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(検索ワードの内容や長さを変えてみてください。入力ワードを消去すると全表示できます。)
これまでに公開した健康情報の一覧です。※情報は当時のデータに基づくものです。
適用 内容 備考
   
  【快眠検定 Part 1】  
  快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)  
     
  【快眠検定 Part 1・解説】 ▲トップに戻る
  2024/09/20<問1>睡眠不足・朝の光・朝ごはん  
  2024/10/11<問2>昼寝・Power Nap!  
  2024/10/15<問3>うたた寝・体温・カフェイン  
  2024/10/18<問4>寝室環境(夏編・夏の快眠)  
  2024/10/22<問5>寝室環境(冬編・冬の快眠)  
  2024/10/25<問6>スマホ・眠れない・ショートスリーパー  
  2024/10/29<問7>睡眠薬・サプリ・寝酒  
  2024/11/01<問8>睡眠の問題・病気発見・対処法  
   
  【快眠の秘訣】 ▲トップに戻る
  2024/07/23_夏場の快眠〜寝室環境編〜  
  2024/07/26_夏場の快眠〜寝床内環境編〜  
  2024/07/30_不眠の要因・慢性化予防  
  2024/08/02_快眠の秘訣〜01 体温管理〜  
  2024/08/06_快眠の秘訣〜02 規則正しい生活〜  
  2024/08/09_快眠の秘訣〜03 光の作用〜  
  2024/08/13_快眠の秘訣〜04 食事の影響〜  
  2024/08/16_快眠の秘訣〜05 昼寝・うたた寝〜  
  2024/08/20_快眠の秘訣〜06 嗜好品(酒・コーヒー)〜  
  2024/08/27_快眠の秘訣〜08 眠れないぐるぐる思考脱出〜  
  2024/08/30_快眠の秘訣〜09 薬の正しい使い方〜  
  2024/09/03_快眠の秘訣〜10 健康食品・サプリ1〜  
  2024/09/06_快眠の秘訣〜11 健康食品・サプリ2〜  
  2024/09/10_快眠の秘訣〜12 健康食品・サプリ3〜  
  2024/09/13_快眠の秘訣〜13 睡眠の病気〜  
  2024/09/17_快眠検定:目指せ!快眠マスター(基礎編)  
   
  【日々の快眠のポイント】 ▲トップに戻る
  2024/11/08_日々の快眠のポイント(睡眠ガイド2023)  
  2024/11/12_日々の快眠のポイント(朝の過ごし方編)  
  2024/11/15_日々の快眠のポイント(昼の過ごし方編)  
  2024/11/19_日々の快眠のポイント(夜の過ごし方編)  
  2024/11/22_日々の快眠のポイント(眠る前の過ごし方)  
  2024/11/26_日々の快眠のポイント(寝床での過ごし方)  
   
  【睡眠の14か条・快眠の秘訣】 ▲トップに戻る
  2025/01/07_第1条:起きたら光を浴びましょう  
  2025/01/10_第2条:しっかり噛んで朝食を摂りましょう  
  2025/01/17_第3条:平日/休日・起床時間の差を2時間以内  
  2025/01/21_第4条:昼寝は15時までに30分未満で  
  2025/01/24_第5条:からだを動かし良い睡眠  
  2025/01/28_第6条:夕食後の居眠りは厳禁  
  2025/01/31_第7条:夜の光の影響・寝床スマホ禁止  
  2025/02/04_第8条:脳の興奮は眠りから覚醒に傾く  
  2025/02/07_第9条:カフェインと睡眠  
  2025/02/11_第10条:快眠入浴法  
  2025/02/14_第11条:寝酒は厳禁・アルコールと睡眠  
  2025/02/18_第12条:寝床で考え事をしない  
  2025/02/21_第13条:眠くないのに寝床に入らない  
  2025/02/25_第14条:睡眠の不調は放っておかない  
     
   
  【眠りのしくみ】 ▲トップに戻る
  2024/05/14_眠りの仕組み・01 眠くなるのはなぜ?  
  2024/05/17_眠りの仕組み・02 快眠に活かすポイント  
  2024/05/21_眠りの仕組み・03 眠くなる朝ごはん  
  2024/05/24_眠りの仕組み・04 体温変化を賢く利用  
  2024/05/28_眠りの仕組み・05 ここは寝ない(うたた寝)  
  2024/05/31_眠りの仕組み・06 居間と寝室を暗く  
  2024/06/04_眠りの仕組み・07 一晩の睡眠の内容  
  2024/06/07_眠りの仕組み・08 深眠り・ノンレム睡眠  
  2024/06/11_眠りの仕組み・09 夢みる眠り・レム睡眠  
  2024/06/14_眠りの仕組み・10 眠りの病気(前編)  
  2024/06/18_眠りの仕組み・11 眠りの病気(後編)  
   
  【眠りのお悩み解決】 ▲トップに戻る
  2025/04/18_ぐっすり眠れない  
  2025/04/22_寝付きが悪い  
  2025/04/25_何度も目が覚める  
  2025/04/29_朝早く目が覚めてそれ以上眠れない  
 
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  【チェックリスト】 ▲トップに戻る
  2024/07/05_睡眠時無呼吸(閉塞性)チェックリスト  
  2024/07/09_眠りの状態セルフチェック  
  2024/07/12_眠りの問題セルフチェック  
  2024/07/16_眠気のセルフチェック  
  2024/10/08_睡眠日誌・睡眠を記録しましょう  
  2024/11/29_自分の睡眠時間の見つけ方(増減法)  
  2024/12/03_自分の睡眠時間の見つけ方(留意点)  
  2024/12/06_睡眠時間の見つけ方(時間たっぷり)  
  2024/12/10_睡眠満足度を上げる・睡眠制限法  
   
  【話題】 ▲トップに戻る
  2024/03/29_睡眠時間と死亡リスク  
  2024/04/01_春眠暁を覚えず(春の睡眠)  
  2024/04/05_睡眠時無呼吸症候群  
  2024/04/09_睡眠の不満(夜間頻尿)  
  2024/04/12_アルコールと睡眠  
  2024/04/16_日本人の睡眠時間と良い眠りのポイント  
  2024/04/19_睡眠周期と光・リセット  
  2024/04/23_良い眠りで安全運転  
  2024/04/26_概日リズムとパワーナップ  
  2024/04/30_自らすすんで時差ボケに  
  2024/05/03_五月病・ストレスと睡眠  
  2024/05/07_こどもの睡眠時間は  
  2024/06/21_睡眠科を診療科名に追加へ  
  2024/06/25_睡眠は質?量?  
  2024/06/28_あなたの睡眠の問題を探る  
  2024/07/02_息が止まる睡眠時無呼吸症候群  
  2024/09/27_ウェアラブルデバイス(心電図)  
  2024/10/01_ウェアラブルデバイス(無呼吸)  
2024/10/04_ウェアラブルデバイス(睡眠ログ)  
  2024/11/05_ふとんの重さで睡眠が変わる!?  
  2024/12/13_子どもの睡眠の大切さ(睡眠教育)  
  2024/12/17_睡眠とヒートショック  
  2024/12/20_不規則睡眠でリスク大!心筋梗塞・脳卒中  
  2024/12/24_睡眠不足が続くと容姿も病気も大きく変化  
  2024/12/27_睡眠不足は風邪をひきやすい  
  2024/12/31_睡眠不足は太りやすい(肥満・食欲)  
  2025/01/14_しっかり眠ってミス防止・受験生がんばれ!  
  2025/03/14_世界睡眠デー  
  2025/03/18_春の睡眠の日・眠りのお悩み  
  2025/03/21_朝型・夜型 クロノタイプ  
  2025/03/25_疲労と睡眠(デジタル機器)  
  2025/03/28_春眠不暁覚(春の睡眠)  
  2025/04/01_眠りの問題・原因と解決  
  2025/04/04_疲労と睡眠(気分転換)  
  2025/04/08_眠気の秘密@(ししおどし)  
  2025/04/11_眠気の秘密A(ツー・プロセス)  
   
  【お知らせ】 ▲トップに戻る
  <講習会開催中>睡眠の専門家と学ぶ快眠の秘訣  
  <講習会開催中>健康診断の検査値からわかること  
  2024/05/10_これからの情報発信について  
  2024/07/19_今後の公開スケジュール  
  2025/01/03_「健康の窓」ご紹介とSNS更新予定  
  2025/04/15_睡眠のお悩みと解決のヒント  
     
     

2024/3/29


睡眠時間と死亡リスク

「睡眠時間は長くても短くても死亡リスクが高い」
睡眠時間7時間を最低に、睡眠時間の短さと長さはいずれも心血管疾患や非心血管疾患/非がんによる死亡率の増加と関連しており、総死亡率とU字型の関係があります。ただし、調査では7時間が最低リスクとなっていますが、必要な睡眠時間には個人差がありますので、ご自身の適正な睡眠時間を見つけることも大事です。その話題はまた別の機会でお伝えします。

【ポイント】
睡眠不足や寝すぎは危険!自分に合った睡眠時間で。

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 =クリックで画像拡大=
  (the JACC study.Sleep.2009)

2024/4/1


春の快眠

「春眠 暁を覚えず」
<訳>春の暁は気候も暖かく、心地よい眠りに夜が明けたのも知らず寝すごしてしまった
<影響>実際に睡眠の面から考察すると、@温度や気温、A日照時間、B生活習慣の変化などが影響すると考えられます。

冬の間、寒さに打ち勝つために上げていた基礎代謝を、春モードで下げようとするためバランスがとれず、体調を崩しやすくなります。また、日照時間が長くなると睡眠物質であるメラトニンの分泌も少なくなるのですが、この時期はまだ冬の分泌パターンのままのこともあり、これが眠気をもたらすとも言われています。新年度となり、生活習慣や気苦労、ストレスなども影響しているかもしれません。

【ポイント】
@眠くても朝は一定の時間に起床し、起きたらしっかりと朝陽を浴びる。A朝食は必ず摂る。ことで、生活のリズムがしっかりします。また、日中に眠気がある場合は、お昼から15時までの間に15分から30分までの昼寝をするのも効果的です。
運動や灯りも影響しますが、それはまた別の機会でお話します。  ▲TOPに戻る

2024/4/5



睡眠時無呼吸症候群

寝ている間に息が止まっていないですか?
「睡眠時無呼吸症候群」は、眠っている間に息が止まる怖〜い病気です。

2023年に「循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン」が改定されました。その中で、睡眠時無呼吸症候群の方はいろいろな病気を合併します。合併率が高血圧59%(治療抵抗性高血圧では83%)、糖尿病86%、慢性腎臓病65%、狭心症・心筋梗塞49%、心房細動81%、肺高血圧症89%などと報告されています。
ざっくりとですが、睡眠時無呼吸症候群があると健常人に比べ、高血圧症2倍、冠動脈疾患3倍、脳血管障害4倍、交通事故7倍のリスクがあると言われています。糖尿病に対しても高リスクです。

日本では男性10〜20%程度、女性5〜10%程度の方が治療が必要とされています。(睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン:2020)かなりの頻度ですね。原因は太りすぎや加齢、アルコールの影響などが考えられますが、日本人には肥満が少なくても無呼吸になりやすいのが特徴です。太っていなくてもご用心を。

思い当たる症状はありませんか?
いびき、夜間頻尿、起床時の頭痛・重頭感・倦怠感、日中の眠気・注意力の低下、寝ていて目がよく覚める・口やのどが渇く…。思い当たる方はぜひ医療機関で検査をお受けになってください。自宅でできる検査があります。

【ポイント】
まず気付くことが大事です。自分ではわかりませんので、同居の方に確認してもらったり、睡眠アプリなどで確認してみましょう。

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 =クリックで画像拡大=
(循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン:2023)

2024/4/09



睡眠の不満

【睡眠と夜間頻尿】
健康・美容機器の専門メーカーの株式会社フジ医療器(https://www.fujiiryoki.co.jp/)さんが、睡眠に関する全国アンケートを行っています。今年(2024年)1月に調査結果が公表されました。気になる内容は…

調査した94%の方が睡眠に不満があると答えています!その不満に感じることとして、年齢が高くなるにつれ「トイレが近い」が増えています。う〜ん、思い当たりますね。
おやすみ中におおむね2回以上トイレに行くようであれば、病気としての夜間頻尿の疑いが強くなります。原因は前立腺肥大などの腎・泌尿器疾患、糖尿病や心疾患など多彩で、生活習慣にも影響されます。睡眠も重要なファクターです。加齢の影響で睡眠が浅くなり抗利尿ホルモンの分泌用が減ることや、睡眠時無呼吸症候群では浅眠化の影響や無呼吸時に腹圧が上がることにより膀胱が圧迫され尿意をもよおしやすくなることもあります。

【ポイント】
寝ている間にコップ一杯分の汗をかくと言われていますが、就寝直前に水分を摂取すると、寝ている間に尿意をもよおしやすくなります。ではどうするか。寝る直前ではなく夕食時から少しづつ多めに水分は摂取するようにしてはいかがでしょう。
また、夜間頻尿には前述のようにいろいろな病気が潜んでいる場合もありますので、必要により医療機関を受診しましょう。
良い眠りを得ることで夜間頻尿を減らせる可能性は大です。良い眠りのために睡眠習慣や睡眠リズムを整えるお話、その話はまた別の機会でご紹介します。

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 =クリックで画像拡大=
第11回睡眠に関する調査(株式会社フジ医療器)
https://www.fujiiryoki.co.jp/company/news/news2/n193.html

2024/4/12



アルコールと睡眠

【眠れないから飲酒?飲酒するから眠れない?】
前回に引き続き、健康・美容機器メーカーの株式会社フジ医療器(https://www.fujiiryoki.co.jp/)さんの、睡眠に関する全国アンケートから考察します。今回はアルコールと睡眠の関係です。
https://www.fujiiryoki.co.jp/company/news/news2/n193.html

Q.快眠をとるために工夫していることはありますか?の問いに対し、本文では述べられていませんが気になる結果がありました。「お酒を飲む」と回答された方が一定の割合で、特に男性に多くおられました。(男性24.8%、女性9.4%)男女差はありますが、40代以上では「睡眠薬を飲む」より回答割合が多くなっています。

アルコールが睡眠に及ぼす影響として、@睡眠導入効果はあるものの A睡眠が浅くなる B覚醒が増えることから、睡眠の質と量が悪化します。利尿作用によりトイレに起きることも多くなります。更に怖いのは、アルコールの耐性により依存症や肝障害の危険性があるということです。
結局「寝酒は百害あって一利なし」ということになります。むしろしっかりと処方された睡眠薬の方が安全とされています。

【ポイント】
お酒は眠りの為ならず!お酒は夕食までで適量で。お酒の量の話はまた別の機会でお話します。
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 =クリックで画像拡大=
睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン(じほう 2014)
Alcohol and sleep I: effects on normal sleep.(Alcohol Clin Exp Res.2013)
Sleep, sleepiness, sleep disorders and alcohol use and abuse.(Sleep medicine reviews,2001)

2024/4/16



日本人の睡眠時間

良い眠りのポイント

【何だこりゃ!?睡眠時間が短い日本人】
 〜睡眠の量と質を確保しましょう〜


グラフは経済協力開発機構(OECD)が33ヵ国を対象に行った調査結果です。日本の1日の睡眠時間はなんと最短!平均より1時間以上も短くなっています。
(ただし調査方法や対象者の背景はまちまちで、必ずしも睡眠時間そのものを表しているわけでないことにはご注意ください。)

◎健康で気を付ける三原則
「食事・運動・睡眠」
1) 食べすぎ:飲みすぎを控えバランスの取れた食事を心がけます。
2) 適度な運動:動かないよりは少しでも歩けばそれだけの効果はあります。
3) 良い眠り:体と心の休養です。

◎高齢者が良い眠りで気をつける三原則
「早寝・長寝・昼寝」
1) 早寝:何もすることが無いからと、早めに床に就くのは控えます。
2) 長寝:歳を取ると眠れなくなるのは当たり前。寝よう寝ようはストレスに。
3) 昼寝:長すぎる昼寝は認知症の原因とも。

◎若年世代が良い眠りで気をつける三原則
「睡眠不足・休養感不足・休日の長寝」
1) 睡眠不足:睡眠不足は酒気帯び状態と同じです。
2) 休養感不足:休養感の無さは睡眠時無呼吸症などの病気の可能性も。
3) 休日の長寝:生活と睡眠のリズムを崩します。毎日の睡眠時間を確保します。

それぞれの詳細や気になる解決策は実例も含めてまた別の機会でご紹介します。
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 =クリックで画像拡大=

2024/4/19



ヒカリノチカラ

【ヒカリノチカラ】
地球の一日はおおむね24時間ですが、多くの方の一日はその24時間周期(サイクル)より長いようです。このこのことをご存じの方もおられるかと思います。真っ暗な洞窟などの中で時計も無い状況で生活すると、だんだんと自覚的な一日が遅れて遅れて行きます。夜更かしは簡単なのに早寝はし辛いのは、この習性も影響しています。

これを補正するのが光です。特に朝!目覚めて浴びる光が時間サイクルをリセットして、一日のリズムに合わせてくれます。他にも朝食を摂ることや仕事・学校などの社会的行動もリズムを整える要因です。

図は洞窟の実験ではありませんが、一日のサイクルが同調できない方の睡眠のグラフです。右へ右へ、寝る時間が遅くなっているのがわかります。この方は幸い、光治療により通常の一日サイクルに戻りました。

【ポイント】

このように朝の光を浴びることはとても大事です。まさに「ヒカリノチカラ」!
その他の要因については、また別の機会でご紹介します。
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(大川匡子:リズム障害と睡眠異常.Medical Science Digest Vol.32(2),2006 より改変)
 =クリックで拡大=

2024/4/23



良い眠りで安全運転

【良い眠りで安全運転を!】
不眠・睡眠不足(睡眠負債)はリスクだらけです。こころとからだの不調のみならず日常生活や車の運転にも影響が及びます。これらをもたらす代表的な疾患に睡眠時無呼吸症候群があります。脳・心血管病変の発症リスクは2〜3倍に、更に日中の眠気や注意力低下による交通事故のリスクはなんと健常者の7倍になるというデータが出ています。

【ポイント】
G.W.間近です。お出かけの際はしっかりと睡眠をとり安全運転で!
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 =クリックで拡大=

2024/4/26



サーカディアンリズム
サーカセミディアンリズム

パワーナップ

【パワーナップ!】
今回は午後の眠気と昼寝の効果についてです。パワーナップ(power nap)という言葉をご存じでしょうか。日中に短い仮眠をとることを指します。これにより、
 ・疲労回復
 ・集中力アップ(回復)
 ・作業効率アップ(回復)
 ・ストレス軽減
 ・睡眠不足の補完
などの効果があります。

ヒトの一日のリズムは、24時間周期のサーカディアン(概日)リズム、12時間周期のサーカセミディアン(半概日)リズム、2時間周期のウルトラディアン(超日)リズムがあります。夜の睡眠はサーカディアンリズムに影響され、午後の眠気はサーカセミディアンリズムに強く影響されています。
昼ごはんの後に眠くなるのは消化のために胃に血液がまわるから眠くなるんだ。というの、実は半分俗説なんですね。午後の眠気は概日リズムによるものが大半です。ただし、食事の有無やタイミングが概日リズムに影響を及ぼすことも報告されています。
これを上手く利用することにより、体調と身体のリズムを整えます。

パワーナップの注意点は、15時までに20分程度の短時間で昼寝を切り上げ、深い睡眠に入らないようにすることです。睡眠の深さでいえばノンレム睡眠で第2段階(N2)までにとどめることです。深い睡眠に入ってしまうと、目覚め後にぼーっとしてしまうことがあります。(睡眠慣性)

具体的な方法としては、
 ・場所:作業場や居間など、生活の場で大丈夫
 ・姿勢:横にならず座ったまま、ゆったりとした姿勢で
 ・環境:光を避け、ザワザと雑音はあっても良い
 ・時間:15時までに20分程度
 *オマケ:昼寝の前にコーヒーを飲んでおくと目覚めの頃に効いてきてGood!

【ポイント】
午後の短い昼寝でリフレッシュ!ぜひお試しあれ。
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 =クリックで拡大=

2024/4/30



ソーシャル・ジェットラグ
社会的時差ボケ

【自らすすんで時差ボケに!?】
ソーシャル・ジェットラグ、社会的時差ボケという状態があります。これは睡眠不足・睡眠負債とも関連するのですが、平日と比較して休日前および休日の起床時刻や睡眠時間がおおむね1時間半から2時間程度以上ずれている、特に起床時間が遅れていることが多い状態です。

学生さんや働く世代(特に若い世代)に多く、足りない平日の睡眠時間を補おうと休日に遅くまで寝てしまう状況です。お昼ごろ、お昼すぎまで寝てしまうこともあるようです。
例えば平日は1時に寝て6時に起きるところが、休み前は3時まで起きていて翌日は12時過ぎまで寝ている。というような状況です。この過ごし方をしていると、日曜日もなかなか寝つけず夜ふかしになり、月曜日の朝が辛い!起きられない!起きてもボーっとしてる!となりがちです。思い当たることは無いでしょうか。

このような過ごし方では、休日前・休日の過ごし方のおかげで体内時計が遅れ、月曜日の朝は体内時計は戻らず遅れたままになっています。そりゃ起きられません。図にある通り、月曜日の起床時間は休日の体内時計ではおやすみまんまん中です。自らすすんで時差ボケになっているようなものですね。

【ポイント】
休日もなるべく平日と同じ時刻に起床する。睡眠不足は遅くまで寝ることで補わず、早めに寝ることで解消しましょう。
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 =クリックで拡大=

2024/5/3



眠れていますか?

【眠れていますか?】
時期は5月、巷で「五月病」について耳にすることが多くなります。「五月病(ごがつびょう)は、社会人や大学生や中高生や小学生などに見られる、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称である。」(ウィキペディア)とされています。前回にお話ししたソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)もその要因となりますのでお気を付けくださいね。(前回分はこちら2004/4/30:https://x.gd/pSNF0

こころにトラブルがあると、眠れなくなることが往々にしてあります。以前は、精神的なストレスが不眠をもたらすと考えられていたのですが、最近は、精神的ストレスと不眠は相互に影響を及ぼしているという考えに変わってきています。ですので、このようなお悩みの方に対して、まず睡眠を改善することがひとつの解決策になります。ちゃんと眠れるようになると、ストレスを感じにくくなるのですね。

【ポイント】
ストレスを感じる方は、まず良い睡眠をとるようにしましょう。ストレスを抱えている方には、よく眠れていますかと確認してみましょう。
睡眠の改善方法はまた別の機会でしっかりとお話しします。

 ▲TOPに戻る
 =クリックで拡大=
図はストレス評価と不眠尺度の相関図(上が高ストレス、右が不眠状態)。灰色のスポットは調査開始時の状態、睡眠指導後をオレンジの点で表示。睡眠指導により、不眠状態が改善され同時にストレスも改善している(スポットが右上から左下方向に移動している)ことがわかる。
「約3,000人のデータ分析結果からわかった効果的なメンタルヘルス対策」セミナー資料cFairWork Inc./NTT PARAVITAログミーBizより)

2024/5/7



こどもの睡眠時間は

【眠る子・眠れない子】
今回は子どもにおける睡眠障害についてご紹介します。2024年4月15日に弘前大学から睡眠障害の有病率と要因研究についての発表がありました。

この調査では、5歳児における睡眠問題の有病率が18%であるとしています。5歳未満で約5人に一人に睡眠障害があるというのはショッキングですね。また、睡眠に影響を与える因子を調査したところ、8つの因子、神経発達症(発達障害含)の診断、収入、兄弟姉妹の数、就寝時間、起床時間、睡眠時間、入眠遅延、スクリーンタイム(テレビやインターネットの視聴など)において有意に睡眠障害の有病率が高いことが明らかになりました。

ここで重要なことは、睡眠障害、特に行動起因性睡眠不足症候群(睡眠不足)については、すぐにでも改善可能な項目があるということです。就寝時間、起床時間、睡眠時間、入眠遅延、スクリーンタイムは、保護者の方が気を付けることにより改善ができることではないでしょうか。このことは、保護者の皆様の生活習慣が子どもさんにも影響していること(親が夜更かしなら子も夜更かし)を意味し、保護者の方の生活習慣の改善や適切な睡眠習慣が、子どもさんにも良い影響となることを示しています。

子どもさんの睡眠時間は3〜5歳では10〜13時間を推奨しています。(米国睡眠医学会)睡眠は発達中の子どもの健康にとって非常に重要です。発達中の子供にとって、認知能力、日中のトラブル、不安、うつ病、肥満、成績などに睡眠は関係している可能性があります。保護者の方は知っておいて欲しいことです。

【ポイント】
親の寝不足は子どもの寝不足。保護者の方が率先して良い睡眠習慣を作りましょう。

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 =クリックで拡大=
(今回上げた要因は調査結果の一側面であることをご承知おきください。)
Prevalence and factors of sleep problems among Japanese children: a popu lation-based study:Frontiers in Pediatrics 2024

2024/5/10



これからの情報発信

【睡眠の話】
「健康の窓」では、睡眠に関するトリビアやウンチク、また最新情報や話題などを3月末頃よりお伝えしてきました。いかがでしたでしょうか。睡眠に興味が出てきましたでしょうか。

今後は、もう少し体系的に睡眠についてお伝えできればと考えております。
 1.睡眠の仕組み
 2.睡眠障害について
 3.最新の話題
 4.よもやま話

「健康の窓」では、巷にある不確かな情報では無く、科学的・医学的根拠を元に、お役立ち情報をお伝えいたします。引き続き楽しみにお待ちいただければと思います。これからも「健康の窓」をよろしくお願いいたします。

「健康の窓」は、睡眠と臨床検査を主に健康について、皆様とともに考える場を提供します。
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2024/5/14



眠りの仕組み

01 眠くなるのはなぜ?

【眠りの仕組み】〜01 眠くなるのはなぜ?〜
それではまず睡眠の定義からみてみましょう。

【睡眠の定義】
@じっとしていて自発的・随意的な活動が低下あるいは消失している。
A周囲からの刺激に対する反応が低下している。しかし、揺り動かすなど強く刺激するといつでも覚醒する。
B夜か昼のどちらかで、周期的にほぼ毎日起こる。
C個体によってほぼ一定の姿勢があり、決まった寝床・巣を持つ。
思い当たりますが、なんだかわかったようなわからないような…。それでも大事なのは「周期的にほぼ毎日起こる」ということです。
それでは、睡眠の必要性はどうでしょう。

【睡眠の必要性】
@脳の休息
A体の機能の回復
B情報処理能力の回復 など
となっています。すなわち脳と身体の休養ですね。特に脳については、眠ることでしか休養をとることができません。1989年にレヒトシャッフェンらが行った断眠実験では、対象のラットは全て死んでしまったそうです。

また、人では1964年にサンディエゴの高校生ランディ・ガードナーが連続264時間(11日間)の睡眠をとりませんでした。日を追うにつれ眠気と倦怠感→誇大妄想→幻覚→視力低下や被害妄想→記憶障害が出現したそうです。睡眠が不足すると脳・精神・運動の機能が低下し、生命の危機を招いてしまいます。

ガードナーくんはその後、15時間ほど爆睡した後に自然に目を覚まし、精神面でもなんら後遺症を残さなかったとのこと。脳の回復能力もまたすごいですね。
次に、眠くなるの要因は何でしょう。

【なぜ眠くなる】
@夜になると眠たくなる。(体内時計機能)
A疲れたから眠くなる。(恒常性維持機能)
によります。どちらも思い当たりますね。睡眠の定義とも関係しますが、夜に眠たくなるのは本来備わっている体内時計によるものです。太古からの進化の過程で、昼間は食料を捕るなど生活活動の必要があり、夜は逆に昼間の活動のために身体を休める必要があったのでしょう。また、暗い夜の行動は危険が伴い行動は控えることが人の生活には理にかなっていたのでしょう。

疲れたら眠くなるのも納得です。何もせず一日テレビや読書で過ごした日とスポーツをして過ごした日では、運動などで疲れた日の方が早く強く眠くなりませんか?
これらのことから、逆をたどって考えると良い睡眠をとるためコツが見えてきます。

【快眠のヒント】
@昼と夜のメリハリをつける
A身体を疲れさせる
ことが良いのがおわかりかと思います。これらがよい睡眠をとる基本となります。

それぞれの詳細は、次回に【快眠のポイント】としてお話しします。お楽しみに。
眠りの仕組みを理解して快眠に活かしましょう。

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Sleep Deprivation in the Rat: An Update of the 1989 Paper; Rechtschaffenら, Sleep 2002
(社)日本睡眠教育機構(JSES)睡眠健康指導士資料

2024/5/17



眠りの仕組み

02 快眠に活かす!

【眠りの仕組み】〜02 快眠に活かす!〜
前回は眠りの仕組みと快眠のヒントを少しお話ししました。今回はその続きで快眠のポイントをあげてみます。
眠りの仕組みを理解すると快眠のヒントが見えてきました。@昼と夜のメリハリをつける A身体を疲れさせる がポイントでしたね。もう少し掘り下げてみます。

【快眠のポイント】
1.昼と夜のメリハリをつける
@起きたら陽の光を浴びる
  体内時計の一日をリセットします
A朝ごはんを摂る
  頭だけでなくからだの時計もリセットします
B昼寝は15時までに30分程度まで
  長い昼寝はその夜の睡眠に影響します
C夜は部屋の灯りは暗めにする
  夜の灯りは眠りの時間帯をずらしてしまいます
D寝る直前までのテレビやスマホの使用を控える
  この時間の灯りの作用と脳の興奮はNG

2.身体を疲れさせる
@夕方までに軽い運動を
  寝る直前の強い運動は避ける、夏場は熱中症にご注意
A夕食後のうたた寝は控える
  読書や創作などでリラックスし軽く脳も働かせます
B入浴は眠る直前は避けます
  体温調整で眠る態勢づくりです
C簡単なストレッチなど
  眠りにつくための儀式は習慣化すると効果:大
D休日に遅くまで寝るのは避ける
  体内時計が狂います(学生・勤労者に多い)
E何もすることが無いからと早めに床に就くことは避ける
  眠れない時間が増えるだけ(高齢者に多い)

今回は箇条書きになりましたが、それぞれの細かい注意点や詳細はまた別の機会でお話しします。

加えて、ストレスを避けることも重要です。身体を動かす、趣味に没頭する、人と会うなど、アクティブに過ごしましょう。また、生活習慣や睡眠衛生に気を付けてもなお眠れない場合や眠気が取れない場合は、病気が潜んでいる場合もあります。その際は、積極的に医療機関を受診しましょう。

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睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班(2001)
健康づくりのための睡眠指針2014(厚生労働省)
健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)

2024/5/21



眠りの仕組み

03 眠くなる朝ごはん

【眠りの仕組み】〜03 眠くなる朝ごはん〜
睡眠を調節する因子はいくつかありますが、今回はメラトニンというホルモンを紹介します。

メラトニンは、眠りのリズムを調整し、睡眠・覚醒リズムに関与しています。夜になると(起床して朝の光を浴びてから約15時間後に)増加し始め、眠りを誘います。また、おやすみの間は高い値を保っており、睡眠の維持にも関与していると報告されています。

このメラトニン、年齢とともに少なくなってしまうことがわかっており、これが高齢者の不眠や中途覚醒に影響している面もあるようです。(他にも生活リズムや睡眠衛生も大きな要因です!)図は若い方と高齢者のメラトニン濃度を比較したものです。残念ながら高齢者では特に夜の分泌量が減っています。

歳をとるとメラトニンが減ってしまうんじゃあ、もうぐっすり眠ることはできないのか…。
いえいえ、そんなことはありません、改善することは可能です。減っている分は、補ってやればいいんです。

メラトニン不足を補うため、トリプトファンを摂りましょう。
メラトニンは、たんぱく質の一種であるトリプトファンから体内で作られます。トリプトファンは体内では合成されないので、必ず食事から補給しないといけません。(必須アミノ酸9種類のうちの一つ)トリプトファンを摂ることで、中間物質の幸せホルモンのセロトニンを経て、メラトニンになります。
もう一点、注意が必要です。このようにトリプトファンはすぐにメラトニンにはならず、合成に少し時間がかかります。ですので、朝ごはんでトリプトファンを摂ることが効果的です。
加えて、トリプトファンを摂り太陽の光を浴びることで中間物質のセロトニン量も増えますので、幸せな気持ちや充実感にもつながります。

鶏肉や牛肉、卵、大豆製品(豆腐、納豆、味噌汁も良いです)、乳製品やナッツ類の他、メラトニンの合成に必要なビタミンB6を多く含むカツオ、サケなどの魚を一緒に摂るのがおすすめです。
また、メラトニンは光により抑制されますので、夜は灯りを暗めにすることも良いでしょう。これは前回にお話ししましたね。

【ポイント】
・トリプトファン多めの朝ごはん
・夜は暗めの部屋でゆっくり過ごす

たっぷりメラトニンでぐっすり眠りましょう。

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JM Zeitzer et al:Plasma melatonin rhythms in young and older humans during sleep, sleep deprivation, and wake ;Sleep 2007

2024/5/24



眠りの仕組み

04 体温変化を賢く利用

【眠りの仕組み】〜04 体温変化を賢く利用〜
眠りの仕組みを見てみましょう。体内時計の作用により、眠るときには体温が下がります。脳のクールダウンが、眠りを誘います。これは逆もまた真なりです。体温が下がると眠くなる。と覚えておきましょう。

ちなみに、テレビドラマなどで冬山で遭難し「眠るな!眠ると死んでしまうぞ!」という場面を見かけますが、これは眠るのではなく気を失っているのです。体温が下がると正しい身体の活動が行えなくなり、最終的に脳の機能が停止してしまいます。気を失うと更に身体の機能低下に拍車がかかります。

逆に、朝起きるときは、体温が上がった状態で、身体が活動的になったところで目が覚めるようになっています。前回もお話ししましたが、日中に活動的に過ごし、しっかりと体温を上げておくことも大事なことです。昼夜の、一日のメリハリをつけることは大事です。

それでも高齢となると、どうしてもホルモン量や相対的な活動量の低下から、体温の変動も少なくなります。図にあるように、一日の体温差が少なくなるのは仕方がないところです。また、睡眠時間が若い頃ほど必要でなくなり、早い時間に目が覚めてしまうことも増えてきます。そうなると、体内時計が早く進んでしまい体温も早めに夜モードになることで、早く眠くなってしまいます。早く寝るから早く目が覚める、この繰り返しでどんどん眠りが早く早く前倒しになってしまうこともあります。

どうしましょう…。
眠りの仕組みを理解すると対処方法も見えてきます。日中は体温をしっかりと上げ、夜は眠る時刻に合わせて体温を下げてやる。これを意識することが良い眠りのヒントです。

【体温と眠りのポイント】
1.朝は体温を上げるように過ごす
 ・いつまでもダラダラと布団にいない
 ・太陽の光を浴びる
 ・朝ごはんは必ず摂る
2.日中は活動的に
 ・活動的に、社交的に過ごしましょう
 ・適度な運動(家事や身体を動かすことでも構いません)
 ・昼寝は15時までに30分程度以内に
3.眠るときは体温が下がるタイミングで
 ・眠る前に激しい運動は控える
   簡単なストレッチなどの睡眠儀式は良し
 ・眠る1時間程度前に入浴し体温を上げ、その後の下がるタイミングで
  床に就く、眠る直前の入浴は控えましょう
   しっかりと体温を上げるためにはシャワーより入浴を
 ・冷え性の方は、ぶかぶかのソックス(綿パイル地)がお勧め、
  いつでも脱げるように
 ・お酒は睡眠を妨げます

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van Coevorden A et al.(1991) Neuroendocrine rhythms and sleep in aging men: American journal of physiology.260
Duffy L et al.(1988) Aging and Circadian Rhythms: American journal of physiology.275

2024/5/28



眠りの仕組み

05 ここは寝ちゃダメ

【眠りの仕組み】〜05 ここは寝ちゃダメ〜
眠くなる仕組みに"ツープロセスモデル"と"フリップ-フロップ スイッチモデル"があります。何だかややこしそうですが、簡単に説明すると…。

"ツープロセスモデル"とは、睡眠の制御は睡眠欲求(睡眠の圧力)と概日リズム(一日の睡眠覚醒のリズム)で眠気を説明するものです。図の実線は睡眠欲求を表し、上に行くほど眠たくなります。また破線は一日の睡眠リズムを示し、上に行くほど覚醒度が高くなります。眠気とは、この睡眠欲求と覚醒度の差で説明できます。

朝起きてから眠気をもよおす物質が徐々にたまり、それが睡眠欲求になります。一方、身体のリズムにより、昼間は覚醒度が高く夜は低くなります。ということは、朝・昼・夜で考えてみると、朝は眠気をもよおす睡眠欲求が解消されていますので、"睡眠欲求レベル"−"概日覚醒レベル"(睡眠欲求と覚醒度の差)=眠気は小さいですね。それからだんだんと睡眠物質がたまってきますが、昼は覚醒レベルが高いため睡眠欲求と覚醒度の差はさほど無く、強い眠気とはなりません。活動様式にも影響されます。夜には睡眠欲求が最大になり、加えて夜は眠くなるリズムにより睡眠欲求と覚醒度の差が大きくなり、眠たい!眠たいぞー!と眠気が強くなるわけです。徹夜や寝不足ではこの睡眠欲求がとんでもなく上(睡眠物質がいつもより多くたまった状態)になってしまいますので、眠気が半端ないわけです。

さてもうひとつ、"フリップ-フロップ スイッチモデル"は、ししおどしに例えられます。起きておくと睡眠物質が徐々にたまってゆき、ある時点でカタンと眠ってしまう。というものです。眠気がたまると眠くなる機序を説明しています。この睡眠物質がたまることは防げませんが、カタンと下を向く(眠ってしまう)のを一時的に止めることはできます。眠くても何かに夢中になっていると眠気が覚めたということはありませんか?それがこの止めた状態です。また、すぐに下を向かないように調整している因子もあり、これが少ないためすぐに眠ってしまう(眠ってはいけないときにも眠ってしまう:ナルコレプシー)という病気もあります。

どちらにも共通する睡眠欲求(睡眠圧)・睡眠物質です。そしてこれをしっかり高めておくと、良い眠気とぐっすりと眠ることにつながります。逆にためておかないと、すっと眠りに入ったり深い睡眠にはつながりません。睡眠欲求(睡眠圧)・睡眠物質を高めて(ためて)おくことがポイントです。日中にうとうとしていませんか?それでは睡眠欲求・睡眠物質がたまりません。次のことに気を付けてみましょう。

【ぐっすり眠るポイント】
・晩ごはんの後にうとうとしない
・短い昼寝以外のうたた寝禁止
・長い昼寝はしない
・休日も平日と同じくらいの時刻に起きる
・夜は強い光を避ける

強い光を避けることは覚醒度を下げることにつながり、結果としてしっかりとした眠気が生まれます。そのために概日リズムを働かせること、前回お話しした体温管理や光を上手く利用するなどの方法があります。光については次回でご説明します。

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睡眠のtwo process model(Borbely AA et al 1982)
Flip-flopスイッチモデル (Saper CB et al 2005)
脳科学辞典:https://bsd.neuroinf.jp/

2024/5/31



眠りの仕組み

06 暗い居間と寝室

【眠りの仕組み】〜06 暗い居間と寝室〜
今回は光と眠りの関係です。以前に(2024/4/19ヒカリノチカラ https://x.gd/Ea7eN)光による体内時計の調整についてお話ししましたが、今回はまた光の別の働きでメラトニンの抑制について、快眠につながるお話です。

【部屋の明るさ】
夜の明るさは重要な影響因子です。夜の光はメラトニンの分泌を抑制します。このことは睡眠を遅らせる作用や眠りの維持に影響します。自宅のお部屋の明るさについて考えてみましょう。

@部屋の明るさ・夕方〜就寝前
・一般家庭の夜の居間の明るさはだいたい500ルクス程度とされていますが、この明るさはメラトニンの分泌を抑制してしまいます。(個人差あり)生活に支障のないくらいに暗めにすることが、眠りやすさ、快眠につながります。100ルクス程度以下(かなり薄暗いです)に抑えるのが良いようです。読書などをされる場合は、手元灯りを利用してみましょう。
・睡眠リズムを考慮すると、おおよそ遅くとも夜9時頃からはこの明るさにしてみましょう。
・この時間帯の強い光は眠気を奪います。最低でもおやすみ前の1時間はテレビやパソコンの視聴を止め、部屋の灯りも暗くして過ごしてみましょう。

A部屋の明るさ・就寝
・寝床でスマホやテレビは厳禁です。明るさは光源からの距離の2乗に逆比例しますので、近くで画面を見るスマホはダメ。光量があまり多くないので、さほど影響はないと言われる諸家もおられますが、避けた方が無難です。寝床でテレビも同様ですね。
・このことは、光の影響の他に脳の興奮状態が上がることも眠れない原因となります。面白い本を寝床で読んでいても眠れなくなるのもこの道理です。
・光とは関係ありませんが、音も重要です。静かな環境にしましょう。音楽を聴きながら眠る方も居られるようですが、タイマーをセットするようにしましょう。歌声(声)は特に覚醒作用があるとも言われています。
・寝室の明るさはできるだけ暗く、真っ暗でも良いです。真っ暗が不安な方は、足元ライトなど、直接光が目に入らないようにしましょう。
・就寝中にトイレに起きることもあると思います。その際は、部屋の灯りは点けず明るくしない方が良いようです。足元が危ない場合は、懐中電灯を使用することをお勧めします。※くれぐれも足元にご注意ください。
・カーテンは厚めで遮光効果のあるものを選びましょう。外からの灯りが眠りに影響します。また、夏場は早く外が明るくなりますので、その明るさで早く目覚めてしまいやすくなります。

【これ注意!子どもへの影響】
夜の光の影響を示してきましたが、これは覚えておいてください。
「夜の明るさの影響は、大人よりも子どもに影響が大きい!」
人の目には水晶体があり、これを通して外の光や景色を感知しています。この水晶体、大人よりも子どもの方がだんぜん透き通っています。そのせいで、光の影響を子どもは大人よりも強く受けてしまいます。同じ光の中で過ごしても、子どもの睡眠への影響は大きくなります。

【ポイント】
・夜の居間はできるだけ暗めに
・21時以降は暗くしましょう
・寝床でスマホ、テレビは禁止
・寝室は真っ暗、カーテンは厚め
・明るさは子どもの睡眠に強く影響


光を利用し、しっかり目覚めぐっすり眠りましょう。

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小山恵美(2013):応用講座 睡眠改善学;日本睡眠改善協議会 編,光の利用による睡眠改善法.図31,p31
大阪市立科学館:照度と明るさの目安(こよみハンドブック)

2024/6/4



眠りの仕組み

07 眠って起きてその間

【眠りの仕組み】〜07 眠って起きてその間〜
今回と次回は眠り・睡眠の概要について少し掘り下げてみます。今回は一晩の睡眠の経過について、次回は睡眠の種類についてお話し、快眠につなげるポイントをみてみます。
1.睡眠の種類
1)ノンレム睡眠:脳を休める睡眠です。(N1、N2は浅い睡眠、N3は深い睡眠)
2)レム睡眠:記憶を整理、定着させます。夢を見ています。

2.睡眠の経過
図は床に入ってから起床までの睡眠の流れ(深さ)を表したものです。就寝のためベッドに入った時点から起床までの時間の経過を表しています。下へ行くほど深い睡眠で、Wakeは覚醒を示しています。この覚醒は、目が覚めてトイレに行くような覚醒から、3秒程度の本人が覚えていないような覚醒も含まれています。
入眠するとまずノンレム睡眠が現れどんどんと深い眠りに入り、90分程度でレム睡眠に移ります。これを一つのセットとして起床までに3〜5回繰り返します。深い睡眠は前半に、レム睡眠は後半に多く現れます。

1)子どもの睡眠
成人に比べ早めに深い睡眠に入り、しかも長く続きます。何度も深い睡眠に入ることも多くなります。
2)高齢者の睡眠
若年者に比べ全体の睡眠時間は短くてよくなります。深い睡眠は減り、目も覚めやすくなります。
3)睡眠時無呼吸症候群の睡眠
図を見ておわかりの通り、覚醒が増え深い睡眠が現れにくくなります。息が止まると苦しくなり目が覚めますが、目が覚めるのは短時間のため本人はそれを覚えていないことが多く、いびきも眠っている間のことであるため気付かないことが多いようです。これだけ眠れていなければ、日中に眠気があるのも頷けます。

おおよその毎晩の睡眠の流れが理解できましたでしょうか。ここからわかる快眠のポイントは、
【快眠に活かすポイント】
子どもの成長には睡眠が必要です。しっかりと睡眠時間をとりましょう。
高齢者は必要睡眠時間が短くなり、早寝をすると早く目覚めすぎてしまいます。むしろ遅寝早起きで。
睡眠休養感を確認してみましょう。目覚めたときの休養感、日中の疲れやすさはいかがでしょう。
睡眠時間の確認は良い指標になります。睡眠日誌や睡眠アプリを使い確認するのは良い試みです。
日中の眠気は夜に眠れていない証拠。睡眠時間が足りているか、睡眠そのものや環境に問題はないか確認します。

※睡眠に問題に気付き対処を試みても改善しない場合は、病気が潜んでいる可能性があります。医療機関を受診しましょう。

次回それぞれの睡眠の特徴と快眠に活かすポイントをお話しします。

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Dement, W. Kleitman, N.(1957).The Relation of Eye Movements During Sleep to Dream Activity: An Objective Method for the Study of Dreaming.
睡眠経過図(模式的な作図):高津作成,2024

2024/6/7



眠りの仕組み

08 深ぁ〜い眠り

【眠りの仕組み】〜08 深ぁ〜い眠り〜
今回は睡眠の種類を見てみましょう。睡眠って、寝てるだけで目が覚めれば朝じゃないの?いえいえ、眠っている間に、頭の中ではいろいろな変化が起こっています。大別するとノンレム睡眠とレム睡眠に分けられます。

【睡眠の種類】
1)ノンレム睡眠:脳を休める睡眠です。(脳の疲労回復)
2)レム睡眠:記憶を整理、定着させます。夢を見ています。
今回はノンレム睡眠についてお話しします。

【ノンレム睡眠(non-REM睡眠)】
1)脳を休める睡眠で脳の疲労回復
  脳がオーバーヒートしないように脳活動は低下しクールダウンを行います。
2)一晩で浅い睡眠と深い睡眠を行き来する
  浅い睡眠では脳波の振幅が低くなったり、深い睡眠ではゆっくりとした波が見られます。
3)深い睡眠割合は年齢とともに減少
  深い睡眠の割合は加齢とともに変化し減ってゆきます。これは、加齢とともに活動性が低下するためであるとも言われています。ただし、しっかりと身体を動かせば、長く眠る必要があります。
  およそ10年で15分づつ短くなると言われています。25歳:7.0時間、44歳:6.5時間、65歳:6.0時間 ※個人差あり
4)加齢で中途覚醒の回数や時間は増える
  睡眠途中で目が覚める中途覚醒、トイレ以外でも加齢で目が覚めることが増えてきます。
5)睡眠中の主なホルモンと働き
  眠る頃から睡眠ホルモンのメラトニンが上昇し、眠りを誘います。
  最初の深い睡眠で多くの成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは身体の成長の他、筋肉やお肌などの細胞の修復・疲労回復を行います。巷で「夜の10時〜2時はお肌のゴールデンタイム」などと言われることがありますが、実際は入眠し最初の深い眠りに入ったタイミングが時刻に関係なくゴールデンタイムです。(ただし概日リズムにより昼より夜の方が出やくなります。)
  明け方にはコルチゾールの分泌が増え、行動的な状態になり朝の目覚めを準備します。
6)認知症と睡眠
  ノンレム睡眠時には脳脊髄液の還流が活発になり、アルツハイマー型認知症の原因とされているアミロイドβを洗い流します。

【ノンレム睡眠と快眠のポイント】
・若い頃のように眠れないのは当たり前
  加齢とともに睡眠時間は短くなるため、高齢の方は早く寝床に入ると早く目覚めてしまいます
・ノンレム睡眠で身体の成長・修復
  ゴールデンタイムは眠って最初の深い眠り。お肌と身体の修復と疲労回復、環境と体調を整えて深い眠りを。灯りは暗く、体温のメリハリ(入浴など)、副交感神経を優位に(リラックス)
・ぐっすり眠って認知症予防
  深い眠りで老廃物除去、心地よい疲れで深い睡眠(運動のすすめ)
・睡眠時間の確保
  睡眠不足は肥満のもと、睡眠不足は肥満ホルモン(レプチン、グレリン)に影響し肥満を助長します
・しっかり眠ると免疫アップ
  風邪もひきにくくなります

次回は夢見る睡眠、レム睡眠についてお話しします。

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van Coevorden A et al.(1991) Neuroendocrine rhythms and sleep in aging men: American journal of physiology.260
Spiegel k et al.(2004), 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)

2024/6/11



眠りの仕組み

09 夢みるねむり

【眠りの仕組み】〜09 夢みるねむり〜
前回に続き睡眠の種類を見てみましょう。今回は夢見る睡眠、レム睡眠についてお話しします。

【睡眠の種類】
1)ノンレム睡眠:脳を休める睡眠です。(脳の疲労回復)
2)レム睡眠:記憶を整理、定着させます。夢を見ています。

レム睡眠はこれを表す英語の頭文字で、Rapid Eye Movements:REM からレム睡眠と名づけられました。文字通り、眠ってはいますが瞼をよく見ると、キョロキョロと急速に左右に眼球運動をしています。このとき身体は脱力し、夢を見ています。機能的には、記憶を整理したり定着させる睡眠といわれています。

【レム睡眠・睡眠全般のはたらき】
1)脳を休める
  レム睡眠では脳内血流が活発となり、栄養補給や老廃物除去を積極的に行うとされています。
2)記憶を整理・定着させる
・学業成績
  試験前に一夜漬けで徹夜!よく聞くお話です。しかしこれは効果的ではありません。眠ることにより記憶が定着します。また、睡眠時間が短い=就寝時刻が遅い子は、学業成績が低下しています。
・運動機能
  自転車の乗り初めなどで、前日はうまく乗れなかったのに眠った翌日に何となく乗れちゃった。という経験はありませんか?
  Walkerらによれば、トレーニングをした後にすぐテストを行う場合と、トレーニング後に睡眠をとり翌日にテストをした場合を比較すると、間に睡眠を挟んだ方が成績が良く加えて継続することを報告しています。
3)身体の休息
  レム睡眠では全身の筋肉が脱力することから、身体の休息をしているのではないかと言われています。

【レム睡眠の異常】
1)金縛り
  レム睡眠期は身体が脱力します。レム睡眠時に目が覚めると、目はぼんやり見えているのに身体が動かず「金縛り」のような状態になることがあります。ストレスや不規則な睡眠時間が引き金になるとされています。頻度が高い場合は、疾病が潜んでいる場合もあります。
2)ナルコレプシー
  レム睡眠は通常深い睡眠の後に出現しますが、ナルコレプシーの場合は眠りについた直後に出現することが多いようです。金縛りの頻度が高くなるようです。この他、日中の耐え難い眠気(会話中にも眠ってしまう場合あり)や喜怒哀楽でガクッと力が抜ける脱力発作を生じることもあります。
3)レム睡眠行動障害
  レム睡眠のときには夢を見ていますが、この時には脳からの運動指令は遮断され身体が動くことはありません。レム睡眠行動障害があると、夢の通りに身体が動いてしまいます。そのため、ベッドパートナーを叩いたり蹴ったり、場合によっては立ちあがる、壁を殴るなどで怪我をすることもあります。
  この病気の際は、パーキンソン病やレビー小体型認知症になりやすいとされており注意が必要です。

【レム睡眠と快眠ポイント】
・レム睡眠は、生涯を通じてあまり長さは変わらないので、レム睡眠時間を長くすることは考えなくても良いです。普通の睡眠をしっかりととることが大事です。
・上述の症状や睡眠の異常を認める場合は、医療機関を受診しましょう。

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山口県山陽小野田市教育委員会資料(2006)
Walker MP, Brakefield T, Morgan A et al. Practice with sleep makes perfect: Sleep-dependent motor skill learning. Neuron 35; 205-211, 2002.

2024/6/14



眠りの仕組み

10 眠りの病気(前編)

【眠りの仕組み】〜10 眠りの病気〜(前編)
今回は睡眠に関する病気をみてみます。前編は1.不眠症、2.睡眠関連呼吸障害、3.中枢性過眠症をご紹介します。
(後編では4.概日リズム・覚醒障害、5.睡眠時随伴症、6.睡眠関連運動障害などをお話しします。)

睡眠の病気は、本人が特にお困りの場合に加え、おやすみ中のことで本人が気づかない場合もあり、ご家族で情報を共有、病気を知っておくことが大事になります。
また、重篤化すると回復しづらくなることもありますので、早めに医療機関を受診することが肝要です。不適切な生活習慣・睡眠習慣が原因の不眠や睡眠不足の場合は、これらの改善が効果的です。

【睡眠の病気】
<参考:睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3:2013年)>
1.不眠症

(概要)ストレスなどによる一過性の不眠に加え、不眠と日中の不調が週に3日以上・3カ月以上続くと慢性的な不眠状態とされます。
(分類)入眠困難(寝付けない)、中途覚醒(何度も目が覚める)、早朝覚醒(早く目が覚めてそれ以上眠れない)など
(症状)疲労感や倦怠感、注意力や集中力の低下、やる気・気力の低下、学業低下、いらいら、日中の眠気など

2.睡眠関連呼吸障害群
(概要)眠っているうちに息が止まる(息苦しくなる)病気です。苦しくて何度も脳が目覚め、睡眠が分断されます。
(分類)閉塞性睡眠時無呼吸症候群(肥満や加齢などにより喉がふさがる)、中枢性睡眠時無呼吸症候群(脳や心臓の病気による)など
(症状)閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合は、いびき、日中の眠気、注意力低下、交通事故発生の他、小児では落ち着きがない、成績低下や成長に影響を及ぼすこともあり

3.中枢性過眠症群
(概要)耐え難い眠気が主症状の病気です。季節や周期的に過眠が生じるものもあります。
(分類)ナルコレプシーでは眠気のほか喜怒哀楽でガクッと力が抜けたり金縛り症状が出ることがあります。長時間睡眠者も含まれます
(症状)日中の耐え難い眠気(抗えない眠気)、会話中に眠ってしまうこともあり

【ここがポイント】
1)まず症状に気づき、病気を自覚することが大事です
2)心当たりがある場合は、ひとりで悩まず医療機関を受診、相談しましょう
3)どれも適切な診断と治療が必要です。思い込みや自己判断による解決は避けた方が無難です
4)行動起因性の不眠や睡眠不足の場合は、生活習慣の改善が効果的です

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors.Shi G. et.al.Neuron(2019)

2024/6/18



眠りの仕組み

11 眠りの病気(後編)

【眠りの仕組み】〜11 眠りの病気〜(後編)
後編は4.概日リズム・覚醒障害、5.睡眠時随伴症、6.睡眠関連運動障害などをお話しします。

これらの睡眠の病気は、本人が特にお困りの場合に加え就寝中のことでご本人が気づかない場合もあります。また治療にはご家族の協力が必要な場合もあります。ご家族で情報を共有、病気を知っておくことが大事になります。

また、重篤化すると回復しづらくなることもありますので、早めに医療機関を受診することが肝要です。不適切な生活習慣・睡眠習慣が原因の不眠や睡眠不足の場合は、これらの改善が効果的です。

【睡眠の病気】
<参考:睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3:2013年)>
4.概日リズム睡眠・覚醒障害群
(概要)睡眠・覚醒リズムが整っていない状態です。不規則な生活リズム習慣や、働く環境が原因の場合もあります。
(分類)睡眠相前進症候群、睡眠相後退症候群、非24時間睡眠覚醒障害、時差障害、交代勤務障害など
(症状)起床困難、入眠困難、不登校、うつ、頭重感、注意力低下、疲労感、ぼんやりするなど

5.睡眠時随伴症群
(概要)睡眠中に生じる望ましくない現象です。
(分類)ねぼけ、歯ぎしり、悪夢、夜驚症、夜尿、レム睡眠行動障害など
(症状)上記症状のほか、レム睡眠行動障害では、夢のまま身体が動き自分やベッドパートナーが負傷することがあります。パーキンソン病やレビー小体型認知症になりやすいとされており注意が必要です

6.睡眠関連運動障害群
(概要)睡眠中や睡眠前後に出現する、無意識な身体の動きや不快感覚により睡眠が妨げられます。
(分類)むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)、周期性四肢運動障害など
(症状)むずむず脚症候群では特に夜に安静にしていると(寝ようと寝床に入る頃)足がむずむずするような不快な感覚により足を動かさずにはいられなくなります。動かすとおさまりますが、安静にするとまた生じます。このため眠りが妨げられます。周期性四肢運動障害も併発することがあり、これは周期的に足がピクピクと意図せず動いてしまいます。

7.その他の睡眠障害
(概要)上記に分類されない睡眠障害です。

病気ではありませんが、ネットでよく「短時間睡眠のススメ」、「短眠は最強スキル」などの情報を目にすることもあるかと思いますが、短時間睡眠は訓練してできるものではなくほぼ遺伝子に支配されています。短時間睡眠者(ショートスリーパー)は1%以下の頻度とされています。(特定の遺伝子を持つものは0.004%)しっかりと十分な良い睡眠をとりましょう。

【ここがポイント】
1)まず症状に気づき、病気を自覚することが大事です
2)心当たりがある場合は、ひとりで悩まず医療機関を受診、相談しましょう
3)どれも適切な診断と治療が必要です。思い込みや自己判断による解決は避けた方が無難です
4)行動起因性の不眠や睡眠不足の場合は、生活習慣の改善が効果的です

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors.Shi G. et.al.Neuron(2019)

2024/6/21



経済損失15兆円

Sleep! Japan

【睡眠科を診療科名に追加へ】
今回はトピックス的な内容です。加えて15兆円!睡眠の不調による経済損失の話題も。

診療科名の見直し検討により「睡眠科」の標榜が可能となることが報道されました。来年度からの施行を予定しています。
診療科名を分かりやすく表記することで、患者が医療機関を選択しやすくするものです。(診療科名の見直しは2008年以来)

現在、医療機関が掲示・広告できる診療科名は「 標榜(ひょうぼう )診療科」と呼ばれ、厚生労働省が医療法に基づき定めています。
「内科」「外科」「小児科」などのように単独で標記できるもの20種類あり、これ以外に組み合わせて標記する「呼吸器内科」「糖尿病内科」「心臓血管外科」「脳神経外科」などが可能です。

今後は「睡眠内科」「睡眠精神科」「睡眠耳鼻咽喉科」などの標榜により、私たちが病状に合わせた診療科を探すことができそうですね。例えば、眠れない全般は「睡眠内科」を、うつ病を伴うものであれば「睡眠精神科」であったり、いびきが気になるのであれば「睡眠耳鼻咽喉科」のような選択です。

日本人は睡眠時間が短く、睡眠にかかる不調は「国民病」であるともされています。経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本人の1日あたりの平均睡眠時間は7時間22分で、調査33か国中で最も短い結果でした。また、厚生労働省の国民健康・栄養調査では、睡眠で十分な休養が取れていない人の割合は21.7%に上るとされています。睡眠時無呼吸では潜在患者数が人口の2〜3%(約250万人)になると推計されています。

このような慢性的な睡眠不足は、高血圧や糖尿病、うつ病などのリスクを高める恐れがあります。子どもさんにおいては、成長が妨げられたり成績の悪化、怪我や交通事故リスクが上がることが知られています。

また、睡眠不足(睡眠障害)による日本の経済損失は年間約15兆円(2016・当時のレート)とされています。ゆゆしき数字ですね。

1993年に米国睡眠障害調査研究委員会が議会に提出した報告書は「Wake Up America(目覚めよアメリカ)」と題されていました。現在の日本の状況は、まさに「Sleep! Japan(眠れ!日本)」ですね。

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厚生労働省の国民健康・栄養調査(2018)、経済協力開発機構(OECD)の調査(2021)
Hafner, Marco, Martin Stepanek, Jirka Taylor, Wendy M.Troxel and Christian van Stolk(2016)Why Sleep Matters? The Economic Costs of Insufficient Sleep: A Cross-country Comparative Analysis, RAND Corporation, RR-1791-VH.
Hirshkowitz M, Whiton K, Albert SM, Alessi C, Bruni O, DonCarlos L, Hazen N, Herman J, Adams Hillard PJ, Katz ES, et al. National Sleep Foundation's updated sleep duration recommendations: Final report. Sleep Health 1:233- 243, 2015.

2024/6/25



睡眠は質?量?

【睡眠は質?量?】
次回より睡眠の問題とその対策をお話ししようと思います。今回はその始まりとして睡眠の質と量のことを少しお話しします。

眠れない、眠れていない、問題は様々です。眠れるための対処・対応の考え方として、睡眠に係る症状からその原因と対策を考えるか、それとも睡眠と睡眠周囲の諸要因から考えるか、それぞれの考え方に長所・短所があります。その一つとして、まず、症状から考えてみます。睡眠の問題として、
 1) 眠れない
 2) 何度も目が覚める(眠りが途切れ途切れ)
 3) 早く目覚めてしまう(眠りが続かない)
 4) 眠い
 5) 眠った気がしない
 6) 眠っているときの好ましくない問題(呼吸、行動など)
 7) こころの病
などがあげられます。スパッと分類されたようで、実は症状と原因はそれぞれが絡み合っていますので、「このときはこれをすれば良い!」というようなスッキリした解決策が無いのが現状です。それぞれを少しづつでも見直すことで、最終的に睡眠の問題が改善されると理解しましょう。残念ながら、良い眠りへの特効薬や直通パスポートは無いのが現状です。

逆を考えると、「これをすれば必ず睡眠改善!」や「このサプリで眠りは劇的に改善!」のようなキャッチコピーは、ちょっと立ち止まって見直してくださいね。このコラムをお読みの方はよくご存じでしょうし納得できると思います。

睡眠には質の問題量の問題があるのですが、質の評価は個人差もあり判断が難しいところです。それでも睡眠により頭や身体が休まっているかどうか、すなわち「睡眠休養感」を確認することが、睡眠の質の評価には良いようです。量の評価は「睡眠時間」です。

そして、質と量を問われたら、まずは量を確保してくださいとお伝えします。特に学生から働き盛りの方はなおさらです。しっかりと睡眠時間を確保してください。逆に高齢者は、布団の上に長く居すぎないようにしてください。長寝を控えて遅寝・遅起きが良いようです。

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2024/6/28



眠れない?眠たい?

あなたの睡眠の問題は

【眠れない?眠たい?】〜あなたの睡眠の問題は?〜
睡眠のお悩みは深刻・切実です。しかしながらそのお悩みの本質をはっきりとさせることはなかなか困難です。

眠れないのか眠たいのか、眠れないこと=昼間に眠たい場合もありますし、両者は密接に関係しておりその線引きが難しい場合も多々認めます。例えば昼間に「眠たい」が主症状の方が実は睡眠時無呼吸で夜に「眠れていない」ということがありますし、逆に夜に「眠れない」が主症状の方が実は昼間「眠く」て長い昼寝をしていた。ということも見受けられます。

睡眠にお悩みがある場合、それがどういうお悩みなのかをはっきりと認知・理解することはとても大切です。まず睡眠の悩みの種類をはっきりさせてみましょう。

今回は「眠たい?眠れない?〜あなたの睡眠の問題は?〜」です。
さぁ、次の問いに答えてみてください。満足のいく睡眠がとれてるかどうかの質問です。

  START
睡眠の問題がある
    
不眠に加え、食欲低下、興味の減退がある
  No↓ Yes→@
睡眠中の呼吸停止があるor強いいびきに加え日中の過剰な眠気がある
  No↓ Yes→A
夜間の異常感覚・異常運動など睡眠に関連した感覚・運動症状がある
  No↓ Yes→B
十分な睡眠を確保しているにもかかわらず、日中の過剰な眠気がある
  No↓ Yes→C
睡眠中に大声、手足を動かす、歩き回るなどの異常行動
  No↓ Yes→D
昼夜逆転など睡眠・覚醒できる時間帯の異常
  No↓ Yes→E
不眠がある →FG

@うつ病の疑い
  精神科・心療内科を受診
A睡眠関連呼吸障害の疑い
  睡眠中に何度も呼吸停止が起こり覚醒を生じる:睡眠時無呼吸症候群など
B睡眠関連運動障害の疑い
  脚がむずむずしたり火照ったりしてよく眠れない:レストレスレッグズ症候群、周期性四肢運動障害など
C中枢性過眠症の疑い
  ナルコレプシーなどの過眠症ほか(睡眠時無呼吸症候群により眠気が強い場合あり)
D睡眠時随伴症の疑い
  睡眠中に異常行動を示す:夢遊病、レム睡眠行動障害など
E概日リズム睡眠障害の疑い
  適切な時間に寝たり、起きたりできない:睡眠相後退症候群など
Fその他の原因による不眠症の疑い
  寝つきが悪い、何度も目を覚ます、早く目が覚める、ぐっすり眠れない、精神生理性不眠など
Gその他の睡眠障害
  睡眠にともなう頭痛やてんかん、場合によっては不適切な睡眠環境・寝具など

症状や原因は複合(重複)して出現することもあります。
日常生活や睡眠衛生の見直しにより改善する場合もありますが、症状が強いあるいは長引く、以前に睡眠障害を診断されたことがある場合などは、早めに医療機関を受診してください。

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厚労省精神・神経疾患研究委託費・睡眠障害医療における政策医療ネットワーク構築のための医療機関連携ガイドライン班による睡眠障害の鑑別診断フローチャート

2024/7/2



眠たい・息が止まる

睡眠時無呼吸症候群
(閉塞性)

【眠たい・息が止まる】〜閉塞性睡眠時無呼吸症候群〜
今回は眠たい睡眠の問題で代表的な睡眠時無呼吸症候群について、この回では概要を、次回は睡眠時無呼吸症に該当するかどうかのチェックリストを提示します。

【睡眠時呼吸障害】
国際睡眠障害分類(ICSD-3)にて、下記の閉塞性睡眠時無呼吸症候群、脳や心臓の異常による中枢性睡眠時無呼吸症候群、低換気症候群などに分類されます。これらの中で最も頻度が高い「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」について取り上げます。

【原因】
睡眠中に、呼吸する空気の通り道がふさがれたり狭くなったりすることで起こります。舌や咽頭周囲の脂肪蓄積による狭小化、加齢による虚脱しやすさ、小児ではアデノイドなどが原因となることが多いようです。
前述のように加齢や肥満が主要因ですが、元々が構造的に狭い方も居られほか、日本人は骨格的に肥満が無くとも無呼吸を生じやすいとされています。また、喫煙や飲酒による軟組織の腫れが閉塞を助長し悪化する場合もあります。
いびきを含め軽い症状の有病率は6割を超えるという報告もあります。*1

【診断
医療機関を受診し、問診の結果に加え自宅でできる簡易モニターあるいは脳波を含めた睡眠ポリグラフ(PSG)により診断されます。
有症状に加えこれらの検査により、無呼吸低呼吸指数≧5回/時以上(1時間に5回以上の呼吸停止・低下頻度)または一晩に30回以上の呼吸停止・低下を認めれば、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
無呼吸低呼吸指数が5〜15回/時未満を軽症、15〜30回/時未満を中等症、30回/時以上を重症とします。20回/時以上であれば、後述のCPAP治療が保険適応となります。
重症の場合、未治療放置により9年後には生存率が6割程度(4割死亡)になるという報告もあります。*2

【症状】
日 中:眠気、起床時の頭痛、集中力や注意力の低下、倦怠感、休息感の無さ、目が覚めると口がカラカラ、小児では落ち着きがない・低成長 など
睡眠中:いびき、眠りが浅い、寝汗、息が詰まる、夜間頻尿、寝言が多い など
交通事故、労災事故、就業効率の低下、高血圧、糖尿病、不整脈、心・脳血管疾患の合併などを認める場合も多々あります。

【治療】
横向きに寝る、肥満の方は減量のほか、中等度以上であればCPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療が第一選択となります。
軽症であればマウスピースによる気道確保も選択肢となります。ケースにより外科的処置や舌下神経刺激療法が適応になる場合もあります。
今のところ(2024年6月)薬物による直接的な治療方法はありません。また、民間療法や器具は根拠や効果が疑問視され、使用すべきではありません。
あくまで一般的な内容になりますので、実際の診断・治療は医療機関を受診してください。

次回は閉塞性睡眠時無呼吸症候群のチェックリストをご紹介します。

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*1 睡眠時無呼吸症候群に係る研究・開発,普及.独立行政法人労働者健康安全機構(2018)
*2 He J, et al : Mortality and apnea index in obstructive sleep apnea. Chest 94 : 9―14(1988)

2024/7/5



睡眠時無呼吸症候群
(閉塞性)

チェックリスト

【眠たい・息が止まる】
〜閉塞性睡眠時無呼吸症候群チェックリスト〜

今回は、睡眠時無呼吸症(閉塞性)に該当するかどうかのチェックリストをです。症状などは前回(2024/7/2)をご参照ください。

「睡眠時無呼吸(閉塞性)」は、太ったおっさんがお酒を飲んでゴーゴーいびきをかいて寝ている最中に息が止まる!などのイメージがあるかもしれません。ところが実は、どの年齢でも発症する可能性があります。確かに働き盛りでの頻度が高いのは事実であり、加齢が重要なファクターですが、若い方でも発症します。女性の場合は閉経後のホルモン変化が特に影響します。その他、肥満、飲酒、喫煙、遺伝、骨格、他の疾患との相互関係などが危険因子となります。

自身ではなかなか気付かない(気付けない)ことが大きな問題です、周りの方にも聞いてみてください。それではチェックしてみましょう。
※該当の場合は、医療機関を受診し、まずは現状を確認することが第一歩です。

    【確認項目】
 □ 1.まわりからの無呼吸の指摘
 □ 2.高血圧がある
   (若年または服用2剤以上は特に注意)
 □ 3.糖尿病がある
 □ 4.肥満がある(※ただし痩せの無呼吸もあり)
     BMI≧25または20歳時より10キロ以上太った
 □ 5.いびきをかく
   (かなり大きい場合は更に注意)
 □ 6.眠りが浅い・寝汗をかく
 □ 7.トイレに何度も起きる
 □ 8.日中の眠気、注意力や集中力の欠如
    疲労感がある(※不眠でも生じる場合あり)

【閉塞性睡眠時無呼吸症候群】
1.があてはまる場合は、たいへん無呼吸の疑いが強くなります
2.3.については、かかりつけ医に相談してみましょう
ひとつでも当てはまれば睡眠時無呼吸症候群の疑いが強く、当てはまる数が多いほど更に疑いは強くなります
※症状が必ずしも当てはまらない場合もありますので注意が必要です。
※他の疾患と症状は複合(重複)する場合がありますのでご注意ください。
※医療機関の受診を念頭にご確認ください。

高血圧:収縮期140mmHg以上 かつ/または 拡張期90mmHg以上
    (家庭血圧ではそれぞれ 135/85を目安にしてください)
BMI:体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m) ※標準=22

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※記載のチェックリストは下記を参考に高津が作成
Scottish Intercollegiate Guidelines Network(SIGN)による成人における睡眠時無呼吸症候群(SAS)のガイドライン
Using the Berlin Questionnaire to identify patients at risk for the sleep apnea syndrome N C Netzer 1, R A Stoohs, C M Netzer, K Clark, K P Strohl
睡眠呼吸障害スクリーニング質問紙日本語版の信頼性と妥当性,小島重子ほか,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌第17巻第3 号(2007)
眠時無呼吸症候群に係る研究・開発,普及.独立行政法人労働者健康安全機構(2018)
睡眠習慣の啓発に関する研究,谷川武,循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(2015)

2024/7/9



眠りの状態セルフチェック

(アテネ不眠尺度)

【眠りの状態セルフチェック】
今回は「アテネ不眠尺度」を用いて、ご自身の睡眠の状態を確認してみましょう。

下記の8つの質問に答えてください。”過去1か月間”に少なくとも”週3回以上”経験したものについて、各質問の4つの選択肢の中から一つを選び点数を合計します。
【質問】
Q1.寝床についてから実際に寝るまで、時間がかかりましたか?
  0点 いつもより寝つきはよい
  1点 いつもより少し時間がかかった
  2点 いつもよりかなり時間がかかった
  3点 いつもより非常に時間がかかった、あるいは眠れなかった
Q2.夜間、睡眠の途中で目が覚めましたか?
  0点 問題になるほどのことではなかった
  1点 少し困ることがある
  2点 かなり困っている
  3点 深刻な状態、あるいは全く眠れなかった
Q3.希望する起床時間より早く目覚め、それ以降眠れないことはありましたか?
  0点 そのようなことはなかった
  1点 少し早かった
  2点 かなり早かった
  3点 非常に早かったか、全く眠れなかった
Q4.夜の眠りや昼寝も合わせて、睡眠時間は足りていましたか?
  0点 十分である
  1点 少し足りない
  2点 かなり足りない
  3点 全く足りない、あるいは全く眠れなかった
Q5.全体的な睡眠の質について、どう感じていますか?
  0点 満足している
  1点 少し不満である
  2点 かなり不満である
  3点 非常に不満である、あるいは全く眠れなかった
Q6.日中の気分はいかがでしたか?
  0点 いつも通り
  1点 少し滅入った
  2点 かなり滅入った
  3点 非常に滅入った
Q7.日中の身体的及び精神的な活動の状態はいかがでしたか?
  0点 いつも通り
  1点 少し低下した
  2点 かなり低下した
  3点 非常に低下した
Q8.日中の眠気はありましたか?
  0点 全くない
  1点 少しあった
  2点 かなりあった
  3点 激しかった

合計点数が 1〜3 点: 睡眠の問題は低そうです。
合計点数が 4〜5 点: 不眠症の疑いが少しあります
合計点数が 6点以上: 不眠症の可能性が高いです

一万人を調査した「西川睡眠白書2023 〜日本人の睡眠調査〜」では、睡眠の質や満足度は30代が最低に、睡眠時間の満足度は40代が最低になっており、子育て世代、働き盛り世代で満足度が低くなる傾向が伺えます。

睡眠に問題がある場合は、「健康の窓」ホームページの快眠コラムを参考に、生活習慣および睡眠衛生の改善を図ってみましょう。
*生活習慣や睡眠衛生を見直し、それでもなお睡眠の問題が改善されない場合は病気が潜んでいる可能性もあります。その際は医療機関を受診しましょう。
*上記にて点数が高い場合、強く睡眠の問題がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

次回は、睡眠症状のチェックリストをご紹介します。また、今後は、快眠の秘訣についてお伝えしてゆきます。次回以降もぜひご覧ください。

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(参考) アテネ不眠尺度は、世界保健機構(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成した世界共通の不眠判定法です。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、その点数により不眠症であるかの診断を行います。
@寝つきA中途覚醒B早朝起床C総睡眠時間D睡眠の質E日中の気分F日中の活動G日中の眠気について評価します。
(出典) 日本語版アテネ不眠尺度:Okajima I, Nakajima S, Kobayashi M, Inoue Y. Development and validation of the Japanese version of the Athens Insomnia Scale. Psychiatry Clin Neurosci.2013;67(6):420-5.
西川睡眠白書2023〜日本人の睡眠調査〜.西川株式会社.日本睡眠科学研究所
質問内容:長時間労働の医師への健康確保措置に関するマニュアル.厚生労働省(2022)より抜粋

2024/7/12



眠りの問題セルフチェック

(不眠の症状確認)

【眠りの問題セルフチェック】
今回は睡眠に問題がある場合の、その要因について確認してゆきます。ご自身の睡眠の状態を確認してみましょう。

*生活習慣や睡眠衛生を見直し、それでもなお睡眠の問題が改善されない場合は病気が潜んでいる可能性もあります。その際は医療機関を受診しましょう。
*このフローチャートで該当する場合があっても自己判断はせず、必ず医療機関を受診しましょう。

 不眠の症状確認フローチャート
     ▼
 生活習慣や寝室の睡眠環境に問題 ⇒YES⇒ 環境因による不眠
   NO▼
 身体疾患による睡眠妨害 ⇒⇒⇒⇒⇒YES⇒ 身体因による不眠
 (疼痛、掻痒)
   NO▼
 睡眠を障害しうる薬剤を服用 ⇒⇒⇒YES⇒ 薬剤性不眠
   NO▼
 頻回の中途覚醒、あるいは過眠 ⇒⇒YES⇒ 睡眠時無呼吸症候群
 睡眠中の窒息感
 呼吸停止により中断される激しいイビキ
   NO▼
 入眠障害、就床時下肢の異常感覚 ⇒YES⇒ むずむず脚症候群
   NO▼
 入眠障害、さらに中途覚醒   ⇒⇒YES⇒ 周期性四肢運動障害
 睡眠時の下肢不随意運動の自覚
 睡眠中の体動の増加
   NO▼
 著しい入眠障害と起床困難 ⇒⇒⇒⇒YES⇒ 睡眠相後退症候群
   NO▼
 中途覚醒、早期覚醒、⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒YES⇒ うつ病
 抑うつ感、興味喪失
   NO▼
 早朝覚醒    ⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒YES⇒ 睡眠相前進症候群
 夕方からの眠気             (高齢者の早朝覚醒)
   NO▼
 中途覚醒 ⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒YES⇒ 中途覚醒型不眠症
   NO▼
 入眠障害のみ ⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒⇒YES⇒ 入眠障害型不眠症
                        精神生理学的不眠

不眠症状は、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒に分けられます。どの症状も加齢とともに頻度が高くなります。加齢の影響は排除できませんが、生活習慣や睡眠衛生の見直しにより改善できる場合もあります。

次回は眠気を測るチェックリストをご紹介し、以降は睡眠の改善手段や快眠の秘訣についてお伝えしてゆきます。

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内山真:睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版.67,じほう(2019)
鈴木正泰:不眠の鑑別診断とその進め方.日大医誌.79(6):337-340(2020)
降籏隆二他:一般成人における不眠症状と性差について.女性心身医学,19.103-109(2014)

2024/7/16



眠気のセルフチェック

エプワース眠気尺度

【眠気のセルフチェック】
今回は眠気のセルフチェックです。以下の8つの質問に答えてみてください。それぞれの場面でどれくらい”うとうと”するか、そのような機会が無ければ想像して答えてくださって結構です。終わりましたら、1)〜8)のそれぞれにあてはまる数字(点数)を合計します。

【眠気のテスト】
うとうとする可能性は…
ほとんどない: 少しある: 半々くらい: 高い:
 1) すわって何かを読んでいるとき(新聞、雑誌、本、書類など)
 2) すわってテレビを見ているとき
 3) 会議、映画館、劇場などで静かにすわっているとき
 4) 乗客として1時間続けて自動車に乗っているとき
 5) 午後に横になって、休息をしているとき
 6) すわって人と話をしているとき
 7) 昼食をとった後(飲酒なし)、静かにすわっているとき
 8) すわって手紙や書類を書いているとき

【結果】
11点以上強い眠気があります
ただし、6点を超えてくると眠気の自覚があるとされ、眠気が強ければ強いほど合計点数は大きくなります。

11点以上の方の割合は約9%であったとの報告もあり、およそ10人に一人が自覚的な眠気を覚えています。年代別では、若い方・働き盛り・高齢者で高くなる”W”型を示しています。
眠気が生活習慣や生活スタイルに起因する場合など、睡眠衛生の改善により眠気を低下させることができる場合もあります。

※本テストは、自覚的な眠気の評価となります。点数は低くても睡眠障害が潜んでいる可能性がありますので、睡眠の問題が長引く場合、強い場合は医療機関を受診してください。自己判断は控えましょう
※服用のお薬やこころの病のほか、多彩な原因により眠気が生じることがあります。

今後は、快眠への対策について、生活習慣や寝具および寝室環境等も含め、睡眠衛生のポイントをご紹介する予定です。ぜひご参考になさってください。
また、臨床検査情報や健康情報なども、併せて投稿します。お楽しみにお待ちください!

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眠気のスケール:ESS日本語版:JESSTM(Japanese version of the Epworth Sleepiness Scale)Copyright,Murray W.Johns and Shunichi Fukuhara.2006
The Epworth Sleepiness Scaleの性・年齢階級別得点分布と日中の過度の眠気の有症割合の推定.竹上未紗 他.日本公衛誌第52巻第2号(2005)

2024/7/19



今後の公開スケジュール

【今後の投稿スケジュールについて】
今週は日本睡眠学会学術集会に参加していますので、本日の定例(火・金)の更新は延期させてください。申し訳ありません。しっかり勉強をして、これからの投稿や活動に活かします。

次回からは、快眠につながる生活習慣や睡眠衛生のポイントをご紹介します。
また、臨床検査情報や健康情報なども、併せて投稿してゆきます。お楽しみにお待ちください!

今後も公開は「健康の窓」”ホームページ”、”Instagram”、”Facebook”を予定しています。
URLやアカウントなど、ぜひご登録ください。よろしくお願いいたします。

HP:https://x.gd/U3E1D
*睡眠・健康情報は”健康情報(SNS)”から
X:https://x.gd/49Sjb
Instagram:https://x.gd/AO3dD
Facebook:https://x.gd/kPJJD
(短縮URLを使用しています。)

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2024/7/23




夏場の快眠

〜寝室環境編〜

【夏場の快眠】〜寝室環境編〜
今回は季節にまつわる快眠方法の話です。夏の今の時期、昼は気温が高く体力を奪われがちです。また、食についても細くなりがちで更に疲れが蓄積してしまいます。環境的にも、夜にも暑くなることで眠りが妨げられ、早く明るくなることで朝は目が覚めやすく、自律神経の乱れから睡眠が不安定になってしまいます。実際に夏場は約30分程度、冬場より睡眠時間は短く、中途覚醒も増えます。また実際に、眠りづらい方が増える時期となっています。皆さんは思い当たることはありませんか?

快眠の秘訣は、環境のことと自分のこと、それぞれを見直し改善することが大事です。今回はまず就寝環境について確認してみましょう。1)寝室環境2)寝床内環境および3)その他要因から、まず1)寝室環境を考えてみます。

1.就寝環境
1)寝室環境
@室温
およそ28〜29℃程度が良いでしょう。クーラーは朝までつけておくことをお勧めします。どうしても切りたい場合でもタイマーは、深い睡眠を得られる時間を考慮し3時間程度はつけておくことをお勧めします。また、お休みになる30分〜1時間前くらいからクーラーをかけておき、寝具などを冷やしておくと眠りやすくなります。クーラーや扇風機の風は、直接身体に当たらないようにしてください、熱が奪われ冷えすぎてしまいます。睡眠中の脱水症状や熱中症にもご注意ください。

A湿度
おおむね50%〜60%程度が良いようです。湿度が上がると室温を高く感じやすいので、湿度が高い時は室温を少し下げてみるのも一手です。

B明るさ
基本的には真っ暗が良いとされています。ただ、真っ暗では不安を感じる場合は極薄あかりにしても良いでしょう。就床後にトイレに行く際は、明りにより目が覚めることを避ける意味で、足元ライトか懐中電灯を用いてみましょう。くれぐれも転倒やあちこちにぶつからないように気を付けてください。

C音
無音が睡眠には最も適しています。ただし、好みの音楽を小さな音でかけておくのはリラックス効果があります。歌詞のある曲ではなくて、自然の音やゆるやかなクラシック音楽は良いようです。

D香り
好みの香りがほのかに香るとリラックス効果をもたらします。一般に、ラベンダー、ベルガモット、ローズ、ジャスミンなどがリラックス効果が高いと言われています。

E換気
部屋の広さにもよりますが、締め切った部屋の場合、二酸化炭素濃度が上がり眠りが浅くなる場合があります。寝室入り口のドアを少し開けておくのも一手です。

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健康づくりのための睡眠指針2014:厚生労働省
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック:日本睡眠教育機構(2013)
週ごとの平均睡眠時間および、中途覚醒時間に関する年間調査:ドコモ・ヘルスケア(株)調査 (2016)

2024/7/26




夏場の快眠

〜寝床内環境編〜

【夏場の快眠について】〜寝床内環境〜
前回に引き続き、睡眠環境について考えてみます。熱帯夜が多く眠りづらい日が続きますが、良い眠りにつながればと思います。
快眠の秘訣は、環境のことと自分のこと、それぞれを見直し改善することが大事です。就寝環境を1)寝室環境2)寝床内環境および3)その他要因から考え、今回は2)寝床内環境と3)その他要因を取り上げ、確認と改善のポイントを見てゆきます。

2)寝床内環境
寝床内環境は”しんしょうないかんきょう”と読みます。(寝床内気象、寝床内気候とも表現されます)寝具(ふとん、シーツなど)や服(寝巻、パジャマなど)を含めた、寝床内の環境条件を指します。
@保温性(放熱性)
寝床環境(ふとんの中)の温度は、33℃前後(33℃±1度、32〜34℃)程度が良いようです。夏場の寝具の素材としては、綿、麻、ウール(羊毛)素材、服はコットン(木綿)、ガーゼやリネン(亜麻)素材が良いようです。
※脳の適温23℃、身体の適温26℃と開きがありますので、室内は低め24℃程度にして、衣服や布団で調整するのが最も良い方法です。
A保湿性(吸湿性、放湿性)
寝床環境(ふとんの中)の湿度は、40〜60%(50±5%)が良いようです。湿度が高い時期は、吸湿性の良い肌着や放湿性の良いドライ素材ものにします。
B軽さ(重さ)C柔らかさ
夏場は特にこだわることは無さそうです。身体にまとわりつかない適度な重さや柔らかさの方が暑苦しくなさそうです。
D肌触り
夏場は冷感素材が心地よいでしょう。寝巻やパジャマは当たりの柔らかいものや伸び縮みしやすいもの、寝返りのときに突っ張らない、サイズ的にも余裕があるものが良いでしょう。
E身体保持性能(硬さ)
寝具(マットレスなど)には、寝返りに必要な適度な硬さが必要です。
F広さ(余裕)
狭い場所では心理的にも寝づらくなります。またベッドなど寝返りのための余裕あるスペースも必要になります。
G枕
夏場は通気性の良い枕が良いです。脳のクールダウンのため通気性の良い素材の枕を使用しましょう。そばがら、パイプなどが良いようです。保冷剤を使用するのも効果があるようです。
  高い枕が適する:横向き寝が多い人、体格の良い人、男性 など
  低い枕が適する:仰向き寝が多い人、細身の人、女性 など
暑くて眠りづらい方は素材で選び、眠る姿勢を重視される方は高さや形にこだわってみましょう。あまり高い枕(12〜15cm以上)は椎骨動脈乖離の原因にもなりますので注意が必要です。(殿様枕症候群

3)その他
その他、良い眠りのためにこのようなことにもお気を付けください。
@就寝時の人数
一人で寝ること(一人でベッドを占有すること)をお勧めします。複数で眠ると睡眠は妨げられます。
Aペットと一緒
残念ながらペットが気になり眠りは浅くなってしまいます。
B色
個人差はありますが、原色よりもパステル調の色が落ち着くことが多いようです。心理学的には薄い緑、水色がお勧めです。
大規模研究では、よく眠れた(睡眠時間の長い家庭の)寝室色は、青>黄(クリームイエロー)>緑 の順でした。
C安心感
安全であることや安心感が良い眠りをもたらします。一方で、毎回眠れず寝床の上で悶々とする時間を過ごすと、寝床は眠れない場所という条件付けが生じる場合があります。30分程度以上眠れないときは、寝床を出るなどした方が良い場合が多いです。眠くなってから寝床に入るのが、”寝室を眠れる場所”にする良い手段です。
※寝床でいろいろ考え事をしてしまい眠れない時の対策は、後日、睡眠儀式の項で詳しくご紹介します。

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健康づくりのための睡眠指針2014:厚生労働省
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック:日本睡眠教育機構(2013)

2024/7/30



眠れない症状が
長く続くと危険です!

【眠れない症状が長く続くと危険です!】
前2回は、寝室環境について快眠のコツを紹介してきました。次回以降は眠れる身体のつくり方などご紹介します。
その前に今回は「眠れない症状が長く続くと危険です!」のお話です。眠れなくなる要因を知り、快眠に活かして行きましょう。

眠れない原因には、@加齢や持病、睡眠環境、生活習慣・睡眠衛生などのほか、A体調(痛み)、ライフイベント、交代勤務や時差などによる睡眠リズムの変化が影響することがあります。これらのうちA以下の主たる原因が一過性であれば、その原因が消失すると眠れない状況は解消されることが多いとされます。しかしながら、種々の要因が複合しいったん眠れないモードに陥ると、その後に眠れない状況が持続してしまう場合があります。(不眠がベースラインにあった場合、1年後は70%、3年後は50%に不眠が持続していたとの報告あり。)

眠れないことが持続してしまう原因として考えられているのは、1)ストレスモデル、2)過覚醒、3)学習理論モデル、4)認知情報処理モデルが、考えられています。このうち、1)ストレスモデル(Spielman3Pモデル)では不眠のストレス因子をa)前提要因)、b)促進要因、c)永続要因に分け、それぞれの因子の合計が閾値を超えると発症するとしました。
例えば、ストレスに弱い等の前提因子を持つものが、ライフイベントなどの促進要因の影響を受けて閾値を超えてしまうと”急性不眠”となり、さらに誤った睡眠習慣などの永続要因が形成されると”慢性不眠”が形成されてしまうというモデルです。

この場合、促進因子が一過性であれば、その不眠の原因が無くなる〜軽減することにより、眠れなくなることは解消されます。しかしながら、永続因子である「誤った対処行動(不適切な睡眠衛生)」が持続すると、眠れないことは解消されず、不眠が慢性化することになります。永続因子を断ち切り、あるいは軽減することが、眠れないことを続かせない秘訣になります。

永続因子は主に、ご自身の睡眠に対する正しい認識・対処、適切な睡眠衛生(就寝環境、眠るための身体づくり)を実施することにより軽減することができます。日常生活で睡眠への取り組みが大事である所以です。過去2回の「睡眠環境編」の内容や、この後に公開する「眠れる身体づくり編」をぜひご参考になさってください。眠れないのが一過性であれば問題ありません。眠れないことが続くのを断ち切りましょう。
(参考)
前提要因:
年齢、性別、過敏性、不安になりやすい性格、不眠の既往、家族歴
促進要因:
疾患や離別などのライフイベント、時差を伴う移動や交代勤務のような睡眠スケジュールの変化、環境変化
永続要因:
不眠に対する誤った対処行動、不適切な治療

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標準的神経治療:不眠・過眠と概日リズム障害.日本神経治療学会・治療指針作成委員会.神経治療,Vol.33,No.4(2016)
Spielman AJ,Caruso LS,Glovinsky PB:A behavioral perspective on insomnia treatment.Psychiatr Clin North Am 10:541-553.1987
Morphy H,Dinn KM,Lewis M et al:Epidemiology of insomnia:a longitudinal study in a UK population.Sleep 30:274-280,2007
Morin CM,Belanger L,LeBlanc M et al:The natural history of insomnia:a population-based 3-year longitudinal sthdy.Arch Intern Med 169:447-453/2009

2024/8/2



快眠の秘訣

〜体温管理〜

【快眠の秘訣】〜01 体温管理〜
今回より「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」を中心に”快眠の秘訣”をお話ししてゆきます。1)体温管理、2)規則正しい生活、3)朝の光・朝ごはん、4)昼寝・うたた寝、5)嗜好品、6)睡眠儀式、7)薬物について、8)睡眠の病気 を予定しています。

第1回目は”体温管理”です。睡眠と体温が密接な関係にあることはこれまでもご紹介してきました。(2024/05/24【眠りの仕組み・04 体温変化を賢く利用】)今回はこの内容に加え、呼吸法についてもご紹介します。

SNSで定期に配信しています。(毎週 火・金)ぜひご登録ください。
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【体温をしっかり管理・調整しましょう】
@入浴
眠る1時間〜1時間半ほど前にお風呂に入り、上がった体温が下がるタイミングで寝床に入ります。シャワーでは効果が期待できません。
A運動
強い運動は眠る2時間以上前までに終わらせましょう。ただし軽い運動(ストレッチ)は行ってもかまいません。
B呼吸
鼻呼吸(特に夏場の鼻呼吸)には、脳を冷やす働きがあります。励行しましょう。お風呂でのぼせたるのは、身体が温まるだけでなく温かい空気を吸うことも大きな原因です。露天風呂はのぼせにくいのは、冷えた空気を吸うからです。思いのほか、呼吸と脳温度は関係しています。口呼吸は睡眠時無呼吸症を悪化させる場合があります。鼻呼吸が難しい場合は、耳鼻科を受診することをお勧めします。

【3-4-5(4-7-8)呼吸】
良い眠りにつながる鼻呼吸法をご紹介します。まず、姿勢を正し、
 @3秒かけて鼻からゆっくり吸う
 A4秒間息を止める
 B5秒かけて口からゆっくり吐く
 C3回繰り返す

元々は米国内科医のアンドリュー・ワイル氏が提唱した4-7-8呼吸ですが、日本人の体格や年齢に合わせ3-4-5呼吸としてご紹介しています。可能であれば4-7-8呼吸もお試しください。
特に夏場は、涼しい場所で行うと効果的です。また、リラックス効果もありますので、おやすみ前に行うと眠りやすくなります

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https://www.drweil.com/videos-features/videos/breathing-exercises-4-7-8-breath/

2024/8/6



快眠の秘訣

〜規則正しい生活〜

【快眠の秘訣】〜02 規則正しい生活〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第2回めは”規則正しい生活”です。規則正しい生活リズムは健康と健康に大切で、睡眠時間がばらつくと死亡危険率が高くなるという報告もなされています。(睡眠不足も死亡リスクが上がりますが、睡眠のばらつきが大きい方が死亡リスクが高くなりました。)

規則正しい生活】
@毎日決まった時間に起きる
体内時計の働きにより、朝に目が覚めてからおよそ15時間後に眠気が訪れます。これに合わせるように、起きる時間から逆算して眠る時刻を決めましょう。眠るのが遅くなっても朝の起床時間は一定にすることがポイントです!その時は眠たくても、その日の夜はよく眠れるようになります。日中の眠たさは短い(30分までの)昼寝で解消を図ります。睡眠時間の確保は、後ろ倒しではなく就寝時刻で調整しましょう。
(例)私の睡眠時間は7時間・起床時刻は6時にしたい。
6時−7時間=23時:就床時刻は23時(実際は23時少し前に寝床に入る、寝付く時間が必要)

A休日前の夜更かし、休日の朝寝を避ける(若年者、働き盛り世代)

この世代はついつい睡眠時間を削り睡眠不足に陥りがちです。そのため朝起きられず、出勤・登校できない(出勤拒否・登校拒否、不登校)状態につながる恐れもあります。また、出勤・登校できても睡眠不足でボーっとしているたり、会議中の居眠りや仕事の効率低下や、児童・学生世代では成長障害、学力低下、運動能力低下、怪我や交通事故につながる場合もあります。場合により、対人関係のトラブル、家庭内不和や家庭内暴力につながる事例もあるようです。
この睡眠不足対策に休日に遅くまで寝ていると、概日リズムの狂いを生じます。よけいに月曜日の朝に起きることが辛くなってしまいます。このことは「社会的時差ボケ(ソーシャルジェットラグ)」とも呼ばれ、様々な健康被害を被ります。
※平日と休日の起床時刻の差は2時間以内(できれば1時間以内)にしましょう。お休みでも仕事や学校があるときと同じ時刻に起きて眠ること、同じ生活リズムで過ごすことが大事です。

B早寝をしすぎない(高齢者世代)
早く寝床に入ると早い時間に目覚めてしまい、その後はうとうとしたり眠れないなど睡眠の満足度が下がります。眠たくないのに寝床に入っていも眠れないのは当たり前ですね。若い頃のように眠れない(時間、質)のは当たり前と理解することも必要です。適切な就寝時刻までは趣味の時間や読書などでリラックスして起きておきましょう。ご高齢の方は「早寝」「長寝」「昼寝(長い昼寝)」にご注意ください。
また、寝床に入っても眠れずに悶々としていると”寝床は眠れない場所”という条件付けがなされる場合があります。寝床に入って30分程度以上眠れない場合は、いっそのこと寝床から出るのが良いとされています。眠気が訪れてからまた寝床に入るようにします。

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Daniel P Windred, et al. Sleep regularity is a stronger predictor of mortality risk than sleep duration: A prospective cohort study.Sleep. 2023 Sep 21.

2024/8/9



快眠の秘訣

〜光の作用〜

【快眠の秘訣】〜03 光の作用〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第3回めは”光の作用”です。光を上手に利用して快眠を手に入れましょう。

ヒトは昼行性の動物で約24時間を1日とする地球のリズム上で生活をしています。生まれてすぐはまだ昼夜が確立できていませんが、自己の体内時計や周囲の生活リズム、そして”光の作用”により「朝・起きる〜夜・眠る」の24時間リズムが徐々に確立されます。(イラスト参照)光を上手に利用して快眠を手に入れましょう。

【光の作用と快眠】
@朝の光
ヒトの体内時計は地球の時計(自転・24時間)より少し長めです。そのためヒトと地球の時計とを合わせる必要があります。この役目を果たすのが目覚めたときの光です。朝の光により一日の始まりとして体内時計がリセットされます。
朝、目覚めたら30分以内に太陽の光を浴びるようにしてみましょう。
夜勤などで朝に帰宅し眠る必要がある場合は、光を浴びないようサングラスなどで目を保護してみましょう。
2024/4/19 ヒカリノチカラ」もご参照ください。

A夜の光
夜は眠る態勢になる必要があり、このため眠るホルモンであるメラトニンが分泌されます。ところが夜に光を浴びると、このメラトニンの分泌が低下し眠りにつきにくくなります。(朝の光:分泌多く、夜の光:分泌減る)
夕食以降は、部屋の明かりを薄暗くしてみましょう。
夜の各種店舗の光は明るすぎて要注意です。

メラトニンの分泌を抑制させる強い光の代表は、テレビ、ゲーム機器、パソコン、スマートフォンなどがあげられます。特にスマートフォンは、目に近いところで光を浴びますので注意が必要です。加えてこれらは、脳が興奮し(高ぶり)不眠につながりやすくなります。ブルーライトカット眼鏡もありますが、むしろ光そのものを浴びないようにすれば十分です。
眠る前30分〜1時間程度と寝床での使用は避けましょう。
子供さんは特にご注意ください。子ども(年齢が低い)ほど、眼の水晶体の濁りが少なく光の作用を強く受けます。
2024/7/23 夏場の快眠〜寝室環境編〜」もご参照ください。

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Kleitman, N., & Engelmann, T. G. 1953 Sleep characteristics of infant. Journal of Applied Physiology
瀬川昌也: 睡眠機構とその発達. 小児医学 20(5); 828-853, 1987.

2024/8/13



快眠の秘訣

〜食事の影響〜

【快眠の秘訣】〜04 食事の影響〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第4回めは”食事との関係”についてお話しします。ポイントは「バランスよく食べる」「規則正しい食事時間」「朝ごはんは必ず食べる」「朝からたんぱく質」「食物繊維」です。(持病があり食事指導を受けられている方は、そちらを優先してください。)
2024/7/25にこれを裏付けるような興味深い調査報告がありましたので、併せてご紹介します。

【食事の影響・役割・効果】
1) 朝ごはん
体内時計は、脳が主役ですが身体の各臓器や細胞にもあります。光の作用により体内時計は整えられ、加えて”朝ごはん”にも体内時計を調整する働きがあります。この時はしっかりと噛むことで脳が刺激され、一層の覚醒効果が得られます。

食事内容は、朝からたんぱく質を多く含むものを食べるようにしましょう。眠りのホルモン”メラトニン”はたんぱく質から作られます。出来上がるのに時間がかかるため、夜に間に合うよう朝から食べることがポイントです。
前回の「光の効果」と「食事の効果」で、良い睡眠を手に入れましょう。

2) 食事内容(調査結果)
@たんぱく質の摂取割合が多いと、10分以上総睡眠時間が長くなりました。
A炭水化物の摂取割合が多いと、0.8%中途覚醒が少なくなりました。
ただし、個人ごとの適正な食事内容と量を心がけてください。極端な増減は体調を崩す場合があります。
*摂取エネルギー比率:たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%
B食物繊維の摂取量が多いと、総睡眠時間(10分長)・中途覚醒(1.1%減)・寝つき(2分短)の改善が見られました。
食物繊維の摂取量を増やし健康的な食事を心がけることで、睡眠の質が改善できます。
*食物繊維の目標量(1日):男性21g以上、女性18g以上(18〜64歳の場合)
CNa/K比が高くなると、総睡眠時間(11分短)・中途覚醒(0.7%増)・寝つき(1分長)が悪化しました。
*塩分の取りすぎによりNa/K比は高くなります。減塩は高血圧の予防にも効果があります。塩分摂取量を減らしてみましょう。

【付録】
〇トリプトファンの多い食材
カツオ、マグロ、肉、レバー、大豆製品(豆腐、納豆、みそ)、乳製品(牛乳、チーズ)、バナナ、ナッツ
〇食物繊維の多い食材
押し麦、ライ麦パン、そば、大豆、きなこ、納豆、いんげん豆、えんどう、白菜、リンゴ、アボカド、なし
〇Na/Kの改善
ナトリウムを控える:塩、醤油、味噌の他、加工肉食品などの塩分が多いものや化学調味料の使用を控える
カリウムを多めに摂取:里芋、じゃがいも、ほうれん草、トマト、バナナ、ぶどう、のり、ひじき、納豆
(心・腎疾患や結石などで医師から指示がある場合はそちらを優先してください。)

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「スマートフォンアプリで測定されたマクロ栄養素および食事成分と客観的な睡眠変数の関係」
Relationship between macronutrients, dietary components, and objective sleep variables measured by smartphone applications View ORCID ProfileJaehoon Seol, View ORCID ProfileMasao Iwagami, Megane Kayamare, View ORCID ProfileMasashi Yanagisawa(2024)
https://doi.org/10.1101/2024.07.25.24311028
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)

2024/8/16



快眠の秘訣

〜昼寝・うたた寝〜

【快眠の秘訣】〜05 昼寝・うたた寝〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第5回めは”昼寝・うたた寝”の睡眠への影響についてお話しします。

乳幼児期には昼寝が必要ですが、小学校に上がる頃には昼寝の習慣は減ってきます。一方で、成人においても体内リズムの影響で、日中の午後に眠気があるのは普通です。ただし、強い眠気の場合は睡眠不足のことが多く、その際はまずしっかりと睡眠時間をとるようにしてみてください。また、しっかり眠っていても眠い場合は、病気が潜んでいる可能性もあります。早めに医療機関を受診してみましょう。

ここでのポイントは「昼寝は15時までに30分まで」「夜のうたた寝は禁止」です。

【昼寝】
日中、活動的に過ごすため、昼寝はお勧めです。ここでお勧めするのは「15時までに30分までの昼寝」です。日中の短い昼寝(仮眠・Power Nap=積極的仮眠)をすると、頭がすっきりとして疲労感も軽減されます。時刻と時間に注意してください、「15時までに30分までの昼寝」です。

高齢者の場合、気を付けたいのは長い昼寝!30分以上の昼寝を習慣としている人は昼寝習慣がない人と比べ、将来の死亡リスクが1.27倍に増加することが報告されています。また同様に、昼寝の時間が長く、昼寝の頻度が高い(一日に何度も昼寝する)ほど、アルツハイマー型認知症のリスクが高くなります。
加えて、この時刻を過ぎたり昼寝時間が長くなってしまうと、その日の夜の睡眠に影響してしまいます。(眠りにくくなる、眠りの質が悪くなる)睡眠不足を昼寝で補うことはあくまで一時しのぎです。睡眠不足は夜の睡眠でカバーしてください。

もう一つのポイントとして、この昼寝はぐっすりと眠らず浅い睡眠にとどめておきます。昼寝の前にコーヒーなどでカフェインを摂取しておくと、ちょうど目覚めの頃にすっきり起きられます。

【うたた寝】
夕方や夕食後にリラックスをしていると、ついうとうととすることがあります。これは、その夜の眠りの大敵です。
朝に目覚めてから徐々にたまる眠気物質を、うたた寝で消費してしまうと、その後は眠りにくくなったり眠りの質が悪くなります。この睡眠物質を溜めておくことが、眠気を強くし良い眠りをもたらすコツです。

※眠りたい時間分は就寝時刻から前には起きているようにします。
例)7時間の睡眠時間・23時に就寝→23−7=16
  →16時(夕方4時)以降はうたた寝をせずに起きておく。

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da Silva AA, et al. Sleep duration and mortality in the elderly: A systematic review with meta-analysis.(2016)
Li P, et al. Daytime napping and Alzheimer’s dementia: A potential bidirectional relationship. Alzheimers Dement 19(2023)
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省

2024/8/20



快眠の秘訣

〜嗜好品の影響〜


【快眠の秘訣】〜06 嗜好品〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第6回めは”嗜好品”の睡眠への影響についてお話しします。 コーヒーには覚醒作用があり眠れなくなる。ことはよく耳にすることと思います。はて?それはどれくらいの量でどれくらいの時間に影響をするのでしょうか。眠れないときの寝酒は正しいのでしょうか。

【嗜好品】
@カフェイン
コーヒーなどに含まれるカフェインには覚醒効果があります。眠りにくくなる上に眠った後も睡眠の深さに影響を与えます。4時間程度は影響を与えますので、できれば眠る6時間前以降のカフェイン摂取は控えましょう。また、カフェインには利尿作用があり、寝た後に何度もトイレに起きることで睡眠が妨げられます。
※一日のカフェイン摂取量の目安は300〜400mg/dLです。(マグカップ2〜3杯まで・厚生労働省)市販のエナジードリンクのカフェイン量はまちまちですが多いものでは300mg/dL含むものもあり、一日に何本も飲むことは要注意です。

Aアルコール
アルコールは脳の働きを抑える(麻痺させる)ことにより、リラックスや眠気をもたらします。(寝付きが良くなる)ただし、その後は眠り自体が浅く何度も目覚め熟睡感が得られません。カフェインと同様に利尿作用があり、トイレ問題で睡眠が妨げられます。アルコールの代謝には個人差がありますが、適量を夕食までにとした方がよさそうです。
※日本人は眠れないときに寝酒をする割合が高いのが特徴です。ところが寝酒をするくらいなら睡眠薬を使う方が効果的です。寝酒は厳禁と考えてください。加えて睡眠薬とアルコールの併用は危険です。睡眠時無呼吸の方は飲酒によりまちがいなく状態が悪化します。
アルコールの影響

Bタバコ
ニコチンには覚醒作用があり、眠りにくく深い睡眠も少なくなります。タバコを吸うことでリラックスした感覚を覚えることがありますが、実は自律神経を逆に興奮させ睡眠の妨げになります。ニコチンの半減期(濃度が代謝され半分になる時間)は2時間とされていますが、その後も作用は残ります。就寝前4時間程度は止めておきましょう。
※タバコにより喉や鼻の奥で炎症が起き、いびきがひどくなったり睡眠時無呼吸のある方は無呼吸が悪化する場合があります。

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粥川裕平・Mebio
三島和夫:睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン,じほう,2014
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省

2024/8/23



快眠の秘訣

〜睡眠儀式〜

【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第7回めは”睡眠儀式”についてお話しします。
”睡眠儀式”って何ぞや?!と身構えなくても大丈夫です。要は、よく眠れるための行動、おまじない、あるいは自己暗示と思ってもらえれば結構です。”入眠儀式”と言う場合もあります。 子どもさんが寝るときの絵本の読み聞かせ、背中をぽんぽんと優しくたたくなどもこれに当たります。
自分に合った”睡眠儀式”をお持ちの方は、しっかりと眠れることが報告されています。

【睡眠儀式】
自分なりの睡眠儀式が定まると、寝付きが良くなり睡眠の満足感が上がります。
例えば、眠る前の軽いストレッチやマッサージ、カーテンを閉める、パジャマに着替える、アロマを準備する、日記を書く、読書や音楽鑑賞などがあります。
中には、夕方から眠るまでの一連の生活習慣を睡眠儀式として整える方もおられます。「食事−ノンカフェインのお茶を飲みながら映画を一本観る−お風呂に入る−ストレッチ−日記を書くーパジャマに着替える−布団に入る」のような過ごし方です。この時には、がんじがらめにきっちりと時間を守ることににとらわれず、だいたいの流れで進めてみましょう。(眠れることが目的で、スケジュール通りに行うことが目的ではありません。)
また、よく眠れた時のことを思い出しなぞってみるのも良いようです。自分のお好みで試してみてください。

睡眠儀式は、眠れるという安心感や寝床に悩みやストレスを持ち込まないことにもつながり、このことが睡眠の質を上げる役割を持ちます。

一方で、眠るときにいろいろと考え事をしてしまう、考えが堂々巡り、何度も同じことを繰り返し考える、次々といろいろなことが浮かんでしまう、雑念がわいてくるなどは、誰でも経験することかと思います。このようなときは、単純なことに集中する、意識を向ける、深く考えないようにするなど、考えを巡らせないことがポイントです。簡単にできる対策をご紹介します。

【眠れないときに】
@頭の中で柵を跳び越える羊を数える
 1匹〜、2匹〜、3匹〜・・・
 1匹、8匹(1+7)、15匹(8+7)・・・(中途半端な数を足す)
A羊を減らして行く
 羊が100匹、羊が99匹、羊が98匹・・・
B引き算をする
 100、99、98・・・
 300、297(300-3)、294(297-3)・・・(中途半端な数を引く)
C認知シャッフル睡眠法
 ある言葉の一文字から思いつく単語を列挙する。
 ねむけの”ね”:ねこ、ねずみ、ねんど・・・
 (思いつかなくなったら次の文字へ移る)
D呼吸を数える
 いーーち、に〜〜い、さぁーん・・・(ゆっくりと)
E呼吸を確認する
 吸ったーー、吐いたーー、吸った〜、吐いた〜・・・
F右手を思い浮かべ輪郭をなぞるようイメージしてみる
G自分の右足をなるべくきちんと思い出してみる

数を数える場合は、増やして行くより減らす方が効果的です。
呼吸に関しては、息を吐く時に副交感神経が優位(リラックス)になりますので、息を吐く方に意識を向けるのが良いようです。(3-4-5または4-7-8呼吸
マインドフルネスとして、一日の良かったことや楽しかったことを思い出す方法もありますが、良い場合と悪い場合があります。心理的に不安定になったりストレスがフラッシュバックする際は思い出す方法は止めておきましょう

次回はこの続きで、簡単にできるリラックス法として「漸進性筋弛緩法」と「米軍式睡眠法」を詳しく解説します。

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Mindell JA, Telofski LS, Wiegand B, et al.: Nightly Bedtime Routine for Children A Nightly Bedtime Routine: Impact on Sleep in Young Children and Maternal Mood. Sleep 32(2009)
Hale L, Berger LM, Lebourgeois MK, et al.: Longitudinal Study of Preschoolers Language-Based Bedtime Routines, Sleep Duration, and Well-Being. Journal of family psychology 25(2011)

2024/8/27



快眠の秘訣

〜入眠サポート〜
ぐるぐる思考脱出



【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第8回めは”睡眠儀式”から入眠サポート方法(ぐるぐる思考脱出)について、少し詳しくお話しします。

前回も書きましたが、ベッドに入るといろいろなことが頭に浮かんで、なかなか眠れない!こともあるかと思います。先のこと過去のこと、楽しいこと悲しいこと、心配事などストレスの元、いろいろなことが次々と浮かんでくることがあります。眠りたいのに寝付けないのは、眠れないことも辛いですし、好ましくない思いが頭の中をぐるぐる巡ること自体が辛いこともありますね。わかります。

このぐるぐる思考(反芻志向)やネガティブ思考の解決には、@心配事の解消あるいは解決の道筋や目途が立つこと が一番の解決策になりますが、なかなかそうそうすんなりとはいかない場合も多いと思います。その際は、昔から言われているような、A気分転換 は良い方法です。自分の意識の注意先をそらす、運動をする、自然に触れる、場所を変えるなどがあげられます。
一方で、B自身の心のありようを見直すこと で改善する場合もあります。自己否定を止める(自己肯定感を育てる)ことや、マインドフルネスを試す方法があります。

睡眠の問題の場合、気分転換で寝室から場所を変えることはできませんので、心のありようや考え方を見直すことが眠れることにつながります。原因となることが解消されあるいは小さくなると眠れるようになったり、眠ることがこころの負担の解決につながる場合もあります。心の問題と睡眠は、密接に関係しています。

ぐるぐる思考の解決のヒントとして、@原因の解決 A気分転換 B自身をみなおす を簡単にお話しました。ここから今回は、眠るときにぐるぐる思考にはまって眠れないときの対処方法をひとつ、少し詳しくご紹介します。

漸進性筋弛緩法は、おやすみの前に体操やストレッチと組み合わせて行うと効果的です。ポイントは力を抜いたときにその部位がほわ〜と温かくなる感覚を持つことが大事です。紹介の米軍式睡眠法は、オリジナルを加工しています。ボディスキャン瞑想、筋弛緩法、自立訓練法を参考にしています。

これらすべてを行う必要はありません。自分に合うものを取り入れてみましょう。前回の【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜もご参考になさってください。

【リラックス法_漸進性筋弛緩法】
1. 5秒間ギューッと力を入れパッと抜く
  *全力で無くとも良い、息は止めずに行う
2. 10秒間リラックス(力をいれたところがじんわりとする感覚)
  *吐くときを長めにゆっくり呼吸する
 1) 両手:両手をギューっと握って(5秒)→パッと開く(10 秒そのまま)
 2) 両腕:腕を曲げ脇をしめてギューっ(5秒)→ストンと抜く
 3) 両肩:両肩をグッと上げ緊張させて(5秒)→ストンと抜く
 4) 首 :首を下げて首の後ろを緊張(5秒)→ストンと抜く
 5) 顔 :目と口をギューッと閉じて奥歯を噛みしめ(5秒)→ポカンとした顔
 6) 背中:腕を曲げ後ろにグーッと肩甲骨を引き付け(5秒)→ストンと抜く
 7) お腹:腹筋にグッとを入れて(5秒)→ストンと抜く
 8) お尻:おしりの穴を締めるようにギューっ(5秒)→スーッと抜く
 9) 両脚:足全体にピーンと伸ばして緊張させて(5秒)→ストンと抜く

【米軍式睡眠(入眠)法_高津変法】
*それぞれの部位に合わせ筋弛緩法(ギューっと力を入れてパッと緩める)を行うと効果的です
*無理に筋弛緩法は併せて行わなくても大丈夫です。力を抜いてリラックスすることが目的です
*それぞれの合間はゆっくり呼吸で全身リラックス(吐くとき長めに・自分のペースで、3-4-5または4-7-8呼吸)
*開始する部位は、頭からでなく逆からでもお好みの場所からで大丈夫です
*身体の脱力感(沈む感じ)がリラックス感につながり、呼吸により副交感神経を優位にし眠る態勢に、また情景を思い浮かべることで雑念が入り込むことを防ぎます
1.頭の存在を意識し(顔の筋肉をギュー・パッで)リラックス
 〜頭が沈んでゆくイメージ
2.肩と背中の存在を意識し(肩甲骨を引き寄せギュー・パッ)でリラックス
 〜背中が沈んでゆくイメージ
3.右腕の存在を意識し(右手グーで右腕をピーン・パッで)リラックス
 〜腕が沈んでゆくイメージ
4.左腕も同様に行う
5.お腹と腰の存在を意識し(腹筋とお尻をギューパッで)リラックス
 〜腰が沈んでゆくイメージ
6.右足太ももから足先を意識し(ピーン・パッで)リラックス
 〜足全体が沈んでゆくイメージ
7.左足も同様に行う
8.全身の力が抜けとてもリラックスしている状態
9.ゆっくり呼吸を続ける
 (吐くとき長めに・自分のペースで、3-4-5または4-7-8呼吸)
10.穏やかな気持ちで、池に浮かんだボートに(森の中で緑に囲まれ)
  寝転がっているところを想像する

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漸進性筋弛緩法・呼吸法(大阪府大阪府こころの健康総合センター)
Jacobson, E. Progressive relaxation. Chicago: University of Chicago Press (1938)
Lloyd Bud Winter,et al. Relax and Win: Championship Performance in Whatever You Do. (1981)

2024/8/30



快眠の秘訣

〜薬の正しい使い方〜



【快眠の秘訣】〜09 薬の正しい使い方〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第9回めは”お薬(睡眠薬)の正しい使い方”についてお話しします。

眠れない原因や症状は多数あり複雑に絡み合っています。自覚するのはただ一点、「辛い」ということですね。本当にストレスになります。眠ろう眠ろうとすると余計に眠れなくなったりします。私も経験があります。

一日くらい眠らなくても大丈夫さ、などと気楽に構えることも解決の一つです。一過性に眠れないだけであれば、多少のパフォーマンスの低下はあっても、いきなり倒れてしまうというようなことはまずありません。何度も言いますが、気楽に気楽に。心配なのは眠れないことが常態化してしまうことで、そうなると眠らなくてもいいやどころではなくなってしまいます。

【おくすりを飲む前に】
そんな時、まずは自身の状態を把握すること、そして医療機関にて正確な診断をしてもらうことです。こちらのサイトで重視する睡眠衛生指導や認知行動療法にて症状の軽減や快方に向かうこともあります。今回は、それらがしっかりと行えたとの前提で、お薬(睡眠薬)の正しい使い方について書いてみます。

【おくすりの効果】
上述のように、眠れない、眠りたい、眠れないと、不安や悩みを抱えて過ごすよりも、睡眠薬を服用し眠れるようになった方が楽な場合もあります。睡眠薬は認知症を進ませるという報告がありますが、逆に睡眠薬の服用でよく眠ることにより認知症を予防する効果があるとの報告もあり、はっきりした結論は得られていません。

【主な作用機序】
ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系:脳の興奮を静めて眠りをもたらす
オレキシン系:覚醒システムの働きを抑え眠りを促す
メラトニン系:眠りのリズムを整え穏やかな睡眠を誘導する
ヒスタミン系:覚醒作用・興奮作用を弱め眠気を引き起こす(眠気は副作用)

【アルコールはダメ】
日本人は眠れないときに寝酒に頼ることが諸外国より多いと言われています。(10カ国の平均は19.4%、日本人は30.3%)またアルコールは睡眠薬よりも依存性が高いですし、アルコール自体が睡眠の質を悪くします。眠れないときの寝酒は止めましょう。また、お薬とお酒(アルコール)の併用も絶対に止めてください。

【自己判断は止めましょう】
お薬の増減は注意が必要です。増やすことにより効果が必要以上に強く現れすぎたり副作用の危険性も上がります。急に減らしたり中断すると、逆に眠れなくなったり、不安・焦燥、振戦、発汗、せん妄などの離脱症状が出現する場合があります。
睡眠薬などのお薬にて治療を受ける場合は、医師に指示された用法容量は必ず守り、自己判断で増減や中止をしないようにしましょう。効果や副作用に留意し、服用方法、効果に対する疑問や心配があるなど必要な際は医師または薬剤師に相談してください。

【使い方のポイント】
一般的に服用してから10〜30分後に眠気が生じてくるものが多く、このタイミングに合わせ就寝します。
誤った使い方として、早く寝ようと早めにお薬を服用し、けっこうな時間が過ぎてから寝床に入るというものです。例えば夜8時ごろにお薬を飲んで、片付けをしたり風呂に入ったり、着替えたりで寝床に入るのが10時頃になってしまった。というような場合です。飲んでから2時間程度過ぎていますので、血中濃度はもう下がってきており、期待する効果が十分に発揮されず眠れないということがあります。加えて、お薬を飲んだ後に動いていると、ふらつきや転倒の危険性も高まります。睡眠薬は眠る直前に服用するようにしましょう。

お薬の正しい使い方について、いかがでしたでしょうか。少しでも参考になれば嬉しいです。

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睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン:日本睡眠学会(2014)
睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版:じほう(2019)
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
健康づくりのための睡眠指針2014:厚生労働省

2024/9/3



快眠の秘訣

〜健康食品・サプリ1〜



【快眠の秘訣】〜10 健康食品・サプリメント1〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第10回めは”健康食品・サプリメント”についてお話しします。

ちまたでは健康食品・サプリメントに関する情報や広告があふれていますね。眠りに関しても多くの成分・製品が紹介されています。さてさて、これらの健康食品・サプリメントはどう考えればよいでしょう。効果があれば使ってみたいし…、手軽で効くのならありがたいし…、睡眠薬は飲みたくないし…、でも眠りたいし…。やっぱりけっこう高いしなぁ…、飲み続けても安全なんだろうか…、本当に効くのかなぁ…。いろんな思いが交錯しますね。悩ましいところです。私もそうでした、実際に使ったこともあります。その経験も含め、まとめてみました。

かなりのボリュームになりましたので、この項は3回に分けてご紹介します。
・健康食品・サプリメント1(今回):
 健康食品・健康サプリとは、摂取にあたっての注意事項、選び方、使用目的
・健康食品・サプリメント2(次回):
 実際に販売されている成分の例、考えられる副作用、使用にあたってのポイント
・健康食品・サプリメント3(次々回):
 注意事項(リスク)、効果の確認、体調の確認、総括とコメント

【健康食品・サプリメントとは】
「健康食品」「サプリメント」には法律上の(行政的な)定義はありません。一般的に、@健康食品は「健康の保持増進に資する食品全般」(明らかに食品ではないもの)であり、Aサプリメントは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」が該当すると考えられています。

イメージ的には、通常の食品よりも「健康によい」「健康に効果がある」「健康の保持増進に役立つ」などのイメージでしょうか。ただし科学的根拠については必ずしも十分ではありません
国により根拠・効果が(保健効果、健康効果の表示を含め)認められているのは「特別用途食品」と「特定保健用食品」いわゆる”トクホ”のみです。機能性表示食品のような健康食品類は、これには含まれないことを覚えておいてください。

「健康食品」は食品ではありますが、特定の成分が多く含まれていたり、錠剤を構成する成分や添加物、製造過程にて混入する成分などにより、一般の食品よりも強く健康に影響を与えると考えた方が良いでしょう。

【使用にあたって】
健康食品には、成分が濃縮されていたり医薬品成分を含んでいるものもあり、摂り過ぎは危険な場合があります。また、服用している医薬品との飲み合わせで健康被害が発生することもありえます。身体に不調を感じたら、すぐにかかりつけの医師に相談しましょう。事前にかかりつけ医に、健康食品やサプリメントを摂ることを相談すると安心です。※栄養・保健成分は食事から摂取することが基本です

健康に関する食品やグッズなどは、”手軽に始められる健康改善”あるいは”健康への意識づけ・動機づけ”という側面もありますので、医師への相談をお勧めしますが、自己責任にて始められることも一手です。
お薬、治療方法にも共通しますが、効果と副作用あるいはベネフィットとリスク、メリットとデメリットを総合的に判断し効果やメリットが上回れば、その選択は問題無いと言えるでしょう。

【選び方】
期待する効果や自身の体調を勘案し、体質や生活習慣にも合わせることが大事です。
1.成分の確認
  主成分の含有量を確認、含まれる成分が自分の体質やニーズに合っているかどうか
2.表示内容
  含有量や配合成分がきちんと記載されているか、不要な添加物は含まれていないか
3.アレルギーのチェック
  含まれる成分に、アレルギー反応がないかを確認する
4.クチコミ
  アンケート結果や使用者のレビューを参考にする。ただし真偽については慎重に判断を
5.製品および製造メーカーの確認
  信頼できるブランドを選ぶのが無難です(トータルケアや睡眠サポートの充実)
  品質管理がしっかりしている(GMP(Good Manufacturing Practice)認証製品)
6.価格
  効果と価格を天秤に検討する

【使用目的など】
使用目的は下記の内容が多く、効果について約6割が満足またはやや満足としていました。また、約2割の方に健康被害があったとしていました。(食欲不振、悪心、めまい、頭痛、じんましん など)
目 的:体調維持・病気予防、健康増進、栄養素の補給、疲労回復、美容、老化防止、ダイエット、症状改善 など
問 題:期待したほどの効果が無い、高額、有効性や安全性に関する情報が少ない、体調が悪くなった など

次回は、種類や実際に販売されているトクホの例、副作用、使用にあたってのポイントなどをお話しします。

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厚生労働省:
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000113706.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c05/20.html
消費者庁:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_and_nutrition_labelling
日本医師会:https://www.med.or.jp/people/knkshoku/
サプリメントマイスター検定公式テキスト(日本能率協会マネジメントセミナー:厚生労働省認可)
健康食品コーディネーター公式テキスト(NPO法人日本健康食品アカデミー)

2024/9/6



快眠の秘訣

〜健康食品・サプリ2〜



【快眠の秘訣】〜11 健康食品・サプリ2〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第11回めは”健康食品・サプリメント”の2についてお話しします。前回は健康食品、サプリメントのあらましをお話ししました。今回は実際の商品についても考えてみます。

かなりのボリュームになりましたので、この項は3回に分けてご紹介しています。
健康食品・サプリメント1(前回)
  健康食品・健康サプリとは、摂取にあたっての注意事項、選び方、使用目的
健康食品・サプリメント2(今回)
  実際に販売されている成分の例、考えられる副作用、使用にあたってのポイント
健康食品・サプリメント3(次回)
  注意事項(リスク)、効果の確認、体調の確認、総括とコメント

【成分の種類】
睡眠に関する成分を取り上げてみました。網羅されていないものありますがご了承ください。
1.眠りに働く
  1)メラトニン(セロトニン、トリプトファン)
   体内時計を整え眠りを誘う
   (副作用)頭痛、めまい、眠気、吐き気、嘔吐、腹痛 等
  2)グリシン
   就寝前に服用することで体温を下げ入眠を促進する効果
   (副作用)胃腸の不調や吐き気、腎機能に影響 等
  3)GABA
   脳の興奮を抑えストレス軽減とリラックスを促進
   (副作用)眠気やめまい 等
  4)クロセチン
   覚醒調節機能に影響があるヒスタミンを間接的に抑制し眠りを促す
   (副作用)アレルギー 等
  5)5-ALA(5-アミノレブリン酸)
   体温上昇により身体の深部から熱を逃し脳が冷えて深い睡眠へ誘う
   (副作用)光線過敏症 等
  6)DHA・EPA(ω脂肪酸)
   メラトニン分泌促進
   (副作用)頭痛、胸焼け、悪心、下痢、出血傾向、心房細動 等
  7)ラフマ
   脳内の神経伝達物質セロトニンの分解を抑えメラトニンを増やす
   (副作用)胃痛、腹部不快感、食欲不振、吐き気、下痢 等
  8)ビタミン類
   ビタミンB12:メラトニンの合成を促す
   (副作用)吐き気、下痢、発疹 等
   ビタミンB6:脳内でGABA生成に関わる
   (副作用)手足のしびれ、知覚異常、光線過敏症 等

2.リラックス効果・疲労軽減効果
  1)テアニン
   緑茶に含まれるアミノ酸でリラックス効果がある
   (副作用)頭痛や吐き気、胃部不快感 等
  2)オルニチン
   疲労回復によるぐっすり感とすっきりとした目覚め
   (副作用)胃痛、下痢、頭痛、痒み 等

※効果および副作用は、持病(基礎疾患や服薬状況)や体調、健康食品(サプリメント)の摂取状況(種類、用量や服用期間)などにより個人差があります。また大量摂取や長期投与の影響などについても明確な判断基準はありません。(各社製品ホームページ等より抜粋・要約)

【実際に報告された副作用】
・メラトニン:短期の使用では比較的安全とされているが長期的な安全性は確立なし
・kava製品(ハーブ):肝障害
・ L-トリプトファンサプリメント :好酸球増加筋痛症候群への懸念
(厚生労働省:eJIME「統合医療」に係る情報発信等推進事業 )

【実際に販売されている特定保健用食品(トクホ)】(2024/9/1)
残念ながらトクホに睡眠に関わる製品はありませんでした。GABAは見つけましたが、睡眠ではなく血圧への効果でした。

【実際に販売されている機能性表示食品(睡眠関係)】(2024/9/3)
機能性表示食品の届出情報(消費者庁)”睡眠”を検索:販売中329件(該当757件)
・最終製品を用いたヒト試験により機能性を評価:販売中10件(該当21件)
・最終製品に関する研究レビューで機能性を評価:該当0件
・機能性関与成分に関する研究レビューで機能性を評価:販売中322件(736件)
・最終製品を用いたヒト試験+機能性成分の研究レビュー評価:販売中3件(該当3件)

※実際に人への影響について研究したものは10件、うち研究レビューも存在するものは3件という結果でした。この3件(あるいは10件)は、そうでない他の製品に比べ、十分ではないものの一定の根拠に基づいた裏付けがあると考えられます。
※一覧表には実際の製品名の表示がありますが、商品や製造者に対する利益相反はありません

【使用にあたってのポイント】
・服用前に医師に相談すること(特に常用薬がある場合)
・用法・容量を守ること(過剰摂取を避ける)
・長期にわたり使用する場合は定期的な健康確認を行う
・成分表示を確認する(添加物も)
・信頼性のあるメーカーや製品を選ぶ(外国製品は注意)
・健康食品に頼らず、毎日の食事をバランスよく

繰り返しての記載となりますが、健康に関する食品やグッズなどは、”手軽に(すぐに)始められる健康改善”の立場から”健康への意識づけ・動機づけ”という側面もあります。医師への相談をお勧めしますが、自己責任にて始められることも一手です。

お薬、治療方法にも共通しますが、効果と副作用あるいはベネフィットとリスク、メリットとデメリットを総合的に判断し、効果やメリットが上回れば、その選択は問題無いと言えるでしょう。

次回は、注意事項(リスク)、効果の確認、体調の確認、総括とコメントをお話しします。

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厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/
消費者庁:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses
機能性表示食品の届出情報検索(消費者庁):https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/search)
統合医療に係る 情報発信等推進事業eJIM(厚生労働省):https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c05/20.html

2024/9/10



快眠の秘訣

〜健康食品・サプリ3〜

【快眠の秘訣】〜12 健康食品・サプリ3〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第12回めは”健康食品・サプリメント”の3についてお話しします。今回は、最終的に健康食品やサプリメントはどう考えればいいの?どう使えばいいの?について回答します。

かなりのボリュームになりましたので、この項は3回に分けてご紹介しています。
健康食品・サプリメント1(前々回):
  健康食品・健康サプリとは、摂取にあたっての注意事項、選び方、使用目的
健康食品・サプリメント2(前回):
  実際に販売されている成分の例、考えられる副作用、使用にあたってのポイント
健康食品・サプリメント3(今回):
  注意事項(リスク)、効果の確認、体調の確認、総括とコメント

【注意事項】
※定期的に医療機関の受診と健康チェックを行うようにしてください。
1.効果
期待する効果が得られない可能性がある、副作用が強く出る場合がある
作用や副作用の出現には、年齢による代謝低下や持病などの影響を受ける
2.健康への影響
期待する効果の他、予期せぬ効果を生じることがある
3.未確認成分
効果が十分に証明されていない成分が含まれている場合がある(過剰摂取や長期使用にも影響)
4.長期使用(常用使用)
毎日の服用など長期使用を基本としており、おのずと服用量が多くなる
依存性のリスクや耐性の形成を引き起こす可能性(使用開始と中断時には特に注意)
5.コスト
購入にかかる費用がかさみがちになる。効果と金銭を天秤に効果を感じるのであれば続けても良いでしょう
6.効果が出るまでの期間
効果が出るまでの期間は個人の体質や成分によって異なる
多くは数日から数週間で効果を実感できるとされているが、個人差が大きい
(グリシンやGABAなどは比較的早く効果を感じやすくハーブ系は時間がかかる傾向)
7.相互作用
他の薬を服用している場合や持病がある場合は、医師に相談することが重要
特に抗うつ薬、血圧降下薬、抗不安薬などとの併用には注意が必要
(効果成分だけでなく、結着剤や添加物の影響も無視できない)

【効果の確認】
・期待する効果が得られている
 よく眠れる、寝付きが良くなった、ぐっすり眠れる、目覚めが良い、休養感がある 等
・体調がよくなった
・日中は活動的になった
・日中の気分がよい
・日中に眠気がない
・悪い体調変化がない
・止めると症状がぶりかえす
※使用にあたっては、評価表(日にち、服用内容、量、体調などを記入)を作成し、日々の記録から効果を確認すると良いです。

【体調変化の自覚症状例】
・だるさ、疲労感(疲れやすい)、倦怠感、食欲不振、体重減少・増加
・発汗、口渇、頭痛、眠気、不眠、不安・うつ、イライラ
・めまい、しびれ、意識障害・失神、けいれん
・発熱、微熱、長引く咳、息切れ、呼吸困難
・動悸、 胸痛、不整脈、胸のざわざわ感
・むくみ、痒み、発疹、アレルギー症状、光線過敏症、出血傾向
・食欲不振、胃部・腹部不快感、胸焼け、悪心(吐き気)、嘔吐、胃痛、腹痛
・下痢、便秘、血便、尿の色や量・頻度(血尿、少ない・多い、頻尿)
※これ以外にも症状は現れます。健康食品やサプリメントを服用していること、いつ(いつから)、どこで、どんなとき(何を飲んで)、どれくらい(飲んだ量)、頻度(初めて、飲むたびに)、程度(症状の強さ)などを控えておきましょう。診察時にしっかりと伝えることが大切です。

【科学的観点から見た補完療法】
補完療法が、治療や症状緩和に有効な場合があります。
・栄養学的アプローチ:
  特別な食事療法、栄養補助食品、ハーブ、プロバイオティクス など
・身体的アプローチ:
  ストレッチ、マッサージ、鍼灸治療 など
・心理学的アプローチ
 認知行動療法、睡眠(入眠)儀式、マインドフルネス、瞑想、香り・音楽療法、
 リラクゼーション法 など
・心理と身体の組み合わせのアプローチ:
  漸進的弛緩法、米軍式睡眠法、ヨガ、太極拳 など

【結局のところ】
健康食品やサプリメントについて、これまで紹介を鑑み私見としての感想です。
※「使用にあたってのポイント」も参考にご覧ください。
・厚生労働省認証の「特定保健用食品(トクホ)」以外は、その効果は不確定である。
・かなりの費用負担となります、金銭的に余裕があれば考えてみても良いでしょう。
・心理的な効果が大きいなら、体調不良が無ければ使用するのも良いと思います。
・効果が、思わしくない事象を上回るのであれば摂取しても良いでしょう。
・健康食品の摂取は、治療ではなく体質改善であることを念頭に置きます。
・製品については玉石混合、使用にあたってはしっかりと調べ自己責任で判断します。
・体調の変化には常に気を配りましょう。(自覚症状の項 参照)
・異常があればすぐに医療機関を受診しましょう。
・長期間の服用では、必ず健康チェック(医師による確認)を行いましょう。
・健康被害のリスクは常に念頭に置いておいてください。
・食事から摂取できるのであればそちらを優先します。
・補完療法(栄養学的、心理学的、身体的アプローチ)を活用しましょう。

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厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/hokenkinou/
消費者庁:https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_specified_health_uses
恩地森一ら.民間薬および健康食品による薬物性肝障害の調査.肝臓.2005;46(3):142-148.

2024/9/13



快眠の秘訣

〜睡眠の病気〜

【快眠の秘訣】〜13 知っておきたい睡眠の病気〜
「眠るからだをつくる・眠るリズムをつくる」第13回めは、睡眠に関係する病気についてお話しします。なんとなく不調であったり、病気とは気づかずにいたけれど実は病気だったりすることがあります。睡眠に関係する病気、知っておいて損はありません。場合によっては、知ることが治療にもつながります。

どれも正しい診断と適切な治療が必要です。生活習慣(睡眠衛生)の改善で軽減する場合もありますし、カウンセリングや薬物などの治療が必要な場合もあります。どちらにしても気付かなければ治療はできませんので、このような病気を知ることは、早期発見や治療に結びつく可能性があります。

【知っておきたい睡眠の病気】
睡眠に関する病気は「睡眠障害国際分類 第3版(ICSD-3)」により分類されています。
1.不眠症  2.睡眠関連呼吸障害群  3.中枢性過眠症群
4.概日リズム睡眠・覚醒障害群    5.睡眠時随伴症群
6.睡眠関連運動障害群   7.その他の睡眠障害

※以前に一度、睡眠の病気は紹介しています。今回は、こちらで紹介していない病気を中心に解説してみます。
2024/6/14_【眠りの仕組み】〜10 眠りの病気〜(前編)
2024/6/18_【眠りの仕組み】〜11 眠りの病気〜(後編)

【一般的な症状】
だるそう・元気がない(疲労感や倦怠感)、注意力や集中力の低下、やる気・気力の低下、学業低下、いらいらしている、日中にうとうとしている、落ち着きがない、成績の低下、成長(体格・精神年齢)が遅れている などを見かけることがあります。これらに加え、頭痛、血圧上昇、吐き気やめまいを訴える方もおられます。

1.不眠症
短期不眠と、症状が3か月以上続く慢性不眠に分類されます。精神生理性、薬によるもの、疼痛や身体疾患、精神疾患や睡眠環境要因などにより生じます。不眠の原因を取り除くこと、慢性となる前に適切な治療が望まれます。
入眠困難(寝付けない)、中途覚醒(おやすみ中に何度も目が覚める)、早朝覚醒(早く目が覚めてそれ以上眠れない)などがあります。
ポイントは、上記のような一般的な症状などが無かったり日中に困っていなければおおよそ問題無いということです。例えば夜に何度も目が覚めても、そのまますぐに眠れるのであれば問題無いとも言えます。ただし、それらに気づかないこともありますので、注意が必要です。
2.睡眠時無呼吸症候群(睡眠関連呼吸障害群)
眠っている間に息が止まる病気です。古くは「オンディーヌの呪い」としてギリシャ神話にも出てきました。現在ではこの神話の病は睡眠時無呼吸症候群ではなく、先天性中枢性肺胞低換気症候群として睡眠関連呼吸障害群に分類されています。
3.ナルコレプシー(中枢性過眠症群)
耐え難い眠気に襲われます。中枢性過眠症群のクライネレビン症候群では、3日から3週間の強い傾眠を生じたあと何事もなく回復し、これを周期的に繰り返す場合があります。10代の男性に多いとされています。
4.睡眠不足・行動起因性睡眠不足症候群(中枢性過眠症群)
必要な睡眠時間がとれていない状態です。自分自身がしたいことがあるから眠らず起きている、睡眠時間を削って寝床でスマホを見る、塾などが遅くまであり生活時間が遅くなっている、親の生活サイクルに合わせて寝るのが遅くなり、睡眠時間が足りていないことなどが原因となります。これらの生活習慣(睡眠リズム)の乱れがもとで、休日の遅寝・遅起きによる概日リズム・覚醒障害に移行する場合も多々あります。
5.睡眠・覚醒相後退(前進)障害(概日リズム睡眠・覚醒障害群)
一日の起床・寝入りのリズムがずれてしまい、決まった時間に起きられない、眠れないなどから、眠気の増大により日中にボーとしている、居眠りが増えるなどを生じます。適切な治療を行わないと、不登校や出勤拒否、ひきこもりになる場合もあります。
6.社会的時差ボケ(概日リズム睡眠・覚醒障害群)
通常の時差ボケは海外旅行など時差のある所へ行き帰りするときに生じますが、日常生活の中でも起こります。平日の足りない睡眠時間を補おうと、休日に遅くまで寝てしまう状況です。休日前の遅寝や休日の遅起きにより体内時計が遅れ、月曜日の朝は体内時計は戻らず遅れたままの状態、時差ボケ状態になっています。就床・起床時間の乱れは、死亡リスクの増大にもつながります。
7.夢遊病・睡眠時遊行症(睡眠時随伴症群)
眠っているときの寝ぼけです。睡眠時驚愕症(夜驚症)では苦悶表情や叫び声が出ることもありますが、睡眠時無呼吸症候群による呼吸苦もそれに似た状態になることがあり、注意が必要です。
8.レム睡眠行動異常(睡眠時随伴症群)
睡眠段階のうちレム睡眠期では通常は夢を見ています。このとき脳からの運動指令は遮断されていますが、何らかの原因によりつながってしまうことがあります。こうなると夢の通りに身体が動いてしまいます。暴力的な、不快な内容であることが多く、ケンカの夢を見ているとそのまま動いて壁やベッドパートナーを叩いたり怪我をしたりする場合があります。また、このような方はレビー小体型認知症のリスクが高いとされています。
9.むずむず脚症候群・レストレスレッグス症候群(睡眠関連運動障害群)
足がむずむず、チリチリ、異常な感覚があり、眠れない病気です。

【睡眠の問題に気付くポイント】
眠っているときのことですので、ご自身では気づかないことも多々あります。ご家族で情報を共有、病気を知っておくことが大事です。心当たりがある場合は、ひとりで悩まず医療機関を受診、相談しましょう。

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版:じほう(2019)
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
塩見利明.睡眠無呼吸症: 広がるSASの診療.2013

2024/9/17



快眠検定 Part 1
めざせ!快眠マスター
(基礎編)



快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)
【快眠の秘訣】シリーズも7月から13回、ご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。その総集編として「快眠検定」を実施します。この13回から基本的な8問題を作成しています。全問正解者には”スペシャリスト賞”もダウンロードできます。ぜひトライしてみてください。
あなたの快眠知識はどれくらい増えたでしょうか。

検定アドレスはこちら(QRコードからもアクセスできます。)
https://quiz-maker.site/quiz/play/BWR2xf20240912160658
(問題の解説は2024/9/20より順次公開します。)

今後は同様のクイズを、働くお父さん向け、子育てお母さん向け、高齢者さん向け、学生さん向け、など作ってみたいと思います。お楽しみにお待ちください。
また、ご意見やご要望などがありましたら、ぜひ教えてください。よろしくお願いいたします。

定期的にSNSにて情報を発信しています。こちらもぜひご登録ください。
HPhttps://x.gd/U3E1D
X https://x.gd/49Sjb
Instagramhttps://x.gd/AO3dD
Facebookhttps://x.gd/kPJJD

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2024/9/20



【快眠検定 Part 1】

<問1>

【快眠検定 Part 1】 問1・解説
今回は【快眠検定 Part 1】めざせ!快眠マスター(基礎編)の答え合わせと解説です。皆さん、クイズを受けてみられましたか?いかがでしたでしょうか。難しかった、簡単だった、物足りなかった…、ぜひご意見をお寄せください。

検定受験がまだでしたら、まずこちらから受けてみてください。
快眠検定Part1:https://quiz-maker.site/quiz/play/BWR2xf20240912160658

それでは解答と解説です。
【問1】朝の過ごし方で正しいものはどれか
× 休みの日は睡眠不足の解消に昼までしっかりと寝る
〇 朝起きたら窓辺で光を浴びる、窓辺で過ごす
× 朝は時間がもったいないので朝ごはんは簡単に済ます

問1は睡眠不足のリスク、朝の光・朝ごはんの重要性についての出題でした。
【この設問のポイント】
1.平日にしっかり睡眠確保、休日の2時間長寝は危険レベル
2.朝は光を浴びて、一日の始まりをリセット
3.朝ごはんをしっかり、幸せと眠りにコミット

1.睡眠時間について
休みの前の日や休みの日に遅寝(夜更かし)をすると、出勤前日の夜がなかなか眠れず、また出勤当日の朝は睡眠不足と時差ボケで起きるのが辛くなります。睡眠の量も質も悪くなりますね。このような、社会的的時差ボケ(習慣的時差ボケ)を作らないためには、平日と休日前・休日の就床時刻および起床時刻をなるべく一定にすることです。

それでも、平日の睡眠不足をなるべく取り戻したいと、休日は(お昼ごろまで)長く寝てしまうという方もおられるかもしれません。これは寝だめではなくて、寝足りない睡眠不足を借金に例えた「睡眠負債」を返しているだけのことです。休日の長寝は、この「睡眠負債」をお休みの日に返しているだけのことです。休み明け以降の睡眠不足を前もって補うことはできません。あくまで過去の睡眠不足の帳尻合わせをしているだけなんですね。

ただし、平日に睡眠不足の方が休日にその負債を埋めること(長く寝ること)は、ある程度の疾病リスク(心血管疾患や寿命短縮リスク)の軽減効果はあります。た・だ・し、注意してください。これは平日に比べ休日の睡眠時間が1時間程度長い方にのみ当てはまります。もっと睡眠不足な方、休日の睡眠時間が2時間以上長い方は、休日の睡眠を増やしても疾病リスクの軽減効果はありません。平日の睡眠不足のデメリットが、休日の長寝による回復効果を上回り、疾病リスクは高いままとなります。まずは平日の睡眠時間の確保を図ることが第一歩で、一番大事なことです!

それでも睡眠不足を少しでも解消するために休日の長寝は必要でしょう。ここで実践したいのは、休日の睡眠時間の確保は、起きる時間を後ろ倒しにする(遅くまで寝る)のではなく、前倒しに(寝る時間を早く)することです。睡眠時間のバラつきは死亡リスクを増大させ、起床時間の後ろ倒しは休日明けの時差ボケにつながります。

【睡眠時間のツボ】
@睡眠時間はしっかり確保
 (休日の長寝が2時間を超えないように平日の睡眠時間を確保)
A睡眠時間の確保は就床時刻を前倒しで確保 です。

参照:
2024/4/30【自らすすんで時差ボケに!?】
2024/8/6【快眠の秘訣】〜02 規則正しい生活〜

2.快眠に光を利用する
朝の光は体内時計をリセットさせる効果があります。ヒトの体内時計は24時間より長い方が多く、放っておくとどんどん後ろにずれてしまいます。朝の光が体内時計の一日をリセットし調整します。これにより、その日の夜もしっかりと眠くなり、深く眠れるようになります。朝の光は、目覚ましの効果もありますが、夜に眠るためのものとも考えられます。

これは難しく考えることはありません。起きてから30分以内に窓辺に行きましょう。照度的には、曇り空でも窓辺に行けば室内灯よりかなり明るいです。できれば15分から30分程度は光を浴びると良いようです。朝の散歩はお勧めですね。

参考:
2024/4/19【ヒカリノチカラ】
2024/8/9【快眠の秘訣】〜03 光の作用〜

3.朝ごはん
朝ごはんは脳と眠り的に、咀嚼により目覚める効果脳を活性化する効果と、眠るための睡眠ホルモンをつくる働きにつながります。メラトニンというホルモンを聞いたことはあると思います。このメラトニンは眠りをもたらすホルモンで、元々は食事に含まれるたんぱく質(アミノ酸)のトリプトファンから作られます。このトリプトファンが、しっかり光を浴び日中に活動的に過ごすことにより時間をかけてメラトニンになります。

トリプトファン→セロトニン→メラトニンに変化し、この途中にあるセロトニンは幸せホルモンともいわれるものです。すなわち、トリプトファンを摂ることにより、幸福感をより強く感じることができる可能性があります。トリプトファンをしっかり摂ると、しあわせ感とよい眠りを得られる。これって良くないですか?ぜひ積極的にトリプトファンを摂ってみましょう。この時、トリプトファンが変化してゆくには時間がかかりますので、朝ごはんで摂ることがお勧めです。また、摂取の基本は食事です。健康食品やサプリメントに頼らず、食事からとるようにしてみましょう。(食材の例も下記リンクでご紹介しています。)

参考:
2024/5/21【眠りの仕組み】〜03 眠くなる朝ごはん〜

今回はまず最初の問1を解説してみました。次回以降、順次問いの内容を解説してゆきます。ぜひ次回もこちらにアクセスしてみてください。

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健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)
欧州心臓病学会議 2024

2024/9/27



【緊急提言】

ウェアラブルデバイス

〜心電図通知アプリ〜

【緊急提言】ウェアラブルデバイスの1(心電図通知アプリ)
2024年この9月17日にApple Watch(アップルウォッチ)にて睡眠時無呼吸の通知機能が公開されました。無呼吸に限らず、心電図や睡眠ログの記録など、さまざまな簡易デバイスが普及しようとしています。これらは正しく使うと病気の早期発見や生活習慣の改善などに活かすことができますが、使い方や判断を誤ると不利益を被ることもあります。

このようなデバイスを有効に活用するために知っておいてもらいたいことを、臨床検査技師、日本不整脈心電学会認定心電図専門士、日本睡眠学会専門検査技師の立場から、今回の緊急提言としました。

【心電図アプリ】
アップルの他にもサムスン(日本では未認可)からも提供されているようです。これらの機能は「診断機能」ではなくあくまで「通知機能」であることを理解してください。
(概要)
アップルウォッチを左右の手で触れることにより測定でき、おそらく通常の心電図のT誘導またはaVL誘導を表示しているものと思われます。これらの誘導は比較的安定な心電図波形を記録することが可能です。
(メリット)
・いつでも計測できる
  おかしいなと感じたときにすぐ測定できる
・記録したものが保存できる
  後に医師による確認ができる
・心房細動に関しては感度・特異度ともに高い
  誤判定が少ない
(デメリット)
・通知情報が少ない
  心房細動・不整脈以外が潜んでいる可能性がある
・誤通知の可能性(過剰・見逃し)
  脈拍数、体型やT波増高、装着不良や接触不良など
・誤通知による不安増大
  通知を受けることにより心理的に負担となる場合がある

【ウェアラブルデバイス共通の留意点】
・使用説明書をよく読み内容を理解したうえで使用しましょう
・簡易測定であることを理解しましょう(精度、再現性など)
・測定結果は絶対ではなく誤差や誤判定である場合もあります
・各社独自のアルゴリズムで判定しておりメーカーにより差があります
・測定結果に過剰反応しないようにしましょう
・測定結果一辺倒ではなく自覚症状や他覚症状なども考えあわせましょう
・疾病疑いの通知がなされた際は医療機関を受診するなど適切な対応をとりましょう
・測定結果にかかわらず体調不良がある際は必ず医療機関を受診しましょう
・使用時などアプリの内容や実態をよくご存じの方に相談してみましょう

医療機器の家庭への普及は、疾病の早期発見や状態把握、健康管理に活かせる可能性を大いに期待させます。そしてその可能性は十分にあり、普及することが望まれます。家庭用血圧測定装置(家庭用血圧計)などはその代表であり、すでに高血圧治療ガイドラインでは家庭血圧による診断治療の指針が示されています。このように、家庭用アプリの普及は機器装置について十分なデータの集積と、これに伴うエビデンスの整理や使用への検討が不可欠です。

また、メリットとデメリットを見極めることが重要となります。実際に、”医療”に関わること、例をあげれば”投薬”や”健康診断”なども実は同様で、数ある要素や手法から得られるメリットとデメリット(不利益)を考慮し、得られるメリットが大きい場合には有効と捉えます。今回のアプリで考えてみると、通知による疾病の早期発見はメリット、誤通知による心理的負担と過剰受診による本人と医療機関の負担増はデメリットになります。また、アプリを通じて病気の啓発や周知もメリットになるでしょう。

【ポイント】
今はまだ完全とは言い難いですが、これらのアプリは健康へ活かせるメリットも十分にあります。使用においては、個人の責任において利用・活用することが求められます。ここで大事なのは、アプリの結果に併せて(あるいはアプリの結果に関わらず)、自覚症状や他者からの指摘を参考に総合的に判断することになります。また、可能であれば、これらの内容や実態について(医学的・工学的)詳しい方に相談するのも一手で、お勧めします。以上の点にご留意され、ご紹介のアプリなどを活用し、健康に役立ててみてください。

長くなりましたので分割して、次回は無呼吸アプリ、睡眠計測アプリについて提言します。

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https://www.apple.com/jp/healthcare/apple-watch/
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch
認定心電技師のための心電図の読み方
日当直者のための心電図症例集
ハート先生の心電図教室(https://heart-radio.com/

2024/10/1



【緊急提言】

ウェアラブルデバイス

〜無呼吸通知アプリ〜

【緊急提言】ウェアラブルデバイスの2(無呼吸通知アプリ)
今回ご紹介する無呼吸通知アプリは、この2024年9月17日にApple Watch(アップルウォッチ)から公開された、睡眠時無呼吸の通知機能アプリです。前回の心電図計測アプリに続いて、今回は無呼吸通知アプリ、睡眠ログ計測アプリについて提言してみます。さて、どのようなアプリなのでしょうか。

前回ご紹介したように、これらの家庭用測定機器(アプリ)は、正しく使うと病気の早期発見や生活習慣の改善などに活かすことができますが、使い方や判断を誤ると不利益を被ることもあります。ぜひよくこちらをお読みになって、しっかりと活用してみてください。

【無呼吸通知アプリ】
アップルの正式名称は「Appleの睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム」です。「診断」プログラムではなくあくまで「通知」プログラムであることを理解してください。自己責任が基本となります。
(概要)
無呼吸の測定原理について、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)で公開している使用説明書やメーカーホームページ等から推測すると、実際の呼吸や酸素飽和度の変化を見ているのではなく、デバイスに搭載されている高性能な加速度センサーから呼吸に伴う微小な体動から無呼吸を検知し、独自のアルゴリズムで推測しているようです。実際には、一晩ではなく30日(10日以上)装着した結果から、呼吸の乱れを解析し「無呼吸の疑い」(Possible Sleep Apnea)を表示するようです。
(メリット)
・継続して計測できる
  出現頻度の低い(あまり出現しない)事象も検出できる可能性
・他のアプリと併用できる
  いびきや睡眠状態と併せ総合的に評価できる可能性
・重度の無呼吸に対しては感度が良く特異性が高い
  通知があれば無呼吸の疑いが高い
  アルゴリズムの感度(重度):89.1%
  加重平均アルゴリズムの全体的な特異度 98.5%
・睡眠に関心が持てるようになる
  睡眠衛生の改善
(デメリット)
・誤通知(疑い通知)の可能性
  誤判定の可能性
・見逃しがある
  特に軽度から中程度では感度が低い
  アルゴリズムの感度(中等度):43.4%
・通知による不安増大
  通知を受けることにより心理的に負担となる場合がある
・情報量が少ない
  無呼吸以外の睡眠障害が混在する可能性

【ウェアラブルデバイス共通の留意点】
・使用説明書をよく読み内容を理解したうえで使用しましょう
・簡易測定であることを理解しましょう(精度、再現性など)
・測定結果は絶対ではなく誤差や誤判定である場合もあります
・各社独自のアルゴリズムで判定しておりメーカーにより差があります
・測定結果に過剰反応しないようにしましょう
・測定結果一辺倒ではなく自覚症状や他覚症状なども考えあわせましょう
・疾病疑いの通知がなされた際は医療機関を受診するなど適切な対応をとりましょう
・測定結果にかかわらず体調不良がある際は必ず医療機関を受診しましょう
・使用時などアプリの内容や実態をよくご存じの方に相談してみましょう

家庭用デバイス(アプリ)は上手に使えば健康に有用に活用できます。結果に一喜一憂せずに、自身の健康状態をしっかりと確認すること、変わりがあれば医療機関を受診すること、そして日頃より自分の健康に目を向け関心を持つことが大切ですね。

使用にあたっては、前回もお話ししたように可能でしたら、健康アプリについて詳しい(医学的・工学的)方に相談することをお勧めします。以上の点にご留意され、ご紹介のアプリなどを活用し、健康に役立ててみてください。

長くなりましたが、次回はお待ちかねの睡眠計測アプリについて提言します。

(取扱説明書)   ▲TOPに戻る
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https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/09/watchos-11-is-available-today/
https://www.apple.com/legal/ifu/sanf/099-48054-A-SANF-1X-IFU-JAPAN.pdf
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch
米国睡眠医学会(著)日本睡眠学会(監訳).AASMによる睡眠および随伴イベントの判定マニュアル VERSION 2.5
日本睡眠学会.改訂版 臨床睡眠検査マニュアル

2024/10/4



【緊急提言】

ウェアラブルデバイス

〜無呼吸通知アプリ〜

【緊急提言!】ウェアラブルデバイスの3(睡眠アプリ)
睡眠記録デバイス・アプリケーションは、腕時計型、指輪型、マットレス型や据え置き型などがあり、現在は腕時計型が主流のようです。睡眠アプリ、睡眠記録アプリ、睡眠ログアプリ、睡眠トラッカーなど様々な名称で使用されています。機種によっては、入眠サポート機能やアラーム機能などで健やかな睡眠をサポートするものもあるようです。

アプリの概要と注意点、後半ではメリット・デメリットもまとめました。ぜひ最後までお読みください。

【アプリの概要】
これらの各アプリでは、@睡眠時間、A眠りにつくまでの時間、B睡眠の深さ、C寝返りなど体の動き、D寝言やいびきなどの音、E睡眠の中断回数、F心拍数、G睡眠時無呼吸の状態などが評価できるようです。ここでポイント(留意点)は、@睡眠を直接測っていない、A記録精度は不明、B解析のアルゴリズムは各社まちまち、ということです。このことは、正確な睡眠の評価に直接影響する要因です。得られた睡眠に関するパラメーターは、直接的な判定判断の結果ではなくあくまで推測値であるということに注意してください。

【測定原理】
実際に(私が行っていた時もそうでしたが)睡眠検査(睡眠ポリグラフ検査:polysomnography : PSG)では、@脳波、A眼球運動、Bオトガイ筋筋電図、C心電図、D気管音(いびき)、E呼吸(圧センサーおよび温度センサー)、F胸部・腹部運動、G体位、H酸素飽和度、I二酸化炭素濃度、J脚部筋電図、Kビデオモニターを装着し、睡眠の状態を記録します。その解析(睡眠の評価)についても、30秒ごとの波形画像について一晩およそ1000枚の解析と判定を行います。正確に睡眠を評価するには、このような複雑な手順を経なければ評価ができないということであり、それくらい睡眠は複雑な現象と言えます。

一方で、睡眠アプリについては、1種類から多くとも3種類程度の記録情報から睡眠状態を評価しているようです。一般的には、加速度センサーにより呼吸(胸・腹部運動)や体動を、マイクによりいびきを、心拍センサーにより心拍変動を見ているようです。これらを総合して睡眠を評価しますので、より多くの測定系がある方がより正確であることには間違いないです。

脳波以外の身体所見についても睡眠の段階ごとに特徴があります。覚醒状態から入眠に至ると、体動が減り呼吸や心拍が安定するようになります。その後、睡眠が深くなるにつれ更に呼吸は安定し体動も減って行きます。おおむね入眠時より早朝の方が心拍数や血圧も低下しています。(睡眠時無呼吸症候群やストレスなどの交感神経亢進があると下がらないことも多い)レム睡眠期では呼吸と心拍が不規則になりますが脱力により体動は極端に少なくなります。

【睡眠判定】
以上から、おそらくですが、睡眠計測アプリではこのような特徴的な身体所見を総合して、入眠、覚醒、睡眠の深さ、レム睡眠などを推測していると思われます。ただし、睡眠の深さのそれぞれのパラメーター(レベル)は個人差もあり、正確な特定は難しいと考えられます。また、この推定と評価の基準は統一されたものではなく各社独自の演算により、浅い睡眠から深い睡眠、レム睡眠や覚醒などを推定しているものと考えられます。ただし、多くのデータを蓄積・解析し、睡眠の深さなど各状態について測定値から最大近似を得られるように作られていると思います。このあたりの企業努力には脱帽です。

しかしながら(私見ですが)正直に言うと、”アプリの測定結果は正しい・間違いない”とは言い難いところです。例えば、風の強さを風力計ではなく葉っぱが揺れる、枝がなびくなどの様子で計っているようなものでしょうか。その評価の仕方(基準)は個人差や幅、バラつきが大きいことはおわかりかと思います。あくまで参考記録というスタンスになるかと思います。

【メリット】
・自分の睡眠状態を客観的に把握できる
・睡眠障害の早期発見につながる可能性がある
・連続記録できる
・自分の睡眠に興味を持てる
・生活習慣の改善に役立てられる
・寝返りの多寡などから枕や寝具の問題(睡眠環境)の推測
・同様に、身体の痛みなどの推測
・睡眠の深さなどから生活習慣(睡眠衛生)の推測
・同様に、光、温度、騒音など(睡眠環境)の推測
・同様に、疲労やストレスなど(生活習慣)の推測

【デメリット】
・感度や設定により正確なデータを得られない場合がある
・同じ睡眠であっても日によって評価がまちまちになる場合がある
・アプリが変わると評価も違ってくる場合がある
・人により睡眠の質が悪く評価されると不安になり眠りにくくなる
・電池が減りが速い(充電しながら使うのは電池発熱の恐れあり)
・腕時計型では重くて気になり眠りにくくなる場合がある

【注意事項】
アプリの結果を盲信するのではなく、参考として捉えることにしましょう。あくまで生活の中での睡眠状態の確認と改善の簡単な指標としているのが良いようです。

睡眠計測アプリの一番の問題は、計測された睡眠の評価が正確でない可能性があり再現性が低い場合があることがあげられます。一日のみの評価ではなく、ある程度連続して測定し総合的な評価をすることが大事になります。加えて、測定の効果を享受するためには、計測しっ放しではなく眠る前の一日の行動(生活習慣)や眠りに関する行動(睡眠衛生)の状態と、起床時の睡眠の状態を記録しておくことで、これらのアプリの有用性が高まり、快眠に役立つことになります。ひいては、生活の質や満足度の向上につながります。
睡眠アプリは便利ですが、病気を見つけることや病状の治療・解決には向いていません(使用できません)。睡眠全般について不安や症状がある場合は医師に相談しましょう

いかがでしたでしょうか。便利なアプリができたものです。前回までの注意事項(【ウェアラブルデバイス共通の留意点】2024/9/272024/10/1)もご参考になさってみてください。睡眠計測アプリ、上手に使ってしっかり眠り、生活を豊かにしましょう。

文中の【注意事項】で計測しっ放しはダメだと書きましたが、アプリを使わなくても睡眠を評価する方法もあります。それは「睡眠日誌」を付けることです。それでは次回は「睡眠日誌」をご紹介します。

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https://support.apple.com/ja-jp/guide/watch/apd830528336/watchos
https://support.apple.com/ja-jp/108906
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiSearch
Fitbit デバイスはどのようにして自動的に睡眠ステージを検出しているのですか?
米国睡眠医学会(著)日本睡眠学会(監訳). AASMによる睡眠および随伴イベントの判定マニュアル VERSION 2.5
日本睡眠学会. 改訂版 臨床睡眠検査マニュアル
臨床検査 vol.57 no.10(2013)

2024/10/8



【睡眠日誌】

睡眠を記録しましょう

【睡眠日誌】睡眠を記録しましょう
前回は睡眠アプリについてお話しし、その際に睡眠の記録を付けておくことが大事ですとお伝えしました。この睡眠を記録するものが「睡眠日誌」と呼ばれるもので、古くから睡眠医療の領域では使用されています。普段の睡眠の長さや規則性などを把握するのに有用です。また自分で気付いていない睡眠の状態や習慣を把握することにもつながります。個人の使用だけでなく学校などで使用することで、学校生活や生活習慣の改善に役立ちます。

「睡眠日誌」には、寝床に入った時刻、眠りについた時刻、中途覚醒や早朝覚醒を含め目を覚ました時刻、寝床から出た時刻などを図として記入します。その他の情報として、翌朝・翌日の休養感、日中の眠気などを記載します。これにより睡眠時間の確認やどのような睡眠パターンか、また睡眠効率や睡眠の時差なども計算できます。

「睡眠日誌」は毎日つけることが大事で、2週間程度は連続して記録します。朝起きてから、昼休みに、夕方になど、時刻を決めて記入するようにすると忘れず習慣的に継続しやすくなります。

今回作成した睡眠日誌では、寝床に入った時刻、眠りについた時刻、目を覚ました時刻、寝床から出た時刻と、休養感と日中の眠気について記載できるようにしています。それから、これが大事なのですが、睡眠や生活習慣に関するコメントを記載できるようにしています。ご使用の場合は、必ず記載するようにしてみましょう。
下段の画像(リンク)から、睡眠日誌の入力方法の説明、Excel版・手入力用のPDF版がダウンロードできるようにしています。

【睡眠日誌の活用方法】
1)就寝・起床時刻がまちまちでしたら、なるべくそろえるようにします。(平日・休日の差は1時間程度に)
2)睡眠時間を確認します。休養感や日中の眠気と併せ、睡眠不足の確認ができます。(年齢ごと、自分に合った睡眠時間で)
3)睡眠効率と確認します。不必要に寝床にいると、睡眠満足度が低下します。(85%以上を目指します)
4)生活習慣がどれくらい睡眠に影響しているかが推測できます。よく眠れた時、不満足な睡眠だった時の特記事項を確認します。
5)食事(量や内容、食事時間)、運動(強さや時間帯)、飲酒やカフェインの影響、入浴時刻、生活環境・睡眠環境の良し悪し、体調やストレスなどを併せて確認し改善することで、睡眠に良い生活習慣が得られます。

睡眠日誌は前回にお話しした「睡眠アプリ」を用いることも可能で、記録漏れが無くなることからはお勧めです。ただし、入眠時間や目を覚ました時刻、睡眠の質などは不正確である場合があります、参考程度にしてみましょう。最低でも、入眠時刻と起床時刻は確認しておいてください。加えて、その日の”特記事項”はアプリ内または別紙として必ず記載するようにしてみましょう、この記録が大変大事です。自動記録に残らない、睡眠と日常生活の記録は必須で、睡眠改善の手がかりになります。

睡眠日誌」いかがでしたでしょうか。簡単な記録でも快眠の参考になります。ぜひ活用なさってみてください。

それぞれの「睡眠日誌」は以下から表示・ダウンロードできます。
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睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
岡部英男.健康長寿と睡眠について.予防医学 第60号(2019)

2024/10/11



【快眠検定 Part 1】

<問2>

【快眠検定 Part 1】 問2・解説
今回は「快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)」問2の答え合わせと解説です。皆さん、クイズを受けてみられましたか?いかがでしたでしょうか。難しかった、簡単だった、物足りなかった…、ぜひご意見をお聞かせください。

検定受験がまだでしたら、まずこちらから受けてみてください。
https://x.gd/4mRZD

それでは解答と解説です。
【問2】昼寝(Power Nap)の仕方で正しいものはどれか
× しっかりと60分眠る
× 夕方17時くらいに30分眠った
 イスに座って眠った

【この設問のポイント】
1.昼寝は15時までに30分まで
2.それ以降の昼寝(うたた寝)は禁止
3.深い睡眠に入らないように

【昼寝のツボ】
昼寝について書きましたが、日中に眠気が無く活動的に過ごせているなら昼寝は不要です。睡眠不足を自覚している方、眠気を自覚している方は、積極的に昼寝をとってみましょう。上手に昼寝(Power Nap!)をすることで、頭がすっきりと午後の活動性が上がります。

昼寝の時間は15時までに30分までにすること、若い方は20分程度でも良いようです。肝心なのは深い睡眠に入らないようにすることです。深い睡眠に入ってしまうと、目が覚めた後にぼーとする(睡眠慣性)ことが多々ありますので、起きた後の能率が上がりません。浅い睡眠にとどめましょう。そのためには、横になって昼寝をするのではなく、イスに座ったまま楽な姿勢で眠るのが良いようです。また、昼寝の前にコーヒーなどでカフェインを摂っておくと、目覚めの頃15分〜30分くらいで効果が現れますので、すっきりと目覚められます。

15時以降に昼寝やうたた寝をすると夜の睡眠に影響し、眠りにくくなったり眠りが浅く長続きしなくなったりします。

眠気の原因が睡眠不足であるときに、その解消のためお休みの日に昼まで長寝をするのは禁物です。解消には、毎日の睡眠の中で就寝時間を早めることで対処しましょう。また、睡眠をしっかりと摂ってもなお眠たい時は、病気やお薬の影響によるものかもしれません。必要により医療機関を受診しましょう。

高齢者の場合は、昼寝を長くしすぎると認知症のリスクを上げてしまいます。60分以上の昼寝は控えましょう、30分程度にとどめます。高齢になると、なかなか夜に眠れなくなったというお話をよく聞きますが、活動量やホルモンの影響により若い頃のように眠れないのは仕方が無いことです。それでも、食事や生活習慣、睡眠衛生に留意することにより睡眠の満足度を上げることはできます。まずは昼寝を長くしない、夕食後などのうたた寝をしない、就寝時も寝床の上に長く居すぎないことをお試しください。あまりに朝早くから太陽の光を浴びるのも、少し控えた方が良いようです。タンパク質もしっかりと摂りましょう。

過去の投稿もご参考になさってみてください。
2024/4/26【パワーナップ!】
2024/8/16【快眠の秘訣】〜05 昼寝・うたた寝〜

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
林光緒.昼寝の功罪とパワーナップ.睡眠と環境:18(1), 2024
Hayashi M, Motoyoshi N, Hori T: Recuperative power of a short daytime nap with or without stage 2 sleep. Sleep, 28: 829-836, 2005.

2024/10/15



【快眠検定 Part 1】

<問3>

【快眠検定 Part 1】 問3・解説
今回も「快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)」問3の答え合わせと解説です。皆さん、クイズを受けてみられましたか?いかがでしたでしょうか。難しかった、簡単だった、物足りなかった…、ぜひご意見をお寄せください。

検定受験がまだでしたら、まずこちらから受けてみてください。
快眠検定Part1:https://quiz-maker.site/quiz/play/BWR2xf20240912160658

それでは解答と解説です。
【問3】寝る前の行動として正しいものはどれか
 夕食の後に眠たかったがうたた寝をしないよう起きていた
× お風呂に入って温まりすぐに寝床に入った
× 寝る前に温かいコーヒーや緑茶でホッとリラックス

【この設問のポイント】
この問題は、夜の睡眠に大切な、”眠り物質を溜める”、”眠りに入る体温をつくる”、”眠りを妨げるものを摂らない”です。

朝に起きてから睡眠物質は徐々に溜まってゆきます。長い昼寝や遅い昼寝、夕食後のうたた寝などは睡眠物質を消費してしまい。その日の夜の睡眠の質が悪くなります。眠りにくい、眠りが浅い、何度も目が覚める、早く目が覚めるなどですね。

また、日中に高くなった体温は夜には低下します。眠りにつくには、この体温低下が大きな役割を担っています。これを逆手に取り、わざといったん体温をあげると、その反動で体温は下がってきますので、このタイミングで眠るようにすると、すっと眠れるようになります。

問いにあるカフェインやニコチンは、覚醒作用があり眠りにくくなります。どちらも2〜4時間程度は効果が持続しますので、就寝前の摂取を控えましょう。カフェインは利尿作用もあり、眠りに就いた後にトイレに起きるなど、睡眠が乱れてしまいます。アルコールも眠りにつきやすくなりますが、後半ではアルコール分解産物のアセトアルデヒドの作用で眠りが浅くなり、カフェインと同様にトイレで眠りを妨げられやすくなります。寝酒は禁物ですね。

【昼寝のツボ】
・7時間眠りたかったら、就寝時間から7時間前までは起きていましょう。眠り物質を溜めておきます。
・お風呂は就寝の1時間から1時間半前に入り、温まった体温が下がるタイミングで寝床に入ります。
・夕食後は、アルコール、カフェイン、タバコなどは控えましょう。

快眠のためには、これをすれば眠れるという絶対的な方法はありません。「これをすれば眠りやすい」をいくつもしてみる足し算もありますが、「これを止めたら眠りによい」という良くない習慣を改める引き算で考え、少しづつ改善してみましょう。個人でそれぞれに合う方法を見つけましょう。

2024/5/28【眠りの仕組み】〜05 ここは寝ちゃダメ〜
2024/8/16【快眠の秘訣】〜05 昼寝・うたた寝〜
2024/5/24【眠りの仕組み】〜04 体温変化を賢く利用〜
2024/8/02【快眠の秘訣】〜01 体温管理〜
2024/8/20【快眠の秘訣】〜06 嗜好品〜

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)

2024/10/18



【快眠検定 Part 1】

<問4>

【快眠検定 Part 1】 問4・解説
今回も「快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)」問4の答え合わせと解説です。検定受験がまだでしたら、まずこちらから受けてみてください。
https://x.gd/4mRZD

それでは解答と解説です。
4.寝室環境(夏場)で正しいものはどれか
× 暑くて眠れないので扇風機の風に当たり素っ裸で寝る
〇 一晩中クーラーを使い、掛け布団を使用する
× 窓にカーテンは無し、朝陽とともに目覚める

【この設問のポイント】
今回は寝室環境の夏編・夏の快眠でした。熱帯夜、寝苦しくて嫌ですねぇ。そんな時の快眠手段を考えてみましょう。ポイントは身体に心地よい睡眠環境です。

扇風機が直接身体にあたると、気化作用で熱を奪われ必要以上に体温が下がってしまいます。これが起床時のだるさや浅い眠りをもたらします。

クーラー(エアコン)で室温を下げることは上述の部分的な体温低下や暑苦しさを防ぎ、全身が快適な睡眠に役立ちます。ただし、扇風機と同様にエアコンからの風が直接身体に当たらないようにしましょう。また、あらかじめ眠る少し前に寝具を冷やしておくと心地よく眠りにつけます。

枕やマットも低反発のものは熱がこもりやすくなりますので、枕はそば殻やビーズを、マットは高反発のものもお試しください。冷感寝具も良いようです。抱き枕も熱がこもりにくくなります。眠るときに保冷剤をタオルでくるんだものを手で持つだけでもひんやり感を得られます。

室温は低めにしておいて(26度前後)、布団や肌掛けで調整(布団の中は32℃程度)するとよい眠りにつながります。また、パジャマも大事で体温調節の他、寝返りのしやすさや吸湿の良し悪しが睡眠の質に影響します。

夏の睡眠でもう一つ注意したいのは、寝ている間の熱中症です。クーラーをかけずに眠っていると、体温の上昇から熱中症になる危険性があります。高齢者ほど一晩中のエアコンをお勧めします。水分補給が大事ですが、寝る前に水を飲み過ぎるとトイレに何度も起きてしまい睡眠の質が悪くなることがあります。水分補給のコツは眠る前に多く飲むのではなく、夕食から眠るまでに少しづつ多めに水分を摂っておくのが良いようです。

もう一つは、体温管理(体温の利用)に気を付けることです。体温が下がるときに眠気が訪れることは以前にも紹介しました。夏場は暑いからとシャワーなどで済ませると体温(深部体温)は上がりませんので、その後の体温低下による眠りが訪れにくくなります。夏場でも湯船につかり深部体温を上げてやると、その後の体温低下のタイミングで眠りにつくと眠りやすく快適な眠りが得られます。

それでも風呂から出て汗がダラダラなのは嫌だ。わかります。そんな時は入浴剤で工夫してみましょう。ひんやり入浴剤とかクール入浴剤をお試しください。テレビ番組の探偵ナイトスクープでは「アイヌの涙」がとんでもなく効く(ひんやりを通り越して寒い)と評判でした。

一方で、一晩中のエアコン使用にはデメリットもあります。電気代がかかること、乾燥により喉やお肌が渇き気味になること、閉め切った部屋では二酸化炭素濃度が高くなることです。しっかり加湿をすることと、寝室の入り口を閉め切らず少し開けておくのも一手です。

夏は太陽が昇るのも早く、カーテンが無いと早く明るくなり、明け方の眠りが浅く目も覚めやすくなります。実際に夏場と冬場では、先の温度と光の関係で睡眠時間は夏場が短くなることが多いです。眠りたい時刻まで眠れるようカーテンをして光を遮りましょう。

【夏場の快眠のツボ】
・エアコンは一晩つけておきましょう
・寝具の工夫で良い眠り
・水分は少しづつ多めに摂っておく
・お風呂で積極的な体温調整を

次回開設の問5では、冬場の寝室環境についても問うています。来週もご参考に!

2024/5/24【眠りの仕組み】〜04 体温変化を賢く利用〜
2024/7/23【夏場の快眠】〜寝室環境編〜
2024/7/26【夏場の快眠について】〜寝床内環境〜

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
都築和代. 温熱環境と睡眠; 日生気誌. 504(4): (2014)

2024/10/22



【快眠検定 Part 1】

<問5>

【快眠検定 Part 1】 問5・解説
今回も「快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)」問5の答え合わせと解説です。皆さん、クイズを受けてみられましたか?いかがでしたでしょうか。難しかった、簡単だった、物足りなかった…、ぜひご意見をお寄せください。

検定受験がまだでしたら、まずこちらから受けてみてください。
https://x.gd/4mRZD

それでは解答と解説です。
5.寝室環境(冬場)で正しいものはどれか
× 冷え性なので朝まで靴下を履いて寝る
× ペットと一緒に眠ると温かくてよい
〇 夏場も冬場も真っ暗が良い

【この設問のポイント】
冬場の睡眠環境についての設問です。寝室温度や気温自体が低い季節のため、就寝環境を温かく快適に心地よく作ることが大事になります。寝床内環境(寝床内気象)は、寝具(ふとん、シーツなど)や服(寝巻、パジャマなど)を含めた、寝床内の環境条件を指します。寝室としては20℃前後、湿度40〜60%を目指してみましょう。寝床内(ふとんの中)は、温度33℃前後(33℃±1度、32〜34℃)程度、湿度40〜60%(50±5%)が快適です。

冬の掛け布団は「羽毛布団+毛布」が最も適しているようですが、工夫によりどの組み合わせでも良い寝床内温度は作ることが可能です。ただし、掛け布団を重ねすぎて重くなってしまうと、寝返りがしづらくなり睡眠に影響する場合がありますのでご注意ください。アクリルなどの合成繊維の毛布では、掛け布団の上に毛布を掛ける方が断熱効果は高くなるようです。ウールなどの天然繊維は吸湿性放湿性に優れており肌触りも良いので、布団の内側しても問題ないです。

掛け布団より敷布団から熱は逃げてしまいますので、冬場は厚みのある敷布団やマットが良いでしょう。敷布団の下に断熱マットを敷いてみるのも一手です。ただし断熱マットの場合は湿気が逃げにくく注意が必要です。吸湿性の良くないシーツ、掛け布団や敷布団だと、明け方に体温が上がるに伴い発汗により湿度が上がり暑苦しく感じ、眠りが浅くなることがあります。パジャマなどの寝具を含め、吸湿性の良いものを選びましょう。

首元に布団と隙間があると、そこから冷気が入ったり暖かい空気が逃げてしまう場合がありますので、小さめのひざ掛けやバスタオルなどを首元にかけておくと隙間が少なくなり快適です。

部屋の乾燥も寒さを感じる要因になりますので、湿度にも気を付けてみてください。乾燥予防から喉の保護にもつながります。エアコンで温めるのも良いですが、特に乾燥には注意しましょう。オイルヒーターは部屋が乾燥せずやんわりと温度を上げられますのでお勧めです。眠る前にあらかじめ寝室温度を上げておくと寝具も温まり、布団に入ったときにヒヤッとする感覚がやわらぎ眠気持ちよく眠れます。

冷え性を訴えられる方がソックスをはいたまま眠られることがありますが、これは睡眠には逆効果です。手足から体温を発散することにより深部体温を下がり眠りやすくなります。ソックスはこれを妨げます。対策として、眠るまではソックスを履いておき、布団に入るときあるいは布団に入って少し温まったらソックスを脱ぐようにしてください。

どうしてもソックスがしたいという方は、ぶかぶかのソックス(綿パイル地)をお勧めします。ただしこちらもいつでも脱げるようにしておきましょう。足首に巻くレッグウォーマーも良いようです。また、カイロやコタツ、湯たんぽも良いですが、低温やけどにはご注意ください。暖まったら足から離しておきます。

ペットと一緒に寝る方もおられると思います。冬場は暖かくて、またリラックスできると思います。ただし、眠った後はペットたちの動きに眠りを妨げられたり、自分の寝返りがペットに影響することを心配するなど、睡眠には悪影響になります。できるものでしたら一緒に寝ることは避けましょう。ペットと同一視するのはどうかと思いますが、ベッドパートナーも同様です。眠るときは一人一人独立したベッドや布団で寝るのが快眠につながります。

カーテンは厚手にすると窓からの冷気の侵入や室内温度の放散を緩和できます。また、遮光カーテンをと組み合わせることで、光の影響を最小限に良い眠りをもたらします。

穏やかな身体の暖め方として小豆カイロがあります。冷えてしまっても湯たんぽのように冷たくはならないところもお勧めです。
【小豆カイロ】
・150〜200gの小豆をハンカチや小袋に入れ500Wで1分ほど電子レンジで温める※発火しない材質のものをお使いください
・足先が冷たい時は足先に置いておいたり、お腹を暖めても心地よく眠れます。
・夏場は冷やして手に持ったりすると、放熱を促し良く眠れます。

【冬場の快眠のツボ】
・眠る前に寝室を暖めておく
・敷布団に注意
・首元の隙間をふさぐ
・一日のメリハリで積極的な体温管理

2024/5/31【眠りの仕組み】〜06 暗い居間と寝室〜
2024/7/23【夏場の快眠】〜寝室環境編〜
2024/7/26【夏場の快眠について】〜寝床内環境〜

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医療・看護・介護のための睡眠検定ハンドブック:日本睡眠教育機構(2013)
西川株式会社 https://www.nishikawa1566.com/

2024/10/25



【快眠検定 Part 1】

<問6>

【快眠検定 Part 1】 問6・解説
今回も「快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)」問6の答え合わせと解説です。皆さん、クイズを受けてみられましたか?いかがでしたでしょうか。難しかった、簡単だった、物足りなかった…、ぜひご意見をお寄せください。

受験がまだでしたら、ぜひこちらから受けてみてください。
https://x.gd/4mRZD

それでは解答と解説です。
6.眠り方・過ごし方について正しいものはどれか
× ストレス解消に寝る前のスマホゲームが日課
〇 眠れないから布団を抜け出し眠くなるまでしばらく過ごした
× 自分はショートスリーパーだから3時間睡眠で大丈夫

【この設問のポイント】
眠る前のスマホは@光がメラトニンを低下させる、A脳が興奮する、ことにより眠れないあるいは眠りが浅くなります。できれば眠る前の2時間、うーん、大負けに負けて眠る前の30分間は電子機器から遠ざかりましょう

眠れないときに、そのまま寝床で悶々ぐずぐずとしていると、いろいろなことを考えたり、眠れないことばかり強く印象付けられてしまうことがあります。寝床が、眠りたいのに眠れない場所だ、寝床が辛い場所だ、と誤認識してしまうと余計に眠れなくなってしまいます。眠れないときのぐるぐる思考・考え事は、皆さんも経験があると思います。

このようなときはすっぱりと寝床から出て、あまり明るくしないところ(寝室以外)でリラックスするのが良いようです。ちょっと温かい白湯を飲む、ゆったりとした音楽を聴いたり本を読むなどして眠たくなるのを待ち、あくびが出たころに寝床に入るようにしましょう。パフォーマンスは落ちますが、一日寝なくても死にやしないと割り切ってみるの良いかもしれません。翌日に眠たい時は、昼寝を15時までに20〜30分程度することで対処します。その夜は早めに眠くなりますで、しっかりと眠りましょう。

ショートスリーパー(6時間未満で日中のパフォーマンスが低下しない人)は、実は10万人に約4人、割合にして約0.004%ということがわかってきました。(カリフォルニア大学の研究グループ・2019)これによると、ショートスリーパーかどうかは遺伝子によって決まるとされています。本当のショートスリーパーはたったこれだけです。

逆に、ロングスリーパーと言って10時間以上眠らなければ不調になる方もおられます。遺伝であったり体質であったり、詳細は不明な点が多いです。ロングスリーパーではしっかりと眠っていれば問題はありませんが、過眠症の場合は十分に眠っていたも眠気を生じるところに違いがあります。また、夜の睡眠の質が悪く、日中の眠気や過眠が生じている場合もありますので注意が必要です。

前述の真のショートスリーパーでない場合は、無理やり必要な睡眠時間を削って活動をしていますので、起きているときの認知力や判断力、注意力や集中力の低下を伴います。このため、学習能力の低下、就業効率の低下、交通事故のリスクも高まります。また、メンタルの不調から、うつ病のリスクや家庭内や職場での不和を引き起こすこともあります。身体面でも、肥満のリスク、生活習慣病のリスク、脳・心血管疾患のリスクが高まります。免疫力の低下から風邪をひきやすくなる場合もあります。

【快眠のツボ】
・寝る前の”断・電子機器”
・眠れないときは無理して寝ようとしない
・本当にショートスリーパーですか?

ショートスリーパーかそうでないかは簡単に調べられませんが、朝型か夜型か調べるサイトは存在します。試してみはいかがでしょうか。
【クロノタイプ診断】
あなたは朝型?夜型?体内時計のタイプを知ろう
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
「ミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)日本語版」
https://mctq.jp/
質問項目はやや多いですが5〜10分程度でわかります。

2024/5/31【眠りの仕組み】〜06 暗い居間と寝室〜
2024/6/14【眠りの仕組み】〜10 眠りの病気〜(前編)
2024/6/18【眠りの仕組み】〜11 眠りの病気〜(後編)
2024/8/23【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
2024/8/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors.Shi G. et.al.Neuron(2019)
綾木 雅彦 他;住宅照明中のブルーライトが体内時計と睡眠覚醒に与える影響.住総研 研究論文集No.42,2015
西川株式会社 https://www.nishikawa1566.com/
眠りの応援団(NTT PARAVITA)https://nemuri-supporters.nttparavita.com/

2024/10/29



【快眠検定 Part 1】

<問6>

【快眠検定 Part 1】 問7・解説
今回も「快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)」問7の答え合わせと解説です。受験がまだでしたら、まずこちらから受けてみてください。
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それでは解答と解説です。
7.薬・サプリメントについて正しいものはどれか
〇 睡眠薬を止めたいのでかかりつけ医に相談した
× お薬は怖いので寝酒で十分、それでよく眠れるし
× 良いサプリがたくさん、食事をそっちのけでサプリで補充

【この設問のポイント】
この設問は、お薬や食事に対する問いかけです。まずひとつめ、お薬については@医師・薬剤師に相談しましょうA個人の判断で中止や用法用量の変更は止めましょう。基本的に、睡眠に関するお薬を中止や変更、用法・用量を変更する場合は、主治医に相談しその指示や指導に沿って使いましょう。相談のときに、しっかりと説明を受けてしっかりと疑問を問いかけてしっかりと納得理解して使用することが大事です。

睡眠薬については、何よりそれぞれのお薬の特徴を活かし自分に合ったお薬を処方してもらうことが必要になります。自己判断での中止や増減は薬剤により差はありますが、期待する効き目や副作用を考慮する必要があります。(”2024/08/30【快眠の秘訣】〜09 薬の正しい使い方〜”に薬剤名あり)

副作用については、特にベンゾジアゼピン系薬剤では、持ち越し効果、記憶障害、早朝覚醒、日中不安、反跳性不眠、筋弛緩作用、錯乱などの可能性があります。オレキシン受容体拮抗薬では、眠気、頭痛、めまい、悪夢などが現れる場合があります。メラトニン受容体作動薬でも、眠気の残存や頭痛が生じる場合があります。どの薬剤においても、精神症状の確認や胃腸障害、肝機能・腎機能異常は要チェック事項です。

何より大事なのは、不眠治療のファーストチョイスは睡眠衛生指導となっていることです。まず日常の生活や睡眠周りの確認を行い、改善できる点は改善してゆきましょう。

つぎにふたつめのサプリメント関係ですが、サプリメントや栄養補助食品については、しっかりとその効果と副作用、価格をチェックしながら、また、体調の変化に注意をしながら使用することが大事になります。定期的な受診や検査をお勧めします。栄養は食事から摂るのが基本で、そのことを意識するとバランスの良い食事が摂れるでしょう。

一方で、指定医薬品として”睡眠改善薬”も市販されています。こちらは眠気を誘発する抗ヒスタミン薬が主となっています。いわゆる「風邪薬や鼻炎の薬を飲むと眠たくなる」という作用を利用したものです。こちらは薬局で購入するお薬(OCT薬)になりますので、しっかりと用量用法を守ることが基本となります。元々がそのようなお薬ですので、すでに花粉症などで鼻炎のお薬を服用されている方は用量が過剰になる恐れがありますので服用は控えましょう。また、依存性も高くなりますので、長く使用することは避けましょう。

みっつめは寝酒についてです。アルコールによる鎮静作用・催眠作用により寝付きは良くなりますが、その後は睡眠が浅くなったり覚醒が増えてしまい、睡眠の半ば以降・後半ではそれが顕著となります。また、アルコールの持つ利尿作用によりトイレに起きたり、同じく麻酔作用により喉元の筋肉が緩み睡眠時無呼吸症候群が悪化、これらにより覚醒回数も増え睡眠の質が下がります。また、アルコールの摂取は習慣化しやすいことにも注意が必要です。飲酒量にもよりますが、眠る前の4時間程度はアルコールは避けましょう

同様に、カフェインの副作用も5時間程度、タバコのニコチンの作用も2時間程度影響し、睡眠の質を低下させますので、寝る前のこの時間は控えましょう。

【快眠のツボ】
・睡眠薬は主治医と相談、自己判断は控えます
・嗜好品はたしなむ時間に気を付けて
・栄養は食事から、決まった時間に摂りましょう

2024/08/30【快眠の秘訣】〜09 薬の正しい使い方〜
2024/09/03【快眠の秘訣】〜10 健康食品・サプリメント1〜
2024/09/06【快眠の秘訣】〜11 健康食品・サプリ2〜
2024/09/10【快眠の秘訣】〜12 健康食品・サプリ3〜
2024/04/12【眠れないから飲酒?飲酒するから眠れない?】
2024/08/20【快眠の秘訣】〜06 嗜好品〜

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン:日本睡眠学会WG(2013)
Yules RB, et.al. The effect of ethyl alcohol on man's electroencephalographic sleep cycle. Electroenceph clin Neurophysiol, 1966.

2024/11/1



【快眠検定 Part 1】

<問6>

【快眠検定 Part 1】 問8・解説
今回は「快眠検定 Part 1:めざせ!快眠マスター(基礎編)」の最後、問8の答え合わせと解説です。皆さん、クイズを受けてみられましたか?いかがでしたでしょうか。難しかった、簡単だった、物足りなかった…、ぜひご意見をお寄せください。
受験がまだでしたら、まずこちらからお受けになってみてください。
快眠検定Part1:https://x.gd/4mRZD

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それでは解答と解説です。
8.睡眠の病気について正しいものはどれか
× いびきをかくけれど、これは昼間にしっかり動いて健康な証拠
〇 足がむずむずして眠れないのは病気かもしれない
× 睡眠時間を確保しようと眠くないけど布団に入って過ごす

【この設問のポイント】
今回は、睡眠周囲の病気と眠れないときの対策でした。睡眠の病気は多数ありますが、それぞれについては、過去のSNSまたはホームページの開設内容をご覧になってみてください。

睡眠の問題発見のポイントは、自分とご家族も病気を知って情報を共有しておくこと、自身を振り返ってみること、他の人に聞いてみること、生活習慣や睡眠衛生を見返してみること、睡眠薬以外に即効性のある快眠手段は無いということ、夜間だけでなく日中の症状にも注視すること、そして問題が大きい・長引く場合は躊躇なく医療機関を受診することです。大きな問題となる前に、信頼のおける睡眠の専門家(医師、薬剤師、睡眠に関する知識を有し根拠を持った説明ができる方など)に相談してみることも一手です。

睡眠の問題は、病気であったり、生活習慣や睡眠衛生であったり、身体の痛みや環境の問題であったり、またストレスが原因であったりと、さまざまな要素・原因が影響します。しっかりと現状を把握するようにしてみましょう。

即効性のある睡眠改善の対処法は、処方されるお薬以外はありません。長い目で少しづつ改善する気持ちが大切です。

【睡眠の問題発見のツボ】
・夜と昼の症状を確認する
・生活習慣や睡眠衛生を見直す
・自分だけでなく他の人にも聞いてみる
・思い当たるストレスがないかどうか
・症状が強い・長く続いているかどうか
・相談する(医療機関を受診する)

2024/06/14【眠りの仕組み】〜10 眠りの病気〜(前編)
2024/06/18【眠りの仕組み】〜11 眠りの病気〜(後編)
2024/09/13【快眠の秘訣】〜13 知っておきたい睡眠の病気〜
2024/10/25<問6>スマホ・眠れない・ショートスリーパー

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン:日本睡眠学会WG(2013)
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省

2024/11/5



軽いふとん?

重いふとん?

【布団の重さで睡眠が変わる!?】
面白い論文を見つけましたので、ご紹介します。”布団の重さによって睡眠の質が変わる”というものです。「え?何それ」という方、「そうそう、そうだねぇ」という方、おられると思います。論文の結論から書くと、「重い掛け布団を使うことにより、睡眠の持続や日中の活動レベルと疲労感などが改善した」とのことです。

重いふとんは、
不眠症の度合いが少なく12週(観察終了時)まで持続している。
普通のふとんから重いふとんに代えると睡眠の改善があった。
中途覚醒の時間はほぼ変わらなかったが自覚的な睡眠維持向上が認められた。
とのことでした。ちょうどこれから寒くなってきますので、睡眠にお悩みの方は、「重い布団」試してみてもいいかもしれませんね。

【重い布団のメリット】
・密着感があり保湿性に優れる
・布団がずれない
・適度な圧迫感は安心感につながる
・快眠につながる場合がある
※重い布団が身体を圧迫することにより圧センサーが働き、抱きしめられているような安心感と副交感神経を優位にリラックス状態に誘う効果があると考えられます。
【重い布団が適している方】
・暖かく眠りたい方
・圧迫感ある寝心地が好みな方
・重い布団でも快適な寝返りが打てる方

【重い布団のデメリット】
・夏は蒸し暑い
・寝返りが打ちにくい
・慣れないと寝苦しい
・胸を圧迫するため呼吸器の病気があると難しい
・幼児や小さい子どもには難しい
・洗濯に困る
【重い布団が適さない方】
・重いと息苦しさを感じる方
・寝返りがしずらい方
・頻繁に洗濯をしたい方

【こんな工夫】
掛け布団を重くしたい場合、最初から重い布団を選ぶのではなく、何枚か毛布や薄い掛け布団を重ねて調整することでも対処が可能です。まずはお試しであったり、布団の買い替えまではなぁ、という方は試してみてはいかがでしょうか。
布団の重さの目安としては、自分の体重の10%程度の重さが適切な掛け布団の重さであるとされています。60kgの体重の方であれば6kg程度ですね。

布団の重さひとつをとっても、睡眠の質が変わる場合があるんですね。う〜ん…眠りは奥が深い…。

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A randomized controlled study of weighted chain blankets for insomnia in psychiatric disorders. J Clin Sleep Med. 2020
株式会社丸八真綿販売.おうちdeまるはち安眠コラム:https://ouchi-de-08.jp/column

2024/11/8



【日々の快眠のポイント】

健康づくりのための
睡眠ガイド(2023)

【健康づくりのための睡眠ガイド2023】
今年2024年2月に厚労省より「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が公開されました。10年ぶりの改訂です。今回の改定のポイントは、睡眠時間(量の確保)休養感(質の確保)の2点です。

実際のガイドには、@基本事項、A成人版、Bこども版、C高齢者版 が出されています。加えて、D環境づくり、E生活習慣(食事・運動等)、F嗜好品、G睡眠障害、H女性の睡眠、I交代勤務について、Q&Aもあり詳細に解説しています。

次回より、ここからエッセンスを抜粋し15項目にまとめ、朝・昼・夜・就寝前・寝床と、一日を5つに分けた内容でお話ししてみます。
1) 朝の過ごし方、2) 昼間の過ごし方、3) 夜の過ごし方、4) 眠る前の過ごし方、5) 寝床での過ごし方

SNSの解説が長くて読むのが面倒くさい!というお声もありましたので、なるべくシンプルにまとめてみます。お楽しみにお待ちください。

【日々の快眠のポイント】
健康づくりのための睡眠ガイド(2023)
【朝の過ごし方】
1.起きたら太陽の光をしっかり浴びる
2.しっかり噛んで朝食を摂る
3.平日と休日の起床時間の差を2時間以内に

【昼間の過ごし方】
4.昼寝は15時までに30分未満で
5.夕方までに軽い運動(アクティブに過ごす)
6.人に会う・話をする

【夜の過ごし方】
7.夕食後の居眠りは厳禁
8.カフェインは控えましょう
9.お風呂はぬるめ、眠る1時間程度前までに

【眠る前の過ごし方】
10.夜は強い光を浴びない(テレビ、パソコン
11.脳の興奮は眠りから覚醒に傾く
12.寝酒は厳禁

【寝床での過ごし方】
13.眠くないのに寝床に入らない(30分以上)
14.寝床で悩み事や考え事はしない
15.不調が続く場合は医療機関を受診

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2024/11/12



【日々の快眠のポイント】

朝編・朝の過ごし方

「日々の快眠のポイント」朝編・朝の過ごし方
健康づくりのための睡眠ガイド2023の主眼は”睡眠時間(量の確保)”、”休養感(質の確保)”です。そのために朝は何をすれば良いでしょうか。そして何をしない方が良いでしょうか。

【 朝の過ごし方】
1. 起きたら太陽の光をしっかり浴びる
体内時計を整えることにより昼夜(昼は行動・夜は眠るというヒト本来のリズム)がはっきりと区別され、一日に見合った体温やホルモン分泌に調整されます。この体内時計を整える働きをするのが朝の光です。朝の光がすでに夜に眠る準備になるんですね!

起床後30分から1時間以内に太陽の光を浴びるようにしてみましょう。朝起きて、カーテンを開け外を眺めるのも良いですし、窓際で朝食を摂る、朝散歩をするというのも良いです。15分程度(5〜20分)で効果があります。

2. しっかり噛んで朝食を摂る
ここには二つの効果があります。必ず朝食は摂りましょう。まず一つめは前述のように体内時計を整える働き。夜間の長い空腹明けの食事は、一日の始まりを意味します。また、体内時計は脳だけではなく身体の各臓器にあり、朝食はこれらを刺激・調律し光と同様に体内時計をリセットします。加えてよく噛むことで、脳の刺激や目覚めにもつながります。

朝食の二つめは、夜に眠るためのホルモン・メラトニンの元となるたんぱく質・トリプトファンを摂取することにより、メラトニンを増やししっかりとした眠りの準備ができます。肉や魚、卵、ナッツや納豆、牛乳やバナナが良いようです。糖質、ビタミンB6があると効率よく摂りこまれます。

3. 平日と休日の起床時間の差を2時間以内に
平日の睡眠時間を取り戻そうと休日に遅くまで寝てしまうことが、特に若い方働き盛りの方はあると思います。来週も忙しいから寝だめをしておこうとも思うかもしれません。残念ながら、寝だめはできません。これは、いわゆる睡眠負債、平日の睡眠不足(借金)を返しているだけなんですね。

睡眠時間の真ん中の時刻を比較してみてください。これが平日と休日で1時間から2時間以上ずれていると、休み明けにすぐに元には戻りません。休日と平日で時差ボケになった状態です。朝の起きる時間は一定に、睡眠不足は就寝時刻を早めにすることで対処しましょう。高齢の方も朝の起床時刻は一定にします。そしてここがポイント、だらだらと寝床の上に長く居ないようにしてみましょう。高齢の方は8時間程度までにすることです。寝床に居る時間をぐっと圧縮することで睡眠の満足感が上がることが多いようです。

<ポイント>
・夜の快眠は朝から始まる
・光を浴びて一日をリセット
・朝食で身体に朝をお知らせ
・たんぱく質で快眠度アップ
・起床時刻は一定に
・睡眠不足解消は早寝で

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf
眠りの応援団ブログ(NTT PARAVITA):https://nemuri-supporters.nttparavita.com/blog

2024/11/15



【日々の快眠のポイント】

昼編・昼間の過ごし方

「日々の快眠のポイント」昼編・昼間の過ごし方
健康づくりのための睡眠ガイド2023の主眼は”睡眠時間(量の確保)”、”休養感(質の確保)”です。そのため昼間には何をすれば良いでしょうか。そして何をしない方が良いでしょうか。

【昼間の過ごし方】
4. 昼寝は15時までに30分未満で
午後の短時間の昼寝は、それ以後の活動性を向上させます。ここで気を付けたいのは時刻・時間です。”15時までに30分”の昼寝にとどめましょう。これ以上、遅くなったり長くなったりすると、その日の夜の睡眠に悪影響であったり、昼寝後にボーとしてしまうことがあります。また、長い昼寝や何度もうとうと昼寝をすることは、認知症のリスクも上げてしまいます、ご注意ください。

昼寝の前にコーヒーを飲むと、カフェインとの相乗効果ですっきりと目覚められます。もちろん、無理をして昼寝をする必要はありませんよ、ちょっと眠たい時には短時間の昼寝をお勧めします。
2024/8/16_【快眠の秘訣】〜05 昼寝・うたた寝〜

5. 夕方までに軽い運動(アクティブに過ごす)
運動習慣は睡眠に良い影響を与えます。たくさん歩いて(動いて)疲れると、夜は早く眠くなりますよね。また深く眠れることも経験されていると思います。夕方までに運動をすることが良いですが、働かれている方はそうもいきません。その際は、おやすみになる直前の強い運動は控えます。

強めの運動の予定がある場合は、”おやすみの時刻の2時間程度前まで”に済ませるようにしましょう。おやすみ直前の強い運動は、体温上昇や脳の興奮状態により、眠り辛くなることがあります。

また、昼と夜をしっかりと区別することにより、体内時計も整理されます。昼は活動的に、夜はリラックスして過ごすようにしてみましょう。

6.人に会う・話をする
直接、睡眠に関係することは無さそうですが、人との交流は脳や身体の緊張状態、交感神経の亢進作用があります。おやすみのときは、逆に副交感神経が優位になることが、ぐっすり眠るコツになります。先の運動の項でも書きましたが、昼と夜、しっかりとメリハリをつけると睡眠に良い影響をもたらします。積極的に人と関わりましょう。高齢の方は認知症予防にもつながります。

<ポイント>
・昼寝は短時間がヨシ
・運動習慣でぐっすり睡眠
・積極的に人と関わる
・昼と夜のメリハリを

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2024/11/19



【日々の快眠のポイント】

夜編・夜の過ごし方

「日々の快眠のポイント」夜編・夜の過ごし方
健康づくりのための睡眠ガイド2023の主眼は”睡眠時間(量の確保)”、”休養感(質の確保)”です。そのため昼間には何をすれば良いでしょうか。そして何をしない方が良いでしょうか。

【夜の過ごし方】
7. 夕食後の居眠りは厳禁
昼寝のときにもお話ししましたが、15時を過ぎてうたた寝をすると、その夜の睡眠に影響します。ぐっすり眠るためには"睡眠物質"、”眠たくなる素”を溜めておく必要があります。夕食後のうたた寝はまさにこの”眠りの素”をムダ使いすることになります。

コップにぽたぽたと水が溜まって行くのをイメージしてください。眠気の素が溜まって溜まって眠りにつきます。うたた寝をすることでこの眠気の素を小出しにしていまい、十分な量がたまらなくなります。

この眠気の素の量は光や脳の興奮により左右されますが止めることはできません。コップからあふれるのを、身体を動かしたりガムを噛んだり話をするなどせき止める工夫で、眠気自体はある程度は自分でコントロールできますが限度があります。起き続けることは人間はできない仕組みになっています。
2024/5/28【眠りの仕組み】〜05 ここは寝ちゃダメ〜

8. カフェインは控えましょう
カフェインの覚醒作用は、およそ15分後から効果を発揮し始め4時間程度持続します。睡眠には6時間程度の影響を与えますので、夕食後のコーヒーやお茶などは止めておいた方が良いようです。(ノンカフェインのであれば大丈夫です。)たとえコーヒーを飲んで眠れたとしても、睡眠は浅く目覚めやすくなっていて良い睡眠は得にくくなります。利尿作用もあり就床後にトイレに起きてしまうことも眠りを妨げてしまいます。

エナジードリンクはかなり大量にカフェインを含んでいますので、昼間にたくさん飲んでいると夜の睡眠に影響する場合がありますコーヒーも同様です、ご注意を。次回に詳しくお話ししますが、お酒も同様に睡眠の維持を妨げる作用があり、寝酒は禁物です。
2024/8/20【快眠の秘訣】〜06 嗜好品〜

9. お風呂はぬるめ、眠る1時間程度前までに
体温は一日の中で変動しており、目覚める前から体温は上がり始め、夜になり下がるタイミングで眠りが訪れます。光の作用とも相まって、目覚めてからおよそ15時間程度で眠気が訪れるとされています。この体温が下がるタイミングで寝るようにすると、すんなりと寝付き良い眠りがもたらされます。そのための工夫、体温をより効果的に下げる工夫として、いったん体温を上げてやります。それが入浴になります。

40℃程度のぬるめのお湯が良いようで、しっかりと身体の芯まで温めます。ポイントはその後すぐに眠らないことです。1時間から1時間半程度で体温が下がってきますので、そのタイミングで寝床に入るとすっと眠りにつきやすくなります。それまでは光モノ(テレビ、パソコンやスマートフォンなど)とはあまり仲良くならずリラックスして過ごしましょう。
2024/5/24【眠りの仕組み】〜04 体温変化を賢く利用〜
2024/8/02【快眠の秘訣】〜01 体温管理〜

<ポイント>
・眠りの素をたくさん溜めておく
・夕食後はうたた寝しない
・コーヒーは夕ご飯で止めておく
・お風呂に入って1時間後に寝床へ

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2024/11/22



【日々の快眠のポイント】

眠る前の過ごし方

「日々の快眠のポイント」寝る前編・夜に眠る前の過ごし方
健康づくりのための睡眠ガイド2023の主眼は”睡眠時間(量の確保)”、”休養感(質の確保)”です。そのために何をすれば良いでしょうか。そして何をしない方が良いでしょうか。

【眠る前の過ごし方】
10. 夜は強い光を浴びない(テレビ、パソコン)
光の作用により睡眠ホルモンのメラトニン分泌が抑制され、眠りにくく睡眠が続きにくくなります。夜の時間帯の光は、睡眠相(一日の中で睡眠の割り当てられた時間帯)を後方へ(夜更かし側へ)ずらす働きもあり、起床時間が一定であれば睡眠時間が短くなってしまいます。結果的に睡眠の量も質も悪くなってしまいます夜の光は禁物です。

テレビやパソコンを見ることは脳の興奮にもつながり、加えてメラトニンの分泌を低下させるブルーライトをたくさん浴びてしまいます。スマートフォンは小さな画面を凝視することにより、光の総量は少なくとも眠りへの影響は強くなります。このことは、目の透き通った(大人より目の濁りの少ない)子どもの方が強く影響を受けます。怖いですね。

快眠のためには、夕食後には部屋の明かりを暗めにするのは良い方法です。ちょっとイケてるダイニング・バーくらいの照明の明るさでしょうか。どうしても暗いのは嫌だという方も、就寝前の30分から1時間程度は暗めの部屋で過ごし、電子機器を遠ざけるなどが最低限の改善となります。ぜひお試しください。

また寝る前ではありませんが、トイレに起きたときに部屋や廊下、トイレの電灯を明々と点けると、やはり光の作用によりその後に眠りにくくなりますので、あまり明るくしない方が良いようです。ただし転倒などには十分にお気を付けください。懐中電灯の使用をお勧めします。問題なく眠れている方はそのままでも大丈夫です。
2024/5/31【眠りの仕組み】〜06 暗い居間と寝室〜
2024/8/9【快眠の秘訣】〜03 光の作用〜

11. 脳の興奮は眠りから覚醒に傾く
前述のテレビやパソコンもそうですし、スマートフォンでの動画視聴やSNSへのアクセスなどは、脳を興奮状態にしてしまいます。これにより頭が(目が)冴えてしまったり、交感神経が優位となり眠りを迎えるコンディションになりません

快眠のためには、前項のように最低限、おやすみ前の30分から1時間は、心身ともにリラックスして過ごすと良いでしょう。日記を書く、ストレッチをする、筋弛緩法をする、本を読むなどはお勧めです。本を読む場合は、面白いとやめられなくなりますので、面白くない本(考えなくても良い本)が良いですね。日本史や世界史などは読み流して行けるのでお勧めです。そして大事なことは、眠たくなってから寝床に入ることです。
2024/8/23【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
2024/8/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜

12. 寝酒は厳禁
世界の状況をみると、日本人は眠れないときに寝酒をされる方が多いとされています。実はこれ、眠れないときの寝酒を嗜むことは大間違いです。アルコールの作用により、脳は一時的な麻痺状態になり一見眠りにつきやすくなりますが、実は一時的な作用であり、その後はアルコールの代謝産物(アセトアルデヒド)により、覚醒を生じやすくなったり眠りが浅くなってしまいます。加えてアルコールの利尿作用により、トイレに起きやすくなることも睡眠を悪化させる要因となります。睡眠時無呼吸症がある方は、症状が悪化する場合があります。

快眠のためには、アルコールは夕食までとし、眠る4〜5時間はお酒を飲まないようにしましょう。眠れない場合は、心身的な負担や影響の確認、生活習慣の見直し、睡眠衛生の改善を行います。週に3回以上や1か月以上その状態が続くなどの場合は、慢性化しないよう早めの対処(医療機関の受診)が必要です。
2024/04/12_アルコールと睡眠
2024/8/20【快眠の秘訣】〜06 嗜好品〜
2024/8/30【快眠の秘訣】〜09 薬の正しい使い方〜

<ポイント>
・夜はイケてるダイニング・バーの雰囲気で
・光の影響は子どもがより強く受ける
・脳を休めてリラックスタイムをつくる
・お酒は夕食まで、寝酒は厳禁

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2024/11/26



【日々の快眠のポイント】

寝床での過ごし方

「日々の快眠のポイント」寝床編・寝床での過ごし方
健康づくりのための睡眠ガイド2023の主眼は”睡眠時間(量の確保)”、”休養感(質の確保)”です。そのために何をすれば良いでしょうか。そして何をしない方が良いでしょうか。

【寝床での過ごし方】
13. 眠くないのに寝床に入らない(30分以上)
眠たくないのに寝床へ入っても眠れないのは道理でしょう。おそらく多くの方は眠たくて寝床へ入りますが、眠れない方、眠りで悩んでいる方は、眠らなくちゃいけない!、もっと眠ろう!、眠りたい眠りたい!との思いがあり寝床へ入られます。寝ようと思うこと自体が、余計にそのことに集中してしまい、逆に目が覚める、いろいろなことを考える、思い出す、時計の音が気になるなどでストレスとなり眠れなくなってしまいます。

寝床に入っておおむね30分以上も眠れないときは、布団から出てみましょう。寝床の中で悶々と過ごすのも、眠れないからと寝床で本を読んだりテレビを見たりだらだらと過ごすのもどちらも良くありません。ひとつは眠れないことを意識・集中するあまり脳が活性化してしまうこと、そして最悪は”寝床は眠れない場所”と、条件付けができてしまうことです。こうなると、眠くなって布団に入っても、逆に布団に入ると目が冴えてしまったりします。辛いですね。

このようなときは、布団から出てしばらく薄暗い部屋で音楽を聴いたり本を読んだり、リラックスしてみてください。寝床でスマホとか、部屋を明るくしてテレビとかは、光の作用で眠れなくなってしまいます。眠くなってから布団に入るようにしてみましょう。「なぁに一晩くらい眠れなくても死にやしない、これで翌日はよく眠れる!」とポジティブに考えてみましょう。翌日はいつも通りの起床時刻に起きてくださいね、眠いからといつもより寝坊はしないように。翌日の昼間に眠気があるときは15時までに30分程度の昼寝で過ごします。そうすれば、その夜は早めに眠気が生じ寝られるようになります。

14. 寝床で悩み事や考え事はしない
眠れないときは、寝床の中でいろいろと考え事をしてしまいがちです。先のことを考えたり心配したり、昔のことを思い返してクヨクヨしたり悩んだり、これを繰り返すと自分を否定することにもつながりかねず心の健康にもよろしくありません。

先のように30分ほど眠れなければ布団を出るのが良いのですが、それまではこんな過ごし方はいかがでしょうか。眠ろう眠ろうとすることは、それは眠れないと意識していることの裏返しです。ですので、いっそのこと関係の無いことを考えるようにします。ただし、深刻な問題や複雑な思考が必要なことは避けて、単純なことにちょっとだけ集中してみます。そうすれば眠ろうという意識から抜け出すことができます。そのような方法を”睡眠儀式”と言い、寝る前のルーチンから寝床での過ごし方などいろいろとあります。(下記リンクをご参考に)ただし実際には、それ以前の眠れる環境づくりと眠れる心身・リズムづくりがとても大事です。

【睡眠儀式の例】
@頭の中で柵を跳び越える羊を数える A羊を減らして行く B引き算をする C認知シャッフル睡眠法 D呼吸を数える E呼吸を確認する F右手右足をなるべくきちんと思い出してみる G指先から身体の輪郭をなぞるように思い浮かべてみる H米軍式睡眠法など
2024/8/23【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
2024/8/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜

15. 不調が続く場合は医療機関を受診
眠っているときのことですので、ご自身では気づかないことも多々あります。ご家族で情報を共有し、また睡眠の病気を知っておくことが大事です。心当たりがある場合は、ひとりで悩まず医療機関を受診、相談しましょう

【問題のある症状の例】
眠れない・何度も目が覚める・早くに目が覚めてそれ以上眠れない・とつぜん耐え難い眠気がある・金縛りによくなる・朝に起きられず起きてもぼーとしている・いびきがある・息が止まっていると言われる・起床時に頭痛がする・熟睡感が無い・足がむずむずする・ぴくぴくする・寝ぼけがひどい・奇声をあげる・ベッドパートナーを叩く・ベッドから転落するなど
2024/6/14【眠りの仕組み】〜10 眠りの病気〜(前編)
2024/6/18【眠りの仕組み】〜11 眠りの病気〜(後編)
2024/9/13【快眠の秘訣】〜13 知っておきたい睡眠の病気〜

<ポイント>
・寝床では光は禁物
・寝よう寝ようと努力しない
・寝床で考え事はせず簡単なことにちょっと集中
・眠たくなってから寝床に入る
・眠れなければ寝床から出る
・不調が続く場合は医療機関へ

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版:じほう(2019)
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2024/11/29



睡眠時間の見つけ方

【睡眠時間増減法】

【自分に合った睡眠時間の見つけ方】(増減法)
自分に合った睡眠時間で無いと、日常生活に支障が出ることや病気のリスクが上がることをこれまでお話ししてきました。それでは自分に合った睡眠時間はどれくらい?どうやって見つければいいの?というご相談を多くいただいています。ごもっともです。自分に合った睡眠時間を見つける方法をお話ししていないと不親切ですよね。はい!ご回答します。

【睡眠時間の見つけ方と留意点】
以下を順次、公開してゆきます。
@睡眠時間増減法<今回はここ> A睡眠たっぷり法 B睡眠時間を決めるための留意点 C睡眠満足度を上げる方法
*次回は実施の際の留意点についてお話しします。

自分に合った睡眠時間を見つけるためにはいくつかの方法がありますが、その前に”睡眠日誌”を付けるなど、現在の睡眠の状態を把握しておくと評価がしやすくなります。次のアドレスから睡眠日誌をダウンロードしてぜひ記録してみてください。
睡眠日誌はこちらからダウンロードできます

それではまず今回は「睡眠時間増減法」からご紹介します。フローチャートとその実例もご参考になさってください。

【睡眠時間増減法】
(1) 毎日の睡眠時間を決め(いつもの睡眠時間)、休日も同じ睡眠時間で
  1週間ほど生活する
  〜起床時刻から逆算して就床時間を決める
(2) 次の週は30分(または15分)睡眠時間を延ばし、日中の調子の変化などを
  確かめる
  〜起床時の休養感、熟睡感、昼間の眠気、体調、心身の活動性の良否、
   横になって5分以内で眠ってしまう など
(3) もっと眠れそうであれば、さらに睡眠時間を延ばして1週間ほど過ごす
  これ以上眠れないと感じたら睡眠時間を少し短く(15分〜30分)する
  〜夜中に度々目が覚める、朝早く目が覚めるなどは、横になっても
   なかなか眠れない(15分〜30分以上かかる)などは長すぎるサイン
(4) これをを繰り返し、最も調子よく過ごすことができる睡眠時間があなたの
  適正な睡眠時間です

※1 睡眠時間が足りない、睡眠不足気味の方は、この方法をお試しください。
※2 いつも長く寝すぎかなという方は、逆に睡眠時間を短くする方向からお試しください。
※3 休日も平日も同じ時間帯で就寝・起床することがポイントです。
※4 起床時刻は一定にすることもポイントです。

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版:じほう(2019)

2024/12/3



睡眠時間の見つけ方

【実施の際の留意点】

【自分に合った睡眠時間の見つけ方】(留意点)
自分に合った睡眠時間で無いと、日常生活に支障が出ることや病気のリスクが上がることをこれまでお話ししてきました。それでは自分に合った睡眠時間はどれくらい?どうやって見つければいいの?というご相談を多くいただいています。ごもっともです。自分に合った睡眠時間を見つける方法をお話ししていないと不親切ですよね。はい!ご回答します。今回は留意点をお伝えします。

以下を順次、公開してゆきます。
@睡眠時間増減法 A睡眠時間を決めるための留意点<今回はここ> B睡眠たっぷり法 C睡眠満足度を上げる方法
*次回は睡眠時間の決め方「時間たっぷり法」についてお話しします。

自分に合った睡眠時間を見つけるためにはいくつかの方法がありますが、その前に”睡眠日誌”を付けるなど、現在の睡眠の状態を把握しておくと評価がしやすくなります。次のアドレスから睡眠日誌をダウンロードしてぜひ記録してみてください。
睡眠日誌:2024/10/8【睡眠日誌】睡眠を記録しましょう
実施方法:2024/11/29【自分に合った睡眠時間の見つけ方】

睡眠時間を探すときに大事なのはご自身の感覚です。残念ながら睡眠の適正度や満足度を計るものさしはありません。長く寝ても短くても感覚的には良かったり悪かったりします。また、一日だけの評価では感覚のばらつきもありわかりにくいことも多いですので、何日かを通して評価することも大事になってきます。以下のことは日々の睡眠チェックにも使えます!

【睡眠時間を決めるときの留意点】
@3〜4日程度(長ければ1週間程度)の睡眠の状態を総合的に評価
  この時に「睡眠日誌」を付けているとよくわかります。
A目覚めたときの休養感を確認
  起きたときの身体のだるさや頭がぼーっとするのは注意信号、爽快感も大事です。
B朝起きてすぐに寝床から出られるか、朝ごはんをおいしく食べられるか
  起床時刻で二度寝をしたり寝床で15分以上ぐずぐずしてしまうのは問題ありです。
C日中の眠気を確認
  うたた寝の状況や眠気、日中の活動性は問題無いか確認します。
D休日も平日も同じ時刻に寝起きできているか
  睡眠時間を探すときは休日・平日の区別なく過ごします。休日の寝坊は要注意です。

【睡眠不足の兆候】
・日中の眠気・起床困難・就床時5分以内で寝落ち・注意力低下・集中力が続かない・太りやすくなった・ぼーっとする・倦怠感(ダルさ)・頭痛・イライラ、怒りっぽさ・注意力・集中力の低下・血圧上昇・吐き気・めまい
※他にも多彩な症状が現れます

【寝すぎの兆候】
・眠れない・何度も目が覚める・眠りが浅い・朝早く目が覚める・頭痛・疲労感・筋肉痛・倦怠感・時差ボケ・認知機能低下・心臓病・太りやすい
※他にも多彩な症状が現れます

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版:じほう(2019)

2024/12/6



睡眠時間の見つけ方

【時間たっぷり法】

【自分に合った睡眠時間の見つけ方】(時間たっぷり法)
自分に合った睡眠時間で無いと、日常生活に支障が出ることや病気のリスクが上がることをこれまでお話ししてきました。それでは自分に合った睡眠時間はどれくらい?どうやって見つければいいの?というご相談を多くいただいています。ごもっともです。自分に合った睡眠時間を見つける方法をお話ししていないと不親切ですよね。はい!ご回答します。今回は時間たっぷり法についてご紹介します。

【睡眠時間の見つけ方と留意点】
以下を順次、公開してゆきます。
@睡眠時間増減法 A睡眠時間を決めるための留意点 B睡眠たっぷり法《今回はココ》 C睡眠満足度を上げる方法
*次回は睡眠満足度を上げる方法についてお話しします。

自分に合った睡眠時間を見つけるためにはいくつかの方法がありますが、その前に”睡眠日誌”を付けるなど、現在の睡眠の状態を把握しておくと評価がしやすくなります。次のアドレスから睡眠日誌をダウンロードしてぜひ記録してみてください。
睡眠日誌:2024/10/8【睡眠日誌】睡眠を記録しましょう
実施方法:2024/11/29【自分に合った睡眠時間の見つけ方】

【睡眠たっぷり法】
(1) 目覚まし時計を使わず眠れるだけ眠る
(2) 4日程度続けてみる(1週間程度を試しても良い)
(3) 睡眠不足(睡眠負債)があれば、いつもの睡眠時間より長くなっている
(4) 目が覚めたら起きだす(だらだらと布団に居ない、うたた寝・二度寝をしない)
(5) 続けているとほぼ同じ睡眠時間で固定され、これが適正な睡眠時間
(実施例)
1日め9時間→2日め9時間→3日め8時間→4日め7時間30分→5日め7時間30分
※7時間30分適正な睡眠時間

※1 自由になる時間がある方でないと試しづらい方法です
※2 お休みが連続でとれる方に向いています
※3 眠たくなってから眠りますが、夜更かしは止めましょう
   *日付が変わる前に寝床に入るのが良いでしょう
※4 寝室は朝になってもできるだけ暗くしておきます

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版:じほう(2019)

2024/12/10



睡眠時間の見つけ方

睡眠の満足度を上げる

【睡眠時間制限法】

【自分に合った睡眠時間の見つけ方】
※番外編〜睡眠満足度を上げる・睡眠制限法
しっかりと十分な睡眠をとっているのであれば、眠れる時間だけふとんの上にいることが、睡眠の満足度を上げるうえで大事になります。起床時刻は毎日一定にして、眠たくなるまで寝床に入らないというのが一つの方法です。しっかりと必要な睡眠時間を確保したうえで、寝床にいる時間を短めにしてみましょう。

しっかりと睡眠時間がとれた上で睡眠の質が良いと感じるのは、目覚めがすっきりしている、清々しい朝と感じる、心が晴れやか、疲れが取れた、休養感がある、肌つやが良い、食欲がある、頑張ろうという気持ちがある、多幸感があるなどを感じることが多いようです。

睡眠に対する満足度は、睡眠時間の長さだけで得られるものではありません。ただし、若い方や働き盛りの方に多い睡眠不足の場合は、まず睡眠時間を確保することから始まります。一方で、睡眠の質の評価も気になります。こちらは明確な答えや質を測るものさしが見当たらないのが実際です。どうしても自覚的な感想が主になります。

睡眠の満足感が上がらない原因の一つに、寝床の上に居すぎるというものがあります。特に高齢の方に多く、眠たくないのに早い時間から布団に入って過ごしていることです。テレビも面白くないし、何もすることもないし、もう寝てしまおう。と寝床についても、なかなか眠れないことはないですか?眠れても今度は朝に早く目が覚めてしまう、起きるまでに何度も目が覚めてしまう、ということはないですか?早く寝すぎると、このように睡眠に対する不満が溜まってしまうことがあります。寝たいのに眠れず寝床で悶々とする時間を過ごすと、それが睡眠への不満や満足度の低下につながります。

睡眠の質を上げる方法として、睡眠環境、眠れる生活習慣や身体づくりへの改善があげられますが、今回は「睡眠制限法」を、睡眠時間と関係した睡眠満足度を上げる方法をご紹介します。眠れている感が向上します。ただし、何度も言いますが、睡眠不足の方はまずしっかりと睡眠不足を解消することから始めてください。そして、眠れる時間だけふとんの上にいることが大事です。

以下に、どれくらい寝床にいたらよいのかを確認する方法を挙げています。お時間がありましたらお試しいただいても良いかと思います。

【睡眠満足度を上げるポイント】
・起床時刻は一定に
・眠たくなるまで寝床に入らない
・睡眠効率(睡眠時間÷寝床にいる時間)は85〜90%が適切
・朝早く目が覚めたり何度も目が覚める場合は就床時刻を遅らせてみる
・定時に起きられなかったり日中の眠気がある場合は就床時刻を早めてみる
・睡眠不足が疑われる場合はまず睡眠時間の確保
・睡眠休養感を確かめる

【睡眠制限法】
(1) 睡眠時間調査:実際に眠っている時間と寝床に居る時間を知る
   睡眠日誌やデバイスを用いて、1〜2週間程度の平均を求める
(2) 睡眠時間:実際に眠っている時間
(3) 床上時間:寝床の上にいる時間(睡眠時間+寝床で目が覚めている時間)
(4) 睡眠効率:睡眠時間÷床上時間(%)
(5) 最初の目標床上時間:上記睡眠時間+15分
   高齢者の場合は、実際の睡眠時間より1時間程度短めに設定してもよい
   5時間未満であった場合は5時間に設定
(6) 目標睡床上時間で5日程度すごす
(7) 睡眠日誌を記録し実際に何時間眠れたか(睡眠時間)確認する
(8) 睡眠効率が90%を超えていれば目標時床上間を+15分とする
   睡眠効率が85%を下回るようであれば目標床上時間をー15分にする
(9) これを繰り返し、睡眠効率が85〜90%になるように床上時間を調整する
※1 起床時刻は一定に、就床時刻を変えて調整する
※2 昼寝やうたた寝をしない
※3 熟睡感があり、日中に眠気がないことが重要

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン第3版:じほう(2019)

2024/12/13



子どもの睡眠

睡眠教育について


【子どもの睡眠について考えましょう】
現在開催中の玉野市議会(12月定例会)にて、12月10日に森本宏子市議会議員が一般質問で子どもの睡眠教育について質問をされました。森本市議は学校と家庭における睡眠教育の必要性と推進について質問され、多田 一也教育長より現状の説明と将来的な取り組みの重要性を理解し推進したいとの回答がありました。

睡眠教育は、今現在の生活の質の改善に加え将来的に健やかな生活を築くための第一歩ともなります。今回は、子どもの睡眠について少し深掘りしてみます。子どもの睡眠の問題による影響は、次の6点があげられます。(図は子どもの睡眠の問題が与える学業および運動能力への影響)

【不適切な睡眠による影響】
睡眠に問題があることは、下記のごとく、心身面および社会面において大きな影響をおよぼします。
1.成績が低下
   就床時刻の遅れによる生活リズムの乱れや睡眠不足による学力低下
2.運動能力が低下
   運動パフォーマンスの低下
3.病気のリスク
   低年齢化する生活習慣病の原因に
4.怪我や事故のリスク
   睡眠不足による注意力低下から校内や登下校時を含めたリスク増
5.不登校の原因
   社会的時差ボケによる登校困難や不登校
6.脳の発達に影響
   発達の遅れや適応障害のリスク、知育能力やコミュニケーション力の低下

これらのことは、子どもの将来に対しあるべき豊かな未来を損なう可能性と、心身の健康や健全な社会生活を営む障壁ともなりかねません。

さて、それでは解決のために気を付けたいことは何でしょう。まずは教育、睡眠に関する正しい知識を持つことになります。そして実践には、本人だけでなく、家族あるいは社会全体での取り組みが必要になってきます。

【問題解決のためにすべきこと】
1.児童への睡眠教育
2.保護者への睡眠教育
3.社会(地域)での取り組み・理解向上

【今後の睡眠教育に必要なこと】
1.睡眠の重要性についての発信や啓発の実施
2.睡眠について考える土壌の醸成
3.睡眠をコンサルとできる人員の育成
4.継続するための組織化

睡眠の問題解決や睡眠教育は、子どもだけの問題ではなく、家族や学校に加え社会全体での認知、理解、協力が必要です。これからもぜひ個々において興味を持つこと、そして自治体においても取り組むこと、社会全体で推進できるようになればと願っています。

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玉野市議会HP:https://www.city.tamano.lg.jp/site/gikai/
小野田市教育委員会資料(2006):https://www.city.sanyo-onoda.lg.jp/uploaded/attachment/3161.pdf
Cheri,et al,2011,The effects of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players, Sleep
Wolfson, A. R., Carskadon, M. A. (1998). Sleep schedules and daytime functioning in adolescents. Child Development

2024/12/17



睡眠とヒートショック

【睡眠とヒートショック】
先般、私たちの世代にはなじみの深い女優・歌手の方がお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします。死因は浴室での不慮の事故とのことで、いろいろな原因が考えられます。@ヒートショックによる脳卒中や心筋梗塞 A熱中症による意識喪失 B持病の悪化・発作 C居眠り(深い睡眠)などが考えられますが、詳細は不明です。これらのことは私たちの身近でも起こり得ることで、日頃より注意が必要です。

図は、令和5年度検案件数・死因別調査件数(東京都監察医務院)を抜粋したもので、不慮の死に関して死亡原因を医学的に検案、解剖し究明した数の集計です。こちらを見ると、40代と50代の循環器疾患の死亡検案数は全体の約四分の一であり、この年代での心臓の事故発生は決して珍しいものではありません。特に50代において著明(男性で顕著)となっています。また突然の体調変化は、心臓に関するケースが多いこともわかります。

【リスク要因】
背景には、生活習慣や生活習慣病が素因となるケースも多いと考えられます。喫煙や過度な飲酒、ストレス、睡眠障害などは大きなリスク因子であり、暴飲暴食などの不摂生や自分の健康に対する過信(健診を受けない、健診の指導事項を無視など)も、危険要因となります。睡眠の状態が良くないと、心身の不良や疾病の引き金になってしまいます。しっかり眠り、体調不良を予防しましょう。

また、今回の報道のケースで考えられる温度変化によるヒートショックは、日頃の生活の中で注意が必要なこととなります。入浴時に服を脱いで冷気にさらされ、その後に40℃以上のお湯につかったりすること、急激な環境変化は体温や血圧の急変動をもたらし突然死を誘発するリスクとなります。お風呂、脱衣所、トイレなど、日常の中に危険な場所があると心しておきましょう。

【対処方法は?】
それぞれの部屋間での温度差をなるべく無くしましょう。お風呂は入る前に脱衣所を暖めておく、湯船の蓋を開けて蒸気で浴室を温めておく、トイレにも小型のファンヒーターを置く、就寝後のトイレは服を羽織って移動するなども必要でしょう。快眠のために、夏場は一晩中エアコンをつけておきましょうとしたように、冬場の寝室も一晩中エアコンを使い室温を下がり過ぎないようにすることをお勧めします。エアコンは乾燥しますので、湿度にもお気を付けください。湿度は50〜60%が目安です。また、オイルヒーターは乾燥しにくく音も静かでお勧めですが、電気代や火災にはご注意ください。

WHOでは室温は18℃を下回らないようにとしています。16度を下回ると呼吸系疾患に影響が出て、12℃以下になると血圧上昇や心血管リスクが高まるとされていますので、室温は11℃より下がらないようにしましょう。居間、寝室、トイレ、浴室、寝室の間での温度差を5℃以内にしてみましょう。まずは温度計を各お部屋に置いてみてください。

快眠のための体温管理として、お風呂に入りいったん深部体温を上げ1時間程度後に体温が下がるタイミングで寝床に入ると、寝付きが良いとお話ししました。しかしながら、次のような場合は、お風呂に入るのを控えましょう。@体調不良 A疲労の蓄積 B強い眠気がある Cお酒を飲んだ後 D眠くなる薬(睡眠薬や抗不安薬、かぜ薬やアレルギー薬でも眠くなる成分が入っていることがあります)

次回は、心臓疾患と脳卒中について不規則な睡眠がもたらす危険性についてご紹介します。

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東京都保健医療局.東京都監察医務院.令和5年版統計表及び統計図表:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/kansatsu/database/05toukei
World Health Organization. WHO Housing and health guidelines.

2024/12/20



睡眠とヒートショック

【不規則睡眠と心臓疾患・脳卒中】
前回はヒートショックに関する話題でした。そのつながりで今回は、心臓の病気と睡眠の関係についてご紹介します。
なんと!睡眠が不規則だと、心筋梗塞や心不全、脳卒中の発症リスクが上がるとのことです。
MACE; 主要心血管イベント(Major Adverse Cardiovascular Events)〜心血管の有害事象

40〜79歳・7万2,269人の8年間の追跡データを用いて、活動量計で7日間にわたって睡眠を記録しました。このデータから「就寝時刻」「起床時刻」「睡眠時間」「睡眠中の覚醒回数」をもとに、睡眠規則性度(Sleep Regularity Index:SRI)を算出しました。これにより3つのグループ(睡眠が@規則的群、A中程度に不規則群、B不規則群)に分けたところ、@規則的群に比べA中等度に不規則群では8%、B不規則群では26%も心血管疾患の発症リスクが高くなっていました。

逆に、睡眠習慣が規則的であればあるほど心血管障害のリスクが軽減する傾向も認めています。もう一つのポイントは、年齢ごとの推奨睡眠時間をとることによりリスクを抑えることができるのは中等度に不規則な睡眠まで、不規則睡眠の程度が強いとしっかり睡眠時間をとってもリスクは下がらないとのことです。おぉ怖い!

「日常の生活リズムはなるべく一定に、しっかりと睡眠時間をとりましょう。」

【この結果のポイント】
・不規則睡眠は心血管疾患へのリスクとなる
・不規則であればあるほどこのリスクは高くなる
・中程度の不規則であれば睡眠時間の確保でリスクを下げられる
・強い不規則睡眠であると睡眠時間を確保してもリスクは減らない

【日々の睡眠で気を付けること】
@ 規則正しい睡眠(生活)を心がける
・昼寝をする場合は15時までに30分以内で
・夕方以降のうたた寝禁止
・起床時刻はいつも一定に
・土日の長寝は平日と1時間以内に
A 睡眠時間の確保
・寝る前のリラックスタイムをつくる
・眠れる環境を整える
・睡眠時間は日々確保(若年・働きざかり)
・早寝長寝遅寝をやめる(高齢者)

次回はなかなかショッキングな話題です。「睡眠不足が続くと見た目も身体も老ける!」です。

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Jean-Philippe Chaput et al. Sleep regularity and major adverse cardiovascular events: a device-based prospective study in 72 269 UK adults, Journal of Epidemiology & Community Health (2024)

2024/12/24



睡眠とヒートショック

【睡眠不足が続くと】
こちらの画像は「ハンナ」と名付けられた架空のモデルです。一晩に6時間しか眠らない生活を何年も続けた女性の姿を予想したものです。睡眠不足の長期的な影響をはっきりと浮き彫りにしています!

見た目では猫背薄毛や脱毛老化した肌に驚きです。加えて2型糖尿病心臓に影響も出てきていることは間違いありません。食欲亢進による肥満内臓脂肪の蓄積運動意欲の低下による体型変化も加わっています。画像の設計は、ソフィー・ボストック博士とベンソンズ・フォー・ベッド社が2010年以降の睡眠関連研究論文を用い行いました。

ボストック博士は「ハンナは、睡眠が全体的な健康維持に及ぼす総合的な影響について考えさせられる例です」と述べています。また、ベンソンズ・フォー・ベッド社のリサ・リチャード氏は「ハンナは、睡眠に関連したすべての条件が揃っていない時に起こり得る最悪のシナリオを予測したもの」とし、「人々が睡眠についてより慎重に考え、ハンナを見ながら現在自身の睡眠不足兆候を見つけてほしい」としています。その通りですね。

【この結果のポイント】
大事なことは、こうも付け加えられています。「毎日同じ時間に起きて、運動をして、寝室を暗く維持したまま十分に眠れば、このようなすべてのことを予防することができる。」と。

眠る環境、眠る習慣、眠るリズムとからだづくり」を心がけましょう。睡眠時間の確保と規則正しい睡眠習慣、そして休養感を感じることが大事です。

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Dr. Sophie Bostock,Bensons for Beds, Long-term effects of sleep deprivation(2024)
Instagram:@mwnlifestyle
https://www.instagram.com/p/DDr0P20CWPm/?locale=ja-JP&hl=en
Photo:Copyright by JoongAng Ilbo Co., Ltd.

2024/12/27



睡眠不足は
風邪をひきやすい

風邪の時は眠れない

【睡眠不足は風邪をひきやすい】
インフルエンザが流行っています、岡山では”警報”が出ました。皆さん、予防接種は済まされましたか?今の時期、自分がかからないことに加え他の人に移さないことも大事になります。

さて、睡眠と風邪のひきやすさについて、こんな文献がありました。「睡眠不足は風邪をひきやすい」とのデータです。検討の内容は、風邪の原因となるウイルスを鼻に塗って、どれくらいの方に風邪症状が出るかを調査しています。睡眠の状態は、ウイルス感染前1週間の睡眠状態をアクチグラフにより確認しました。感染後の5日間はホテルで症状を観察されています。その結果が図になります。

感染前の睡眠時間と風邪症状の出現との関係を調べたところ、睡眠時間が5時間以下(睡眠不足)人は、7時間眠った人と比べ4.5倍多く風邪にかかりやすかったとのことです。
※日頃から良い睡眠をしっかりとって風邪にかからないようにしましょう。寝不足は禁物です。

【風邪の時は眠れない】
一方、風邪をひいたときの睡眠の状態はどうでしょう。こちらも調査検討したデータがあります。風邪の原因となるウイルスに感染し症状が出ているときの睡眠状態を睡眠ポリグラフで記録しています。その結果、風邪をひき体調が悪いと睡眠時間が短くなり睡眠効率(睡眠時間÷寝床にいた時間)も悪くなっていました。鼻づまりによる呼吸困難や身体の痛み、免疫反応を高める発熱が逆に睡眠を阻害することになっているのかもしれません。
※体調の悪いからこそ、その時は眠れる環境を整えてしっかりと睡眠をとるようにしてみましょう。

これまでのコロナウイルスと今年はマイコプラズマにリンゴ病、そしてインフルエンザウイルスが猛威です。これからはノロウイルスにも注意が必要ですね。手洗い、マスク、咳エチケットなど感染予防を心がけ、しっかり眠り体調管理にご留意ください。

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Prather AA,Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold. Sleep,2015
東洋経済ONLINE:西多 昌規.早稲田大学教授 早稲田大学睡眠研究所所長
Drake,C.L.,et al.Effects of an experimentally induced rhinovirus cold on sleep, performance, and daytime alertness. Physiology & Behavior,2000

2024/12/31



睡眠不足は太りやすい

肥満と健康に悪影響

ありがとうございます!
今年の3月から「健康の窓」の配信を始め、睡眠と健康の話題をお届けしてきました。来年も引き続き、火曜日と金曜日の週2回、役立つ情報をお届けします。来年は臨床検査の情報も追加予定です。ご希望やご意見がありましたら、ぜひお聞かせください。市民センター等でのリアル講習会も開催しています、こちらもご参加をよろしくお願いいたします。
皆様の健康と幸せを願って!良いお年をお迎えください

それでは年内最後の睡眠・健康情報です。

【年末年始の過ごし方】
生活のリズムが乱れると、休み明けが辛くなります。「規則正しく」が年末年始の過ごし方のポイントです。また、飲食の機会が増える、食べる量が増える、年末年始は動かない、生活のリズムが変わるなどから、この時期は体重が増える方が多いようです。表を見られましたか?いちいち心当たりがありますね、もっともです。楽しい時間に美味しい食事やお酒は付きものですので、この際は諦めて(笑)別の目線でポジティブに過ごしましょう。
・初詣に行く
・親戚、ご近所回りをする
・買い物に行く
・散歩する
・アウトドアスポーツや外遊びをする
・生活のリズムを整える
・起きる時間を一定にする(遅起きをしない)
・長い昼寝、うたた寝をしない
・寝不足にならない

【睡眠不足は太ります】
先ほど最後に「寝不足にならない」としました。実際に寝不足だと、食欲を亢進するホルモンが増えたり、満腹を感じるホルモンが低下してしまいます。ダイエットや健康生活に睡眠不足は大敵です。また、太りやすさに加えて、病気の危険性を上がります。睡眠不足は本当に健康の大敵です。

来年は良い睡眠を得るためのポイントを改めてご紹介します。また、2月ごろより、臨床検査値の見方や健康診断の健康生活への活かし方などもご紹介する予定です。お楽しみにお待ちください。

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ウーマンウェルネス研究会 supported by Kao
Shaharad Taheri,et.al ;Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin,Elevated Ghrelin,and Increased Body Mass Index(2004)

2025/1/3



「健康の窓」ご紹介と

2025年SNS更新予定

2025年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回は「健康の窓」のご紹介と、本年のSNS健康情報の更新予定をお知らせいたします。

【健康の窓ご紹介】
「健康の窓」は、「学びを健康に変えましょう!」をアクションワードに、睡眠と臨床検査・健康診断を切り口として健康リテラシーの向上を通じ、皆様と健康の保持・増進を目指します。

1.内容
1) 講習会開催:学びの場の提供し、得られた知識を健康に活かします
2) 相談・面談:健康状態の把握と改善を支援します
3) コンサルティング:健康経営に関する問題や課題解決をサポートします
4) 検体測定室:準備中

2.対象
1) 一般市民の方
2) 企業(従業員)
3) 企業(組織・経営者)
4) 児童・学生

3.期待される効果
1) 一般市民の方:日常的な健康の保持・増進による生活の質や満足度の向上
2) 企業(従業員):健康的な生活による職場と家庭の日常的な幸せづくり
3) 企業(組織・経営者):健康経営の実践による労働生産性の向上、企業イメージおよび社会的信頼の向上
4) 児童・学生:健康について学び将来的な疾病リスクを軽減、医療に興味を持つことによる医療職への選択機会
5) 検体測定室:リアルタイムな身体状態の把握による健康管理と疾病の早期発見

地域での健康講演会企業研修に加え、個人または地区コミュニティの集まり認知症カフェなどにお伺いします。ぜひご相談ください。

【これからの予定2025】
1) 来週より「睡眠の14か条・快眠の秘訣」をお伝えします。よく眠れるためにした方が良いこと、してはいけない快眠のポイントを14にまとめ、ひとつづつ解説を交えてご紹介します。
2) 3月13には現地講習にて「健康診断の検査値からわかること〜自身の健康を読み解く〜」の2回目を行います。それに合わせ、「臨床検査」の紹介と解説を行います。尿検査、血液検査、心電図検査やエコー検査などを予定しています。

今年もこれまで通り週2回、火曜日・金曜日に更新します。睡眠や臨床検査、健康に関する情報についてご要望がありましたらぜひお知らせください。

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「健康の窓」ホームページ:https://x.gd/U3E1D

2025/1/7



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第1条>
朝の光を浴びましょう

今回より「睡眠の14か条・快眠の秘訣」をお伝えします。よく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠のポイントを14にまとめ、ひとつづつ解説を交えてご紹介します。

14か条、なんだか中途半端な数字ですが、一つづつ励行して2週間、二つづつ励行して1週間で睡眠に良い習慣が身に付くキリの良い数字です。
気を付けたいのは、どれか一つで劇的に改善できるわけではなく、それぞれは互いに影響しあっているということです。確かにひとつ改善するだけでも効果を感じる場合もありますが、全体として一歩づつ進めるようにすることがより効果的です。

【第一条】
起きたらしっかりと太陽の光を浴びる

【なぜ?】
光の作用により体内時計がリセットされ、一日のリズムを正しく始めることができます。体内時計の働きにより、目覚めてからおよそ15時間程度で眠気を生じるようになっています。そうなんです、寝る準備は朝起きたときからすでに始まっています。夜に良い眠りをもたらす第一歩が朝の光です。

【たとえば?】
朝起きたらカーテンを開けてみましょう。朝散歩をする、窓辺で朝食を摂る、通勤・通学時に日光を浴びるようにするのも良いですね。後日お伝えする朝食の工夫も組み合わせると、幸せホルモンのセロトニンや眠りホルモンのメラトニンを増やすことにもつながります。
目安としては、”目覚めて30分から1時間以内”に”15分から20分程度”浴びると良いでしょう。曇りや雨の日は少し長めにしてみましょう。

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/1/10



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第2条>
しっかり噛んで朝食を摂る

睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”2”です、朝ごはんについて。

朝ごはんは、一日、特に午前中の活動エネルギーの補給として欠かせません。そして朝ごはんは、実は夜の睡眠にも関係しています。前回もお話しした通り、夜の快眠の支度は朝にもう始まっています

【第二条】
しっかり噛んで朝食を摂る

【なぜ?】
朝の光の作用により体内時計がリセットされ一日が始まります。この体内時計は主時計が脳にあるのですが、身体の他の部位、組織、細胞にも存在しています。朝ごはんを食べることにより、消化器各臓器(胃や小腸など)が目覚めます。そして脳にある体内時計と同調し、身体全体が活動的な朝を迎えるというわけです。この時によく噛むようにすると、それが刺激となり、より脳はしっかりと目覚め活性化されます。

【たとえば?】
このように、しっかりと咀嚼することが効果的ですので、飲みものだけで済ませるより食物としてしっかりと摂取しましょう。また、眠りのホルモンである”メラトニン”は、たんぱく質の一種の”トリプトファン”から幸せホルモンの”セロトニン”を経て生成されます。ですので、朝はたんぱく質・トリプトファンを多く含む食事を摂るようにしてみましょう。

和食でしたら、ごはん、味噌汁、納豆、焼き魚のような旅館風の朝食はお勧めです。洋食でしたら、パン、目玉焼き、チーズ、牛乳などはいかがでしょうか。バナナを添えるとよりグッドです。

トリプトファン→セロトニン→メラトニンの生成経路では、たんぱく質のほかに糖質、ビタミンB6、マグネシウムや亜鉛などがあると、より効率的に作られます。意図してサプリメントなどを利用するほどでもありませんが、バランス良く食事を摂ることが基本になります。

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「健康の窓」健康情報: http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/archive/release.html#d20240521
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/1/14



しっかり眠ってミス防止

受験生がんばれ!

【しっかり眠ってミス防止・受験生がんばれ!】
大学入学共通テストが令和7年1月18日(土)・19日(日)に実施されます。また、大学以外でも入試シーズンに突入です。受験生の皆さんも大変で、ご家族の方もいろいろいと苦労も多いかと思います。これまでの成果を発揮できるようお祈りいたします。

さて、入試に限らず試験に臨み成果を発揮するためには、コンディションを整えることがとても大事になります。風邪や体調不良とならないように留意することは大切ですね。今回は、試験当日に実力を発揮できるような良い睡眠方法についてお伝えします。ぜひ皆さまにお伝えください

昔は「四当五落」と言われ4時間睡眠なら試験に通り、5時間も寝ると試験に通らないと言われていました。ところが、今はこう考えてください。「六当五落」です。6時間の睡眠をとる習慣があれば合格し、5時間しか睡眠をとらないと不合格になってしまいます。それほど睡眠は大事ですよ。

【試験に受かる睡眠のポイント】
1)日頃から睡眠時間は6時間以上とること
2)試験日の睡眠不足は特に避ける
3)朝から頭が働くよう生活リズムを整える

【解説】
1)日頃から睡眠時間は6時間以上とること
  睡眠には記憶を整理し定着させる働きがあります。加えて、睡眠時間が短いと風邪をひきやすいという報告もあります。勉強開始時刻を早めることで勉強時間を確保し、そしてしっかりと眠るようにしましょう。
2)試験日の睡眠不足は特に避ける
  睡眠不足の時は注意力が散漫になりミスが増えます。後から見返すと、なんでこんなミスをということもあるでしょう。試験前日はしっかりと睡眠をとりましょう。いろいろと考えて眠れないときは、単純な思考で済む英単語や公式、歴史年表を見返すなどが良いでしょう。
3)朝から頭が働くよう生活リズムを整える
  夜型の生活サイクルを朝から活動的な朝型サイクルに変えるには、ある程度の時間が必要です。最低でも試験前1週間は、試験日のスケジュールに合わせた時刻に起きるようにしてみてください。試験当日にだけ早起きしても頭は目覚めず、これもミスの原因になります。

試験で人生が決まるわけではありませんが、人生の大きな一つの節目です。悔いのないように、日頃から準備し、体調をしっかりと整えてくださいね。

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・睡眠は記憶を整理・定着する
 2024/6/11【眠りの仕組み】〜09 夢みるねむり〜
・ぐるぐる思考解消法
 2024/8/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜
・睡眠・生活リズム
 2024/4/30【自らすすんで時差ボケに!?】
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/1/17



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第3条>
平日と休日の
起床時間の差を
2時間以内に

【生活の中の時差ボケ防止・起床時刻を一定に】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”3”です、起床時間の注意事項について。

休みの日の遅寝・遅起きは、生活の中での時差ボケの原因となります。加えて、睡眠時間がまちまちであることは、睡眠時間が短いのと同等あるいはそれ以上に疾病リスクが上がります。

【第三条】
平日と休日の起床時間の差を2時間以内に

【なぜ?】
休日や休日の前の日の遅寝、それに付随した翌朝の遅起きをすると、生活のリズムが後ろ倒し(遅れ遅れ)になってしまいます。こうなると、休み明けの早起きが辛くなり、起きられない、起きてもぼーっとしているなど時差ボケと同じ症状が生じてしまいます。ひどくなると出勤拒否や不登校につながることもあります。更に頭痛や疲れなどの体調不良のほか、怪我や事故のリスクも増えてしまいます。生活の中の時差ボケ、怖いです。

また、休みの日に長寝が必要ということは、いつもの睡眠時間が足りていないことが原因となります。いわゆる睡眠負債をギリギリ休日に返済しているという状態です。

【たとえば?】
いつもの睡眠時間が12時−6時の方の睡眠時間の中央値は3時です。休みの日が1時−11時では中央値は6時です。この方が月曜日にいつものように6時に起きようとしても、その時間帯はお休みの日の睡眠のリズムではまだ中央値付近、いつもの睡眠リズムの中では3時と同じ眠りの真っただ中で起きることになります。それでは起きられませんよね、眠いのも当たり前です。

遅れたリズムはすぐには戻りません。リズムを狂わせないことが大事です。起床時刻は一定に、睡眠時間の確保は就寝時刻を前倒しにすることで確保しましょう。起床時刻を一定にすることがポイントです。

交代勤務であったり、時差勤務の方は辛いですね。夜勤明けにはなるべく光を目に入れない、仮眠を有効に、生活リズムを少しづつ変えるなどで対応します。体内時計を前倒しにするのは難しいですので、後ろ倒しにしつつ整えて行くのが良いようです。

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「健康の窓」健康情報:
2024/9/20【快眠検定 Part 1】 問1・解説
http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/archive/release.html#d20240920
2024/12/20_不規則睡眠でリスク大!心筋梗塞・脳卒中
http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/archive/release.html#d20241220
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/1/21



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第4条>
昼寝は15時までに
30分未満で

【昼寝で午後も活動的に・効率アップ】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”4”です、昼寝について。

昼間に眠気を覚える場合は、積極的に昼寝をしてみましょう。昼寝はPower Napと呼ばれ、悪いことではなく午後の活動性を上げるため良い面が多々あります。

睡眠時間が足りない、睡眠の質が良くないと、昼間に眠気を覚えることが往々にしてあります。睡眠時間が足りないときは、日ごろから睡眠時間を確保し眠気を解消するのが一番です。それでもどうしても昼間に眠気が強い場合、あるいは集中力が途切れている場合など、短時間の昼寝が眠気の解消と回復につながります。また、眠りの質が悪い場合は、ここで紹介する14か条の良い睡眠のポイントを確認すること、そして病気が潜んでいないかを確認することが大事です。特に働き盛りの方に多いのは睡眠時無呼吸症候群です。(下段にチェックリストあり)

【第三条】
昼寝は15時までに30分未満で

【なぜ?】
しっかりと夜の睡眠がとれていれば、昼間に眠気が無いのが当たり前です。ただし、ヒトの一日のリズムの中には12〜16時頃に眠気が訪れる周期もあり、このせいで眠気を感じることもあります。この眠気はごくごく正常な現象ですので、気にされなくて良いです。問題は、耐え難い眠気や集中力や認知・創造能力を低下させてしまうような眠気です。
冒頭で書きましたように、夜にしっかりと睡眠がとれていれば、ここまで強い眠気はありません。何よりしっかりと夜の睡眠時間の確保と質の良い睡眠を心がけましょう。
また、15時以降の昼寝やうたた寝は控えましょう。その日の夜の睡眠に影響し、眠れなかったり質が悪くなる可能性があります。

【どうする?】
第三条にあるように、15時までに30分までの短い睡眠が、眠気を解消し、集中力や注意力をアップさせます。ポイントは、
・短時間にとどめる
  深い睡眠に入らないようにする(うとうと・すやすやくらい、ぐーぐーは深すぎ)
・机に伏せたり座ったまま楽な姿勢をとる
  横になって眠ると深い睡眠に入りやすく、寝起きにボーとしてしまいます。
・昼寝の前にコーヒーを飲む
  カフェインが効き始めるころに起きだしますので、スッキリと目覚めます。
・何度も昼寝をしない・長く眠らない
  認知症のリスクや死亡危険率が上がります。

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【眠たい・息が止まる】〜閉塞性睡眠時無呼吸症候群チェックリスト〜 http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/archive/release.html#d20240705
【快眠検定 Part 1】 問2解説・昼寝(Power Nap)の仕方で正しいものはどれ
http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/archive/release.html#d20241011
【快眠の秘訣】〜05 昼寝・うたた寝〜
http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/archive/release.html#d20240816
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/1/24



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第5条>
からだを動かし良い睡眠

【からだを動かし良い睡眠】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”5”です、運動について。

【第五条】
夕方までに軽い運動

【なぜ?】
眠気を生じる・睡眠が訪れる元々として、@体内時計とA恒常性(ホメオスタシス)の働きがあります。@体内時計は、この解説の”1”でお話しした”光”によって調整されます。一方、A恒常性は難しい言葉ですが、身体の状態を一定に保つ働きで、赤血球が壊れれば作り直す、身体のpHを一定に保つといったような働きです。今回、取り上げた運動では、筋肉が損傷すれば修復しようとするのも恒常性です。また、疲れれば回復に努めます。負担が大きいほど修復や回復に時間がかかります。

運動をすればよく眠れるというのは、このA恒常性(ホメオスタシス)によるものです。運動をすると、しっかり睡眠をとり身体を修復し休ませ回復させる必要が生じますので、そのために睡眠が必要になりよく眠れることになります。疲れると眠ることが必要になるところがポイントです。

【どうする?】
筋肉をつける運動、持久力を強める運動、柔軟性を上げる運動など、いろいろな運動がありますが、睡眠に特別良い運動というのはありません。どの運動でも良いです。歩くだけでも筋トレでもストレッチでも大丈夫です。ご自身の目的や体調に合わせて選択してもらえれば良いかなと思います。もちろん家事でしっかり身体を動かすのもありです。

気を付けたいのは、時間帯と負荷です。時間帯は、夕方からが良いでしょう。もちろん朝でも昼でも構いません。また、夕食後の運動は食後のうたた寝を防ぐ利点があります。運動は血糖値も関係してきますので、糖尿病の方、糖尿病予備軍の方はご注意ください。必要であれば医師との相談をお勧めします。身体の痛みがあるときも無理はしないようにしましょう。

運動の強さ(負荷)は、あまり強くする必要はありません。会話しながら歩ける程度から、汗が噴き出すような運動でも大丈夫です。気を付けたいのは、激しい運動をする際は、おやすみの2時間前には終わらせるようにしてください。体温が上がること、交感神経が高ぶることで、その後に眠れなかったり睡眠の質が悪くなってしまう場合があります。お気を付けください。

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/1/28



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第6条>
夕食後の居眠りは厳禁

【うたた寝禁止】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”6”です、うたた寝禁止について。

【第六条】
夕食後の居眠りは厳禁

【なぜ?】
ねむりのもと”をイメージしてください。実際にこの物質はいくつか見つけられています。この”ねむりのもと”は朝、目覚めてから起きている間は徐々に蓄積、たまってゆきます。この”ねむりのもと”がたまればたまるほど睡眠欲求は増し眠気は強くなります。そしてこのおかげで眠りにつくことができ、眠りを続けることができます。

眠るとこの”ねむりのもと”は減ってゆき、充分な睡眠をとれば朝には”0”になります。眠気が無く爽やかな朝を迎えるということです。ところが、この”ねむりのもと”がすべてなくなる前に起きると、眠気が残ります。睡眠不足の状態ですね。次の日へねむりのもと”を持ち越してしまいます。

一方、この”ねむりのもと”は眠りを始める・続ける効果がありますので、充分にたまっていると眠りにつきやすくぐっすりと眠れます。ところが長い昼寝や夕食後にうたた寝をしてしまうとこの”ねむりのもと”を消費してしまいますので、充分な”ねむりのもと”がたまらず、良い眠りが得られないということになります。

【どうする?】
・30分以上の長い昼寝をしない
  昼寝は15時までにする
・それ以降はうたた寝をしない
・夕方や夕食後に散歩をする
・睡眠時間はしっかりと
  “ねむりのもと“を持ち越さない

よくお聞きする、夕食後のうたた寝は厳禁です。例えば夕食後に運動をする、趣味に打ち込むなどで眠気を紛らわすのも良いです。運動の際はくれぐれもご安全にお気を付けください。

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/1/31



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第7条>
夜の光の影響
寝床スマホ禁止

【夜の光の影響】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”7”です、夜の光について。

【第七条】
夜は強い光を浴びない

【なぜ?】
眠りのホルモンである”メラトニン”は、夜になると多く分泌されますが、強い光を浴びてしまう・見てしまうと、分泌が抑制(分泌量が減る)されます。”メラトニン”は眠るためのホルモンですので、この量が減ると、寝付けない、眠りが浅くなる、何度も目が覚めることにつながります。(入眠・睡眠時間・睡眠の質の低下)

この光(明り)の作用は、子どもは大人に比べより強く影響を受けます。子どもは大人より眼の水晶体が透き通っています(透明度が高い)のがその理由です。これにより、眠れない、睡眠時間が短くなる、眠りが浅くなるなどを生じ、必要とする大事な良い睡眠が得られなくなります。その結果、成績や運動能力の低下、登下校時を含めた日常生活での事故や怪我のリスクも上がってしまいます。ご注意ください。

【どうする?】
夕食後あたりから部屋の明かりを少し落とします。(雰囲気の良いレストラン程度に)
テレビや動画(録画視聴、YouTubeなど)を観るのはできれば就寝の1時間前までにしましょう。
パソコンを使うお仕事も上記と同様に1時間前には終わらせましょう。
お風呂の明りも暗めが良いでしょう。アロマなどと併用するとリラックス効果があります。
寝室は真っ暗が良いです。明かりがないと不安を感じる場合は、足元など目に入らない位置に明りを置きます。
寝床でスマホなどは見ないようにします。画面は小さいですが目に近いため、光の影響は大きくなります。
就寝後にトイレに行く場合は、部屋やトイレの明りを点けずに懐中電灯で済ませます。(転倒にご留意ください)

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/2/4



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第8条>
脳の興奮は
眠りから覚醒に傾く

【脳の興奮】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”8”です、脳の興奮について。

【第八条】
脳の興奮は眠りから覚醒に傾く

【なぜ?】
眠るためには、副交感神経を優位にリラックスした状態が必要です。脳が興奮をしていると副交感神経が優位にならず、なかなか眠気が訪れないことになります。加えて、眠りが浅くなる、睡眠の質が悪くなり起床時の爽快感が低下することになります。

交感神経と副交感神経が行ったり来たりすることや緊張が続くことは脳疲労を助長させ、眠ったのに眠った気がしない、休養感が無いなどの症状が現れます。代表的な疾患に睡眠時呼吸症があり、この病気は、息が止まることにより覚醒(目が覚めたことを覚えていないくらいの短い時間)し呼吸を再開する→眠る→息が止まる→目覚めるを繰り返します。この間、睡眠と目覚めの間で副交感神経優位⇔交感神経優位を頻繁に繰り返し、脳疲労や身体へのダメージをもたらします。怖いです。
参考:2024/7/2【眠たい・息が止まる】〜閉塞性睡眠時無呼吸症候群〜

脳が興奮・疲労する行動には、激しい運動、ストレスの持続、考え事、光刺激、テレビ、スマホやゲームなどの視聴や操作などがあります。デジタル機器は深刻で、寝る前のスマホは寝付きの悪さリスクを1.48倍に、日中の使用でもスマホ使用時間が4時間以上は睡眠不足のリスクを1.72倍にします。特に、速い動き、勝ち負けを伴う、予測不能な驚きのあるものは興奮度が強いと言われています。
(参考)BMJ Open. 2015 Feb 2;5(1):e006748.

【どうする?】
〇夕方から
 ・部屋の明かりは暗めに
〇眠る3〜4時間前
 ・夕食はすませておく
 ・カフェイン・ニコチンは控える
〇眠る1〜2時間前
 ・ぬるめのお風呂にゆっくりと
 ・デジタル機器の使用は控える
〇寝る前30分〜眠るとき
 ・好みの音楽やアロマ
 ・リラックスタイムをつくる
 ・寝床スマホは厳禁

(参考)
2024/11/22「日々の快眠のポイント」寝る前編・夜に眠る前の過ごし方
2024/11/26「日々の快眠のポイント」寝床編・寝床での過ごし方

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/2/7



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第9条>
カフェインと睡眠

【カフェインと睡眠】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”9”です、カフェインの摂取について。

【第九条】
カフェインは控えましょう

【なぜ?】
カフェインは覚醒作用があるため、寝つきの悪化中途覚醒の増加眠りの質を低下させる可能性があります。一日に摂取するカフェインの量が増えれば増えるほど深い睡眠が減少し、中途覚醒が増え、睡眠効率が低下、総睡眠時間が短縮することが報告されています。(表)米国の学生の調査で、カフェインを非常に多く摂取した学生は、非常に少ない学生に対し睡眠障害の可能性が1.9倍、朝に疲労を感じる可能性が1.8倍も高いとされました。さらに、カフェインはむずむず脚症候群や睡眠時の歯ぎしりなどの睡眠障害を発生・悪化させるリスクがあるとの報告もあります。

カフェインの代謝には個人差があり、血液中のカフェイン濃度が半分になるのに要する時間も3〜7時間とばらつきがあります。アメリカ食品医薬品局(FDA)、欧州食品安全機関(EFSA)、カナダ政府などは、成人の1日当たりのカフェイン上限摂取量として400mgを推奨しています。カフェイン400mgの目安は、ドリップコーヒーで珈琲カップ4杯分(700cc)、市販のペットボトルコーヒーで1.5本分(750cc)に含まれる量です。

【どうする?】
・日中はカフェインを摂り過ぎない
  エナジードリンクにも多量のカフェインが含まれる(糖分も多い)
・昼間に眠気が強い時はカフェインに頼らずしっかりと睡眠をとる
  それでもなお眠気が強い場合は睡眠障害の可能性も。医療機関への相談も考慮しましょう
・夕方以降はカフェインを控えめに
  茶葉を使用していない麦茶、そば茶、黒豆茶、とうもろこし茶、カフェインを含まないハーブティーなどはお勧め
・カフェインの影響は、子ども、高齢者で強くなる
  妊婦においても避けた方が無難

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Landolt H-P, Werth E, Borbely AA, Dijk D-J. Caffeine intake (200 mg) in the morning affects human sleep and EEG power spectra at night. Brain Res 675: 67-74. 1995.
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/2/11



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第10条>
快眠入浴法

【快眠入浴法】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”10”です、快眠入浴法について。

【第十条】
お風呂はぬるめ、眠る1時間程度前までに

【なぜ?】
眠気が訪れる、脳が睡眠モードになるためには、体温(からだの中心の体温・深部体温)を下げてやる必要があります。この体温が下がるタイミングで寝床に入ると、すんなりと寝つけるようになります。大事なのは、体表面体温と深部体温の差を作ってやることです。

入浴や運動などで一時的に深部体温を上げておいてやると、その後に通常体温に戻るまでの体温低下幅が大きくなり、より効果的に眠気を作り出すことができます。

一度上がった深部体温はすぐには下がりません。およそ1時間から2時間後に下がり始めますので、この下がるタイミングで寝床に入りましょう。(この時間は個人差があります。入浴後の何分後に眠るとよく眠れたなどを記録しておき確認してみましょう。)

このとき、手のひらや足先から温度が逃げ(放熱し)体温が下がりますので、例えば夏場に冷たいペットボトルを持ってみる、ふとんから足を出すなども放熱には効果的です。冬場は手先足先が冷たくてソックスを履いたままおやすみになる方もおられますが、良い眠りには逆効果です。入浴後はソックスは履いておいて、ふとんに入るときに脱ぐようにしてみましょう。ゆるゆるソックスやカイロを使うのもお勧めです。

【どうする?】
〇入浴のタイミング
・おやすみ前の1時間前から2時間前で調整します
  夕食の直後は避け、寝る時間から逆算します
〇お風呂の温度
・40℃程度のぬるめが良いでしょう
〇入浴時間
・身体が温まるよう15分程度を目安にしましょう
〇その他
・シャワーでは深部体温は上がりにくいため、夏場でも入浴をお勧めします
  半身浴より全身浴が効果的です
・お風呂の灯りは暗めにするのが良いです
  転倒などにはご注意ください
〇注意事項
・脱水やヒートショックにご注意ください
・長時間の入浴は身体に負荷がかかります
  持病がある方は主治医にご相談ください

(参考)
2024/05/24【眠りの仕組み】〜04 体温変化を賢く利用〜
2024/08/02【快眠の秘訣】〜01 体温管理〜
2024/12/17【睡眠とヒートショック】

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Tai Y, et al. Hot-water bathing before bedtime and shorter sleep onset latency are accompanied by a higher distal-proximal skin temperature gradient in older adults. J Clin Sleep Med, 2021.
健康づくりのための睡眠ガイド2023:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/2/14



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第11条>
寝酒は厳禁

【寝酒は厳禁・アルコールと睡眠の関係】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”11”です、アルコールについて

【第十一条】
寝酒は厳禁

【なぜ?】
質の良い睡眠とは、@必要な睡眠時間が確保されていること、A深い睡眠があること、Bレム睡眠がバランス良くあることが大事になります。アルコールは、入眠(寝付き)こそ促進しますが、睡眠後半は中途覚醒が増加したりレム睡眠も減少させ、質の良い睡眠とは程遠い状態をもたらします。

アルコールの影響は個人差がありますが、睡眠に備えるのであれば就寝前4時間程度は飲酒を控えましょう。特に寝酒は厳禁です。いびきや睡眠時無呼吸症を悪化させる、アルコールの利尿作用によりトイレに起きることが多くなってしまいます。

その他の影響として、アルコール耐性により飲酒量が増える、アルコール依存症をもたらすこともあります。また、睡眠導入薬など薬剤とアルコールの併用は禁忌です、絶対にお避けください。予期せぬ副作用や薬効の強弱が現れる場合があります。

酒飲みの言い分として「少量のお酒は健康に良い」があります。確かに心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病などは、少量飲酒によって罹患率が下がる傾向が見られます。(Holman CD,et al. Med J Aust. 1996・Ann Epidemiol. 2005)ただし、少量飲酒であっても、高血圧、脂質異常症、脳出血、乳がん(40歳以上)ではリスクが上がります。(Wood AM, et al. Lancet. 2018)

【どうする?】
・寝酒はもちろん飲酒は眠る4〜5時間前までにする
・アルコールは夕食だけの習慣にする
・寝る前の飲酒はやめ白湯やハーブティにしてみる
・眠れないときはリラックスして過ごす
・眠ろうと焦らない
・お酒に頼らない生活・睡眠習慣を持ちましょう
・眠れない場合は医療機関の受診も考慮しましょう

(参考)
2024/04/12【眠れないから飲酒?飲酒するから眠れない?】
2024/08/20【快眠の秘訣】〜06 嗜好品〜

(お酒に含まれる純アルコール量の算出式)
摂取量(ml) × アルコール濃度(%)× 0.8
例: ビール 500ml(5%)の場合
   500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)
※1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上は生活習慣病のリスクが高まる。

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健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html
健康づくりのための睡眠ガイド2023:(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/2/18



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第12条>
寝床で考え事をしない

【寝床で考え事をしない】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”12”です、寝床での考え事について

【第十二条】
寝床で悩み事や考え事はしない

【なぜ?】
寝床に入っても眠れない原因は2つ考えられます。
@眠れる環境ではない
  文字通り寝室が暑かったり寒かったり、あるいは明るかったりうるさかったりがあげられます。それぞれに合った対処をしてみましょう。
A眠れる体調になっていない
  こちらは多種多様な原因が考えられます。体内リズムであったり疲労の度合いや自律神経の状態などの身体の問題と、生活習慣を含めた行動の問題、またストレスの負担や病気が潜んでいる場合もあります。自身で解決できることのほか、症状によっては医療機関に相談すると良い場合(楽になる場合)があります

体内リズムや疲労、自律神経を整えるためには、このコラムの内容を再確認してみてください。朝の光の活用、お風呂や運動習慣の工夫・見直しを図ります。生活習慣や行動の問題に対しては、規則正しい説活、食事や昼寝、部屋の明かりやデジタルデトックスなどで対処します。

それでもやはりお困りなのは、寝床に入ってから眠れずに悶々と過ごすことでしょう。寝床の中での考え事は、先のことを考える・心配する、昔のことを思い返してクヨクヨする・悩む、何度も同じことを堂々巡りで繰り返し考えるなど、”答えの出ない考え事”が多く、これが眠れないことにつながります。

このようなときの解決方法を二つ提示します。@「睡眠儀式」は、眠る前の習慣的な日課です。よく眠れた時の寝る前の行動をなぞるのも良い方法です。眠れるという安心感や寝床に悩みやストレスを持ち込まないことにつながり、睡眠の質を上げる役割も持ちます。
もうひとつお勧めなのは、A「プチ考え事」をすることです。プチ考え事は、単純なことにちょっと集中し意識を向け、深く考えないように考えを巡らせないようにすることに役立ちます。

【どうする?】
〇睡眠儀式
・眠たくなってからふとんに入る
・ストレッチ(漸進性筋弛緩法も)
・パジャマに着替える・白湯を飲む
・日記を書く(三行日記など簡単で良い)
・子どもでは寝るときの絵本の読み聞かせ
・よく眠れた時の行動をなぞってみる
*習慣化することが大事
  複数を組み合わせても良い
〇プチ考え事
・面白くない本を読む
  読み流せる歴史年表を眺めるなども
・柵を跳び越える羊をイメージして数える
・その羊を減らして行く
・引き算をする
・認知シャッフル睡眠法(連想ゲーム)
・呼吸を数える、確認する(吸った・吐いた)
・右手右足をなるべくきちんと思い出してみる
・指先から身体の輪郭をなぞるように思い浮かべる
・米軍式睡眠法 など

(参考)
2024/07/23【夏場の快眠】〜寝室環境編〜
2024/07/26【夏場の快眠について】〜寝床内環境〜
2024/10/22【快眠検定 Part 1】 寝室環境(冬場)で正しいものはどれか
2024/08/23【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
2024/08/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜
2024/11/26「日々の快眠のポイント」寝床編・寝床での過ごし方

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/2/21



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第13条>
眠くないのに
寝床に入らない

【眠くなってから寝床に】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から、今回はよく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”13”です、眠くなってから寝床に入るについて

【第十三条】
眠くないのに寝床に入らない

【なぜ?】
「眠たくないけど明日の朝が早いからもう寝よう」、「睡眠時間をしっかりとるために眠たくないけどふとんに入ろう」、「起きていても何もすることがないからもう寝よう」、そんなことはありませんか?眠たくないのにふとんに入ってもなかなか眠れるものではありません。それでも眠れるという方は、日頃の睡眠時間が不足している可能性があります。

眠たくないのにふとんに入る→眠れない→もんもんと過ごす→眠ろうと努力して余計に目が覚める、のようなことはないでしょうか。眠ろうとするほど眠れない、辛いですね。

怖いのは、このようにふとんの上で眠れず悶々とする日を過ごすと、”ふとんが眠れない場所”と脳にインプットされ、眠れない条件付けがされてしまうことです。眠たくてふとんに入っても、その瞬間から眠れなくなってしまうということが起こります。

子ども世代〜働き盛り世代では、臥床時間(ふとんで横になっている時間)をなるべく長くすることが睡眠不足の解消につながります。ところが高齢者では不具合も出てきます。臥床時間が長くなると、睡眠の質感(よく眠ったなという感じ方)が低下してしまいます。そうですよね、ふとんの上にいても眠れてないのですから。

また、極端な例ですが、高齢者において長すぎる臥床時間は筋量や筋力低下、関節拘縮、循環血液量減少や心機能低下による起立性低血圧、最大酸素摂取量の低下、肺活量低下をもたらすとされ、全死亡リスクを高めることが報告されています。

実際に眠っている時間÷ふとんの上に居る時間=睡眠効率と言いますが、おおむね90%程度を睡眠の質が良いと判断されます。これが高すぎる(ふとんに行く即眠る)は睡眠不足が疑われます。逆に低すぎる(ふとんの上にいるけれども眠っていない)と、眠れないと感じ睡眠の質が悪くなりがちです。

【どうする?】
〇眠たくなってふとんに入る
  =眠くないのに寝床に入らない
   寝床に長くい居すぎない
〇おおむね30分以上眠れない場合は一度寝床から出る
  ・リラックス、本を読む、音楽を聴く、軽いストレッチ
  *このときスマホやテレビ、明るい光はNGです
〇一晩くらい徹夜しても死にはしないと開き直る
  ・翌日の眠気は15時までに30分程度の昼寝でやり過ごす
   そうすれば、その夜は早めに眠気が生じ眠れます
〇ふとんの上にいる時間と眠っている時間をなるべく同じに
  ・睡眠日誌をつけてみるとよくわかります
   スマートウオッチなどのデバイスを使うのも効果的です

(参考)
2024/11/26「日々の快眠のポイント」寝床編・寝床での過ごし方
2024/12/10【自分に合った睡眠時間の見つけ方】

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Shen X, et al.: Nighttime sleep duration, 24-hour sleep duration and risk of all-cause mortality among adults: a meta analysis of prospective cohort studies. Sci Rep 6: 2016.
佐藤知香ら: 安静臥床が及ぼす全身への影響と離床や運動負荷の効果について.Jpn J Rehabil Med 2019
健康づくりのための睡眠ガイド2023:(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/2/25



睡眠の14か条
快眠の秘訣

<第14条>
不調が続く場合は
医療機関を受診

【睡眠の不調は放っておかない】
「睡眠の14か条・快眠の秘訣」から最終項、よく眠れるためにした方が良いこと・してはいけない快眠ポイント”14”です、不調が続く場合について

【第十四条】
不調が続く場合は医療機関を受診

【なぜ?】
睡眠の問題は、眠れないことなどの出来事や熟睡感などの質に関すること以外に、”病気”が潜んでいる可能性もあります。例えば、睡眠時無呼吸症候群であったりむずむず脚症候群などの睡眠関連疾患のほか、整形外科的な身体の痛みやがん性の疼痛、うつ病などの精神疾患あるいは薬剤が原因で、睡眠のトラブルが生じることがあります。

また、眠れないことや日中の眠気、目覚めの休養感の無さなど症状があったとしても、@眠っているときのことで気付きにくい、Aわかっていても後回しにされる、A知らず知らずに進行している、Bどうにもならなくなって受診する、そのような方もお見かけします。

症状が軽いうちに対処すれば、ひどくなる前に症状を抑えられたり、悩む日々が解決されたり、治癒までの時間が短くなる、辛さが和らぐ、あるいは合併症(睡眠時無呼吸症であれば、高血圧や脳梗塞、交通事故など)のリスクを下げることもできます。

睡眠日誌で日々の睡眠の状態を客観的に把握しておくことも大事で、ご家族とも症状や悩み、状況や情報を共有しておきましょう。また、ウェアラブルデバイスはまだ正確性に難があるものの、状態把握の参考とするには良いでしょう。

適切な睡眠衛生(この14か条)に留意してもなお、睡眠の問題がある場合には、医療機関に相談することをお勧めします。

【どうする?】
・日中の眠気を放っておかない
・目覚めの休養間を確認する
・睡眠周囲の病気を知っておく
・同居者と情報を共有する
・他者の意見を参考にする
・睡眠日誌、睡眠計などで確認してみる
・眠れないことをそのままにしておかない
・医療機関を受診することを躊躇しない

(参考)
2024/06/14_眠りの仕組み・10 眠りの病気(前編)
2024/06/18_眠りの仕組み・11 眠りの病気(後編)
2024/07/30【眠れない症状が長く続くと危険です!】
2024/09/13【快眠の秘訣】〜13 知っておきたい睡眠の病気〜

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健康づくりのための睡眠ガイド2023:(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001181265.pdf

2025/3/14



世界睡眠デー

【世界睡眠デー】
2025年3月14日、本日は「世界睡眠デー」です。何かと後回しにされてしまう睡眠のこと、今日は少しだけご自身の睡眠状態を振り返ってみませんか。

睡眠時無呼吸や呼吸器疾患に関する医療機器を取り扱うレスメド社が「レスメド世界睡眠調査2025」を発表しました。

これによると、全体の平均睡眠時間は7.09時間でしたが、日本は最も短く6.56時間と最下位でした。もっと眠らなければ〜
1週間に3回以上、眠りにつくのに苦労したり(34%)、眠り続けるのに苦労したり(29%)しています。

睡眠不足につながる原因のTOP5は、@ストレス、A不安感、3金銭的な心配事、Cメンタルヘルスの不調、D家族や人間関係となっていました。

よく眠れたことで感じることは、〇気分の向上、〇集中力の向上、〇からだの健康、〇メンタルヘルス向上、〇生産性の向上をあげていました。なるほど、納得です。

逆に眠れなかったときに感じることは、●日中の過度の眠気、●気分不良、●イライラ感の増加、●朝の頭痛、●集中力の欠如となっていました。
睡眠時間が6時間以下の方は、頻繁に精神的苦痛に悩まされる可能性が2.5倍高くなり、2型糖尿病や心臓病の増加とも関連しているとされています。また、睡眠時間が7時間未満だと、自動車事故のリスクが高まります。怖いですね。

就労している回答者の71%、日本では41%の人が睡眠不足を理由にキャリアの中で少なくとも1回は病欠したことがあると回答しました。これは睡眠時間以外にも週末の夜更かしなど生活・睡眠習慣にも問題があることが多いようです。

このように睡眠の問題は、眠れない夜やつらい朝を迎えることになるだけでなく、日常生活のあらゆる側面に波及し、健康、気分、集中力、人間関係を静かに損なう可能性があります。
まずは生活習慣・睡眠衛生を振り返り、問題があれば改善してみましょう。解決できないときは速やかに医療機関を受診しましょう。

夜にふとんに入ったときの安堵感、朝の爽やかな目覚め、日中のわくわくとした高揚感、しっかり感じたいですね。

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(PR Times)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000021.000093479.html
(レスメド)https://sleepsurvey.resmed.com/

2025/3/18



春の睡眠の日

【眠りのお悩み】
本日は春の睡眠の日です。睡眠について振り返ってみましょう。インターネットによる睡眠の調査でこのようなデータがありました。
約6割の方が「若い頃より眠れなくなった」
約6割の方が「自身の睡眠に満足していない」
満足してない原因は「途中で目が覚める」「よく寝た感じがしない」「疲労感がある」「寝付きが悪い」
約4割の方がふとんに入っても30分以上寝付けない
眠れない時は「がまんしてそのまま」「スマホをみる」
自分が思い当たることもあります。中には正しい睡眠習慣・睡眠衛生とはちょっと違うぞ。という項目もありますので、それぞれの対処方法を見てみましょう。

【対処方法】
1.若い頃より眠れなくなった
これは避けられないからだの生理的な現象です。歳をとると眠れなくても仕方がないと思うのも一手です。また、「睡眠時間」は長くはなりませんが、睡眠衛生に気を付けることにより「睡眠の質」を上げることはできます。本コラムの「快眠の14か条」をぜひお試しください。

2.眠りに付きづらい
上記と同様に、睡眠衛生に留意することで改善することができます。寝る前に脳を興奮させない・刺激しない、明るい光を浴びない、眠る1時間程度前にお風呂に入ることで、かなり改善できます。寝床スマホや寝酒、カフェインは厳禁ですよ。

3.おやすみの途中で目が覚める「中途覚醒」
対処方法としていくつかご紹介します。
@30分以上眠れなければ寝床から出る。あまり明るくないところで本を読む、音楽を聴くなどリラックスして眠くなってから寝床に戻る
A寝なくてはいけないと焦らない。一日くらい眠らなくてもいいやと開き直ることも。時計は見ない。翌日のパフォーマンスは落ちるが、その夜は眠れるようになります
Bふとんの中では考えすぎない、考え事をしない。ところが何も考えないのは難しいですね。そんなときはちょっとだけ他の考え事にすり替えます。
頭の中で柵を跳び越える羊をぼーと数える、”あ”から順番に思いつく単語を列挙する、呼吸を数える、自分の手・足やからだの輪郭を思い出してなぞる
Cふとんの中でリラックスすることも大事です。3-4-5(4-7-8)呼吸をする、深呼吸をする(特に長く吐くように)、両手・両足・からだの各部分を順に脱力してゆく

寝床に入ると眠る努力は必要ありません、もう努力はしてはいけません。その前に、眠れる環境づくりと眠れるからだにすること・しておくことが大事です。

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(林原LSI)https://newscast.jp/news/5880832
2024/08/23【快眠の秘訣】〜07 睡眠儀式〜
2024/08/27【快眠の秘訣】〜08 入眠サポート〜
2024/08/02【快眠の秘訣】〜01 体温管理〜

2025/3/21



朝型・夜型 クロノタイプ

【朝型・夜型 クロノタイプ】
今回は朝型・夜型についてご紹介します。皆さんもなんとなくご自身が朝型かなー、夜型かなーと考えたことがあるかと思います。朝型・夜型ってなんでしょう。朝型夜型は、体内時計のパターンを指しています。クロノタイプとも呼ばれます。

こちらのサイトから朝型・夜型、クロノタイプを確認することができます。19項目の質問に回答すると朝型・夜型の傾向がわかります。ちなみに私はど真ん中でした。
朝型夜型質問紙)https://www.sleepmed.jp/q/meq/meq_form.php

朝型は、午前中など早い時間帯に心身ともに活発に活動でき、夜には活動量や活動意欲が下がるタイプです。結果として起きて早い時間に絶好調となります。
夜型は、逆になかなかエンジンがかからず午後を過ぎてから、あるいは夜になってから活発になるタイプです。就寝時刻が遅くなりやすい(夜更かし)タイプです。

【朝型・夜型と体内時計】
赤ちゃんの頃は朝も昼もないですが、だんだんと体内時計が形成されてゆくと、ちゃんと昼に活動的に、夜に眠るようになります。幼児期から小学校くらいまでは朝型が多いのですが、二十歳くらいにかけて夜型に変わってゆきます。そしてそれ以後、また朝型に戻ってゆくようになります。年齢でもクロノタイプは変化するのですね、思い当たります。

この朝型・夜型、クロノタイプは体内時計と深くかかわっています。ヒトの体内時計は地球時計(地球の自転)より長く、以前は25時間とも言われていましたが現在では24時間6分(または8分)程度とされています。ですので、真っ暗な部屋で時間がわからないようにして過ごしていると、睡眠時間が(毎日が)がだんだん遅く遅くずれてゆきます。【図1】

逆に朝早く目覚めて電灯の光を浴びる、夏場では早い時間に太陽の光を浴びるようになると、今度はどんどん睡眠時間が早くなってゆきます。【図2】

これをきちんと地球時計にリセットするのは、図中にある通り「光」の作用です。また、光以外にも、食事であったり社会生活(学校や仕事)なども体内時計を左右します。体内時計が狂った方を、図のように強制的に光を浴びさせることにより、地球時計に合わせることもできるようになります。

朝型・夜型は遺伝子でほぼ決まっていますが、先のように年齢や生活習慣・環境でも変わってきます。朝型は約30%、夜型も約30%、そして中間型が約49%とされています。中には超朝型や超夜型がそれぞれ5〜10%いるとされ、これらの方はなかなか地球時計・社会生活と同調しにくい面があるようです。

【光を利用】
夜型・夜更かしタイプは、朝にしっかりと光を浴びてください。
朝型・早く目覚めすぎる方は、夜の少し遅い時間に光を浴びてみてください。

地球時計と仲良しになって、メリハリのある一日を過ごしましょう。

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ミュンヘンクロノタイプ質問紙:
Kitamura S et al. Validity of the Japanese version of the Munich ChronoType Questionnaire. Chronobiol Int. 2014
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神生理研究部
Dorothee Fischer et.al. Chronotypes in the US - Influence of age and sex (2017)

2025/3/25



疲労と睡眠

デジタル機器
自律神経

【疲労と睡眠】
疲れたー!」ってこと、ありますよね。これ、身体が疲れても頭が疲れても「疲れたー!」です。なぜ?

実は「疲れ」というのは、筋肉の疲労も頭の疲労も「疲労」はすべて脳が判断しています。「疲れ」を感じるも感じないのも脳しだいということです。
ですので、脳が混乱して「疲れた」と感じれば、実際は身体も頭も疲れていなくても「疲れた」と捉えてしまうのです。
この脳の混乱をもたらすものに”自律神経”が原因のことが多々あります。

「疲労」を回復させるには眠ることがまずあげられます。睡眠は脳の休息、クールダウンです。ここでも”自律神経”が重要な働きをしています。
眠るためには、日中の交感神経優位な状態から副交感神経が優位になるよう環境や体調を整えてやることが必要で、このことが「疲労回復」に役立ちます。
脳の混乱、自律神経の乱れを治め疲労を回復するには、良い睡眠が不可欠になります。

睡眠の記録】
今の時代、デジタル機器が全盛で使用しない訳にはいきません。日中のデジタル機器の使用や寝る前の使用は、上述のような副交感神経が優位な眠る態勢になりませんので、良い睡眠が得られないことになります。(図はデジタル機器の使用と睡眠リスクの程度)良い睡眠が得られないと「疲労」を回復させることができません。

自分の睡眠が良いか悪いかはなかなかわかりづらいです。まずは睡眠時間、寝た時刻と起きた時刻、その日に気づいたことを書き出してみましょう。睡眠日誌を付けるのは大変良い行動です。これで自分だけの「睡眠のトリセツ」ができますよ。これはまた別の機会で。

【試してみて!】
まずは寝る前の1時間(大目に見て30分)できれば2時間はデジタル機器を遠ざけましょう。
●環境を整え、良い睡眠習慣を身に付け良く眠ることで、疲労を遠ざけましょう。
●睡眠は究極のアンチエイジングであり、ダイエット効果やストレス解消、学業や仕事の効率も上がります。

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Mari Hysing et.al. Sleep and use of electronic devices in adolescence: results from a large population-based study. BMJ Open. 2015:e006748

2025/3/28



春眠暁を覚えず

春の眠気

【春眠不暁覚(春の眠気)】
春のこの時期になると必ず話題になるのが「春眠暁を覚えず」です。古来からの申し伝えで、中国唐代の詩人”孟浩然”の五言絶句の「春暁」に由来していると言われています。制作された時期や場所は明確ではありませんが、7世紀・飛鳥時代とのいわれがあります。

この言葉の意味は「春になるとぽかぽかと暖かくなって、朝に起きられないほど眠い」、あるいは「夜明けが早くなってきて、目覚めるともう明るくなっている。」というようなことでしょうか。なるほど思い当たりますし、確かにこの時期は眠気を訴えられる方が多いようです。

実際には、温度や気温のほか日照時間などが、春の眠気に大いに関与しています。冬の間に寒さに打ち勝つため上げていた基礎代謝を、春モードで下げようとするためバランスがとれず体調を崩しやすくなります。また、日照時間が長く(夜が短く)なると睡眠ホルモンのメラトニンの分泌も少なくなるのですが、この時期はまだ冬の分泌パターンのままのこともあり、日照時間の割にメラトニンの分泌が多いため眠気をもたらすということもあるようです。

春の眠気、眠いときにはしっかりと眠りましょう。ただし、次のことに少し気をつけてください。生活のリズムを整えることが大事です。
・眠くても朝は一定の時間に起床する
・起きたら朝陽を浴びる
・しっかりと朝食を摂る
・昼寝は15時頃までに30分程度で
・夜は暗めの部屋で過ごす
・夕食以後の激しい運動やうたた寝は控える
・寝る前のお風呂は控える
・寝る前にデジタル機器を使用しない

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2025/4/1



眠りの問題

原因と解決

【眠りの問題・原因と解決】
まずは睡眠の機序です。”眠る”ということは「睡眠」と「覚醒」の要因どうしがシーソーの上に載っている(あるいは綱引きをしている)ところをイメージしてください。覚醒要因が多ければ(重ければ)目が冴えて眠れず、睡眠要因が多いと(重いと)眠れるようになります。

この時に、心配事やストレスがあると、脳の興奮により”睡眠”が増えることなく少ないまま(軽いまま)で眠れないことになります。腰痛などで痛みがあると、”覚醒”が増えることで”睡眠”より重いままで眠れないということになります。

眠るためには、睡眠要因を増やすか、覚醒要因を減らすことが大事になります。

睡眠不足にしろ不眠にしろ、眠れない・眠気があるにしろ、まずは環境要因を振り返ってみてください。問題ないでしょうか。うるさい寝室や寒すぎる寝室は眠れませんよね。

次には身体的要因を確認します。身体の不調はないですか?身体の痛みは無いですか?

そして生活習慣を確認してみます。眠る前に強い運動をしたり寝酒をしてみたり間違った睡眠習慣をしていないですか?

それでも眠りの問題が解決しない場合には、”睡眠の病気”である可能性もあります。躊躇せず医療機関を受診することをお勧めします。もし睡眠関連疾患であった場合、早く気が付けば気が付くほど治療にかかる負担は小さくなります。

ぜひ一つ一つご確認なさってみてください。

【眠りの問題・解決の順番】
@環境(寝室)の確認
Aからだの確認(病気、痛み、薬)
B睡眠習慣の確認
C睡眠の病気を確認

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2025/4/4



疲労と睡眠

ごろごろより気分転換

【疲労と疲労感】
「疲れ」というのは、筋肉の疲労も頭の疲労も「疲労」はすべて脳が判断しています。「疲れ」を感じるも感じないのも脳しだいということです。
ですので、脳が混乱して「疲れた」と感じれば、実際は身体も頭も疲れていなくても「疲れた」と捉えてしまうのです。これが「疲労感」です。

前回(3/25)は、この脳の混乱をもたらすものに”自律神経”の乱れが原因とご紹介しました。デジタル機器を遠ざけることで自律神経を休め「疲労」を解消する方法でした。今回、もうひとつの方法をご紹介します。

平日に頑張ったから、休みは家でゴロゴロしたい。だらだらとネットやスマホゲームで過ごしたい。という声を良くお聴きします。その気持ちもわかります。これひとつの「疲労」解消法ではあります。

ただしこの方法、空っぽになった疲労回復パワーを満タンにすることができません。なぜなら、休んでいるようで、身体は休んでいますが脳は休んでいないんですね。お休みで充電目盛りが満タンになる前に月曜日に仕事に行くことになります。

【疲労感の解消】
ところがこの充電目盛りを満タンに、しかもそのキャパを増やすことができるんです。「気分転換」や「身体を動かす」ことがそれに当たります。

脳の感じている疲労感は、脳を活性化することにより脳内が整理整頓されすっきりと整います。これが疲労感が無い状態です。逆に、休日のゴロゴロは脳内がごちゃごちゃと乱雑なままでリセットができていない状態です。疲労感がそこかしこに残っています。

休日に少し身体を動かすことや、新しい体験をする、いつもと別のことを学んでみる、お出かけをするなどの気分転換により「疲労感」は解消され、「疲労」をしっかりと回復することができます。

【ぐっすり眠り活力満タン】
また、日中に太陽の光を浴びることは幸せホルモン「セロトニン」をつくり、睡眠ホルモンのメラトニンを増やす働きもあります。身体を動かすことも加われば、心地よい筋肉疲労も加わり、夜はぐっすりと眠れるようになります。これがこころの「充足感」や翌日・翌週の「活力」につながります。

「一週間頑張って疲れたから休日にはからだを休めよう」ではなく、「よく休んだから一週間頑張ろう」と思えるようにしてはどうでしょう。一週間の始まりを月曜日ではなく土日の休みの日から始まるよう考えてみるのも良いですね。疲労感を克服しぐっすり眠り、明日に備えましょう!

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2025/4/8



眠気の秘密@

ししおどしモデル

【眠気の秘密 @】
今回は眠気の秘密についてお伝えします。眠気はどうして生じるのでしょう。眠気はどのような仕組みで強弱を感じるのでしょう。さて、どうすれば眠気をコントロールできるのでしょうか。

眠りのもと(眠りの素)はまだはっきりとは解明されてはいませんが、特定の蛋白のリン酸化あるいはカルシウムイオンの移動が関与しているという研究があります。どの物質にせよ、起きている間に眠りのもとはたまってゆき、眠ると解消されるというパターンを有しています。
このとき、”ししおどし”をイメージしてみてください、水が溜まり一定の重さになると傾いて流れる日本古来の庭園装飾です。

ここからわかることは、
@眠りのもとがたまると眠くなる
A眠ると眠りのもとが排出される
Bうまく排出できないと眠りのもとは残ってしまう

ことです。

ですので、ぐっすり眠れる、昼間に眠気を感じない良い眠りのためには次のことが大事になります。

【眠気をコントロールする秘訣】
@しっかりと眠りのもとをためる
・長い昼寝をしない
・夕食後のうたた寝をしない
A良い睡眠で眠りのもとを解消する、持ち越さない
・朝食を摂り、しっかり光を浴びる
・昼間は活動的に、からだを動かす
・入浴は寝る1時間前程度に
・アルコールやカフェインを控える
・寝室環境を整える

次回はもう一つの眠気の秘密とコントロールについてお話しします。

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2025/4/11



眠気の秘密A

ツー・プロセス

【眠気の秘密 A】
今回は眠気の秘密についてお伝えします。眠気はどうして生じるのでしょう。眠気はどのような仕組みで強弱を感じるのでしょう。さて、どうすれば眠気をコントロールできるのでしょうか。

眠気を感じる仕組みとして、図のようなツープロセスモデルが考えられています。
@睡眠を起こす物質があり、起きているとそれがどんどんとたまってゆく
Aヒトには体内時計があり、日中は覚醒し夜は眠るという規則性がある。

睡眠欲求パワーと体内時計による覚醒パワーの差が“眠気”になります。
・朝は、覚醒パワー>睡眠パワーで眠気はありません
・夜は、覚醒パワー<睡眠パワーで眠気を生じることになります。

夜更かしが続いたり徹夜をすると睡眠欲求パワーが増え、ついウトウトと眠くなることは皆さんも経験があると思います。

また、体内時計が狂うと覚醒パワーの頂点がずれ眠気をもよおす時間帯が変わってくるため、昼間に眠気が強くなったり、夜に眠気が来なかったりします。昼と夜のメリハリをつけることが大切です。

【眠気をコントロールする秘訣】
@しっかりと眠りのもとをためる
・長い昼寝をしない
・夕食後のうたた寝をしない
・しっかり朝ごはんでメラトニン増加
A体内時計が狂わないようにする
・朝は一定の時刻に起きる
・朝はしっかり光を浴びる
・昼間は活動的にからだを動かす
・眠る前に電子機器を使用しない

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睡眠のtwo process model(Borbely AA et al 1982)
2024/5/28【眠りの仕組み】〜05 ここは寝ちゃダメ〜

2025/4/15



睡眠のお悩みと
解決のヒント

【睡眠のお悩みと解決のヒント】
今回より数回にわたり、講習会などでお聞きした睡眠のお悩みと、その解決のヒントも併せてご紹介します。
内容については以下を予定しております。(その他のお悩みが入る場合もあります。)

【寝付きについて】
・寝つきが悪い
・夜中に(何度も)目が覚める
・早く目が覚めすぎる

【睡眠の主観について】
・もっと眠りたい
・熟睡感が無い(寝た気がしない)
・日中にスッキリしない
・疲れが取れない

【日中の問題】
・日中に眠い
・寝ても寝ても眠い
・朝に起きられない

皆様はどのような悩みがありますでしょうか。個別に個人の睡眠の改善相談、企業の健康経営に関する睡眠問題などもお受けしますので、お困りの方はホームページよりお気軽にご連絡いただければと思います。
http://tak2show5.g2.xrea.com/mado/mado.html

また、睡眠の知識や問題解決などホームページに「睡眠・快眠情報」、「臨床検査情報」として掲載していますので、ご参考いただければ嬉しいです。

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2025/4/18



眠りのお悩み解決

ぐっすり眠れない

【睡眠のお悩みと解決のヒント】
第1回目のテーマは「ぐっすり寝た気がしない」を取り上げてみます。皆さん、そんな経験はありませんか?子どもの頃の自分や、お子さんが”泥のように眠る”様子を見かけたことは無いでしょうか。ある意味、うらやましいですよね。子ども、若い方の特権です。

歳を重ねると、なかなか”泥のように眠る”わけにはいきませんが、それでも眠りを深くぐっすりと眠るヒントはあります。そのポイントを見てゆきましょう。

【ぐっすり眠れない原因】
・眠る環境が良くない(温度、音、明るさ、寝具)
・体内時計の狂い(季節により変化あり)
・間違った睡眠習慣や生活習慣
・日中の運動量、活動量の不足
・ストレス(仕事、家庭、不安感など)
・眠らないといけないという強迫観念
・睡眠誤認(眠っているのに眠れてないと誤認)
・病気の可能性(睡眠時無呼吸症など)

【ぐっすり眠るために】
1.寝室環境を整える
  @温度:冬場20℃前後、夏場26℃前後
  A明るさ:真っ暗(照明が必要なら足元に)
  B音:無音または小さなホワイトノイズ
2.睡眠のしくみを考える
  @眠りのもとをためる
   長い昼寝、うたた寝をしない
  A眠れるからだをつくる
   朝は光を浴びる、寝る1時間前のお風呂
   運動、昼間は活動的に人との交流を意識
3.生活習慣
  @寝る前に電子機器を使わない
  A寝る前に脳を興奮させない
  B寝酒はNG
  Cカフェインは夕方以降は避ける
  D晩ごはんは眠る2時間前までに
  E早すぎる就寝は避ける
4.眠りの考え方
  @若い頃のように眠れなくても自然なこと
  A必要以上に寝床に居ない
   →睡眠の満足度を上げるため
  B三行日記、瞑想、睡眠儀式など
   ストレスを持ち越さない
  C睡眠日誌を付けてみる
   自分の眠りを把握する
5.睡眠の病気を確認
  いびき、鼻づまり、必要なら医療機関を受診

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2025/4/22



眠りのお悩み解決

寝付きが悪い


【睡眠のお悩みと解決のヒント】
第2回目のテーマは「寝付きが悪い」を取り上げてみます。睡眠障害で「入眠困難」も同様の症状がありますが、今回は漠然と「寝付きが悪い」ことへの対処を考えてみます。

睡眠障害としての「入眠困難」への対処は、また別日にお伝えします。ただ、今回の内容がその対処法として有効な場合もありますので、お試しになることは強くお勧めします。

【寝付きが悪い原因】
@寝室環境はどうでしょう
・温度、湿度、音、寝具は大丈夫?
A寝るリズムになっていない
・起きる時刻が遅くなかったですか?
・いつもより早く寝ようとしていませんか?
・夜に明るいところで過ごしていませんか?
・寝る前に強い運動をしていませんか?
B眠り物質がたまっていない
・うたた寝をしていませんか?
・長い昼寝をしていませんか?
・しっかり朝食を摂り陽に当たっていますか?
C生活習慣を確認してみます
・眠る前まで電子機器を操作していませんか?
・感情がたかぶる動画を視聴していませんか?
・カフェインやタバコは何時が最後でしたか?
・昼間は活動的に過ごしましたか?運動は?
Dこころとからだの問題
・仕事や人間関係の悩みはないですか?
・ご家庭や職場の心配ごとは無いですか?
・なにかしらの強い不安は無いですか?
・病気やけがによる痛みは無いですか?
・お使いのお薬の影響は無いですか?

【寝付きをよくするために】
1.朝
・朝は決まった時間に起きる(休日も)
・朝からしっかりとタンパク質を摂り陽に当たる
2.昼間
・昼間は活動的に過ごす
・眠気があれば遅起きはせず短い昼寝で対処
・カフェインは3時の休憩までとする
3.夕方〜夜
・夕方(夕食後)からは部屋の明かりは暗めにする
・アルコールは夕食で終わり
・お風呂はぬるめ、寝る1時間から1時間半前に
・寝る前に強い運動はしない
・眠ろうと早くから寝床に入らない
4.就寝前
・寝る前1時間はリラックスして過ごす
・寝る直前まで電子機器・画面を見ない
・入眠儀式を取り入れてみる
・軽いストレッチ
・三行日記などで寝るまでに気持ちを整理する
5.その他
・持病はしっかり治療する
・こころの病は早めに医師に相談

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2025/4/25



眠りのお悩み解決

何度も目が覚める

【睡眠のお悩みと解決のヒント】
第3回目のテーマは、「寝た後に(何度も)目が覚める」を取り上げてみます。睡眠障害で「中途覚醒」も同様の症状がありますが、今回は薬に頼らず改善できるポイントを探してみます。

目が覚めてしまう原因を探ることは大事です。対処法は一度に全部しようと思わず、できることから始めてみましょう。

【目が覚める原因】
@環境に問題あり
・明るい、暑い・寒い、うるさい
・閉め切った部屋(二酸化炭素)
・寝具の問題
A眠れるリズムになっていない
・就床、起床時間のバラつき
・就寝前の激しい運動
・就寝前の熱いお風呂
・電子機器の使用(画面)
・寝すぎ(寝床に長く居過ぎる)
B眠りのもとが足りない
・メラトニン不足(食事の影響)
・運動不足(活動的でない)
・長い昼寝・夕食後のうたた寝
・明るいところで夜を過ごす
C神経が休まっていない
・脳を興奮させる動画やゲーム
・心配事やストレス
・こころの病
D病気の可能性
・睡眠時無呼吸症候群
・周期性四肢運動障害
・その他睡眠を分断する疾患

【目が覚めないようにするために】
(目が覚めにくくするためには)
1.眠れる環境づくり
・温度:冬場20℃前後、夏場26℃前後
・明るさ:真っ暗(照明が必要なら足元に)
・音:無音または小さなホワイトノイズ
・晩ごはんは眠る2時間前までに
・カフェインは3時の休憩までとする
・アルコールは夕食で終わり
2.生活(睡眠)のリズムを整える
・朝は決まった時間に起きる(休日も)
・朝は太陽の光を浴びる
・夕方(夕食後)からは部屋の明かりは暗め
・眠ろうと早くから寝床に入らない
・お風呂はぬるめ、寝る1時間から1時間半前
・寝る前に強い運動はしない
・昼間は活動的に過ごす
3.眠りのもとをためる
・朝からしっかりとタンパク質を摂る
・長い昼寝、うたた寝をしない
・必要以上に寝床に居ない
4.副交感神経を優位に
・寝る前に脳を興奮させない
・寝る直前まで電子機器・画面を見ない
・寝る前1時間はリラックス
・軽いストレッチ
・入眠儀式を取り入れてみる
・三行日記などで気持ちを整理する
5.病気を確かめる
・持病はしっかり治療する
・こころの病は早めに受診
・生活習慣を見直しても改善しないときは主治医に相談

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2025/4/29



眠りのお悩み解決

朝早く目が覚めて
それ以上眠れない


【睡眠のお悩みと解決のヒント】
第4回目のテーマは、「朝早く目が覚めてしまいそれ以上眠れない」お悩みです。高齢の方に多いのですが、睡眠障害で「早朝覚醒」とも呼ばれます。生活習慣・睡眠習慣の見直しで、改善できる可能性もあります。

【早く目が覚める原因】
1.体内時計の乱れ
・太陽の光を浴びず室内で過ごす
・夕方以降、明るい部屋で過ごす
・寝るまでテレビやゲームをする
2.環境の問題
・寝具の影響(固い、狭いなど)
・寝室の温度(熱い寒い)
・寝室が明るい(早く陽が入る)
・ペットやベッドパートナー
3.睡眠を維持できない
・メラトニン不足
・高齢
4.生活習慣の問題
・早く寝すぎる
・必要以上に寝床に居る
・夕方以降のカフェイン摂取
・夕食後のアルコール摂取
・日中の活動低下
・早くから起きだす習慣
5.心理的要因や病気が原因
・ストレス
・うつ病(他の睡眠障害も併発しやすい)
・睡眠時無呼吸症候群
・頻尿(前立腺肥大、高血圧、糖尿病など)

朝早く目が覚めても日中に眠気や倦怠感がなければ、必要な睡眠時間は確保できていると考えられます。特に気にしなくても良いでしょう。日中の生活に支障が続く場合は、なにかしら病気が潜んでいる可能性があります。その際は医療機関を受診するようにしましょう。

早く目が覚めて行動を起こすと、特に朝早くから太陽の光を浴びるようなことがあると、夜は早く眠くなります。そして早く眠ると次の日がまたいっそう早く目が覚めるという悪循環に陥る場合があります。

起床時間から逆算して、就床時間を決めてみましょう。例えば、7時間睡眠がちょうど良く、6時に起床したい場合は、23時に眠るようにします。これより早く寝ると、早く目が覚めてしまうことになります。

【早く目が覚めてしまう時の対処法】
1.体内時計を正しく調整
・寝室は適切な温度、明るさ
・夕食後以降は部屋の明かりは暗め
・寝る前最低1時間は画面を見ない
2.寝室・睡眠環境を整える
・寝具は適度な固さと広さ
・寝床は自分専用、ペットも不可
3.眠れるからだづくり
・朝ごはんでたんぱく質
・バランスの良い食事を心がける
・高齢ではある程度早く目覚めるのは仕方がないと理解する
4.生活習慣・睡眠習慣を見直す
・早く寝すぎない
・寝床に居るのは必要な睡眠時間+1時間まで
・夕方以降のカフェインはやめる
・夕食後は飲酒しない(寝酒禁止)
・日中は活動的に過ごす(運動、交流)
5.こころの問題や病気を確認
・ストレス、うつ病、睡眠時無呼吸症候群
・前立腺肥大、高血圧、糖尿病などの治療

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