眠障害医療における政策医療ネットワーク構築のための医療機関連携ガイドライン班による睡眠障害の鑑別診断フローチャート
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眠たい・息が止まる
睡眠時無呼吸症候群 (閉塞性) |
【眠たい・息が止まる】〜閉塞性睡眠時無呼吸症候群〜
今回は眠たい睡眠の問題で代表的な睡眠時無呼吸症候群について、この回では概要を、次回は睡眠時無呼吸症に該当するかどうかのチェックリストを提示します。
【睡眠時呼吸障害】
国際睡眠障害分類(ICSD-3)にて、下記の閉塞性睡眠時無呼吸症候群、脳や心臓の異常による中枢性睡眠時無呼吸症候群、低換気症候群などに分類されます。これらの中で最も頻度が高い「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」について取り上げます。
【原因】
睡眠中に、呼吸する空気の通り道がふさがれたり狭くなったりすることで起こります。舌や咽頭周囲の脂肪蓄積による狭小化、加齢による虚脱しやすさ、小児ではアデノイドなどが原因となることが多いようです。
前述のように加齢や肥満が主要因ですが、元々が構造的に狭い方も居られほか、日本人は骨格的に肥満が無くとも無呼吸を生じやすいとされています。また、喫煙や飲酒による軟組織の腫れが閉塞を助長し悪化する場合もあります。
いびきを含め軽い症状の有病率は6割を超えるという報告もあります。*1
【診断】
医療機関を受診し、問診の結果に加え自宅でできる簡易モニターあるいは脳波を含めた睡眠ポリグラフ(PSG)により診断されます。
有症状に加えこれらの検査により、無呼吸低呼吸指数≧5回/時以上(1時間に5回以上の呼吸停止・低下頻度)または一晩に30回以上の呼吸停止・低下を認めれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
無呼吸低呼吸指数が5〜15回/時未満を軽症、15〜30回/時未満を中等症、30回/時以上を重症とします。20回/時以上であれば、後述のCPAP治療が保険適応となります。
重症の場合、未治療放置により9年後には生存率が6割程度(4割死亡)になるという報告もあります。*2
【症状】
日 中:眠気、起床時の頭痛、集中力や注意力の低下、倦怠感、休息感の無さ、目が覚めると口がカラカラ、小児では落ち着きがない・低成長 など
睡眠中:いびき、眠りが浅い、寝汗、息が詰まる、夜間頻尿、寝言が多い など
※交通事故、労災事故、就業効率の低下、高血圧、糖尿病、不整脈、心・脳血管疾患の合併などを認める場合も多々あります。
【治療】
横向きに寝る、肥満の方は減量のほか、中等度以上であればCPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療が第一選択となります。
軽症であればマウスピースによる気道確保も選択肢となります。ケースにより外科的処置や舌下神経刺激療法が適応になる場合もあります。
今のところ(2024年6月)薬物による直接的な治療方法はありません。また、民間療法や器具は根拠や効果が疑問視され、使用すべきではありません。
※あくまで一般的な内容になりますので、実際の診断・治療は医療機関を受診してください。
次回は閉塞性睡眠時無呼吸症候群のチェックリストをご紹介します。
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*1 睡眠時無呼吸症候群に係る研究・開発,普及.独立行政法人労働者健康安全機構(2018)
*2 He J, et al : Mortality and apnea index in obstructive sleep apnea. Chest 94 : 9―14(1988)
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【緊急提言】
ウェアラブルデバイス
〜心電図通知アプリ〜
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【緊急提言】ウェアラブルデバイスの1(心電図通知アプリ)
2024年この9月17日にApple Watch(アップルウォッチ)にて睡眠時無呼吸の通知機能が公開されました。無呼吸に限らず、心電図や睡眠ログの記録など、さまざまな簡易デバイスが普及しようとしています。これらは正しく使うと病気の早期発見や生活習慣の改善などに活かすことができますが、使い方や判断を誤ると不利益を被ることもあります。
このようなデバイスを有効に活用するために知っておいてもらいたいことを、臨床検査技師、日本不整脈心電学会認定心電図専門士、日本睡眠学会専門検査技師の立場から、今回の緊急提言としました。
【心電図アプリ】
アップルの他にもサムスン(日本では未認可)からも提供されているようです。これらの機能は「診断機能」ではなくあくまで「通知機能」であることを理解してください。
(概要)
アップルウォッチを左右の手で触れることにより測定でき、おそらく通常の心電図のT誘導またはaVL誘導を表示しているものと思われます。これらの誘導は比較的安定な心電図波形を記録することが可能です。
(メリット)
・いつでも計測できる
おかしいなと感じたときにすぐ測定できる
・記録したものが保存できる
後に医師による確認ができる
・心房細動に関しては感度・特異度ともに高い
誤判定が少ない
(デメリット)
・通知情報が少ない
心房細動・不整脈以外が潜んでいる可能性がある
・誤通知の可能性(過剰・見逃し)
脈拍数、体型やT波増高、装着不良や接触不良など
・誤通知による不安増大
通知を受けることにより心理的に負担となる場合がある
【ウェアラブルデバイス共通の留意点】
・使用説明書をよく読み内容を理解したうえで使用しましょう
・簡易測定であることを理解しましょう(精度、再現性など)
・測定結果は絶対ではなく誤差や誤判定である場合もあります
・各社独自のアルゴリズムで判定しておりメーカーにより差があります
・測定結果に過剰反応しないようにしましょう
・測定結果一辺倒ではなく自覚症状や他覚症状なども考えあわせましょう
・疾病疑いの通知がなされた際は医療機関を受診するなど適切な対応をとりましょう
・測定結果にかかわらず体調不良がある際は必ず医療機関を受診しましょう
・使用時などアプリの内容や実態をよくご存じの方に相談してみましょう
医療機器の家庭への普及は、疾病の早期発見や状態把握、健康管理に活かせる可能性を大いに期待させます。そしてその可能性は十分にあり、普及することが望まれます。家庭用血圧測定装置(家庭用血圧計)などはその代表であり、すでに高血圧治療ガイドラインでは家庭血圧による診断治療の指針が示されています。このように、家庭用アプリの普及は機器装置について十分なデータの集積と、これに伴うエビデンスの整理や使用への検討が不可欠です。
また、メリットとデメリットを見極めることが重要となります。実際に、”医療”に関わること、例をあげれば”投薬”や”健康診断”なども実は同様で、数ある要素や手法から得られるメリットとデメリット(不利益)を考慮し、得られるメリットが大きい場合には有効と捉えます。今回のアプリで考えてみると、通知による疾病の早期発見はメリット、誤通知による心理的負担と過剰受診による本人と医療機関の負担増はデメリットになります。また、アプリを通じて病気の啓発や周知もメリットになるでしょう。
【ポイント】
今はまだ完全とは言い難いですが、これらのアプリは健康へ活かせるメリットも十分にあります。使用においては、個人の責任において利用・活用することが求められます。ここで大事なのは、アプリの結果に併せて(あるいはアプリの結果に関わらず)、自覚症状や他者からの指摘を参考に総合的に判断することになります。また、可能であれば、これらの内容や実態について(医学的・工学的)詳しい方に相談するのも一手で、お勧めします。以上の点にご留意され、ご紹介のアプリなどを活用し、健康に役立ててみてください。
長くなりましたので分割して、次回は無呼吸アプリ、睡眠計測アプリについて提言します。
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https://www.apple.com/jp/healthcare/apple-watch/
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch
認定心電技師のための心電図の読み方
日当直者のための心電図症例集
ハート先生の心電図教室(https://heart-radio.com/)
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【緊急提言】
ウェアラブルデバイス
〜無呼吸通知アプリ〜
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【緊急提言】ウェアラブルデバイスの2(無呼吸通知アプリ)
今回ご紹介する無呼吸通知アプリは、この2024年9月17日にApple Watch(アップルウォッチ)から公開された、睡眠時無呼吸の通知機能アプリです。前回の心電図計測アプリに続いて、今回は無呼吸通知アプリ、睡眠ログ計測アプリについて提言してみます。さて、どのようなアプリなのでしょうか。
前回ご紹介したように、これらの家庭用測定機器(アプリ)は、正しく使うと病気の早期発見や生活習慣の改善などに活かすことができますが、使い方や判断を誤ると不利益を被ることもあります。ぜひよくこちらをお読みになって、しっかりと活用してみてください。
【無呼吸通知アプリ】
アップルの正式名称は「Appleの睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム」です。「診断」プログラムではなくあくまで「通知」プログラムであることを理解してください。自己責任が基本となります。
(概要)
無呼吸の測定原理について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)で公開している使用説明書やメーカーホームページ等から推測すると、実際の呼吸や酸素飽和度の変化を見ているのではなく、デバイスに搭載されている高性能な加速度センサーから呼吸に伴う微小な体動から無呼吸を検知し、独自のアルゴリズムで推測しているようです。実際には、一晩ではなく30日(10日以上)装着した結果から、呼吸の乱れを解析し「無呼吸の疑い」(Possible Sleep Apnea)を表示するようです。
(メリット)
・継続して計測できる
出現頻度の低い(あまり出現しない)事象も検出できる可能性
・他のアプリと併用できる
いびきや睡眠状態と併せ総合的に評価できる可能性
・重度の無呼吸に対しては感度が良く特異性が高い
通知があれば無呼吸の疑いが高い
アルゴリズムの感度(重度):89.1%
加重平均アルゴリズムの全体的な特異度 98.5%
・睡眠に関心が持てるようになる
睡眠衛生の改善
(デメリット)
・誤通知(疑い通知)の可能性
誤判定の可能性
・見逃しがある
特に軽度から中程度では感度が低い
アルゴリズムの感度(中等度):43.4%
・通知による不安増大
通知を受けることにより心理的に負担となる場合がある
・情報量が少ない
無呼吸以外の睡眠障害が混在する可能性
【ウェアラブルデバイス共通の留意点】
・使用説明書をよく読み内容を理解したうえで使用しましょう
・簡易測定であることを理解しましょう(精度、再現性など)
・測定結果は絶対ではなく誤差や誤判定である場合もあります
・各社独自のアルゴリズムで判定しておりメーカーにより差があります
・測定結果に過剰反応しないようにしましょう
・測定結果一辺倒ではなく自覚症状や他覚症状なども考えあわせましょう
・疾病疑いの通知がなされた際は医療機関を受診するなど適切な対応をとりましょう
・測定結果にかかわらず体調不良がある際は必ず医療機関を受診しましょう
・使用時などアプリの内容や実態をよくご存じの方に相談してみましょう
家庭用デバイス(アプリ)は上手に使えば健康に有用に活用できます。結果に一喜一憂せずに、自身の健康状態をしっかりと確認すること、変わりがあれば医療機関を受診すること、そして日頃より自分の健康に目を向け関心を持つことが大切ですね。
使用にあたっては、前回もお話ししたように可能でしたら、健康アプリについて詳しい(医学的・工学的)方に相談することをお勧めします。以上の点にご留意され、ご紹介のアプリなどを活用し、健康に役立ててみてください。
長くなりましたが、次回はお待ちかねの睡眠計測アプリについて提言します。
(取扱説明書) ▲TOPに戻る
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https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/09/watchos-11-is-available-today/
https://www.apple.com/legal/ifu/sanf/099-48054-A-SANF-1X-IFU-JAPAN.pdf
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch
米国睡眠医学会(著)日本睡眠学会(監訳).AASMによる睡眠および随伴イベントの判定マニュアル VERSION 2.5
日本睡眠学会.改訂版 臨床睡眠検査マニュアル
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【緊急提言】
ウェアラブルデバイス
〜無呼吸通知アプリ〜
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【緊急提言!】ウェアラブルデバイスの3(睡眠アプリ)
睡眠記録デバイス・アプリケーションは、腕時計型、指輪型、マットレス型や据え置き型などがあり、現在は腕時計型が主流のようです。睡眠アプリ、睡眠記録アプリ、睡眠ログアプリ、睡眠トラッカーなど様々な名称で使用されています。機種によっては、入眠サポート機能やアラーム機能などで健やかな睡眠をサポートするものもあるようです。
アプリの概要と注意点、後半ではメリット・デメリットもまとめました。ぜひ最後までお読みください。
【アプリの概要】
これらの各アプリでは、@睡眠時間、A眠りにつくまでの時間、B睡眠の深さ、C寝返りなど体の動き、D寝言やいびきなどの音、E睡眠の中断回数、F心拍数、G睡眠時無呼吸の状態などが評価できるようです。ここでポイント(留意点)は、@睡眠を直接測っていない、A記録精度は不明、B解析のアルゴリズムは各社まちまち、ということです。このことは、正確な睡眠の評価に直接影響する要因です。得られた睡眠に関するパラメーターは、直接的な判定判断の結果ではなくあくまで推測値であるということに注意してください。
【測定原理】
実際に(私が行っていた時もそうでしたが)睡眠検査(睡眠ポリグラフ検査:polysomnography : PSG)では、@脳波、A眼球運動、Bオトガイ筋筋電図、C心電図、D気管音(いびき)、E呼吸(圧センサーおよび温度センサー)、F胸部・腹部運動、G体位、H酸素飽和度、I二酸化炭素濃度、J脚部筋電図、Kビデオモニターを装着し、睡眠の状態を記録します。その解析(睡眠の評価)についても、30秒ごとの波形画像について一晩およそ1000枚の解析と判定を行います。正確に睡眠を評価するには、このような複雑な手順を経なければ評価ができないということであり、それくらい睡眠は複雑な現象と言えます。
一方で、睡眠アプリについては、1種類から多くとも3種類程度の記録情報から睡眠状態を評価しているようです。一般的には、加速度センサーにより呼吸(胸・腹部運動)や体動を、マイクによりいびきを、心拍センサーにより心拍変動を見ているようです。これらを総合して睡眠を評価しますので、より多くの測定系がある方がより正確であることには間違いないです。
脳波以外の身体所見についても睡眠の段階ごとに特徴があります。覚醒状態から入眠に至ると、体動が減り呼吸や心拍が安定するようになります。その後、睡眠が深くなるにつれ更に呼吸は安定し体動も減って行きます。おおむね入眠時より早朝の方が心拍数や血圧も低下しています。(睡眠時無呼吸症候群やストレスなどの交感神経亢進があると下がらないことも多い)レム睡眠期では呼吸と心拍が不規則になりますが脱力により体動は極端に少なくなります。
【睡眠判定】
以上から、おそらくですが、睡眠計測アプリではこのような特徴的な身体所見を総合して、入眠、覚醒、睡眠の深さ、レム睡眠などを推測していると思われます。ただし、睡眠の深さのそれぞれのパラメーター(レベル)は個人差もあり、正確な特定は難しいと考えられます。また、この推定と評価の基準は統一されたものではなく各社独自の演算により、浅い睡眠から深い睡眠、レム睡眠や覚醒などを推定しているものと考えられます。ただし、多くのデータを蓄積・解析し、睡眠の深さなど各状態について測定値から最大近似を得られるように作られていると思います。このあたりの企業努力には脱帽です。
しかしながら(私見ですが)正直に言うと、”アプリの測定結果は正しい・間違いない”とは言い難いところです。例えば、風の強さを風力計ではなく葉っぱが揺れる、枝がなびくなどの様子で計っているようなものでしょうか。その評価の仕方(基準)は個人差や幅、バラつきが大きいことはおわかりかと思います。あくまで参考記録というスタンスになるかと思います。
【メリット】
・自分の睡眠状態を客観的に把握できる
・睡眠障害の早期発見につながる可能性がある
・連続記録できる
・自分の睡眠に興味を持てる
・生活習慣の改善に役立てられる
・寝返りの多寡などから枕や寝具の問題(睡眠環境)の推測
・同様に、身体の痛みなどの推測
・睡眠の深さなどから生活習慣(睡眠衛生)の推測
・同様に、光、温度、騒音など(睡眠環境)の推測
・同様に、疲労やストレスなど(生活習慣)の推測
【デメリット】
・感度や設定により正確なデータを得られない場合がある
・同じ睡眠であっても日によって評価がまちまちになる場合がある
・アプリが変わると評価も違ってくる場合がある
・人により睡眠の質が悪く評価されると不安になり眠りにくくなる
・電池が減りが速い(充電しながら使うのは電池発熱の恐れあり)
・腕時計型では重くて気になり眠りにくくなる場合がある
【注意事項】
アプリの結果を盲信するのではなく、参考として捉えることにしましょう。あくまで生活の中での睡眠状態の確認と改善の簡単な指標としているのが良いようです。
睡眠計測アプリの一番の問題は、計測された睡眠の評価が正確でない可能性があり再現性が低い場合があることがあげられます。一日のみの評価ではなく、ある程度連続して測定し総合的な評価をすることが大事になります。加えて、測定の効果を享受するためには、計測しっ放しではなく眠る前の一日の行動(生活習慣)や眠りに関する行動(睡眠衛生)の状態と、起床時の睡眠の状態を記録しておくことで、これらのアプリの有用性が高まり、快眠に役立つことになります。ひいては、生活の質や満足度の向上につながります。
※睡眠アプリは便利ですが、病気を見つけることや病状の治療・解決には向いていません(使用できません)。睡眠全般について不安や症状がある場合は医師に相談しましょう。
いかがでしたでしょうか。便利なアプリができたものです。前回までの注意事項(【ウェアラブルデバイス共通の留意点】2024/9/27・2024/10/1)もご参考になさってみてください。睡眠計測アプリ、上手に使ってしっかり眠り、生活を豊かにしましょう。
文中の【注意事項】で計測しっ放しはダメだと書きましたが、アプリを使わなくても睡眠を評価する方法もあります。それは「睡眠日誌」を付けることです。それでは次回は「睡眠日誌」をご紹介します。
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https://support.apple.com/ja-jp/guide/watch/apd830528336/watchos
https://support.apple.com/ja-jp/108906
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch
Fitbit デバイスはどのようにして自動的に睡眠ステージを検出しているのですか?
米国睡眠医学会(著)日本睡眠学会(監訳). AASMによる睡眠および随伴イベントの判定マニュアル VERSION 2.5
日本睡眠学会. 改訂版 臨床睡眠検査マニュアル
臨床検査 vol.57 no.10(2013)
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軽いふとん?
重いふとん?
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【布団の重さで睡眠が変わる!?】
面白い論文を見つけましたので、ご紹介します。”布団の重さによって睡眠の質が変わる”というものです。「え?何それ」という方、「そうそう、そうだねぇ」という方、おられると思います。論文の結論から書くと、「重い掛け布団を使うことにより、睡眠の持続や日中の活動レベルと疲労感などが改善した」とのことです。
重いふとんは、
●不眠症の度合いが少なく12週(観察終了時)まで持続している。
●普通のふとんから重いふとんに代えると睡眠の改善があった。
●中途覚醒の時間はほぼ変わらなかったが自覚的な睡眠維持向上が認められた。
とのことでした。ちょうどこれから寒くなってきますので、睡眠にお悩みの方は、「重い布団」試してみてもいいかもしれませんね。
【重い布団のメリット】
・密着感があり保湿性に優れる
・布団がずれない
・適度な圧迫感は安心感につながる
・快眠につながる場合がある
※重い布団が身体を圧迫することにより圧センサーが働き、抱きしめられているような安心感と副交感神経を優位にリラックス状態に誘う効果があると考えられます。
【重い布団が適している方】
・暖かく眠りたい方
・圧迫感ある寝心地が好みな方
・重い布団でも快適な寝返りが打てる方
【重い布団のデメリット】
・夏は蒸し暑い
・寝返りが打ちにくい
・慣れないと寝苦しい
・胸を圧迫するため呼吸器の病気があると難しい
・幼児や小さい子どもには難しい
・洗濯に困る
【重い布団が適さない方】
・重いと息苦しさを感じる方
・寝返りがしずらい方
・頻繁に洗濯をしたい方
【こんな工夫】
掛け布団を重くしたい場合、最初から重い布団を選ぶのではなく、何枚か毛布や薄い掛け布団を重ねて調整することでも対処が可能です。まずはお試しであったり、布団の買い替えまではなぁ、という方は試してみてはいかがでしょうか。
布団の重さの目安としては、自分の体重の10%程度の重さが適切な掛け布団の重さであるとされています。60kgの体重の方であれば6kg程度ですね。
布団の重さひとつをとっても、睡眠の質が変わる場合があるんですね。う〜ん…眠りは奥が深い…。
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A randomized controlled study of weighted chain blankets for insomnia in psychiatric disorders. J Clin Sleep Med. 2020
株式会社丸八真綿販売.おうちdeまるはち安眠コラム:https://ouchi-de-08.jp/column
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子どもの睡眠
睡眠教育について
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【子どもの睡眠について考えましょう】
現在開催中の玉野市議会(12月定例会)にて、12月10日に森本宏子市議会議員が一般質問で子どもの睡眠教育について質問をされました。森本市議は学校と家庭における睡眠教育の必要性と推進について質問され、多田 一也教育長より現状の説明と将来的な取り組みの重要性を理解し推進したいとの回答がありました。
睡眠教育は、今現在の生活の質の改善に加え将来的に健やかな生活を築くための第一歩ともなります。今回は、子どもの睡眠について少し深掘りしてみます。子どもの睡眠の問題による影響は、次の6点があげられます。(図は子どもの睡眠の問題が与える学業および運動能力への影響)
【不適切な睡眠による影響】
睡眠に問題があることは、下記のごとく、心身面および社会面において大きな影響をおよぼします。
1.成績が低下
就床時刻の遅れによる生活リズムの乱れや睡眠不足による学力低下
2.運動能力が低下
運動パフォーマンスの低下
3.病気のリスク
低年齢化する生活習慣病の原因に
4.怪我や事故のリスク
睡眠不足による注意力低下から校内や登下校時を含めたリスク増
5.不登校の原因
社会的時差ボケによる登校困難や不登校
6.脳の発達に影響
発達の遅れや適応障害のリスク、知育能力やコミュニケーション力の低下
これらのことは、子どもの将来に対しあるべき豊かな未来を損なう可能性と、心身の健康や健全な社会生活を営む障壁ともなりかねません。
さて、それでは解決のために気を付けたいことは何でしょう。まずは教育、睡眠に関する正しい知識を持つことになります。そして実践には、本人だけでなく、家族あるいは社会全体での取り組みが必要になってきます。
【問題解決のためにすべきこと】
1.児童への睡眠教育
2.保護者への睡眠教育
3.社会(地域)での取り組み・理解向上
【今後の睡眠教育に必要なこと】
1.睡眠の重要性についての発信や啓発の実施
2.睡眠について考える土壌の醸成
3.睡眠をコンサルとできる人員の育成
4.継続するための組織化
睡眠の問題解決や睡眠教育は、子どもだけの問題ではなく、家族や学校に加え社会全体での認知、理解、協力が必要です。これからもぜひ個々において興味を持つこと、そして自治体においても取り組むこと、社会全体で推進できるようになればと願っています。
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玉野市議会HP:https://www.city.tamano.lg.jp/site/gikai/
小野田市教育委員会資料(2006):https://www.city.sanyo-onoda.lg.jp/uploaded/attachment/3161.pdf
Cheri,et al,2011,The effects of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players, Sleep
Wolfson, A. R., Carskadon, M. A. (1998). Sleep schedules and daytime functioning in adolescents. Child Development
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睡眠とヒートショック
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【睡眠とヒートショック】
先般、私たちの世代にはなじみの深い女優・歌手の方がお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします。死因は浴室での不慮の事故とのことで、いろいろな原因が考えられます。@ヒートショックによる脳卒中や心筋梗塞 A熱中症による意識喪失 B持病の悪化・発作 C居眠り(深い睡眠)などが考えられますが、詳細は不明です。これらのことは私たちの身近でも起こり得ることで、日頃より注意が必要です。
図は、令和5年度検案件数・死因別調査件数(東京都監察医務院)を抜粋したもので、不慮の死に関して死亡原因を医学的に検案、解剖し究明した数の集計です。こちらを見ると、40代と50代の循環器疾患の死亡検案数は全体の約四分の一であり、この年代での心臓の事故発生は決して珍しいものではありません。特に50代において著明(男性で顕著)となっています。また突然の体調変化は、心臓に関するケースが多いこともわかります。
【リスク要因】
背景には、生活習慣や生活習慣病が素因となるケースも多いと考えられます。喫煙や過度な飲酒、ストレス、睡眠障害などは大きなリスク因子であり、暴飲暴食などの不摂生や自分の健康に対する過信(健診を受けない、健診の指導事項を無視など)も、危険要因となります。睡眠の状態が良くないと、心身の不良や疾病の引き金になってしまいます。しっかり眠り、体調不良を予防しましょう。
また、今回の報道のケースで考えられる温度変化によるヒートショックは、日頃の生活の中で注意が必要なこととなります。入浴時に服を脱いで冷気にさらされ、その後に40℃以上のお湯につかったりすること、急激な環境変化は体温や血圧の急変動をもたらし突然死を誘発するリスクとなります。お風呂、脱衣所、トイレなど、日常の中に危険な場所があると心しておきましょう。
【対処方法は?】
それぞれの部屋間での温度差をなるべく無くしましょう。お風呂は入る前に脱衣所を暖めておく、湯船の蓋を開けて蒸気で浴室を温めておく、トイレにも小型のファンヒーターを置く、就寝後のトイレは服を羽織って移動するなども必要でしょう。快眠のために、夏場は一晩中エアコンをつけておきましょうとしたように、冬場の寝室も一晩中エアコンを使い室温を下がり過ぎないようにすることをお勧めします。エアコンは乾燥しますので、湿度にもお気を付けください。湿度は50〜60%が目安です。また、オイルヒーターは乾燥しにくく音も静かでお勧めですが、電気代や火災にはご注意ください。
WHOでは室温は18℃を下回らないようにとしています。16度を下回ると呼吸系疾患に影響が出て、12℃以下になると血圧上昇や心血管リスクが高まるとされていますので、室温は11℃より下がらないようにしましょう。居間、寝室、トイレ、浴室、寝室の間での温度差を5℃以内にしてみましょう。まずは温度計を各お部屋に置いてみてください。
快眠のための体温管理として、お風呂に入りいったん深部体温を上げ1時間程度後に体温が下がるタイミングで寝床に入ると、寝付きが良いとお話ししました。しかしながら、次のような場合は、お風呂に入るのを控えましょう。@体調不良 A疲労の蓄積 B強い眠気がある Cお酒を飲んだ後 D眠くなる薬(睡眠薬や抗不安薬、かぜ薬やアレルギー薬でも眠くなる成分が入っていることがあります)
次回は、心臓疾患と脳卒中について不規則な睡眠がもたらす危険性についてご紹介します。
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東京都保健医療局.東京都監察医務院.令和5年版統計表及び統計図表:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/kansatsu/database/05toukei
World Health Organization. WHO Housing and health guidelines.
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睡眠とヒートショック
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【不規則睡眠と心臓疾患・脳卒中】
前回はヒートショックに関する話題でした。そのつながりで今回は、心臓の病気と睡眠の関係についてご紹介します。
なんと!睡眠が不規則だと、心筋梗塞や心不全、脳卒中の発症リスクが上がるとのことです。
MACE; 主要心血管イベント(Major Adverse Cardiovascular Events)〜心血管の有害事象
40〜79歳・7万2,269人の8年間の追跡データを用いて、活動量計で7日間にわたって睡眠を記録しました。このデータから「就寝時刻」「起床時刻」「睡眠時間」「睡眠中の覚醒回数」をもとに、睡眠規則性度(Sleep Regularity Index:SRI)を算出しました。これにより3つのグループ(睡眠が@規則的群、A中程度に不規則群、B不規則群)に分けたところ、@規則的群に比べA中等度に不規則群では8%、B不規則群では26%も心血管疾患の発症リスクが高くなっていました。
逆に、睡眠習慣が規則的であればあるほど心血管障害のリスクが軽減する傾向も認めています。もう一つのポイントは、年齢ごとの推奨睡眠時間をとることによりリスクを抑えることができるのは中等度に不規則な睡眠まで、不規則睡眠の程度が強いとしっかり睡眠時間をとってもリスクは下がらないとのことです。おぉ怖い!
「日常の生活リズムはなるべく一定に、しっかりと睡眠時間をとりましょう。」
【この結果のポイント】
・不規則睡眠は心血管疾患へのリスクとなる
・不規則であればあるほどこのリスクは高くなる
・中程度の不規則であれば睡眠時間の確保でリスクを下げられる
・強い不規則睡眠であると睡眠時間を確保してもリスクは減らない
【日々の睡眠で気を付けること】
@ 規則正しい睡眠(生活)を心がける
・昼寝をする場合は15時までに30分以内で
・夕方以降のうたた寝禁止
・起床時刻はいつも一定に
・土日の長寝は平日と1時間以内に
A 睡眠時間の確保
・寝る前のリラックスタイムをつくる
・眠れる環境を整える
・睡眠時間は日々確保(若年・働きざかり)
・早寝長寝遅寝をやめる(高齢者)
次回はなかなかショッキングな話題です。「睡眠不足が続くと見た目も身体も老ける!」です。
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Jean-Philippe Chaput et al. Sleep regularity and major adverse cardiovascular events: a device-based prospective study in 72 269 UK adults, Journal of Epidemiology & Community Health (2024)
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睡眠とヒートショック
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【睡眠不足が続くと】
こちらの画像は「ハンナ」と名付けられた架空のモデルです。一晩に6時間しか眠らない生活を何年も続けた女性の姿を予想したものです。睡眠不足の長期的な影響をはっきりと浮き彫りにしています!
見た目では猫背、薄毛や脱毛、老化した肌に驚きです。加えて2型糖尿病や心臓に影響も出てきていることは間違いありません。食欲亢進による肥満や内臓脂肪の蓄積、運動意欲の低下による体型変化も加わっています。画像の設計は、ソフィー・ボストック博士とベンソンズ・フォー・ベッド社が2010年以降の睡眠関連研究論文を用い行いました。
ボストック博士は「ハンナは、睡眠が全体的な健康維持に及ぼす総合的な影響について考えさせられる例です」と述べています。また、ベンソンズ・フォー・ベッド社のリサ・リチャード氏は「ハンナは、睡眠に関連したすべての条件が揃っていない時に起こり得る最悪のシナリオを予測したもの」とし、「人々が睡眠についてより慎重に考え、ハンナを見ながら現在自身の睡眠不足兆候を見つけてほしい」としています。その通りですね。
【この結果のポイント】
大事なことは、こうも付け加えられています。「毎日同じ時間に起きて、運動をして、寝室を暗く維持したまま十分に眠れば、このようなすべてのことを予防することができる。」と。
「眠る環境、眠る習慣、眠るリズムとからだづくり」を心がけましょう。睡眠時間の確保と規則正しい睡眠習慣、そして休養感を感じることが大事です。
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Dr. Sophie Bostock,Bensons for Beds, Long-term effects of sleep deprivation(2024)
Instagram:@mwnlifestyle
https://www.instagram.com/p/DDr0P20CWPm/?locale=ja-JP&hl=en
Photo:Copyright by JoongAng Ilbo Co., Ltd.
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睡眠不足は
風邪をひきやすい
風邪の時は眠れない
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【睡眠不足は風邪をひきやすい】
インフルエンザが流行っています、岡山では”警報”が出ました。皆さん、予防接種は済まされましたか?今の時期、自分がかからないことに加え他の人に移さないことも大事になります。
さて、睡眠と風邪のひきやすさについて、こんな文献がありました。「睡眠不足は風邪をひきやすい」とのデータです。検討の内容は、風邪の原因となるウイルスを鼻に塗って、どれくらいの方に風邪症状が出るかを調査しています。睡眠の状態は、ウイルス感染前1週間の睡眠状態をアクチグラフにより確認しました。感染後の5日間はホテルで症状を観察されています。その結果が図になります。
感染前の睡眠時間と風邪症状の出現との関係を調べたところ、睡眠時間が5時間以下(睡眠不足)人は、7時間眠った人と比べ4.5倍多く風邪にかかりやすかったとのことです。
※日頃から良い睡眠をしっかりとって風邪にかからないようにしましょう。寝不足は禁物です。
【風邪の時は眠れない】
一方、風邪をひいたときの睡眠の状態はどうでしょう。こちらも調査検討したデータがあります。風邪の原因となるウイルスに感染し症状が出ているときの睡眠状態を睡眠ポリグラフで記録しています。その結果、風邪をひき体調が悪いと睡眠時間が短くなり睡眠効率(睡眠時間÷寝床にいた時間)も悪くなっていました。鼻づまりによる呼吸困難や身体の痛み、免疫反応を高める発熱が逆に睡眠を阻害することになっているのかもしれません。
※体調の悪いからこそ、その時は眠れる環境を整えてしっかりと睡眠をとるようにしてみましょう。
これまでのコロナウイルスと今年はマイコプラズマにリンゴ病、そしてインフルエンザウイルスが猛威です。これからはノロウイルスにも注意が必要ですね。手洗い、マスク、咳エチケットなど感染予防を心がけ、しっかり眠り体調管理にご留意ください。
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Prather AA,Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold. Sleep,2015
東洋経済ONLINE:西多 昌規.早稲田大学教授 早稲田大学睡眠研究所所長
Drake,C.L.,et al.Effects of an experimentally induced rhinovirus cold on sleep, performance, and daytime alertness. Physiology & Behavior,2000
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睡眠不足は太りやすい
肥満と健康に悪影響
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ありがとうございます!
今年の3月から「健康の窓」の配信を始め、睡眠と健康の話題をお届けしてきました。来年も引き続き、火曜日と金曜日の週2回、役立つ情報をお届けします。来年は臨床検査の情報も追加予定です。ご希望やご意見がありましたら、ぜひお聞かせください。市民センター等でのリアル講習会も開催しています、こちらもご参加をよろしくお願いいたします。
皆様の健康と幸せを願って!良いお年をお迎えください
それでは年内最後の睡眠・健康情報です。
【年末年始の過ごし方】
生活のリズムが乱れると、休み明けが辛くなります。「規則正しく」が年末年始の過ごし方のポイントです。また、飲食の機会が増える、食べる量が増える、年末年始は動かない、生活のリズムが変わるなどから、この時期は体重が増える方が多いようです。表を見られましたか?いちいち心当たりがありますね、もっともです。楽しい時間に美味しい食事やお酒は付きものですので、この際は諦めて(笑)別の目線でポジティブに過ごしましょう。
・初詣に行く
・親戚、ご近所回りをする
・買い物に行く
・散歩する
・アウトドアスポーツや外遊びをする
・生活のリズムを整える
・起きる時間を一定にする(遅起きをしない)
・長い昼寝、うたた寝をしない
・寝不足にならない
【睡眠不足は太ります】
先ほど最後に「寝不足にならない」としました。実際に寝不足だと、食欲を亢進するホルモンが増えたり、満腹を感じるホルモンが低下してしまいます。ダイエットや健康生活に睡眠不足は大敵です。また、太りやすさに加えて、病気の危険性を上がります。睡眠不足は本当に健康の大敵です。
来年は良い睡眠を得るためのポイントを改めてご紹介します。また、2月ごろより、臨床検査値の見方や健康診断の健康生活への活かし方などもご紹介する予定です。お楽しみにお待ちください。
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ウーマンウェルネス研究会 supported by Kao
Shaharad Taheri,et.al ;Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin,Elevated Ghrelin,and Increased Body Mass Index(2004)
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しっかり眠ってミス防止
受験生がんばれ!
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【しっかり眠ってミス防止・受験生がんばれ!】
大学入学共通テストが令和7年1月18日(土)・19日(日)に実施されます。また、大学以外でも入試シーズンに突入です。受験生の皆さんも大変で、ご家族の方もいろいろいと苦労も多いかと思います。これまでの成果を発揮できるようお祈りいたします。
さて、入試に限らず試験に臨み成果を発揮するためには、コンディションを整えることがとても大事になります。風邪や体調不良とならないように留意することは大切ですね。今回は、試験当日に実力を発揮できるような良い睡眠方法についてお伝えします。ぜひ皆さまにお伝えください。
昔は「四当五落」と言われ4時間睡眠なら試験に通り、5時間も寝ると試験に通らないと言われていました。ところが、今はこう考えてください。「六当五落」です。6時間の睡眠をとる習慣があれば合格し、5時間しか睡眠をとらないと不合格になってしまいます。それほど睡眠は大事ですよ。
【試験に受かる睡眠のポイント】
1)日頃から睡眠時間は6時間以上とること
2)試験日の睡眠不足は特に避ける
3)朝から頭が働くよう生活リズムを整える
【解説】
1)日頃から睡眠時間は6時間以上とること
睡眠には記憶を整理し定着させる働きがあります。加えて、睡眠時間が短いと風邪をひきやすいという報告もあります。勉強開始時刻を早めることで勉強時間を確保し、そしてしっかりと眠るようにしましょう。
2)試験日の睡眠不足は特に避ける
睡眠不足の時は注意力が散漫になりミスが増えます。後から見返すと、なんでこんなミスをということもあるでしょう。試験前日はしっかりと睡眠をとりましょう。いろいろと考えて眠れないときは、単純な思考で済む英単語や公式、歴史年表を見返すなどが良いでしょう。
3)朝から頭が働くよう生活リズムを整える
夜型の生活サイクルを朝から活動的な朝型サイクルに変えるには、ある程度の時間が必要です。最低でも試験前1週間は、試験日のスケジュールに合わせた時刻に起きるようにしてみてください。試験当日にだけ早起きしても頭は目覚めず、これもミスの原因になります。
試験で人生が決まるわけではありませんが、人生の大きな一つの節目です。悔いのないように、日頃から準備し、体調をしっかりと整えてくださいね。
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・睡眠は記憶を整理・定着する
2024/6/11【眠りの仕組み】〜09 夢みるねむり〜
・ぐるぐる思考解消法
2024/8/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜
・睡眠・生活リズム
2024/4/30【自らすすんで時差ボケに!?】
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
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世界睡眠デー
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【世界睡眠デー】
2025年3月14日、本日は「世界睡眠デー」です。何かと後回しにされてしまう睡眠のこと、今日は少しだけご自身の睡眠状態を振り返ってみませんか。
睡眠時無呼吸や呼吸器疾患に関する医療機器を取り扱うレスメド社が「レスメド世界睡眠調査2025」を発表しました。
これによると、全体の平均睡眠時間は7.09時間でしたが、日本は最も短く6.56時間と最下位でした。もっと眠らなければ〜。
1週間に3回以上、眠りにつくのに苦労したり(34%)、眠り続けるのに苦労したり(29%)しています。
睡眠不足につながる原因のTOP5は、@ストレス、A不安感、3金銭的な心配事、Cメンタルヘルスの不調、D家族や人間関係となっていました。
よく眠れたことで感じることは、〇気分の向上、〇集中力の向上、〇からだの健康、〇メンタルヘルス向上、〇生産性の向上をあげていました。なるほど、納得です。
逆に眠れなかったときに感じることは、●日中の過度の眠気、●気分不良、●イライラ感の増加、●朝の頭痛、●集中力の欠如となっていました。
睡眠時間が6時間以下の方は、頻繁に精神的苦痛に悩まされる可能性が2.5倍高くなり、2型糖尿病や心臓病の増加とも関連しているとされています。また、睡眠時間が7時間未満だと、自動車事故のリスクが高まります。怖いですね。
就労している回答者の71%、日本では41%の人が睡眠不足を理由にキャリアの中で少なくとも1回は病欠したことがあると回答しました。これは睡眠時間以外にも週末の夜更かしなど生活・睡眠習慣にも問題があることが多いようです。
このように睡眠の問題は、眠れない夜やつらい朝を迎えることになるだけでなく、日常生活のあらゆる側面に波及し、健康、気分、集中力、人間関係を静かに損なう可能性があります。
まずは生活習慣・睡眠衛生を振り返り、問題があれば改善してみましょう。解決できないときは速やかに医療機関を受診しましょう。
夜にふとんに入ったときの安堵感、朝の爽やかな目覚め、日中のわくわくとした高揚感、しっかり感じたいですね。
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(PR Times)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000093479.html
(レスメド)https://sleepsurvey.resmed.com/
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春の睡眠の日
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【眠りのお悩み】
本日は春の睡眠の日です。睡眠について振り返ってみましょう。インターネットによる睡眠の調査でこのようなデータがありました。
・約6割の方が「若い頃より眠れなくなった」
・約6割の方が「自身の睡眠に満足していない」
・満足してない原因は「途中で目が覚める」「よく寝た感じがしない」「疲労感がある」「寝付きが悪い」
・約4割の方がふとんに入っても30分以上寝付けない
・眠れない時は「がまんしてそのまま」「スマホをみる」
自分が思い当たることもあります。中には正しい睡眠習慣・睡眠衛生とはちょっと違うぞ。という項目もありますので、それぞれの対処方法を見てみましょう。
【対処方法】
1.若い頃より眠れなくなった
これは避けられないからだの生理的な現象です。歳をとると眠れなくても仕方がないと思うのも一手です。また、「睡眠時間」は長くはなりませんが、睡眠衛生に気を付けることにより「睡眠の質」を上げることはできます。本コラムの「快眠の14か条」をぜひお試しください。
2.眠りに付きづらい
上記と同様に、睡眠衛生に留意することで改善することができます。寝る前に脳を興奮させない・刺激しない、明るい光を浴びない、眠る1時間程度前にお風呂に入ることで、かなり改善できます。寝床スマホや寝酒、カフェインは厳禁ですよ。
3.おやすみの途中で目が覚める「中途覚醒」
対処方法としていくつかご紹介します。
@30分以上眠れなければ寝床から出る。あまり明るくないところで本を読む、音楽を聴くなどリラックスして眠くなってから寝床に戻る
A寝なくてはいけないと焦らない。一日くらい眠らなくてもいいやと開き直ることも。時計は見ない。翌日のパフォーマンスは落ちるが、その夜は眠れるようになります
Bふとんの中では考えすぎない、考え事をしない。ところが何も考えないのは難しいですね。そんなときはちょっとだけ他の考え事にすり替えます。
頭の中で柵を跳び越える羊をぼーと数える、”あ”から順番に思いつく単語を列挙する、呼吸を数える、自分の手・足やからだの輪郭を思い出してなぞる
Cふとんの中でリラックスすることも大事です。3-4-5(4-7-8)呼吸をする、深呼吸をする(特に長く吐くように)、両手・両足・からだの各部分を順に脱力してゆく
寝床に入ると眠る努力は必要ありません、もう努力はしてはいけません。その前に、眠れる環境づくりと眠れるからだにすること・しておくことが大事です。
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(林原LSI)https://newscast.jp/news/5880832
2024/08/23【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
2024/08/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜
2024/08/02【快眠の秘訣】〜01 体温管理〜
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朝型・夜型 クロノタイプ
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【朝型・夜型 クロノタイプ】
今回は朝型・夜型についてご紹介します。皆さんもなんとなくご自身が朝型かなー、夜型かなーと考えたことがあるかと思います。朝型・夜型ってなんでしょう。朝型・夜型は、体内時計のパターンを指しています。クロノタイプとも呼ばれます。
こちらのサイトから朝型・夜型、クロノタイプを確認することができます。19項目の質問に回答すると朝型・夜型の傾向がわかります。ちなみに私はど真ん中でした。
朝型夜型質問紙)https://www.sleepmed.jp/q/meq/meq_form.php
朝型は、午前中など早い時間帯に心身ともに活発に活動でき、夜には活動量や活動意欲が下がるタイプです。結果として起きて早い時間に絶好調となります。
夜型は、逆になかなかエンジンがかからず午後を過ぎてから、あるいは夜になってから活発になるタイプです。就寝時刻が遅くなりやすい(夜更かし)タイプです。
【朝型・夜型と体内時計】
赤ちゃんの頃は朝も昼もないですが、だんだんと体内時計が形成されてゆくと、ちゃんと昼に活動的に、夜に眠るようになります。幼児期から小学校くらいまでは朝型が多いのですが、二十歳くらいにかけて夜型に変わってゆきます。そしてそれ以後、また朝型に戻ってゆくようになります。年齢でもクロノタイプは変化するのですね、思い当たります。
この朝型・夜型、クロノタイプは体内時計と深くかかわっています。ヒトの体内時計は地球時計(地球の自転)より長く、以前は25時間とも言われていましたが現在では24時間6分(または8分)程度とされています。ですので、真っ暗な部屋で時間がわからないようにして過ごしていると、睡眠時間が(毎日が)がだんだん遅く遅くずれてゆきます。【図1】
逆に朝早く目覚めて電灯の光を浴びる、夏場では早い時間に太陽の光を浴びるようになると、今度はどんどん睡眠時間が早くなってゆきます。【図2】
これをきちんと地球時計にリセットするのは、図中にある通り「光」の作用です。また、光以外にも、食事であったり社会生活(学校や仕事)なども体内時計を左右します。体内時計が狂った方を、図のように強制的に光を浴びさせることにより、地球時計に合わせることもできるようになります。
朝型・夜型は遺伝子でほぼ決まっていますが、先のように年齢や生活習慣・環境でも変わってきます。朝型は約30%、夜型も約30%、そして中間型が約49%とされています。中には超朝型や超夜型がそれぞれ5〜10%いるとされ、これらの方はなかなか地球時計・社会生活と同調しにくい面があるようです。
【光を利用】
夜型・夜更かしタイプは、朝にしっかりと光を浴びてください。
朝型・早く目覚めすぎる方は、夜の少し遅い時間に光を浴びてみてください。
地球時計と仲良しになって、メリハリのある一日を過ごしましょう。
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ミュンヘンクロノタイプ質問紙:
Kitamura S et al. Validity of the Japanese version of the Munich ChronoType Questionnaire. Chronobiol Int. 2014
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部
Dorothee Fischer et.al. Chronotypes in the US - Influence of age and sex (2017)
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疲労と睡眠
デジタル機器
自律神経
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【疲労と睡眠】
「疲れたー!」ってこと、ありますよね。これ、身体が疲れても頭が疲れても「疲れたー!」です。なぜ?
実は「疲れ」というのは、筋肉の疲労も頭の疲労も「疲労」はすべて脳が判断しています。「疲れ」を感じるも感じないのも脳しだいということです。
ですので、脳が混乱して「疲れた」と感じれば、実際は身体も頭も疲れていなくても「疲れた」と捉えてしまうのです。
この脳の混乱をもたらすものに”自律神経”が原因のことが多々あります。
「疲労」を回復させるには眠ることがまずあげられます。睡眠は脳の休息、クールダウンです。ここでも”自律神経”が重要な働きをしています。
眠るためには、日中の交感神経優位な状態から副交感神経が優位になるよう環境や体調を整えてやることが必要で、このことが「疲労回復」に役立ちます。
脳の混乱、自律神経の乱れを治め疲労を回復するには、良い睡眠が不可欠になります。
【睡眠の記録】
今の時代、デジタル機器が全盛で使用しない訳にはいきません。日中のデジタル機器の使用や寝る前の使用は、上述のような副交感神経が優位な眠る態勢になりませんので、良い睡眠が得られないことになります。(図はデジタル機器の使用と睡眠リスクの程度)良い睡眠が得られないと「疲労」を回復させることができません。
自分の睡眠が良いか悪いかはなかなかわかりづらいです。まずは睡眠時間、寝た時刻と起きた時刻、その日に気づいたことを書き出してみましょう。睡眠日誌を付けるのは大変良い行動です。これで自分だけの「睡眠のトリセツ」ができますよ。これはまた別の機会で。
【試してみて!】
★まずは寝る前の1時間(大目に見て30分)できれば2時間はデジタル機器を遠ざけましょう。
●環境を整え、良い睡眠習慣を身に付け良く眠ることで、疲労を遠ざけましょう。
●睡眠は究極のアンチエイジングであり、ダイエット効果やストレス解消、学業や仕事の効率も上がります。
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Mari Hysing et.al. Sleep and use of electronic devices in adolescence: results from a large population-based study. BMJ Open. 2015:e006748
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春眠暁を覚えず
春の眠気
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【春眠不暁覚(春の眠気)】
春のこの時期になると必ず話題になるのが「春眠暁を覚えず」です。古来からの申し伝えで、中国唐代の詩人”孟浩然”の五言絶句の「春暁」に由来していると言われています。制作された時期や場所は明確ではありませんが、7世紀・飛鳥時代とのいわれがあります。
この言葉の意味は「春になるとぽかぽかと暖かくなって、朝に起きられないほど眠い」、あるいは「夜明けが早くなってきて、目覚めるともう明るくなっている。」というようなことでしょうか。なるほど思い当たりますし、確かにこの時期は眠気を訴えられる方が多いようです。
実際には、温度や気温のほか日照時間などが、春の眠気に大いに関与しています。冬の間に寒さに打ち勝つため上げていた基礎代謝を、春モードで下げようとするためバランスがとれず体調を崩しやすくなります。また、日照時間が長く(夜が短く)なると睡眠ホルモンのメラトニンの分泌も少なくなるのですが、この時期はまだ冬の分泌パターンのままのこともあり、日照時間の割にメラトニンの分泌が多いため眠気をもたらすということもあるようです。
春の眠気、眠いときにはしっかりと眠りましょう。ただし、次のことに少し気をつけてください。生活のリズムを整えることが大事です。
・眠くても朝は一定の時間に起床する
・起きたら朝陽を浴びる
・しっかりと朝食を摂る
・昼寝は15時頃までに30分程度で
・夜は暗めの部屋で過ごす
・夕食以後の激しい運動やうたた寝は控える
・寝る前のお風呂は控える
・寝る前にデジタル機器を使用しない
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眠りの問題
原因と解決
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【眠りの問題・原因と解決】
まずは睡眠の機序です。”眠る”ということは「睡眠」と「覚醒」の要因どうしがシーソーの上に載っている(あるいは綱引きをしている)ところをイメージしてください。覚醒要因が多ければ(重ければ)目が冴えて眠れず、睡眠要因が多いと(重いと)眠れるようになります。
この時に、心配事やストレスがあると、脳の興奮により”睡眠”が増えることなく少ないまま(軽いまま)で眠れないことになります。腰痛などで痛みがあると、”覚醒”が増えることで”睡眠”より重いままで眠れないということになります。
眠るためには、睡眠要因を増やすか、覚醒要因を減らすことが大事になります。
睡眠不足にしろ不眠にしろ、眠れない・眠気があるにしろ、まずは環境要因を振り返ってみてください。問題ないでしょうか。うるさい寝室や寒すぎる寝室は眠れませんよね。
次には身体的要因を確認します。身体の不調はないですか?身体の痛みは無いですか?
そして生活習慣を確認してみます。眠る前に強い運動をしたり寝酒をしてみたり間違った睡眠習慣をしていないですか?
それでも眠りの問題が解決しない場合には、”睡眠の病気”である可能性もあります。躊躇せず医療機関を受診することをお勧めします。もし睡眠関連疾患であった場合、早く気が付けば気が付くほど治療にかかる負担は小さくなります。
ぜひ一つ一つご確認なさってみてください。
【眠りの問題・解決の順番】
@環境(寝室)の確認
Aからだの確認(病気、痛み、薬)
B睡眠習慣の確認
C睡眠の病気を確認
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疲労と睡眠
ごろごろより気分転換
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【疲労と疲労感】
「疲れ」というのは、筋肉の疲労も頭の疲労も「疲労」はすべて脳が判断しています。「疲れ」を感じるも感じないのも脳しだいということです。
ですので、脳が混乱して「疲れた」と感じれば、実際は身体も頭も疲れていなくても「疲れた」と捉えてしまうのです。これが「疲労感」です。
前回(3/25)は、この脳の混乱をもたらすものに”自律神経”の乱れが原因とご紹介しました。デジタル機器を遠ざけることで自律神経を休め「疲労」を解消する方法でした。今回、もうひとつの方法をご紹介します。
平日に頑張ったから、休みは家でゴロゴロしたい。だらだらとネットやスマホゲームで過ごしたい。という声を良くお聴きします。その気持ちもわかります。これひとつの「疲労」解消法ではあります。
ただしこの方法、空っぽになった疲労回復パワーを満タンにすることができません。なぜなら、休んでいるようで、身体は休んでいますが脳は休んでいないんですね。お休みで充電目盛りが満タンになる前に月曜日に仕事に行くことになります。
【疲労感の解消】
ところがこの充電目盛りを満タンに、しかもそのキャパを増やすことができるんです。「気分転換」や「身体を動かす」ことがそれに当たります。
脳の感じている疲労感は、脳を活性化することにより脳内が整理整頓されすっきりと整います。これが疲労感が無い状態です。逆に、休日のゴロゴロは脳内がごちゃごちゃと乱雑なままでリセットができていない状態です。疲労感がそこかしこに残っています。
休日に少し身体を動かすことや、新しい体験をする、いつもと別のことを学んでみる、お出かけをするなどの気分転換により「疲労感」は解消され、「疲労」をしっかりと回復することができます。
【ぐっすり眠り活力満タン】
また、日中に太陽の光を浴びることは幸せホルモン「セロトニン」をつくり、睡眠ホルモンのメラトニンを増やす働きもあります。身体を動かすことも加われば、心地よい筋肉疲労も加わり、夜はぐっすりと眠れるようになります。これがこころの「充足感」や翌日・翌週の「活力」につながります。
「一週間頑張って疲れたから休日にはからだを休めよう」ではなく、「よく休んだから一週間頑張ろう」と思えるようにしてはどうでしょう。一週間の始まりを月曜日ではなく土日の休みの日から始まるよう考えてみるのも良いですね。疲労感を克服しぐっすり眠り、明日に備えましょう!
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眠気の秘密@
ししおどしモデル
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【眠気の秘密 @】
今回は眠気の秘密についてお伝えします。眠気はどうして生じるのでしょう。眠気はどのような仕組みで強弱を感じるのでしょう。さて、どうすれば眠気をコントロールできるのでしょうか。
眠りのもと(眠りの素)はまだはっきりとは解明されてはいませんが、特定の蛋白のリン酸化あるいはカルシウムイオンの移動が関与しているという研究があります。どの物質にせよ、起きている間に眠りのもとはたまってゆき、眠ると解消されるというパターンを有しています。
このとき、”ししおどし”をイメージしてみてください、水が溜まり一定の重さになると傾いて流れる日本古来の庭園装飾です。
ここからわかることは、
@眠りのもとがたまると眠くなる
A眠ると眠りのもとが排出される
Bうまく排出できないと眠りのもとは残ってしまう
ことです。
ですので、ぐっすり眠れる、昼間に眠気を感じない良い眠りのためには次のことが大事になります。
【眠気をコントロールする秘訣】
@しっかりと眠りのもとをためる
・長い昼寝をしない
・夕食後のうたた寝をしない
A良い睡眠で眠りのもとを解消する、持ち越さない
・朝食を摂り、しっかり光を浴びる
・昼間は活動的に、からだを動かす
・入浴は寝る1時間前程度に
・アルコールやカフェインを控える
・寝室環境を整える
次回はもう一つの眠気の秘密とコントロールについてお話しします。
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眠気の秘密A
ツー・プロセス
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【眠気の秘密 A】
今回は眠気の秘密についてお伝えします。眠気はどうして生じるのでしょう。眠気はどのような仕組みで強弱を感じるのでしょう。さて、どうすれば眠気をコントロールできるのでしょうか。
眠気を感じる仕組みとして、図のようなツープロセスモデルが考えられています。
@睡眠を起こす物質があり、起きているとそれがどんどんとたまってゆく
Aヒトには体内時計があり、日中は覚醒し夜は眠るという規則性がある。
睡眠欲求パワーと体内時計による覚醒パワーの差が“眠気”になります。
・朝は、覚醒パワー>睡眠パワーで眠気はありません
・夜は、覚醒パワー<睡眠パワーで眠気を生じることになります。
夜更かしが続いたり徹夜をすると睡眠欲求パワーが増え、ついウトウトと眠くなることは皆さんも経験があると思います。
また、体内時計が狂うと覚醒パワーの頂点がずれ眠気をもよおす時間帯が変わってくるため、昼間に眠気が強くなったり、夜に眠気が来なかったりします。昼と夜のメリハリをつけることが大切です。
【眠気をコントロールする秘訣】
@しっかりと眠りのもとをためる
・長い昼寝をしない
・夕食後のうたた寝をしない
・しっかり朝ごはんでメラトニン増加
A体内時計が狂わないようにする
・朝は一定の時刻に起きる
・朝はしっかり光を浴びる
・昼間は活動的にからだを動かす
・眠る前に電子機器を使用しない
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睡眠のtwo process model(Borbely AA et al 1982)
2024/5/28【眠りの仕組み】〜05 ここは寝ちゃダメ〜
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睡眠のトリビア
(その1)
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【睡眠のお悩みと解決のヒント】
第28回目の今回は「睡眠の素朴な疑問」についてお答えします。眠りのトリビアや俗説、いろいろありますよね。皆さんも一度は考えたことのある疑問ではないでしょうか。本当のところはどうなんでしょう…。
【これ、ホント?】
・睡眠時間は8時間にするべし!
・人の眠りは90分サイクル?
・寝言に話しかけると魂が…
・サプリ至上主義
・寝る子は育つ
【じつはこれ…】
・睡眠時間は8時間にするべし!
これは「×」です。睡眠時間は人それぞれです。加齢とともに短くなる傾向があり、およそ10年づつ15分程度短くなるとされています。あなたに合った睡眠時間は、起床時にスッキリ休養感があり、昼間に眠気を感じない十分な長さの睡眠時間だとお考えください。睡眠の質を高めることも大事ですが、まず必要な睡眠時間を確保することから始めましょう。
・人の眠りは90分サイクル?
これも「×」です。一晩にノンレム睡眠とレム睡眠を4〜5回ほど繰り返します。このノンレム睡眠の始まりからレム睡眠の終わりまでを睡眠周期としています。眠り始めは深い睡眠が長く明け方にはレム睡眠が長くなるほか、体調によってもそれぞれの出現時間はまちまちです。ですので「レム睡眠ですっきりと目覚めるよう90分の倍数を眠ると良い」というのも間違いになります。
・寝言に話しかけると魂があの世に
これも「×」ですね。「レム睡眠行動異常」のように夢の通りに動く病気もありますが、ほとんどは問題ありません。話しかけても返事をしても問題ありません。ただし、話しかけによっては目が覚めたり眠りが浅くなる場合があります。そっとしておく方が無難でしょう。寝言にびっくりして起こしてしまうと、睡眠状態から急に覚醒状態にスムーズに移れず寝ぼけたり錯乱したりすることがあります。そっとしておくか、目覚めたときはあまり動き回らないようベッドに誘導するなどしてあげてください。
・サプリ至上主義
サプリメントって効くのかな。これは「△」です。基本的に、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの身体の構成に必要な基本成分は問題無さそうです。一方で、例えば膝に効くとか目に効くとかピンポイントで部位を指定するもの、高度に精製が必要なもの、脳に効くというものは、なかなか難しいところがあると考えます。添加剤にも注意が必要ですね。ただし心理的な良い効果もありますので、ご自身の判断と主治医や薬剤師への相談の上でお使いいただければと思います。
・寝る子は育つ
これは「〇」です。眠っている間に成長ホルモンが分泌されます。ですので、しっかりと質の良い深い眠りをとることで成長ホルモンの分泌が促されます。このことは大人にも当てはまります、成長ホルモンは身体の修復作用もありますので、お肌の修復、怪我の修復、傷ついた血管や臓器の修復をしてくれます。また眠ることで脳内の老廃物質を排出する働きもあり、しっかりと眠ることが認知症を防ぎ健康で長生きする要素と言われる所以です。
いかがでしたでしょうか。次回もいくつか、睡眠のトリビアや俗説を検証してみます。
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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
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睡眠のトリビア
(その2)
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【睡眠のお悩みと解決のヒント】
第29回目の今回は、前回に続き「睡眠の素朴な疑問」についてお答えします。眠りのトリビアやウワサ、確かめてみましょう。
【これ、ホント?】
・睡眠薬はボケる?!
・食べると眠くなるはホント?
・二度寝は良い?悪い?
・寝すぎは身体に悪い
・ゴールデンタイムは22時〜2時
【じつはこれ…】
・睡眠薬はボケる?!
睡眠薬と認知症との関連が指摘されているものもありますが、まだ明確な因果関係は証明されていません、眠っている間に、認知症の原因となる老廃物の排出や修復を行いますので、眠らないこと自体が認知症のリスクになってしまいます。新しい睡眠薬は、脳の機能を下げるのではなく、覚醒を抑える良い薬が出ています。ご心配な方は主治医や薬剤師さんとよくご相談なさってみてください。
・食べると眠くなるはホント?
食後、特に昼食後はなんだか眠くなることがありますよね。「消化のために血液が胃に集まるから眠くなるん」などという噂を子どもの頃に聞いたことがあります。おっとっと。そんなわけは無いですね。食事をすると消化のため副交感神経が優位にリラックス効果もあり眠くなります。昼食後は体内時計の眠気が出やすい時間帯とも重なり、特に眠くなりやすいようです。
気を付けて欲しいのは、食事により血糖値が急激に上昇・降下する「血糖値スパイク」、眠気を生じることがあります。食後いつも強い眠気あるいはだるくなる場合は、一度、医療機関を受診してみましょう。
・二度寝は良い?悪い?
朝の起床時に目覚ましで起きるとき、いきなり大きな音で起きようとしていませんか?実は、うとうと状態から起きる方が目覚めがすっきりするんですね。ですので目覚まし時計は、はじめは小さな音から徐々に大きくなるようにする、スヌーズでいったん目覚めた後うとうとしているときに本番の起床アラームが鳴るような設定をお勧めします。二度寝、OKです。ただし、長い二度寝はしないように、何回もスヌーズせずに2回目の二度寝で起きるようにしましょう。
・寝すぎは身体に悪い
子どもさんや長時間睡眠者は長く寝る傾向で、これは問題ありません。問題は、長く寝る、寝ざるを得ない状態にあるときです。この場合は、長く寝る(寝てしまう)原因の解消が必要です。その原因として、疲労がたまっている、睡眠不足、過眠症、持病(の悪化)、こころの病、お薬の影響などが考えられます。また症状として、頭痛、疲労感、筋肉痛、睡眠リズム障害、体重増加、循環器疾患、認知機能への影響が出る場合があります。睡眠時間は短くても、長くても死亡リスクが上がることが報告されています。
・睡眠のゴールデンタイムは22時〜2時
これもなんとなく耳にした言葉だと思います。特に「お肌のゴールデンタイムは…」などですね。実際には特に時刻の指定はありません。眠ってから3時間程度が睡眠のゴールデンタイムと言えばそうかもしれません。この時間帯は深い睡眠が多く、成長ホルモンがたくさん分泌されしっかりとからだが修復されます。また、脳から老廃物の排出が効率的に行われています。もちろん、睡眠全体(脳や身体の休養)のためにしっかりと睡眠時間を確保することは必要です。
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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
睡眠時間と死亡リスクとの関連について:厚労省・国立がん研究センター (2020)
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眠らないと損をする?!
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【やっぱり寝ないと調子悪い!】
眠らないと損をする?!今回は、ポケモンスリープの調査を取り上げてみます。
ポケモンはご存じですか?そうです、そうです、ポケットモンスター。あの可愛いモンスターが出てくる「ポケモンスリープ」というアプリがあります。このアプリで睡眠を記録すると眠りを評価し、それに合わせたいろいろなポケモンの寝顔が見られるというものです。(あくまでアプリによる睡眠の評価は参考です、その評価の良し悪しに固執しないようにしてみてください。)
このポケモンスリープではこれまでに10億夜の睡眠の記録があるそうです。その中から日本のユーザー約8万人を対象に、労働との関係についての調査結果が公表されました。PR TIMES(2025.7.11)
なんと!労働生産性の低下は年間13.6万円!日本全体では年間1兆円の経済損失になるそうです。睡眠の不調は労働に影響をもたらし、特にソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)すなわち平日と休日の睡眠時間が違う方、特に休日の遅寝が常態化している方は、健康な睡眠をとる方に比べて労働生産性の低下が著しくなっています。
良い睡眠が「日中の活動性」を上げて、朗らかでアクティブな一日を作ると考えてもらって良いと思います。もちろん、原文では労働生産性についての評価ですので、厳密には日中の活動性とは異なります。(作業ミスや事故などによる損失も含まれる)それでも今回の調査は、「健康的な睡眠」「長時間睡眠」「中途覚醒が多い」「寝付きが悪く中途覚醒が多い」「ソーシャルジェットラグ」を比較していますが、やはりなにがしらかの睡眠の不調があると日常生活に支障があるということでしょう。総括すると、良い睡眠が大切であることには間違いありません。
いかがでしたでしょうか。しっかり質の良い睡眠で、生活の質や人生の満足度を上げてみましょう。
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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
PR TIMES; https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000126093.html
Jaehoon Seol, Masao Iwagami, ProfileMasashi Yanagisawa.Association of Objectively Measured Sleep Patterns Using a Smartphone Application with Work Productivity Loss in Japanese Employees.2025.07.03
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眠らないと損をする?!
眠気をスルー
自覚の無い睡眠不足
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【やっぱり寝ないと調子悪い!】
前回に続いて「やっぱり寝ないと調子悪い!」のパート2です。睡眠不足、睡眠負債、眠りのトラブルにより質の良い睡眠がとれていない、そんな時にからだはどのような状態なのでしょうか。
【脳の反応速度低下】
Aの図にあるように、徹夜は言うまでもなく6時間睡眠(必要な睡眠時間よりも2時間程度短いだけ)でも、これが続くと2週間ほどで徹夜した時と同じくらい脳の反応速度(注意力、眠気、疲労度の目安)が低下しています。
【スルーする眠気】
Bの図では、眠気の自覚度を問診表で聞き取りました。徹夜をすれば眠気を強く自覚しています。ところが6時間睡眠では2〜3日め以降は眠気は徐々にしか強くなっていません。先の反応速度と照らし合わせると「睡眠負債が積み重なり徹夜程度になっても、眠気はそこまで強く感じない」ということです。
すなわち、「睡眠不足にもかかわらず眠気を自覚できていない。」ということになります。「自覚の無い睡眠不足」、眠気をスルーしています。
睡眠不足にはある程度、あたまとからだが慣れてしまいます。意外に平気と錯覚してしまいます。ところが実際は、ふつうに仕事をしているつもりが、ふつうに車を運転しているつもりが、実は徹夜しているくらいの効率低下、危険な状態で過ごしていることになります。
【解決方法】
1)日頃から睡眠不足にならないよう、質の良い睡眠をしっかりととりましょう。寝だめは避けましょう。
2)日中に眠気が強い場合は、15分〜30分以内の短時間の昼寝(Power Nap)をお勧めします。
3)それでもなお眠気が続く場合は、病気が潜んでいる場合があります。医療機関で相談してみましょう。
【昼寝の効果】
・パリオリンピックでイギリスは、スリープポッドと呼ばれる仮眠用のベッドがある施設をつくりパフォーマンスの向上を図った。
・毎日新聞によると福岡県の県立明善高校では昼寝を取り入れ、保健室使用の減少の他、怪我も減り、学業や部活の成績が向上した。
・昼寝により認知機能向上、身体パフォーマンス向上、疲労感軽減効果があった。
平日の睡眠不足を休日の長寝・遅起きで補わず、早めの就寝で睡眠時間を確保しましょう。
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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
Van Dongen HP et al., The cumulative cost of additional wakefulness:Dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation, Sleep 2003
Mesas AE, et al. Is daytime napping an effective strategy to improve sport-related cognitive and physical performance and reduce fatigue? A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. British Journal of Sports Medicine. 2023
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認知症予防は
脳ドリルより睡眠が重要
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【認知症予防は脳ドリルより睡眠が重要!】
認知症のひとつ、アルツハイマー型認知症のことはご存じかと思います。主に脳にアミロイドβという老廃物(たんぱく質)が沈着し、徐々に脳細胞が破壊されるというものです。
脳内でこの老廃物を排出する仕組みがグリンパティックシステムで、2012年に提唱されました。ここでポイントは、このグリンパティックシステムは、睡眠中に効率よく機能するということです。すなわち、質の良い睡眠をしっかりとることは、認知症予防の可能性があるということになります。
この予防効果を活かすために大事なのは、日常的に実行すること、中年期・働き盛りの頃からしっかりと質の良い睡眠をとることが大切になります。50代で一晩の睡眠時間が6時間以下だった人は7時間以上寝ていた人に比べて、その後に認知症になるリスクが「約30%高まる」という結果も示されています。睡眠不足に代表される睡眠障害は認知症を招きやすく、早い時期での対処が必要です。また一方で、ふとんの上に長く居すぎることも良くないとされています。
認知症予防というと、脳ドリルを思い浮かべますが、これは脳機能の一部を使うものです。脳全体を活性化し認知症を予防するためには、「人と会う」「人と会話する」など、社会的な交流が効果的とされています。
活動的に、社交的に、そしてしっかりと良い睡眠をとることが、認知症予防につながります。
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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
Sabia S et al., Association of sleep duration in middle and old age with incidence of dementia. Nature Communications 2021
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未来を変える食生活
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【未来を変える食生活】
前回は、睡眠と認知症についての話題を取り上げました。今回は睡眠から離れ「食事」について考えてみます。米国10万人以上を30年間にわたり追跡した大規模研究から「健やかに保つための食事」とは何かを探ります。
骨太の方針2024では「健康寿命の延伸」が重要な課題として位置づけられており、これを踏まえて厚生労働省の健康日本21でも重点的に取り扱われています。ただ寿命が延びるだけではなく、健康的に長生きすることが目標です。そのために、生活習慣、食事・運動・睡眠・社会との関わり合いは大きな意味を持っています。
【健康的に年齢を重ねる】
さて、今回ご紹介する調査では、「70歳に到達した時点で、がんや心疾患、糖尿病といった11の主要な慢性疾患がなく、さらに認知機能、身体機能、精神的健康のいずれにも大きな衰えがない状態」としています。なんだかややこしい表現ですが、いわゆる「健康」と一般的に考えられる状態です。
この調査結果から70歳の時点で「健康」と判断されたのは何と9.3%とのことです。逆に考えると、約10人に一人は健康的に年齢を重ねていることになります。健康的であった要因として、生活習慣、特に「食事」について違いに注目しています。食事の質が高いグループほど、健康的に加齢する確率が高くなるとのこと、さてその食事とは何でしょう。
【健康寿命の食事の秘密】
最も健康的な加齢と強い相関を示したのは「AHEI(代替健康食指数)」および「PHDI(プラネタリーヘルスダイエット指数)」でした。この指数が最も高いグループは、低いグループに比べ「健康的な加齢」を達成できる確率が約2倍も高かったとのことです。
聴きなれない言葉ですが、この「AHEI」や「PHDI」が高い食品とは何でしょう。実は特殊な食事やサプリメントではありません。ごくシンプルなものです。
【積極的に摂りたい食品】
・果物・野菜・全粒穀物・ナッツ類・豆や豆腐類(植物性たんぱく)・多価不飽和脂肪酸(魚や植物に含まれる油脂)
【摂取を控えるべき食品】
・砂糖入り飲料・赤身肉や加工肉・トランス脂肪酸(マーガリンなど)・ナトリウム(塩分)・ファーストフード
根拠が乏しかったり流行りの食事法に飛びつくのではなく、「野菜や果物、全粒穀物を増やし健康に良い油を選ぶ。肉や加工品、砂糖、塩分を控える。」という、これまで指摘されていたことと同じく、健康的な食事の基本に忠実なことが最も重要だということです。
【未来を変える食生活】
1.禁止よりほどほど
キツキツであったり、〇〇しかダメ、では長続きしません。いつも食べているものを少し健康的なものに変えてみる。(ポテチをナッツになど)時々でいいので白米を玄米や雑穀米に変えてみる。小腹がすいたときの菓子パンをヨーグルトに変えてみる。ポイントは無理なく続けられることです。
2.加工食品を避けてみる
スナック菓子、菓子パン、コーラなどを食べる機会を減らしてみることも有効です。
3.今の食事が未来をつくる
この調査は平均53歳から30年後の世界を見ています。すなわち、「今の食事・毎日の食事が未来の自分の健康を作っている」ことになります。
ゴールは禁欲生活ではありません、30年後に笑顔で健康的に過ごしている姿です。そのためには日々の生活習慣の中で、食事、運動、睡眠を見直し実行することが大切です。「ぜんぜん気にしない!」より「少しでも実行する」こと。すればしただけの効果はあります。肩の力を抜いて今から始めてみましょう。
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健康日本21(第三次):厚生労働省
Tessier AJ, et al. Optimal dietary patterns for healthy aging. Nat Med. 2025;31:1644-1652.
ケアネット:https://www.carenet.com/
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夏バテ・睡眠不足バテ
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【夏バテ・睡眠不足バテ】
立秋を過ぎてもまだまだ厳しい暑さが続いています。体調を崩されてはいませんか?今回は「夏バテ」、特に「睡眠が原因・睡眠不足による夏バテ」について考えてみます。
夏バテの原因として、いくつかタイプをあげてみます。
【夏バテの原因】
@ 知らず知らずの脱水で体調がすぐれない「脱水バテ」
A 逆に水ものばかり飲み過ぎて食欲がなくなる「水分バテ」
B ついつい簡単な食事ですませ栄養不足になる「食事バテ」
C 冷房や室内外の寒暖差で自律神経が乱れる「寒暖差バテ」
D そして夜に眠れず疲労が蓄積する「睡眠バテ」
対策として、ドカッと水分は取らずこまめに補給すること、栄養のバランスや味付けに工夫し食欲を低下させないこと、衣服や環境の調整で体温管理をすることなどをお勧めします。
「睡眠バテ」についてはどうでしょう。ぐっすりと眠ることができれば解消につながります。次のことで当てはまることはないでしょうか。対策もご覧ください。
【睡眠バテ・チェックリスト】
□ 朝起きても休養感が無い
□ 朝食を食べないことが多い
□ 日中に強い眠気がある
□ 一日中、屋内にとどまりがち
□ 入浴はシャワーですます
□ 寝床にスマホを持ち込む
□ 夜更かしをしがち
□ いびきをかく
【睡眠バテ・対策】
@ 朝ごはんは必ず摂る、バナナやたんぱく質でメラトニンを意識する
A 昼間に眠気や疲れがあれば、短時間(30分まで)の昼寝でやりすごす
B 一日中屋内にとどまり過ぎず、日光を浴び活動的に過ごす(熱中症に注意)
C 夏でもお風呂、眠る1時間前にぬるめのお風呂に入り体温調整とリラックス
D 寝る前の1時間は部屋を暗めに、スマホや電子機器を遠ざける
E 睡眠時無呼吸症など、睡眠の病気は治療する
残暑の時期、体調を崩すとあとあとまで回復が長引きがちです。早めの対処で元気に健康で乗り切りましょう。
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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
レタスクラブ:https://www.lettuceclub.net/
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夜型人間は腰痛リスク!?
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【体内時計と腰痛の関係】
「体内時計 vs. 腰痛」一見関係が無いようですが、なんと【夜型人間は腰痛が多い】という研究結果が出ました。見てみましょう。
藤田医科大学と名古屋大学の研究グループが日本人労働者(公務員)4,728人を調査・分析ししました。その結果、
@クロノタイプ(体内時計リズム)
朝型:38%・中間型:51%・夜型:11%
A腰痛持ちの割合(自己申告)
全体の30%
B腰痛を有する割合
朝型:28.7% ⇔ 夜型:36.2%
★夜型の人(活発に活動できる時間が夜)は朝型の人(活発に活動できる時間が朝)に比べて腰痛を有する割合が高く、そのリスクが【1.46倍高い】ということです。(調整済みオッズ比:1.46、95%信頼区間:1.16-1.83)
腰痛は最も多くの訴えがある自覚症状です。(2022年国民生活基礎調査)原因は多岐にわたり、肥満や運動不足、腰に負荷がかかる仕事、心理的ストレスなどがあげられます。そのため今回の調査では、年齢、性別、職業、残業時間、インターネット・メールの使用時間、BMI、喫煙、運動習慣、座位時間、睡眠、抑うつ症状を考慮して分析しています。
本当にクロノタイプが腰痛の発症因子になるのか、それとも夜型の生活習慣(運動不足や睡眠不足など)が腰痛を誘発するのか、現状では、まだその詳細やメカニズムは不明であり今後の研究調査結果が待たれます。
ともあれ、夜型に腰痛が多い事実はありますので、生活習慣の見直しは腰痛予防に良い方法です。特に「朝型」にも「夜型」にもなれる「中間型」の方は、なるべく朝型に移行するよう心がけてみてはいかがでしょうか。
【朝型・夜型判定】
ミュンヘンクロノタイプ質問紙
https://mctq.jp/
国立精神・神経医療研究センター
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2025.8.21 藤田医科大学プレスリリース
Association between eveningness and low back pain among public servants in Japan: a cross-sectional analysis of the Aichi Workers’ Cohort Study. European Spine Journal. 2025
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心臓年齢!?
(心血管年齢)
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【心臓年齢!?】
前回の腰痛の話に続き、今回も疾病と睡眠の関係をもうひとつ取り上げてみます。「心臓年齢」、ハーパル・ベインズ医師(ハーパル・クリニック)の報告では「心血管年齢」という言葉で、寿命に対するリスク評価として取り上げています。
【心血管年齢とは】
心血管年齢とは文字通り、心臓と血管の健康状態を「年齢」で表したものです。生活習慣病と同様に、動脈硬化、高血圧、体力低下などにより実年齢より高くなることがあります。
血管はからだのあらゆる機能を支えており、老化の兆候が最も早く表れます。ただし、その変化は自覚しにくいため、「早期の発見(早めのチェック)や対策が、長い目で見ると大きな効果をもたらす」ことになります。
心血管年齢が実年齢より高い場合、脳卒中や心臓発作のリスク、運動機能や認知機能の低下、さらに寿命の減少が予測されます。ですが、嬉しいことに正しい対処により改善が可能です。
【計測方法】
・図の内容をご確認ください。
【心血管年齢の改善】
心血管系の変化は一夜にして起こるものではありません、日々の生活習慣の積み重ねで進行します。改善についても継続したアプローチが必要になります。
改善のためには、他の生活習慣病と同様に、定期的な運動、適切な栄養摂取、質の高い睡眠、血圧管理がとても大事になります。
多くの人は6〜12カ月の継続的な取り組みで、心血管年齢を1〜10歳若返らせることは可能だと報告されています。
【改善のポイント】
レポートではかなり厳しく条件をあげていますが、ポイントは次の2点です。
・全くしないより、少しでも取り組むほうが良い
・今から始める(始めるのに遅すぎることはない)
【改善方法例】
・週に3〜5回の有酸素運動(早歩き、ウォーキング、サイクリングなど)
・週に1〜2回のレジスタンストレーニング
・十分な回復時間を確保する
・VO2 max(最大酸素摂取量)やHRV(心拍変動)が計測できる場合は数値を把握して改善を目指す
・超加工食品、添加糖、過剰なアルコールを控える
・マグネシウム、カリウム、硝酸塩が豊富な食材、ナイアシンを意識的に摂る
・オメガ3脂肪酸、 色の濃いベリー類、ポリフェノール を摂取して血管内皮をサポートする
・血圧を管理している人はしっかり水分をとる。
・効果が出るまでの間は、必要に応じて薬での血圧管理も検討する。
・45歳を過ぎたらホルモン検査を受け、可能な範囲でバランスを整える。
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Women's Health 2025/08/12(株式会社ハースト婦人画報社):https://www.womenshealthmag.com/jp/
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動脈硬化リスク
推定ツール
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【動脈硬化リスク】
前回は心臓年齢として「心血管年齢」の推測ツールをご紹介しました。今回は、それに付随して「動脈硬化リスク」の推測ツールをご紹介します。
【これりすくん】
日本動脈硬化学会が作成した動脈硬化性疾患発症予測アプリ(ウェブ利用も可)です。
血圧やHDLコレステロール、LDLコレステロールなどの入力で、次の項目が計算されます。
@10年以内の動脈硬化性疾患発症確率(%)
A同年齢・同世代との比較(何倍のリスクか)
https://www.j-athero.org/general/gl2022app/general.html
【動脈硬化性心血管疾患リスク推定ツール】
こちらは前回ご紹介した「心血管年齢」推測の元となるツールです。米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)により作成されたものです。英語表記となりますので図を参考にしてみてください。
https://tools.acc.org/ASCVD-Risk-Estimator-Plus/#!/calculate/estimate/
【評価の注意点】
・対象(年齢や条件など)にご注意ください。
・入力する数値が正確でないと、正しい結果は得られません。
・結果はあくまで「目安」であり、実際のリスクが過小評価・過大評価されることがあります。
・家族歴や生活習慣など、反映されないリスクもあります。
・結果については自己判断せず、必ず医師にご相談ください。
・治療や具体的な取り組みは、必ず医師や専門家と一緒に進めましょう。
【ツールは健康づくりの“きっかけ”】
大切なのは、結果に一喜一憂するだけではなく、生活習慣の改善につなげることです。始めるのに「遅すぎる」ということはありません。今日初めても遅くありません。バランスとのとれた食事、適度な運動、質の良い睡眠、ストレス管理が大事です。
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American College of Cardiology(米国心臓病学会)
American Heart Association(米国心臓協会)
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CBDサプリメント
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【サプリメント会社役員に何があった?】
先日、サントリーホールディングス(元)会長の解任がありました。その背景は、購入したサプリメントに違法の疑いがある(警察の捜査対象となった)というものでした。違法薬物の使用疑いへの捜査ですね。
【何が問題となった?】
問題となったのは、CBD(カンナビジオール)を含むサプリメントです。この成分は、大麻植物から抽出される成分の一つで日本では”適法”とされています。精神依存も少ないとされていることも合法の理由です。
しかし、抽出の過程でTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分が残ることがあり、この成分が基準値を上回ると”麻薬”扱いで違法となります。
以前にも、CBDグミから法定基準値を大きく上回るTHCが検出されるという事件が発生しています。
【CBDサプリメントの疑問】
CBDが含まれるサプリメントは、そのリラックス効果から睡眠を改善が期待されるとして販売されているようです。ここでポイントが3つあります。
@CBDにTHCが含まれる可能性
ACBDそのものの睡眠への影響
Bサプリメント全般の効果の限界
【CBDサプリメントの考え方】
@CBDにTHCが含まれる可能性
信頼できるメーカーの製品を選び、成分をよく確認します。持病などで常用薬がある場合は必ず医師・薬剤師に相談しましょう。
ACBDそのものの睡眠への影響
現時点で、睡眠への明確な効果を示すデータは十分ではありません。睡眠の質を改善させる可能性があるという表記、質問集計で眠りが良くなったという報告が多いようです。
Bサプリメント全般の効果の限界
サプリメントは医薬品と異なり、その効果や安全性が厳密に保証されているわけではありません。特に脳や局所成分に対する表記は注意が必要です。
【結論】
CBDに限らず、サプリメント全般は自己責任での使用となります。成分をしっかりと確認し、常に体調を確認してください。妊娠・授乳中の人や子どもは摂取しないようにしましょう。
まずは、生活習慣や睡眠衛生の見直しから始めてみましょう。
【サプリメント使用のポイント】
・服用前に医師に相談すること(特に常用薬がある場合)
・用法・容量を守ること(過剰摂取を避ける)
・長期にわたり使用する場合は定期的な健康確認を行う
・成分表示を確認する(添加物も)
・信頼性のあるメーカーや製品を選ぶ(外国製品は注意)
・健康食品に頼らず、毎日の食事をバランスよく
2024/9/3_【快眠の秘訣】〜10 健康食品・サプリメント1〜
2024/9/6_【快眠の秘訣】〜10 健康食品・サプリメント2〜
2024/9/10_【快眠の秘訣】〜10 健康食品・サプリメント3〜
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【注釈】※大麻成分のTHCとサプリメント成分のCBDは別物です。
大麻の基本的な知識と大麻由来製品の注意点について(抜粋)
神奈川県衛生研究所 https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/index.html
大麻取締法第1条では、「大麻」は「大麻草及びその製品をいう」と定義。大麻草の主なカンナビノイドとしてΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)やカンナビジオール(CBD)が知られています。
大麻を繰り返し使用することで精神依存や身体依存を形成することが示唆されており、特に成長期にある若者の脳に対して影響が大きいことも判明しています。これらの有害作用は主にTHCによるものとされています。
THCと異なり、CBDは精神作用を示さないとされています。また、CBDは、詳細な作用機序は明らかになっていませんが、海外では医薬品として、難治性てんかんや結節性硬化症患者に施用されています。
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「睡眠障害科」の
標榜について
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【睡眠障害科について】
ホカホカの話題です。先般、9月4日に第6回医道審議会医道分科会診療科名標榜部会(長い!(笑))が開催され「睡眠障害」の標榜について検討がなされました。睡眠のトラブルが増えている昨今、「睡眠障害」の標榜は必要な診療提供のために不可欠とも言えます。
さて、その「標榜」って何?って話ですよね。実は医療法では、医療機関(病院やクリニックなど)は決められた「診療科名」しか看板を上げる(ホームページで公開含む)ことができません。患者さんが自分の症状や病気に合った医療機関を適切に選べるように、また勝手な科名を上げて診療を混乱させたり不確実な医療を防止することが目的です。
今回のポイントは、この標榜科名に「睡眠障害」を加えることです。「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」「睡眠障害小児科」「睡眠障害呼吸器内科」「睡眠障害耳鼻咽喉科」のような現状の標榜診療科名との組み合わせによる表記です。「睡眠科」や「睡眠障害科」のような科名単独表示ではありません。
このような表記により、睡眠に悩む患者さんが「眠れない私の受診科は何?」、「いびきがあって昼間に眠たい私はどこを受診?内科?耳鼻科?」、「子どもが夜更かしばかりで朝に起きられないのはどこに相談したらいいの?」などと迷わずにすむようになります。「睡眠障害」の表記により、眠りの病気の早期発見や適切な治療を受けやすくなります。どうでしょう!「睡眠障害」の科名への複合表示、良くないですか?
現在、厚生労働省の部会で検討されており、今後、パブリックコメントなどの募集を経て来年には政令・省令の改正手続きにより改定される可能性があります。
ぜひ皆さんも、「睡眠障害」の科名標榜に関心を持ってもらえればと思います。
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標榜診療科名についての要望(厚生労働省)
一般社団法人 日本睡眠学会理事長内村直尚2025年4月30日
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「社会的時差ボケ」と
睡眠満足度
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【社会的時差ボケ】
「時差ボケ」という言葉を聞いたことはあるかと思います。飛行機でアメリカやヨーロッパなど遠くに移動すると、現地時間と自分の時間がずれて、強い眠気や体調不調を感じることがあるアレですね。
実は飛行機に乗らなくても、同じように「時差ボケ」になることがあります。それが「社会的時差ボケ」です。平日と休日の睡眠時間帯が大きく違うと、休み明けがしんどくてたまらない、眠い、起きられない、ボーっとするなどを生じることがあります。これが、「社会の時間」と「自分の時間(体内時計)」が合っていない「時差ボケ」です。
先日、寝具メーカー西川の研究機関「日本睡眠科学研究所」が「睡眠白書2025」を出しました。こちらから興味深い話題を取り上げてみます。
【睡眠の満足度】
「社会的時差ボケ」は、平日と休日の睡眠の中央時刻を比較し、この差を「時差ボケ」時間として評価します。この差が大きいほど「時差ボケ」が強いとされます。
この差が生じる要因として、平日の睡眠不足や休日の遅寝や遅起きがあげられます。調査によると、睡眠自体に満足していない、睡眠の長さや質に満足していない、そのような人ほどこの「時差ボケ」時間が大きくなっています。すなわち、睡眠に満足していない人は、平日の睡眠時間が足りていない、睡眠不足、睡眠負債を抱えているということになります。
【睡眠不足】
このことを、適正な睡眠時間が取れていない割合でみると顕著で、中学生・高校生は平日では80%以上の方が適正時間に達していない。という状況、すなわち睡眠不足であり、このことがこの年代の時差ボケ時間が大きい理由となります。平日の睡眠不足が、睡眠の満足度を下げているということです。このことは大人にも同様に当てはまります。
【満足度を高めるためには】
このように、平日と休日の睡眠時間の差は、あまり拡大しない方が望ましいということになります。平日の睡眠不足を休日に補うのは、必ずしも間違いではありません。ただし、補う場合は、「遅起き」ではなく「早寝」で睡眠時間を確保するようにしてみてください。そのことが体内時計を狂わさず、「社会的時差ボケ」を生じにくく、睡眠の質向上につながります。
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nishikawa睡眠白書2025〜日本人の睡眠調査〜
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疲労の原因
(身体、神経、心)
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【疲労について】
睡眠と疲労については、切っても切れない関係です。眠ると疲労がすっきり!このことは皆様も良くご存じで、経験もされていることかと思います。
今回より2回、睡眠と疲労について取り上げます。今回はまず「疲労の原因」について整理してみましょう。
【疲労の種類】
@身体の疲労
A神経の疲労
B心の疲労(ストレス)
どれも「疲れた〜」と感じる原因ですね。
【身体の疲労】
(原因)
身体の酷使、酷使までとはいかなくとも、いわゆる筋肉疲労・肉体疲労の状態です。
【神経の疲労】
(原因)
自律神経の乱れが原因となります。気温や湿度、気圧などの気象によるもの、脳を興奮させる動画の視聴のほか、夜更かしなど生活習慣の乱れも要因です。
【心の疲労】
(原因)
神経の疲労とよく似ていますが、要因がより複雑に絡み合っています。対人関係・人間関係のストレス(仕事、家庭、社会など)が思い浮かびますが、これには、人に会って生じるストレスのほかに、人に会わないことによるストレスもありますので注意が必要です。
その他にも、自分自身に対するプレッシャー、自己肯定感の低下、解決できない悩みなども心の疲労の原因となります。こころの病の引き金になることも多々あるようです。
質の良い睡眠は疲労回復と同時に気持ちも前向きにしてくれます。ぐっすり眠った翌朝、目覚めの爽快感は何物にも代えがたいものではないでしょうか。質の良い眠りをもたらす「睡眠の14か条」も試してみましょう。
次回はいよいよこの3つに対する「疲労対策」をみていきます。
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女性セブンプラス(https://j7p.jp/)
女性セブン2025年9月18日号
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疲労対策
(良い疲労)
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【疲労について】
睡眠と疲労、前回は「疲労の原因」を3つに分けてご紹介しました。今回はそれぞれの「疲労対策」のポイントをみていきます。
【疲労の種類】
@身体の疲労(肉体疲労・筋肉疲労)
A神経の疲労(自律神経の乱れ)
B心の疲労(心理的ストレス)
【身体の疲労対策】
・十分な休養と、身体を休めること
・適度に運動やストレッチ(血流の促進)
・バランスと質の良い食事(禁:食べすぎ・飲み過ぎ)
・質の良い睡眠には身体の修復作用(寝酒禁止)
【神経の疲労対策】
・リラックスして副交感神経を優位に
好きな香り、漸進的筋弛緩法、ストレッチ、4-7-8(3-4-5)呼吸などゆったりした腹式呼吸、軽い運動、夏場前には暑熱順化 など
・規則正しい生活習慣を心がける
質の良い眠り、一定の時間に目覚め朝は太陽の光を浴びる、夜は部屋を暗めに、早めにスマホやパソコンから離れる、寝床スマホは厳禁、軽い運動習慣
【心の疲労対策】
・対人関係のストレスを和らげる
自然やペットと触れ合う、興味のあることに打ち込む
・人に会えないストレスや自己肯定感の低下に対して
友人と会って話を聞いてもらう、楽しい気持ちが心の薬
・運動をする
軽い疲労は質の良い睡眠をもたらし気持ちもリフレッシュ
・趣味に没入してみる
時間や疲れを忘れさせる、気分転換にも
・非日常体験をする
旅行や新しいことへの挑戦は気持ちの切り替え脳を活性化
【まとめ】
疲労は、必ずしもマイナスではありません。これを引き金にプラスに作用する面もあります。
・ネガティブ例:疲れたー。もう嫌だ。
・ポジティブ例:疲れたー。でも楽しかった、明日からまた頑張ろう!
と思えるような、充実感を伴う疲労は「良い疲労」ではないでしょうか。
身体が疲れていて一日ずっとゴロゴロして身体を休めることも必要かもしれません。それ以外にも、一日の満足感を得るお休みも大事だということです。
これらを組み合わせて、上手に疲労と付き合い、疲労を軽減しましょう。楽しいことを考える。楽しいことを経験する、楽しい気持ちで過ごすこと、心が満たされることが大切です。
そして何より、質の良い睡眠は疲労回復と同時に気持ちも前向きにしてくれます。質の良い眠りをもたらす「睡眠の14か条」も試してみましょう。
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女性セブンプラス(https://j7p.jp/)
女性セブン2025年9月18日号
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睡眠と眼の病気
緑内障
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【こんなことが…睡眠と目の病気】
睡眠不足や不眠症、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠の不調が、目の病気と関連しているとの報告を見つけました。
これまでも、睡眠時無呼吸症候群と高血圧、特に夜間高血圧と深く関係することが知られています。交感神経の活性化や生活習慣などが原因としてあげられます。
一方で、目の病気、特に緑内障についても、睡眠と関係が深いことが報告されています。緑内障は、種々の原因により、眼圧が上がり視神経を傷つけてしまうことで視野が狭くなったり視力が低下します。症状を自覚しにくいまま7割から8割が慢性的に進行すると言われています。最悪は失明に至る可能性もある怖い目の病気です。
2022年の調査・研究では、不眠症のある方は緑内障のリスクが1.3倍に、睡眠時無呼吸症候群の方では1.43倍の高いリスクになると述べられています。かなりのリスクですね。
ただし、緑内障の主原因は加齢であり、その発症機序には多くの要因があることから、眼科的および全身的な要因の両方が関与していると考えられます。この全身的な要因のひとつとして、睡眠あるいは生活習慣も影響していると考えられます。
言い換えると、「質の良い睡眠をとることが、目の健康を守ることにつながる」可能性があるということです。良い眠り、大切です。
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MASAHIRO AKADA1 et.al. Sleep Disturbance as a Risk Factor for Retinal Neurodegeneration and Subsequent Glaucoma. American Journal of Ophthalmology(2022)
日本眼科学会. 緑内障診療ガイドライン(第 5 版)
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睡眠と眼の病気
ドライアイ
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【睡眠とドライアイ】
前回、睡眠が目の疾患・緑内障に悪影響であることを紹介しましたが、これに関して追加です。なんと、ドライアイの方は睡眠の質が良くないことが報告されています。
文献21件、419,218名のデータを解析した結果、ドライアイ群は「主観的な睡眠の質」「寝つくまでの時間」「中途覚醒」に影響していました。
一方でドライアイ群は「睡眠時間」「睡眠効率」「日中機能障害」「睡眠薬使用」については差がなかったとのことです。
【結果】
ドライアイを有する場合、そうでない方に比べて
・睡眠障害を有するリスクが2.20倍も高かった。
・睡眠不足のリスクは 3.76倍も高かった。
・日中の眠気の有病率は5.53倍も高かった。
・眠気の程度(強さ)も3.02倍も高かった。
【ポイント】
ドライアイ患者は、睡眠の質、入眠潜時(寝付き)、およびPSQIにおける睡眠の不調において健常者よりも高いスコアを示しました。すなわち、不健康な睡眠のリスクが高い傾向であるということです。
【その原因】
種々の要因がありますがドライアイの方は、眼表面の不快感、炎症、痛み、ストレスなどが睡眠を妨げる恐れがあります。
また逆方向に、睡眠不足がドライアイを助長させる可能性もあるとされています。
【ドライアイ防止対策】
生活習慣と環境を整えることが大事です。
・意識的なまばたき
・加湿器の使用
・パソコン作業時の休憩
・エアコンの風向き調整
・バランスの良い食事
・適切な水分補給
・女性はまつ毛の内側のアイメイクを避ける
【目を休めること】
米国眼科学会議は「20-20-20 ルール」を推奨しています。
・20分連続してデジタル端末画面の視聴したら
・20フィート(約 6m)離れたところを
・20秒見る。
眼をしっかりと休めることも、良い睡眠に必要なことですね。
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Yixuan Gu et. al. Association between sleep quality and dry eye disease: a literature review and meta-analysis. BMC Ophthalmology (2024)
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睡眠のクセ
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【眠りのクセ!?】
ご自身の睡眠に「クセ(癖)」はありますか?「無くて七癖」とも言いますので、気付かずとも何かしらありそうですね。
よくお聞きすることを箇条書きにしてみました。いかがでしょう。少々項目が多いですが、どれどれ該当するか見ていってみてください。
【こんなことしてるかも】
□ 睡眠時間は7時間未満または9時間は寝ている
□ 起きてもカーテンを開けていない
□ 朝ごはんは抜くことが多い
□ 起きる時間や寝る時間がバラバラ
□ 休みの日はお昼ごろまで寝ている
□ 昼もあまり日光を浴びない
□ 30分以上の昼寝または何度も昼寝をする
□ 夕食の時間が遅い、夜食を食べることが多い
□ 夕食後はテレビを見ながらついウトウト
□ 夕食後もコーヒーを飲んじゃう
□ お風呂はシャワーですますことが多い
□ または、熱ーいお風呂が大好き
□ 寝る前のナイトキャップ(お酒)が楽しみ
□ テレビやスマホを見ながら寝落ち
□ 眠たくなくても早い時間に寝床に入る
□ まくらや寝具が合わず寝苦しい、身体が痛い
□ ペットと一緒に寝ている
□ 寝床に入ってからいろいろと考え事
□ 8時間は絶対寝ないダメと思っている
□ 寝床に入って今日も眠れないのかもと考える
□ 寝てからトイレに起きて、それから眠れない
□ いびき、息が止まっているみたい
これらは「良い睡眠」を妨げる「眠りのクセ」を並べてみました。良い睡眠のためにしてはいけないことですね。
今はいくつ当てはまっても大丈夫です、どれが自分のクセがわかればしめたもの。良い眠りを得るにはその該当項目を止めるか控えれば良いのですから。
「何すればよいか」も大事ですが、「何を止めると良いか」に気づくことも、「良い眠り」への第一歩です。
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快眠のために
(環境とリズム)
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しばらく諸事情により更新が滞っており申し訳ありませんでした。本日より再開します!
これからも毎週火曜・金曜に更新をしてまいります。ぜひお楽しみにお待ちください。
詳細な内容は下記ホームページから確認できます。SNSへのフォローもよろしくお願いいたします。
【健康の窓・SNS】
ホームページ:http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/mado.html
Instagram:https://www.instagram.com/kenkounomado
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=61557509202030
X:https://x.com/kenkounomado/
【快眠のために】
快眠のために必要なことは大きく分けて2つです。それは「環境を整える」ことと「体内リズムを整える」ことです。
1)環境を整える
質の良い眠りのための第一歩は、環境づくりです。
まぶしいときにはアイマスクをするように、明るいと寝付けません。また家の近所の騒音・工事の音、これも眠れません。夏場に熱帯夜、暑苦しくて眠れないことも経験があると思います。
加齢により、ちょっとした物音や軽い尿意でも目が覚めやすくなる(覚醒閾値が下がる)ことも、中途覚醒が増える一因となります。
環境を整えるポイントは「暗く静かでほど良い温度」です。
眠りづらい、眠りが浅い、ぐっすり寝た気がしないなどのときは、まず寝室環境を確認してみてください。
2)体内リズムを整える
眠れる環境ができれば、次は眠れるからだづくりです。眠りは体内時計(概日リズム)によりコントロールされています。この体内リズムを整えるため、生活習慣、行動パターンなど、日常の生活の見直してみます。
眠ってしまうと、ぐっすり眠ろう、深く眠ろう、朝まで目を覚まさず眠ろうなどを実践することは不可能です。なぜって?それは「起きているときの行動」が「眠りを左右する原因」だからです。
たとえば、夜に寝床でスマホを見るのは起きているときですね、寝てしまうとスマホは見れません。このように、起きているときの行動が眠りを左右しています。
質の良い眠りは、起きているときの行動で決まります。起きているときの生活習慣で、体内時計を整えるようにしてみましょう。
詳細はこれからも提示してゆきますし、ホームページにもそれぞれを個別に取り上げています。ぜひご参考になさって、質の良い睡眠を手に入れましょう。
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早く目が覚める
(早朝覚醒)
対処法
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【不眠症の分類】
不眠症(精神生理性・原発性不眠症)は、主に次の4つに分類されます。
@入眠困難(寝付きが悪い)
A中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
B早朝覚醒(予定より早く目が覚めて再入眠できない)
C熟眠困難(ぐっすり眠った感じが得られない)
今回はお悩み多いB早朝覚醒を取り上げてみます。
【早朝覚醒とは】
自分の望む起床時刻まで眠れず、それから寝付けないというものです。男性では50歳代から始まり、およそ5〜10%程度の方みられるとの報告があります。
【早朝覚醒の主な原因】
@体内リズムの狂い
一日の生活の中で睡眠時間全体が前倒しになり、早く眠たくなり床に就き、その影響で早く目が覚めてしまうというものです。
A眠りが浅い(環境要因・寝室環境)
明るさ、音、温度などが原因となります。
B眠りが浅い(行動要因・寝るまでの過ごし方)
日中に活動的でない、寝る前に光を浴びたり脳の興奮(自律神経の亢進)をもたらす行動、お酒やコーヒーの影響などがあります。
C眠りのもとのムダ使い
長い昼寝、夕食後にウトウトうたた寝など、必要な眠りのもとをムダ使いして、睡眠を続けることが難しくなります。
【早朝覚醒への対処法】
@体内リズムの調整
就床時刻を、自分の起きたい時刻から必要な睡眠時間を引いて逆算し、その時刻まで眠らないようにする。夕方に少し強めの光を浴びる。
A寝室環境の整備
暗く静かでほど良い温度を目指します。
B睡眠衛生の改善
日中は身体を動かすこと、寝床でスマホやゲームはしない、寝る前は部屋の灯りは暗めでリラックスして過ごす。夕食後のコーヒーや寝酒は避ける。
C眠りのもとを大事に
昼寝は15時までに30分まで、夕食後のうたた寝禁止。
※注意点は、上記@とBでは元々の原因が異なるため、光の扱いが変わってきます。実施の際は、医療機関や睡眠の専門家のアドバイスを受けてください。
【ポイントはほどほど】
朝早く起きて困る困ると深く考えないことも、一つの考え方です。早く目が覚めても、前日は早く就床して睡眠時間が十分であり、日中の活動に支障が無ければ、「それはそれで問題なし」と考えることも必要です。
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睡眠障害の対応と治療ガイドライン(第3版):じほう社
「過眠症上の評価を行う際に必要となる睡眠保健(衛生)指導のポイント」安立浩祥(大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センター)第6回日本睡眠検査学会学術集会教育講演
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貝原益軒
「養生訓」
寝る前の考え事
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【昔も今も】
貝原益軒(1630〜1714)をご存じでしょうか。江戸時代の儒学者・本草学者で、日本の健康観に大きな影響を与えた人物です。
代表作「養生訓」では、節制・適度な運動・心の平穏など、現代にも通じる生活習慣の知恵が語られています。
【養生訓】
貝原益軒「養生訓」巻第二「養心篇」には、次のような一節があります。
「寐る時ハ心ニ事ヲ思ひめぐらさず、但よく寐るべし。寐ル時ニ物ヲ思ひめぐらスハ、心ヲ勞し、よく寐られず、夢多クして、心神安カラズ。」
現代訳にすると、
「眠るときにはあれこれ考え事はせず、静かに休むことが大切だ。寝る前にいろいろ考え事をすると、心が疲れてしまいぐっすり眠れなくなる。その結果、夢が多くなり、心も精神も安らかでなくなる。」
何と、江戸の頃から、悩み事考え事で眠れなくなることがあったのですね。時代は変われど、人は変わらずでしょうか。
【考え事対策】
寝る前の考え事をやめるにはどうするか。こんなことを試してみてはいかがでしょう。
@寝床に入る前にリラックスする。
寝る前は脳が興奮するような動画の視聴などは控え、ゆったりと過ごします。漸進的筋弛緩法や簡単なストレッチも効果的です。
Aマインドフルネスと心の整理を行う。
短い瞑想、三行日記やポジティブ日記で心を落ち着けます。深呼吸をするだけでも効果があります。
Bあえて寝床で考え事をする。
何も考えまいとすると何か考えてしまいます。あえて考え事をしてはいかがでしょう。他のことを考えなくてすみます。
例えば、羊が柵を跳び越える様子を少し細かく思い浮かべる、ゆったり呼吸で呼吸数を数える、しりとりをする、自分の身体の一部(手や足)を思い出す、身体の輪郭をイメージでなぞるなどです。
考え事を特にしない方でも大丈夫です。昔の知恵をヒントに、今日の眠りを少し整えてみませんか。ぜひお試しになさってください。
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2024/8/23【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
2024/8/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜
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インフルエンザの
感染リスク
予防には良い睡眠を
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前々回、前回と感染予防についてお話しました。今回は最新の研究から、インフルエンザ感染予防で気をつけたいことをお伝えします。
【インフルエンザにかかりやすい人】
最新の研究として、インフルエンザにかかりやすい人には次の5つの特徴があることが示されました。
・高血糖
・肺炎(既往/合併症)
・多忙・睡眠不足
・栄養失調
・アレルギー
すなわち、糖尿病(予備群含む)、肺炎(既往や合併)、ストレス、睡眠不足、偏った食事、アレルギーということでしょうか。
【インフルエンザとは】
現在、岡山県ではインフルエンザ警報が発令されています。インフルエンザはA型およびB型のインフルエンザウイルスが原因の呼吸器感染症です。発熱、のどの痛み、鼻水、咳、頭痛、筋肉痛、倦怠感といった症状を示し、重症化すると命にかかわる肺炎を引き起こすこともあります。世界中で毎年10億人が感染し、29万〜64万の方が亡くなっていると推定されています。小児では異常行動も報告されており、注意が必要です。
【インフルエンザ感染要因】
インフルエンザウイルスは、温度や湿度の低い環境で長く生存し、人が集まる(密集する)ところや、学校や公共交通機関などの密閉された空間での人々の頻繁な接触がインフルエンザの蔓延を助長します。
今回はそれらの環境因子に加えて、個人的な背景因子がインフルエンザ感染に影響すること(インフルエンザにかかりやすいこと)を報告しています。それが前述の「高血糖」「肺炎」「多忙・睡眠不足」「栄養失調」「アレルギー」です。
【調査方法】
弘前大学の「いわき健康増進プロジェクト(IHPP)」の健康診断データから1,062名(平均年齢52.7±15.3歳、 男性41%/女性59%)のデータを用いています。インフルエンザにかかった群とそうでない群のそれぞれのデータを比較し、関連する主要因子をクラスター(塊り)分けしネットワーク(つながり)分析を行っています。
【まとめ】
もちろん、これ以外にも種々の要因はあります。ただし、この5項目がインフルエンザ感染のリスクを高めるに大きな要因となっていることは、特に注意をしたいポイントです。
日頃から、バランスの良い食事、しっかり睡眠など、できることは励行することが大事です。心と体の体調管理に留意すること、持病は適切に治療や管理をしておくことも大事ですね。
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Network analysis reveals causal relationships among individual background risk factors leading to influenza susceptibility. Akihide Terada, et al. Scientific Reports volume 15 (2025)
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師走・年末年始の
体重管理
”栄養バランスコマ”
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【師走・年末年始の体重管理】
気になりませんか?この時期から年末年始にかけての体重…。メタボリックシンドロームに代表されるように、適正以上の体重は疾病のリスクを高めます。
これからの時期、気になる方はちょっと考えておいても良いかもしれません。そこで今回は、正しい栄養の摂り方を見てみます。
【栄養バランスコマ】
図は必要な食事内容をコマに見立ててまとめたもので、農林水産省のホームページで公開されています。このコマがヒトの食事バランス・健康バランスと考えてください。コマに書かれている食事のバランスが崩れると、コマが倒れてしまいます。すわなち健康が崩れるということですね。
【内容】
水分を中心に、運動することによりこのコマを回します。コマに書かれている@主食、A副菜、B主菜、C牛乳・乳製品、D果物で、これらの必要数をバランスよく摂るためには、どのように摂れば良いかをわかりやすく示しています。
例えば働き盛りの男性であれば、@主食を6単位、A副菜を6単位、B主菜も4単位、C牛乳乳製品2単位、果物2単位といった目安となります。(それぞれ摂取量には幅があります)
【体重管理】
体重の増減は病気が無ければ単純で、「食べた量(摂取カロリー)」ー「運動した量(消費カロリー)」で決まります。食べた量が運動量より多ければ体重が増えるのは当たり前ですよね。ところがこれがなかなか難しい。なぜなら、摂取するのは簡単ですが、消費するのはかなりの時間と労力がかかるからです。
これは経験をされた方や実感された方もおられるでしょう、皆さんご存じのことと思います。私ものその一人です。「わかっちゃいるけどできない」というところが難しいところです。
【体重を減らすコツ】
この先は私見になりますが、「体重管理で意識するポイント」を一覧にまとめてみました。ただし、自己責任でお願いします。体調にはくれぐれもご注意ください。
栄養バランスは、例えば40歳では次の量を目安として調整してください。他にもビタミンやミネラルにも注意が必要です。
たんぱく質:13〜20%、脂質:20〜30%、糖質:50〜65%
【体重管理で意識するポイント】
@ 良く眠る
A 水はこまめに飲む
B ご飯、パン、麺は控えめ(極端はダメ)
C 肉や魚、大豆はしっかり食べる
D 野菜を多めに食べる
E きのこや海藻を使う
F 味付けは砂糖や油の量を意識する
G 食べる順は糖質は後回し
H よく噛んでゆっくり食べる
I 空腹のときドカ食いをしない
J 朝はしっかり、夜は少なめにする
K 夜遅い時間の食事は避ける
L お酒を飲む日は量を決める
M 日常生活の中での運動量を増やす
(ちょこちょこ動くようにする)
いかがでしょうか。意識するポイントの@に「よく眠る」を最初に持ってきました。次回は「なぜ眠らないと太るのか?」を考えてみます。
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農林水産省. 実践食育ナビ「早わかり!食事バランスガイド」
厚生労働省. 日本人の食事摂取基準(2020 年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
健康予防管理専門士試験 公式テキスト
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師走・年末年始の
体重管理
眠らないと太るしくみ
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【眠らないと太る!】
前回は、師走や年末年始の体重管理、肥満予防を取り上げました。その中で、体重管理で意識するポイントととして「良く眠る」があったのに気が付かれましたでしょうか。
実は!睡眠不足は肥満につながります。体重管理やダイエットの大敵なんですね。
【眠らないと太る理由】
夜更かしをするとなんだかお腹が空く、ラーメンやスナック菓子が食べたくなる、そんな経験はありませんか?実はそれは論文にもなった確かな裏付けがあって…
@起きている時間が長い=つまみ食いが増える
長く起きていると食べ物に接する機会も増えますし、空腹を感じることも増えてしまいます。
Aホルモンの乱れが食欲の暴走をもらたす
睡眠不足になると、食欲を増すグレリンというホルモンが増え、食欲を抑えるレプチンというホルモンが減るようになります。
B疲れて動けず消費カロリーが落ちる
睡眠不足で疲労感が増し、運動量・活動量が減ってしまいます。このため相対的にカロリー過多に陥りやすく、場合によっては疲れているので栄養をつけなきゃと食べ過ぎる場合もあるでしょう。
C脳のコントロール低下でジャンクを欲す
睡眠不足は脳の食欲のコントロールを低下させ、それによりカロリーが高く、炭水化物の割合の高い食事を食べたくなります。
このような理由で、睡眠不足は体重の増加(肥満)につながります。睡眠不足、怖い、怖い!
【ちょっとコラム】
新しい睡眠薬(オレキシン受容体拮抗薬)では、脳の覚醒に関与するオレキシンを抑えることにより、睡眠状態へ移行させます。もともとこのオレキシンは食欲について研究しているときに見つかった経緯もあります。
お腹が空く→オレキシンが増える→覚醒する
起きている→オレキシンが増える→お腹がすく
という関係で、起きている時間が長い(睡眠不足)とお腹が空き、ものを食べることが多くなるのですね。
【体重管理の秘訣はしっかり寝ること】
師走のこの時期、そして年末年始が控えています。しっかり良い睡眠をとり、風邪やインフルエンザにも負けず、体重もしっかり管理していきましょう。
寝室は「暗くて静かでほど良い温度」、そして「快眠の14か条」励行して、生活の質を上げてみましょう。
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Mami Takahashi, et al. Relationship Between Sleep and Obesity: A Cross-sectional and Longitudinal Observational Study of Healthy Adults in Japan. Ningen Dock International (2023)
Francesco P. Cappuccio, et al. Meta-Analysis of Short Sleep Duration and Obesity in Children and Adults Available for Purchase Get access Arrow. Sleep (2008)
Stephanie M. Greer, et al. The impact of sleep deprivation on food desire in the human brain. Nature Communications (2013)
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睡眠不足で
空気が読めない
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【睡眠不足で空気が読めない!?】
こんな実験があります。70通りの顔写真(友好的〜敵意のある表情など)を見せて、その顔をどう感じるかを分類してもらいました。
被験者は「睡眠を十分に取った状態」と「24時間起き続けた状態」です。その結果…
【その結果】
睡眠不足の状態では、「友好的な顔」と「敵意ある顔」とを区別する能力が低下しました。つまり、他人の表情や感情を“正確に読み取る”力が鈍っていたのです。
【A/感情判定】
A図は同じ70通りの写真を見せた際に、SR(十分睡眠)とSD(睡眠不足)のそれぞれで、写真の顔に「敵意」があるか「友好的」かを判定した割合です。
十分な睡眠では78%の顔を「友好的(悪意が無い)」としましたが、同じ顔を見ているにもかかわらず睡眠不足では70%の顔しか「友好的(悪意が無い)」と判定できませんでした。
言い換えると!十分な睡眠では70人の顔のうち22%/15人を「悪意がある(危ないヤツ)」と判断し、睡眠不足では同じ70人のうち30%/21人も「悪意がある(危ないヤツ)」と判断しました。
同じ顔にも関わらず、睡眠不足では6人も多く同じ顔でも「悪意がある(危ないヤツ)」を判断したことになります。睡眠不足では「悪意のない顔」も「悪意がある」として受け止めたのですね。普通の顔をしていても、危ないヤツ!と感じやすくなったということです。怖い!
【B/判断の正確さ】
B図でこの「友好的(悪意が無い)」顔を判断した数と「悪意がある(危ないヤツ)」顔と判断した数の差を見ています。SR(十分睡眠)とSD(睡眠不足)では十分な睡眠の方がよりはっきりと友好的⇔悪意を区別していますが、睡眠不足では差が小さくなっており、友好的なのか悪意なのか区別できにくくなっていることになります。表情が読めなくなっているんですね!
【睡眠不足の恐ろしさ】
睡眠不足になると、
・表情を正確に読み取れなくなる
・感情が汲み取れなくなる
・普通の顔を悪意があると判断しやすくなる
すなわち
・空気が読めなくなる
・相手の気持ちが理解できなくなる
・他人に敵意を感じやすくなる
【解決策】
十分な睡眠は、人間関係のトラブルも防いでくれます。穏やかな気持ちで過ごすには、良い睡眠をしっかりとりましょう。
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Andrea N. Goldstein-Piekarski, et al. Sleep Deprivation Impairs the Human Central and Peripheral Nervous System Discrimination of Social Threat. Journal of Neuroscience (2015)
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睡眠不足で
キレやすくなる
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【睡眠不足でキレる!】
前回は睡眠不足で空気が読めなくなることを示しました。今回は、睡眠不足だとキレやすくなる!という調査結果をご紹介します。
【睡眠不足で攻撃的に】
睡眠と攻撃性について書かれた過去の論文を横断的に収集(82件・76,761人)し、今回の条件にマッチした質の高い3本の論文が抽出されました。
図中の1.00より右側に●や◆があると、攻撃性が強くなると解釈されます。Vaughn(2015)は幅が広く左端が1.00にかかっており非有意だが方向性は一致しています。Gregory(2008)と Yeo(2019)は有意に1.00より右にプロットがありますので、「睡眠不足は攻撃的になる」と結論付けることができます。
全体を取りまとめても、「睡眠不足であるとおよそ1.8倍キレやすくなる」と解釈できます。
【マウスの実験でも】
マウスを使った実験でも(図は示していませんが)反復的な睡眠剥奪(寝させない)により、攻撃的行動(縄張り攻撃・防御的攻撃)が増加したという報告があります。また、他にも、幼少期(離乳後)の断続的な睡眠剥奪が、成体期(大人)になってから攻撃行動の増加、記憶機能(長期記憶)が損なわれたなどの報告もあります。
【まとめ】
睡眠不足だとイライラすることは経験された方もおられるかと思います。科学的にも睡眠不足だとキレやすいことがわかりました。これは、人間関係の不和や対人トラブルを引き起こし、職場や家庭など社会的不適合につながる可能性があります。場合によっては、将来的な収入の減少を伴う場合もあるかもしれません。
楽しいコミュニケーション、良い子育てのため、しっかり眠って穏やかな気持ちで過ごしましょう。
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Van Veen, M. M., et al. Observational and Experimental Studies on Sleep Duration and Aggression: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sleep Medicine Reviews. 2022
Benedetti F, et al. Behavioural sensitization to repeated sleep deprivation in a mice model. Behav Brain Res. 2008
Wang X, et al. Postweaning intermittent sleep deprivation enhances defensive attack in adult female mice. Brain Behav Immun Health. 2023
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冬場の快眠
冷え・日照時間・運動不足
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【冬場の快眠ポイント】
実は!冬場は夏場よりも睡眠時間は長くなる傾向があります。これは、冬場は夏場より夜が長い、暑さの寝苦しさが無いなどによります。どうですか?実感はありますか?
ところが、冬場は睡眠時間は長くなる傾向があるものの、実は睡眠の質が下がりがちです。その原因は、
「冷え・日照時間・運動不足」
です。では、その理由と解決方法を見てみましょう。
1.体内時計を整える
@朝に太陽の光をしっかり浴びる
太陽の光で体内時計をリセット(曇り空OK)
A就寝・起床時刻を一定に
同じリズムで就寝・起床、休日の遅起きは控える
B長い昼寝・複数回の昼寝、うたた寝は控える
昼寝は15時までに30分未満。長いと夜が眠れない
C夜の強い光を控える
脳に夜を知らせましょう。夕食後はリビングも暗めに
D忘年会に気を付ける
アルコールで眠りの質が低下、飲み会で一日のリズムが崩れる
2.上手な体温管理
@入浴を活用
眠る60〜90分前、ぬるめのお風呂で体温を上げる
A運動する
適度な運動は良い眠りに効果的(眠る直前の激しい運動はNG)
3.メラトニン(眠りのホルモン)を増やす
@朝食は抜かずしっかりと
たんぱく質(トリプトファン)を摂りましょう
例:納豆・豆腐・牛乳・ヨーグルト・卵・魚・バナナなど
A日中は活動的に
トリプトファンがセロトニンに、そしてメラトニンに変化
4.環境を整えます
@寝室の温度・湿度
・室温は20℃前後、湿度は40〜60%程度を目安に
・布団は事前に温めておくと心地よい
・乾燥に注意(鼻の乾燥は眠りが浅くなる)
・寝具は吸湿性の良いもの(発熱素材は体を締め付けないもの)
A厚手のカーテン
窓からの冷気を防ぎます、朝は必ず開けましょう。
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Hannah Scott et al. Variations in sleep duration and timing: weekday and seasonal variations in sleep are common in an analysis of 73 million nights from an objective sleep tracker. Sleep (2025)
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快眠の第一歩
朝はカーテンを開ける
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【特集】年末年始の快眠
休み明けからシャキッと動ける眠り方を見てみます。年末年始は(長いお休みでは)生活リズム・睡眠リズムが乱れやすくなります。その解決は…
【本当に乱れていた!】年末年始の遅寝遅起き
年末年始(12月28日〜1月5日)の就床時刻は、年間平均(2024年分)と比べて約40分後ろ(遅く)にずれていたことが明らかになりました。実際には、就床時刻(寝る時刻)と起床時刻(起きる時刻)のそれぞれが、後へ(遅く)移動していたということです。すなわち「遅寝遅起き」になっていたということです。
【一番遅い!】大晦日の入眠時刻
これも言われてみれば納得、思い当たります。大みそかの寝る時刻は一年間で一番遅くなっていたとのことです。2024年大晦日(12月31日) の平均入眠時刻は 0時08分でした。
【辛い!】休み明けの出勤・登校
問題は休み明け。いつもの起床就寝時刻が遅くなって(後にずれて)しまうと、休み明けの当日はなかなか起きられません。起きてもぼーとしていたり、頭が回らなくなったりします。
これは、休日明けの朝起きる時刻が、休日の睡眠時間帯のまん中近く(熟睡中)にもかかわらず、その時刻に起きなければならないからです。「社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)」とよばれ、月曜日のゆううつや就業困難をもたらす場合もあります。
【注意!】日中の眠気
加えて、休み明けの眠気にもご注意です。夜更かしがすぎて睡眠時間が短くなると、日中の眠気を生じやすくなります。これにより正月休み中に眠気による車の事故や、注意力の低下による何気ない日常での怪我にも気を付けてください。
2026年のお正月(1月1日〜3日)には日本列島全域で 「最強眠気」到来の予想 が示されています。
*Pokemon Sleep と気象情報番組「ウェザーニュースLiVE」との コラボ特番
https://www.youtube.com/watch?v=LgpoLDqKCBk&t=3s
【実践!】年末年始に気を付けたい睡眠のポイント
・朝は一定の時刻に起きましょう。
・遅起きはしても、いつもの起床時刻から1時間程度以内にしましょう。
・せめて出勤日の前日はいつも通りの時刻に起床しましょう。
・日中に眠気があっても長い昼寝はせず、その日の夜にしっかりと眠りましょう。
・年末年始でも必要な睡眠時間を確保しましょう。
今年も一年間ご拝読いただき、ありがとうございました。来年も、睡眠、臨床検査をはじめとした健康情報を発信していきます。ぜひご一読ください。よろしくお願いいたします。
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出典:Pokemon Sleep 日本ユーザーデータ分析(公式発表をもとにした報道)
参考:Gamer「『Pokemon Sleep』年末年始の睡眠状況に関するデータ分析結果」
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良い眠りに必要なこと
×間違った思い込み
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あけましておめでとうございます
本年も週2回(火・金)、睡眠や健康情報を更新していきます。ご一読いただけると嬉しいです。
新年第1回めは、「良い睡眠のポイント」について、してはいけないこと・誤った思い込みを例にあげながら確認してみましょう。
【良い眠りに必要なこと】
良い眠りに必要なこと、その根本として以下の3点を大切にします。
@適切な睡眠環境
暗く静かでほど良い温度
A体内リズムを整える
朝の光はウェルカム、夜の光は控えめに
規則正しい生活習慣を心がける
B正しい知識
誤った思い込みは睡眠の大敵
※個別には「快眠の14か条」を参考になさってみてください。
【睡眠の誤った思い込み】
睡眠に対する誤った思い込みはたくさんあるようです。思い当たることはありませんか?これらは誤った思い込みになります。
@8時間眠らないといけない
睡眠時間は人それぞれ、自分に合った睡眠時間をとりましょう。生活が困らなければ問題ありません。加齢により睡眠時間は短くなるのも自然な変化です。
A寝床に入ってもなかなか寝付けない
寝床に入ってもすぐには寝れないのは普通です。5分以内は睡眠不足、30分以上が寝付けない時間の目安です。
B眠れなくても我慢して布団にいる
これが続くと、寝床が眠れない場所と脳に刷り込まれます。眠たくなってから布団に入りましょう。
C夜中に目が覚めたら睡眠は失敗
中途覚醒は自然なことです。頻度が多い、長時間の覚醒で困るようなら問題になります。
D寝た後にトイレに行きたくない
高齢になると1回程度は問題なし。2回以上の頻度、睡眠や生活の質が低下していないかどうか確認します。
E何もすることはないから寝床で過ごす
睡眠の満足感の低下や、場合により体調不良も生じてしまいます。
F若い頃のように眠りたい
睡眠も老化するため、残念ながら若い時とまったく同じは無理です。睡眠の質や満足度を高めましょう。
G眠れるのなら何時間でも寝て良い
長く寝すぎると体調不良や疾病のリスクが増してしまいます。自分に合った睡眠時間を意識しましょう。
H眠れていないと思い込む
睡眠誤認といわれ、不眠の方によくみられます。睡眠日誌やデバイスで客観的に確認してみるのも一手です。
I自分はショートスリーパーだ
極めて稀です。多くは睡眠不足で、こころとからだに不調が出る可能性は大です。ショートスリーパーは頻度的には1%以下(遺伝子的には0.004%)です。
J睡眠不足は休日の寝だめで大丈夫
体内リズムが乱れるのでNG。特に休日明けにその不調は顕著となります。
K昼間の眠気は根性が足りない
眠気は根性だけでは乗り切れません。しっかり眠りましょう。
Lいびきはよく眠っている証拠
睡眠時無呼吸症などの病気が潜んでいる可能性があります。
M睡眠薬はボケる
睡眠がとれない認知症リスク v.s. 睡眠薬の認知症リスクを考えます。明確なデータはありませんが、精神的な面からは、睡眠薬を服用しても眠った方が良いでしょう。
【これ大事】
上記について、誤った知識だけでなく、病気が潜んで知る可能性もあります。睡眠のトラブルやからだの不調が続く場合は、自己判断せず、医療機関を受診するようにしましょう。
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良い眠りに必要なこと
×間違った思い込み
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今回はお恥ずかしながら、睡眠について「私自身が日頃から気を付けていること」をお話してみます。良いこともありますし、なかなかやめられない悪習もあるのですが…。
【良い習慣】
・起床時刻は平日も休日もほぼ一定
〜体内リズムを一定に保つ
・朝起きたらまずカーテンを開ける
〜朝の光で体内時計をリセット
・朝ごはんは欠かさなずバランスよく摂る
〜眠りの元となるトリプトファンを補給
・夜は居間の灯りを少しだけ暗めにしている
〜メラトニンの分泌を妨げないように
・睡眠時間は7時間30分程度を確保している
〜睡眠負債をためず日中のパフォーマンス向上
・睡眠中に何度か目が覚めても気にしない
〜この歳(64歳)では中途覚醒はあって当たり前
・夏場は一晩中エアコンで寝室温度は一定に
〜夏場26℃・冬場20℃程度で心地よい眠り
・冬場は首元にクォーターサイズのブランケット
〜隙間を防ぎ寒さをシャットアウト
【やめた方がよい習慣】
・座りっぱなしで運動不足
〜適度な運動と心地よい疲労が睡眠に必要
・あまり人と接する機会が無い
〜社会的刺激による脳の活性化やセロトニンへの影響
・遅い時間までの飲酒
〜眠りが浅くなりトイレに起きることも多くなる
・寝るまでパソコンの前にいることが多い
〜脳の興奮、自律神経の乱れの元
・入浴やパジャマへの着替えが早すぎる
〜体温リズムが睡眠と合わなくなる
・寝るときに着替えない
〜睡眠儀式が作れず眠りにくくなる
自分の睡眠や生活習慣、環境を振り返ってみることは大切ですね。気付きがあります。ウェアラブルデバイスや睡眠ダイアリー(睡眠日誌)で眠りを可視化することもお勧めです。
皆さんの「これは良いこと・お勧め」、「これはダメじゃないかな」は、どんなことがありますか?ぜひ振り返ってみてください。
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=クリックで拡大=(画像はAIにより作成)
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