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  2025/02/28_臨床検査いろいろ(尿検査)  
  2025/03/04_臨床検査いろいろ(血液検査 1)  
  2025/03/07_臨床検査いろいろ(血液検査 2)  
  2025/03/11_臨床検査いろいろ(心電図検査)  
 
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2025/2/28



臨床検査いろいろ
【尿検査】


【尿検査とは】
尿を調べる尿検査。尿の大部分を占める成分はなんでしょう。そうです、水分ですね。尿の元々は何でしょうか。そうです、血液ですね。その血液はどこにありますか?そうです、全身を巡っています。尿はどこで作られますか?そうです、腎臓ですね。尿はどこから排出されますか?そうです、腎臓から尿管を経由し膀胱に溜められ尿道から排出されます。

このように、尿は水分の出入りや全身の臓器の状態を反映します。特に腎臓から尿道までの状態をしっかりと教えてくれます。尿は身体のことを教えてくれる大事な情報源です。尿検査を理解し、健康に活かしてゆきましょう!

【尿検査で何がわかる?】
水分の出入りや腎臓の状態のほか、肝臓や胆のう・胆管の状態、糖の利用状態、ウイルスや細菌の感染や炎症、がんの有無、肺と連携したからだ(血液)の酸性・アルカリ性の調整状態などを推測することができます。

尿(おしっこ)の状態がおかしい・いつもと違う場合、またその他にも、痛みがある、尿が出にくい、残尿感がある、尿の回数が増える・減るなどのような場合は、医療機関を受診するようにしてください。

【尿(おしっこ)の採り方】
・最初と終わりの尿は捨て真ん中あたりの尿を採ります(中間尿)
・健診では朝一番の尿を指定される場合があります
・逆に細胞診では朝いち尿は成分変性が強く適しません
・ホルモン検査などは一日の尿を溜めておく場合もあります
・細菌検査の場合はなるべく尿道口を清拭します
※採取時の指示に従ってください

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(参考)
系統看護学講座別巻「臨床検査」(医学書院)
活かしてください臨床検査(岡山県臨床検査技師会)
エームス尿検査試験紙取扱説明書(シーメンス)

2025/3/4



臨床検査いろいろ
【血液検査1】


【臨床検査とは】
血液検査の前に「臨床検査」について少しお話しします。臨床検査って何でしょう。
教科書的には「臨床検査とは物理化学的な手段を用いて身体の状態を調べることであり、医療においては、病因の検出、診断、治療の評価や副作用の監視、予後の判定に用いるもの」となっています。何だかもっともですけれど、難しいですね。

学生さんへの講義の中では次のように説明しています。「臨床検査とは、科学的根拠に基づいた客観的患者情報の提示」です。え?もっとわかりにくい?実はこういうことです。

「あの人は背が高い」、「目が悪い」、「熱がある」などのときに、その判断は個人の判断基準です。ここで共通の物差しがあると「あの人は185cm」、「視力が0.1だ」、「体温が38.5℃」となるとどうでしょう。誰が見聞きしてもその情報が正しく伝わりますね。この共通の物差しを使い、誰でも同じ基準で判断できるように身体の情報を伝えることが臨床検査の目的です。「肝臓が悪い」ではなく「ASTが150U/LとALTが220U/Lなので肝炎が疑われます」などのようにより具体的に状態を把握・判断、伝えることができます。

臨床検査には、身体から採取された血液や尿などを用いる「検体検査」と、身体の事象を直接測定する「生理機能検査」が代表的な検査になります。今回は検体検査の中から「血液検査」の各項目についてご紹介します。

【血液検査で何がわかる?】
血液は全身の臓器を巡り、栄養や酵素、ホルモンなどの運搬、老廃物の排出運搬に関与しており、全身状態や各臓器の状態を正確に映しだすことができます。今回はそれぞれの検査項目が何を表しているか、どのような意味を持っているかなどを表にまとめています。ポイントは、各項目は、作られる量が多くなる・減る、排泄が滞る、摂取量が増える・減る、組織が壊れるなどのより増減します。また、それぞれの酵素などには臓器特異性があるのも特徴です。

血液検査(臨床検査)は、あなたの身体の状態を覗き見ることのできる窓身体の状態を映し出す鏡になります。しっかり把握して健康に活かしましょう。

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(参考)
系統看護学講座別巻「臨床検査」(医学書院)
活かしてください臨床検査(岡山県臨床検査技師会)

2025/3/7



臨床検査いろいろ
【血液検査2】


【臨床検査ここがポイント】
ご自身の検査データを確認しましょう。数字に付いている"L"や"H"ではなく、ご自身の数値の中での変動に目を向けましょう。

【基準範囲とは】
臨床検査でよく耳にする「正常値」について少しお話しします。皆さん、正常値とか正常範囲って聞いたことがありますよね。今はそう言わないんです。お手元に健診や病院で測った血液検査のデータシートがあったら見てみてください。「基準値」または「基準範囲」となってはいませんか?

血液検査の多くは、健康である人の集団のおおよその95%の人たちが入る数値範囲を基準としています。例えばある項目について健康な人を100人測定すると、そのうち95人が入る値が範囲を基準範囲です。ということは、健康な人100人ー95人=5人の方は健康であっても基準範囲から外れることになります。これは統計上の手法により基準範囲を設定をしているからです。

逆に例えばある項目の基準範囲が”10〜50”であったとします。あなた個人のいつもの検査数値が”20”であればおおむね問題はありません。ところがある日測定すると、測定値が”40”になったとします。数値的には基準範囲内です。ところがあなたのいつもの数値からは2倍に上がっています。こうなると、何かおかしいと考える必要があります。

このように、検査報告書に印字されている"L"や"H"などはあくまで目安に過ぎません。検査値の判断は、全体の中での判定ではなく自分のデータの中での変動をチェックすることが大事になります。

【臨床判断値とは】
この他に、ある一定の数値を超えると病気になるリスクが高くなるので、この数値を超えないようにしましょうという基準値もあります。臨床判断値と言われるものです。例えば中性脂肪などは共用基準範囲(統計的な基準範囲)では上限が234mg/dLとなっていますが、日本動脈硬化学会による臨床判断値では上限が149mg/dLとなっています。このようなときは、臨床判断値による判断と治療を優先します。

【カットオフ値とは】
腫瘍マーカーなどは、ある数値を超えるとがんの発生(増殖)のリスクが高くなる値を”カットオフ”値としています。これも基準値のひとつです。あくまで統計上、がんの可能性が高くなる目安の値をカットオフとしていますので、どうしてもカットオフ値より低くてもがんが見つかる、あるいはカットオフ値より高くても問題のない方が出てきます。

【臨床検査の精度】
臨床検査値の精度はどのくらいでしょう。現在では臨床検査医や臨床検査技師、また機器や試薬メーカー、業界各位の努力により臨床検査値は標準化され、日本中どの病院でどの試薬でどの機械で測定してもほぼ同じ値が出るようになっています。そのために、日々精度管理に尽力されていること。関係の皆様の努力に感謝します。

私が現役の頃の2023年の日本臨床衛生検査技師会のデータでは、そのバラツキ(CV%)は0.68〜5.79%(測定値がごく小さいものを除く)で、平均は2.57%でした。すなわちたとえば100のものを測ると、その測定数値は97〜103に収まるということです。もちろんこのバラツキは、生体内変動(個人の一日内や日々の変動)よりずっと小さいものです。

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(参考)
系統看護学講座別巻「臨床検査」(医学書院)
活かしてください臨床検査(岡山県臨床検査技師会)
エビデンスに基づく検査診断実践マニュアル(日本教育研究センター)

2025/3/11



臨床検査いろいろ
【心電図検査】


【心電図検査】
臨床検査は大別して、身体から採取された血液や尿などを用いる「検体検査」と、身体の事象を直接測定する「生理機能検査」が代表的な検査です。
今回は「生理機能検査」の代表的な検査、「心電図検査」についてお話しします。

【心電図とは】
心電図は1903年にオランダの医学者アイントーベンによって考案されました。当時は電極の代わりに両手両足を水に漬けて測定していたようです。とても大がかりな機器でした。今はとてもコンパクトになり、アップルウォッチなどのデバイスでも簡易的に測定できるようになっています。

心電図という名前に電気の”電”という字がついていますね。そのため、心電図検査って電気が流れるのですか?しびれないですか?痛くないですか?と聞かれることがあります。安心してください。電気は流れません。自分自身の身体が作った電気を測っているだけです。これは実は脳波も一緒なんですね。脳が活動するとごく微量ですが電気が発生し、それを検出しているのが脳波検査です。

痛みや被ばくが無く、短時間で測定でき、すぐに結果がわかり、得られる情報も多いのが心電図検査です。

心臓は一定のリズム(からだの活動により緩急)を刻んでいます。これは自動能というリズムを刻む機能が心筋細胞にはあるからです。心臓の上方にその中枢があり、そこから心房−心室へと刺激を伝えます。その刺激が伝わった個所で心臓は収縮し、筋肉は電気を発生します。その電気を身体の表面からとらえたものが心電図として記録されます。

すなわち、心電図検査は次のことを大前提に検査と結果の解釈を行っています。
@刺激が自動的に(一定のルールのもとに)発生
A刺激は決められたルートで伝わる
B伝わった先で筋肉が収縮
C筋肉が収縮すると電気が発生
このことを利用し、またこの機序に沿っているかどうかを調べることで、心臓の働きを見ることができます。

【心電図検査の種類】
・標準12誘導心電図
良く用いられるのが「標準12誘導」と呼ばれる心電図の測定方法です。両手両足に加え胸に6個の電極を装着し12種類の心電図波形を記録します。これにより心臓を立体的に観察することが可能です。
・ホルター心電図
コンパクトな記録計を用い身体に電極を貼り付けたまま一日過ごしてもらいます。頻度の低い不整脈の検出や、生活や活動による心臓への影響をみることができます。
・負荷心電図
運動をしてもらい心、心拍増加による狭心症の出現や不整脈の確認、心電図変化をみています。運動前、運動中、運動後を記録します。リハビリなどで運動前後で確認する場合もあります。
・モニター心電図
入院時に病棟において、心電図変化・病態変化に迅速に対応する必要があるときに装着します。脈拍数や波形変化を注意深く観察します。血圧や呼吸なども同時にモニタリングすることも多いです。
・その他の心臓の検査
心臓エコー検査、胸部レントゲン検査、CT検査、MRI検査、心臓シンチグラム検査、心臓カテーテル検査など

【心電図検査でわかること】
上記の@〜Cのルールを利用して検査をしていますので、これにかかわる心臓の機能がわかります。
刺激の強弱・ルートから:不整脈、期外収縮、心房細動、自律神経機能 など
筋肉の収縮から:心筋梗塞、狭心症、心肥大、心筋炎、ミネラルの異常 など
一方で、心臓の形や弁の働きなど、心臓機能に異常が出る前の検出は難しい面があります。心電図検査はあくまでも心臓の働きを調べる基本的な検査と考えてください。

【心電図検査の注意点】
・心電図波形が正常パターンでも心臓に異常がある場合もあります。
・検査の時点で症状が無ければ心電図波形に異常が現れない場合があります。
  心電図はあくまでもその時点での状態であり、症状と波形が一致しない場合もあります。
・顔かたちがそれぞれ異なるように、心臓の形もひとそれぞれです。
  場合により機能が正常であっても心電図が異常波形を示すことがあります。
・胸の電極の位置が違うと波形が変わるため、測定の日時や場所が変わっても決められた位置に電極を装着することが必須です。
  ある程度熟練した者(臨床検査技師であっても)による検査が望ましい所以です。
・腕時計やブレスレットなどは装着していても大丈夫です。ただし、電極には触れないようにしてください。
  ストッキングは避けてください。
・アルコールやテープにかぶれやすい方は申し出てください。
・痛みやしんどさがあるときは検査者に伝えてください。

【どう活かすか】
・日頃から脈をとる習慣を持ちましょう。血圧などとともに記録しておくとなお良いです
  例えば、起床後に排尿し食事の前にイスに座り、暑さ寒さ感じない室温で5分程度安静にした後に測定
・動悸や違和感(胸のざわざわ感)などを感じたときに脈を測ってみましょう
・動悸や息切れ、胸の痛み(場合によってはみぞおちや肩口、歯痛も)に注意しましょう
・心電図が異常とされた場合は、その内容(程度、状態など)を確かめましょう
・精密検査が必要か確認しましょう
・生活の注意点があるかどうか確認しましょう
・循環器科あるいは循環器専門医に相談しましょう

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(参考)
系統看護学講座別巻「臨床検査」(医学書院)
活かしてください臨床検査(岡山県臨床検査技師会)
認定心電技師のための心電図の読み方(日本臨床衛生検査技師会)
日当直者のための心電図症例集(日本臨床衛生検査技師会)