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2024/5/14



眠りの仕組み

01 眠くなるのはなぜ?

【眠りの仕組み】〜01 眠くなるのはなぜ?〜
それではまず睡眠の定義からみてみましょう。

【睡眠の定義】
@じっとしていて自発的・随意的な活動が低下あるいは消失している。
A周囲からの刺激に対する反応が低下している。しかし、揺り動かすなど強く刺激するといつでも覚醒する。
B夜か昼のどちらかで、周期的にほぼ毎日起こる。
C個体によってほぼ一定の姿勢があり、決まった寝床・巣を持つ。
思い当たりますが、なんだかわかったようなわからないような…。それでも大事なのは「周期的にほぼ毎日起こる」ということです。
それでは、睡眠の必要性はどうでしょう。

【睡眠の必要性】
@脳の休息
A体の機能の回復
B情報処理能力の回復 など
となっています。すなわち脳と身体の休養ですね。特に脳については、眠ることでしか休養をとることができません。1989年にレヒトシャッフェンらが行った断眠実験では、対象のラットは全て死んでしまったそうです。

また、人では1964年にサンディエゴの高校生ランディ・ガードナーが連続264時間(11日間)の睡眠をとりませんでした。日を追うにつれ眠気と倦怠感→誇大妄想→幻覚→視力低下や被害妄想→記憶障害が出現したそうです。睡眠が不足すると脳・精神・運動の機能が低下し、生命の危機を招いてしまいます。

ガードナーくんはその後、15時間ほど爆睡した後に自然に目を覚まし、精神面でもなんら後遺症を残さなかったとのこと。脳の回復能力もまたすごいですね。
次に、眠くなるの要因は何でしょう。

【なぜ眠くなる】
@夜になると眠たくなる。(体内時計機能)
A疲れたから眠くなる。(恒常性維持機能)
によります。どちらも思い当たりますね。睡眠の定義とも関係しますが、夜に眠たくなるのは本来備わっている体内時計によるものです。太古からの進化の過程で、昼間は食料を捕るなど生活活動の必要があり、夜は逆に昼間の活動のために身体を休める必要があったのでしょう。また、暗い夜の行動は危険が伴い行動は控えることが人の生活には理にかなっていたのでしょう。

疲れたら眠くなるのも納得です。何もせず一日テレビや読書で過ごした日とスポーツをして過ごした日では、運動などで疲れた日の方が早く強く眠くなりませんか?
これらのことから、逆をたどって考えると良い睡眠をとるためコツが見えてきます。

【快眠のヒント】
@昼と夜のメリハリをつける
A身体を疲れさせる
ことが良いのがおわかりかと思います。これらがよい睡眠をとる基本となります。

それぞれの詳細は、次回に【快眠のポイント】としてお話しします。お楽しみに。
眠りの仕組みを理解して快眠に活かしましょう。

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 =クリックで拡大=
Sleep Deprivation in the Rat: An Update of the 1989 Paper; Rechtschaffenら, Sleep 2002
(社)日本睡眠教育機構(JSES)睡眠健康指導士資料

2024/5/17



眠りの仕組み

02 快眠に活かす!

【眠りの仕組み】〜02 快眠に活かす!〜
前回は眠りの仕組みと快眠のヒントを少しお話ししました。今回はその続きで快眠のポイントをあげてみます。
眠りの仕組みを理解すると快眠のヒントが見えてきました。@昼と夜のメリハリをつける A身体を疲れさせる がポイントでしたね。もう少し掘り下げてみます。

【快眠のポイント】
1.昼と夜のメリハリをつける
@起きたら陽の光を浴びる
  体内時計の一日をリセットします
A朝ごはんを摂る
  頭だけでなくからだの時計もリセットします
B昼寝は15時までに30分程度まで
  長い昼寝はその夜の睡眠に影響します
C夜は部屋の灯りは暗めにする
  夜の灯りは眠りの時間帯をずらしてしまいます
D寝る直前までのテレビやスマホの使用を控える
  この時間の灯りの作用と脳の興奮はNG

2.身体を疲れさせる
@夕方までに軽い運動を
  寝る直前の強い運動は避ける、夏場は熱中症にご注意
A夕食後のうたた寝は控える
  読書や創作などでリラックスし軽く脳も働かせます
B入浴は眠る直前は避けます
  体温調整で眠る態勢づくりです
C簡単なストレッチなど
  眠りにつくための儀式は習慣化すると効果:大
D休日に遅くまで寝るのは避ける
  体内時計が狂います(学生・勤労者に多い)
E何もすることが無いからと早めに床に就くことは避ける
  眠れない時間が増えるだけ(高齢者に多い)

今回は箇条書きになりましたが、それぞれの細かい注意点や詳細はまた別の機会でお話しします。

加えて、ストレスを避けることも重要です。身体を動かす、趣味に没頭する、人と会うなど、アクティブに過ごしましょう。また、生活習慣や睡眠衛生に気を付けてもなお眠れない場合や眠気が取れない場合は、病気が潜んでいる場合もあります。その際は、積極的に医療機関を受診しましょう。

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 =クリックで拡大=
睡眠障害の診断・治療ガイドライン作成とその実証的研究班(2001)
健康づくりのための睡眠指針2014(厚生労働省)
健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)

2024/5/21



眠りの仕組み

03 眠くなる朝ごはん

【眠りの仕組み】〜03 眠くなる朝ごはん〜
睡眠を調節する因子はいくつかありますが、今回はメラトニンというホルモンを紹介します。

メラトニンは、眠りのリズムを調整し、睡眠・覚醒リズムに関与しています。夜になると(起床して朝の光を浴びてから約15時間後に)増加し始め、眠りを誘います。また、おやすみの間は高い値を保っており、睡眠の維持にも関与していると報告されています。

このメラトニン、年齢とともに少なくなってしまうことがわかっており、これが高齢者の不眠や中途覚醒に影響している面もあるようです。(他にも生活リズムや睡眠衛生も大きな要因です!)図は若い方と高齢者のメラトニン濃度を比較したものです。残念ながら高齢者では特に夜の分泌量が減っています。

歳をとるとメラトニンが減ってしまうんじゃあ、もうぐっすり眠ることはできないのか…。
いえいえ、そんなことはありません、改善することは可能です。減っている分は、補ってやればいいんです。

メラトニン不足を補うため、トリプトファンを摂りましょう。
メラトニンは、たんぱく質の一種であるトリプトファンから体内で作られます。トリプトファンは体内では合成されないので、必ず食事から補給しないといけません。(必須アミノ酸9種類のうちの一つ)トリプトファンを摂ることで、中間物質の幸せホルモンのセロトニンを経て、メラトニンになります。
もう一点、注意が必要です。このようにトリプトファンはすぐにメラトニンにはならず、合成に少し時間がかかります。ですので、朝ごはんでトリプトファンを摂ることが効果的です。
加えて、トリプトファンを摂り太陽の光を浴びることで中間物質のセロトニン量も増えますので、幸せな気持ちや充実感にもつながります。

鶏肉や牛肉、卵、大豆製品(豆腐、納豆、味噌汁も良いです)、乳製品やナッツ類の他、メラトニンの合成に必要なビタミンB6を多く含むカツオ、サケなどの魚を一緒に摂るのがおすすめです。
また、メラトニンは光により抑制されますので、夜は灯りを暗めにすることも良いでしょう。これは前回にお話ししましたね。

【ポイント】
・トリプトファン多めの朝ごはん
・夜は暗めの部屋でゆっくり過ごす

たっぷりメラトニンでぐっすり眠りましょう。

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 =クリックで拡大=
JM Zeitzer et al:Plasma melatonin rhythms in young and older humans during sleep, sleep deprivation, and wake ;Sleep 2007

2024/5/24



眠りの仕組み

04 体温変化を賢く利用

【眠りの仕組み】〜04 体温変化を賢く利用〜
眠りの仕組みを見てみましょう。体内時計の作用により、眠るときには体温が下がります。脳のクールダウンが、眠りを誘います。これは逆もまた真なりです。体温が下がると眠くなる。と覚えておきましょう。

ちなみに、テレビドラマなどで冬山で遭難し「眠るな!眠ると死んでしまうぞ!」という場面を見かけますが、これは眠るのではなく気を失っているのです。体温が下がると正しい身体の活動が行えなくなり、最終的に脳の機能が停止してしまいます。気を失うと更に身体の機能低下に拍車がかかります。

逆に、朝起きるときは、体温が上がった状態で、身体が活動的になったところで目が覚めるようになっています。前回もお話ししましたが、日中に活動的に過ごし、しっかりと体温を上げておくことも大事なことです。昼夜の、一日のメリハリをつけることは大事です。

それでも高齢となると、どうしてもホルモン量や相対的な活動量の低下から、体温の変動も少なくなります。図にあるように、一日の体温差が少なくなるのは仕方がないところです。また、睡眠時間が若い頃ほど必要でなくなり、早い時間に目が覚めてしまうことも増えてきます。そうなると、体内時計が早く進んでしまい体温も早めに夜モードになることで、早く眠くなってしまいます。早く寝るから早く目が覚める、この繰り返しでどんどん眠りが早く早く前倒しになってしまうこともあります。

どうしましょう…。
眠りの仕組みを理解すると対処方法も見えてきます。日中は体温をしっかりと上げ、夜は眠る時刻に合わせて体温を下げてやる。これを意識することが良い眠りのヒントです。

【体温と眠りのポイント】
1.朝は体温を上げるように過ごす
 ・いつまでもダラダラと布団にいない
 ・太陽の光を浴びる
 ・朝ごはんは必ず摂る
2.日中は活動的に
 ・活動的に、社交的に過ごしましょう
 ・適度な運動(家事や身体を動かすことでも構いません)
 ・昼寝は15時までに30分程度以内に
3.眠るときは体温が下がるタイミングで
 ・眠る前に激しい運動は控える
   簡単なストレッチなどの睡眠儀式は良し
 ・眠る1時間程度前に入浴し体温を上げ、その後の下がるタイミングで
  床に就く、眠る直前の入浴は控えましょう
   しっかりと体温を上げるためにはシャワーより入浴を
 ・冷え性の方は、ぶかぶかのソックス(綿パイル地)がお勧め、
  いつでも脱げるように
 ・お酒は睡眠を妨げます

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 =クリックで拡大=
van Coevorden A et al.(1991) Neuroendocrine rhythms and sleep in aging men: American journal of physiology.260
Duffy L et al.(1988) Aging and Circadian Rhythms: American journal of physiology.275

2024/5/28



眠りの仕組み

05 ここは寝ちゃダメ

【眠りの仕組み】〜05 ここは寝ちゃダメ〜
眠くなる仕組みに"ツープロセスモデル"と"フリップ-フロップ スイッチモデル"があります。何だかややこしそうですが、簡単に説明すると…。

"ツープロセスモデル"とは、睡眠の制御は睡眠欲求(睡眠の圧力)と概日リズム(一日の睡眠覚醒のリズム)で眠気を説明するものです。図の実線は睡眠欲求を表し、上に行くほど眠たくなります。また破線は一日の睡眠リズムを示し、上に行くほど覚醒度が高くなります。眠気とは、この睡眠欲求と覚醒度の差で説明できます。

朝起きてから眠気をもよおす物質が徐々にたまり、それが睡眠欲求になります。一方、身体のリズムにより、昼間は覚醒度が高く夜は低くなります。ということは、朝・昼・夜で考えてみると、朝は眠気をもよおす睡眠欲求が解消されていますので、"睡眠欲求レベル"−"概日覚醒レベル"(睡眠欲求と覚醒度の差)=眠気は小さいですね。それからだんだんと睡眠物質がたまってきますが、昼は覚醒レベルが高いため睡眠欲求と覚醒度の差はさほど無く、強い眠気とはなりません。活動様式にも影響されます。夜には睡眠欲求が最大になり、加えて夜は眠くなるリズムにより睡眠欲求と覚醒度の差が大きくなり、眠たい!眠たいぞー!と眠気が強くなるわけです。徹夜や寝不足ではこの睡眠欲求がとんでもなく上(睡眠物質がいつもより多くたまった状態)になってしまいますので、眠気が半端ないわけです。

さてもうひとつ、"フリップ-フロップ スイッチモデル"は、ししおどしに例えられます。起きておくと睡眠物質が徐々にたまってゆき、ある時点でカタンと眠ってしまう。というものです。眠気がたまると眠くなる機序を説明しています。この睡眠物質がたまることは防げませんが、カタンと下を向く(眠ってしまう)のを一時的に止めることはできます。眠くても何かに夢中になっていると眠気が覚めたということはありませんか?それがこの止めた状態です。また、すぐに下を向かないように調整している因子もあり、これが少ないためすぐに眠ってしまう(眠ってはいけないときにも眠ってしまう:ナルコレプシー)という病気もあります。

どちらにも共通する睡眠欲求(睡眠圧)・睡眠物質です。そしてこれをしっかり高めておくと、良い眠気とぐっすりと眠ることにつながります。逆にためておかないと、すっと眠りに入ったり深い睡眠にはつながりません。睡眠欲求(睡眠圧)・睡眠物質を高めて(ためて)おくことがポイントです。日中にうとうとしていませんか?それでは睡眠欲求・睡眠物質がたまりません。次のことに気を付けてみましょう。

【ぐっすり眠るポイント】
・晩ごはんの後にうとうとしない
・短い昼寝以外のうたた寝禁止
・長い昼寝はしない
・休日も平日と同じくらいの時刻に起きる
・夜は強い光を避ける

強い光を避けることは覚醒度を下げることにつながり、結果としてしっかりとした眠気が生まれます。そのために概日リズムを働かせること、前回お話しした体温管理や光を上手く利用するなどの方法があります。光については次回でご説明します。

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 =クリックで拡大=
睡眠のtwo process model(Borbely AA et al 1982)
Flip-flopスイッチモデル (Saper CB et al 2005)
脳科学辞典:https://bsd.neuroinf.jp/

2024/5/31



眠りの仕組み

06 暗い居間と寝室

【眠りの仕組み】〜06 暗い居間と寝室〜
今回は光と眠りの関係です。以前に(2024/4/19ヒカリノチカラ https://x.gd/Ea7eN)光による体内時計の調整についてお話ししましたが、今回はまた光の別の働きでメラトニンの抑制について、快眠につながるお話です。

【部屋の明るさ】
夜の明るさは重要な影響因子です。夜の光はメラトニンの分泌を抑制します。このことは睡眠を遅らせる作用や眠りの維持に影響します。自宅のお部屋の明るさについて考えてみましょう。

@部屋の明るさ・夕方〜就寝前
・一般家庭の夜の居間の明るさはだいたい500ルクス程度とされていますが、この明るさはメラトニンの分泌を抑制してしまいます。(個人差あり)生活に支障のないくらいに暗めにすることが、眠りやすさ、快眠につながります。100ルクス程度以下(かなり薄暗いです)に抑えるのが良いようです。読書などをされる場合は、手元灯りを利用してみましょう。
・睡眠リズムを考慮すると、おおよそ遅くとも夜9時頃からはこの明るさにしてみましょう。
・この時間帯の強い光は眠気を奪います。最低でもおやすみ前の1時間はテレビやパソコンの視聴を止め、部屋の灯りも暗くして過ごしてみましょう。

A部屋の明るさ・就寝
・寝床でスマホやテレビは厳禁です。明るさは光源からの距離の2乗に逆比例しますので、近くで画面を見るスマホはダメ。光量があまり多くないので、さほど影響はないと言われる諸家もおられますが、避けた方が無難です。寝床でテレビも同様ですね。
・このことは、光の影響の他に脳の興奮状態が上がることも眠れない原因となります。面白い本を寝床で読んでいても眠れなくなるのもこの道理です。
・光とは関係ありませんが、音も重要です。静かな環境にしましょう。音楽を聴きながら眠る方も居られるようですが、タイマーをセットするようにしましょう。歌声(声)は特に覚醒作用があるとも言われています。
・寝室の明るさはできるだけ暗く、真っ暗でも良いです。真っ暗が不安な方は、足元ライトなど、直接光が目に入らないようにしましょう。
・就寝中にトイレに起きることもあると思います。その際は、部屋の灯りは点けず明るくしない方が良いようです。足元が危ない場合は、懐中電灯を使用することをお勧めします。※くれぐれも足元にご注意ください。
・カーテンは厚めで遮光効果のあるものを選びましょう。外からの灯りが眠りに影響します。また、夏場は早く外が明るくなりますので、その明るさで早く目覚めてしまいやすくなります。

【これ注意!子どもへの影響】
夜の光の影響を示してきましたが、これは覚えておいてください。
「夜の明るさの影響は、大人よりも子どもに影響が大きい!」
人の目には水晶体があり、これを通して外の光や景色を感知しています。この水晶体、大人よりも子どもの方がだんぜん透き通っています。そのせいで、光の影響を子どもは大人よりも強く受けてしまいます。同じ光の中で過ごしても、子どもの睡眠への影響は大きくなります。

【ポイント】
・夜の居間はできるだけ暗めに
・21時以降は暗くしましょう
・寝床でスマホ、テレビは禁止
・寝室は真っ暗、カーテンは厚め
・明るさは子どもの睡眠に強く影響


光を利用し、しっかり目覚めぐっすり眠りましょう。

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 =クリックで拡大=
小山恵美(2013):応用講座 睡眠改善学;日本睡眠改善協議会 編,光の利用による睡眠改善法.図31,p31
大阪市立科学館:照度と明るさの目安(こよみハンドブック)

2024/6/4



眠りの仕組み

07 眠って起きてその間

【眠りの仕組み】〜07 眠って起きてその間〜
今回と次回は眠り・睡眠の概要について少し掘り下げてみます。今回は一晩の睡眠の経過について、次回は睡眠の種類についてお話し、快眠につなげるポイントをみてみます。
1.睡眠の種類
1)ノンレム睡眠:脳を休める睡眠です。(N1、N2は浅い睡眠、N3は深い睡眠)
2)レム睡眠:記憶を整理、定着させます。夢を見ています。

2.睡眠の経過
図は床に入ってから起床までの睡眠の流れ(深さ)を表したものです。就寝のためベッドに入った時点から起床までの時間の経過を表しています。下へ行くほど深い睡眠で、Wakeは覚醒を示しています。この覚醒は、目が覚めてトイレに行くような覚醒から、3秒程度の本人が覚えていないような覚醒も含まれています。
入眠するとまずノンレム睡眠が現れどんどんと深い眠りに入り、90分程度でレム睡眠に移ります。これを一つのセットとして起床までに3〜5回繰り返します。深い睡眠は前半に、レム睡眠は後半に多く現れます。

1)子どもの睡眠
成人に比べ早めに深い睡眠に入り、しかも長く続きます。何度も深い睡眠に入ることも多くなります。
2)高齢者の睡眠
若年者に比べ全体の睡眠時間は短くてよくなります。深い睡眠は減り、目も覚めやすくなります。
3)睡眠時無呼吸症候群の睡眠
図を見ておわかりの通り、覚醒が増え深い睡眠が現れにくくなります。息が止まると苦しくなり目が覚めますが、目が覚めるのは短時間のため本人はそれを覚えていないことが多く、いびきも眠っている間のことであるため気付かないことが多いようです。これだけ眠れていなければ、日中に眠気があるのも頷けます。

おおよその毎晩の睡眠の流れが理解できましたでしょうか。ここからわかる快眠のポイントは、
【快眠に活かすポイント】
子どもの成長には睡眠が必要です。しっかりと睡眠時間をとりましょう。
高齢者は必要睡眠時間が短くなり、早寝をすると早く目覚めすぎてしまいます。むしろ遅寝早起きで。
睡眠休養感を確認してみましょう。目覚めたときの休養感、日中の疲れやすさはいかがでしょう。
睡眠時間の確認は良い指標になります。睡眠日誌や睡眠アプリを使い確認するのは良い試みです。
日中の眠気は夜に眠れていない証拠。睡眠時間が足りているか、睡眠そのものや環境に問題はないか確認します。

※睡眠に問題に気付き対処を試みても改善しない場合は、病気が潜んでいる可能性があります。医療機関を受診しましょう。

次回それぞれの睡眠の特徴と快眠に活かすポイントをお話しします。

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 =クリックで拡大=
Dement, W. Kleitman, N.(1957).The Relation of Eye Movements During Sleep to Dream Activity: An Objective Method for the Study of Dreaming.
睡眠経過図(模式的な作図):高津作成,2024

2024/6/7



眠りの仕組み

08 深ぁ〜い眠り

【眠りの仕組み】〜08 深ぁ〜い眠り〜
今回は睡眠の種類を見てみましょう。睡眠って、寝てるだけで目が覚めれば朝じゃないの?いえいえ、眠っている間に、頭の中ではいろいろな変化が起こっています。大別するとノンレム睡眠とレム睡眠に分けられます。

【睡眠の種類】
1)ノンレム睡眠:脳を休める睡眠です。(脳の疲労回復)
2)レム睡眠:記憶を整理、定着させます。夢を見ています。
今回はノンレム睡眠についてお話しします。

【ノンレム睡眠(non-REM睡眠)】
1)脳を休める睡眠で脳の疲労回復
  脳がオーバーヒートしないように脳活動は低下しクールダウンを行います。
2)一晩で浅い睡眠と深い睡眠を行き来する
  浅い睡眠では脳波の振幅が低くなったり、深い睡眠ではゆっくりとした波が見られます。
3)深い睡眠割合は年齢とともに減少
  深い睡眠の割合は加齢とともに変化し減ってゆきます。これは、加齢とともに活動性が低下するためであるとも言われています。ただし、しっかりと身体を動かせば、長く眠る必要があります。
  およそ10年で15分づつ短くなると言われています。25歳:7.0時間、44歳:6.5時間、65歳:6.0時間 ※個人差あり
4)加齢で中途覚醒の回数や時間は増える
  睡眠途中で目が覚める中途覚醒、トイレ以外でも加齢で目が覚めることが増えてきます。
5)睡眠中の主なホルモンと働き
  眠る頃から睡眠ホルモンのメラトニンが上昇し、眠りを誘います。
  最初の深い睡眠で多くの成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは身体の成長の他、筋肉やお肌などの細胞の修復・疲労回復を行います。巷で「夜の10時〜2時はお肌のゴールデンタイム」などと言われることがありますが、実際は入眠し最初の深い眠りに入ったタイミングが時刻に関係なくゴールデンタイムです。(ただし概日リズムにより昼より夜の方が出やくなります。)
  明け方にはコルチゾールの分泌が増え、行動的な状態になり朝の目覚めを準備します。
6)認知症と睡眠
  ノンレム睡眠時には脳脊髄液の還流が活発になり、アルツハイマー型認知症の原因とされているアミロイドβを洗い流します。

【ノンレム睡眠と快眠のポイント】
・若い頃のように眠れないのは当たり前
  加齢とともに睡眠時間は短くなるため、高齢の方は早く寝床に入ると早く目覚めてしまいます
・ノンレム睡眠で身体の成長・修復
  ゴールデンタイムは眠って最初の深い眠り。お肌と身体の修復と疲労回復、環境と体調を整えて深い眠りを。灯りは暗く、体温のメリハリ(入浴など)、副交感神経を優位に(リラックス)
・ぐっすり眠って認知症予防
  深い眠りで老廃物除去、心地よい疲れで深い睡眠(運動のすすめ)
・睡眠時間の確保
  睡眠不足は肥満のもと、睡眠不足は肥満ホルモン(レプチン、グレリン)に影響し肥満を助長します
・しっかり眠ると免疫アップ
  風邪もひきにくくなります

次回は夢見る睡眠、レム睡眠についてお話しします。

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 =クリックで拡大=
van Coevorden A et al.(1991) Neuroendocrine rhythms and sleep in aging men: American journal of physiology.260
Spiegel k et al.(2004), 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)

2024/6/11



眠りの仕組み

09 夢みるねむり

【眠りの仕組み】〜09 夢みるねむり〜
前回に続き睡眠の種類を見てみましょう。今回は夢見る睡眠、レム睡眠についてお話しします。

【睡眠の種類】
1)ノンレム睡眠:脳を休める睡眠です。(脳の疲労回復)
2)レム睡眠:記憶を整理、定着させます。夢を見ています。

レム睡眠はこれを表す英語の頭文字で、Rapid Eye Movements:REM からレム睡眠と名づけられました。文字通り、眠ってはいますが瞼をよく見ると、キョロキョロと急速に左右に眼球運動をしています。このとき身体は脱力し、夢を見ています。機能的には、記憶を整理したり定着させる睡眠といわれています。

【レム睡眠・睡眠全般のはたらき】
1)脳を休める
  レム睡眠では脳内血流が活発となり、栄養補給や老廃物除去を積極的に行うとされています。
2)記憶を整理・定着させる
・学業成績
  試験前に一夜漬けで徹夜!よく聞くお話です。しかしこれは効果的ではありません。眠ることにより記憶が定着します。また、睡眠時間が短い=就寝時刻が遅い子は、学業成績が低下しています。
・運動機能
  自転車の乗り初めなどで、前日はうまく乗れなかったのに眠った翌日に何となく乗れちゃった。という経験はありませんか?
  Walkerらによれば、トレーニングをした後にすぐテストを行う場合と、トレーニング後に睡眠をとり翌日にテストをした場合を比較すると、間に睡眠を挟んだ方が成績が良く加えて継続することを報告しています。
3)身体の休息
  レム睡眠では全身の筋肉が脱力することから、身体の休息をしているのではないかと言われています。

【レム睡眠の異常】
1)金縛り
  レム睡眠期は身体が脱力します。レム睡眠時に目が覚めると、目はぼんやり見えているのに身体が動かず「金縛り」のような状態になることがあります。ストレスや不規則な睡眠時間が引き金になるとされています。頻度が高い場合は、疾病が潜んでいる場合もあります。
2)ナルコレプシー
  レム睡眠は通常深い睡眠の後に出現しますが、ナルコレプシーの場合は眠りについた直後に出現することが多いようです。金縛りの頻度が高くなるようです。この他、日中の耐え難い眠気(会話中にも眠ってしまう場合あり)や喜怒哀楽でガクッと力が抜ける脱力発作を生じることもあります。
3)レム睡眠行動障害
  レム睡眠のときには夢を見ていますが、この時には脳からの運動指令は遮断され身体が動くことはありません。レム睡眠行動障害があると、夢の通りに身体が動いてしまいます。そのため、ベッドパートナーを叩いたり蹴ったり、場合によっては立ちあがる、壁を殴るなどで怪我をすることもあります。
  この病気の際は、パーキンソン病やレビー小体型認知症になりやすいとされており注意が必要です。

【レム睡眠と快眠ポイント】
・レム睡眠は、生涯を通じてあまり長さは変わらないので、レム睡眠時間を長くすることは考えなくても良いです。普通の睡眠をしっかりととることが大事です。
・上述の症状や睡眠の異常を認める場合は、医療機関を受診しましょう。

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 =クリックで拡大=
山口県山陽小野田市教育委員会資料(2006)
Walker MP, Brakefield T, Morgan A et al. Practice with sleep makes perfect: Sleep-dependent motor skill learning. Neuron 35; 205-211, 2002.

2024/6/14



眠りの仕組み

10 眠りの病気(前編)

【眠りの仕組み】〜10 眠りの病気〜(前編)
今回は睡眠に関する病気をみてみます。前編は1.不眠症、2.睡眠関連呼吸障害、3.中枢性過眠症をご紹介します。
(後編では4.概日リズム・覚醒障害、5.睡眠時随伴症、6.睡眠関連運動障害などをお話しします。)

睡眠の病気は、本人が特にお困りの場合に加え、おやすみ中のことで本人が気づかない場合もあり、ご家族で情報を共有、病気を知っておくことが大事になります。
また、重篤化すると回復しづらくなることもありますので、早めに医療機関を受診することが肝要です。不適切な生活習慣・睡眠習慣が原因の不眠や睡眠不足の場合は、これらの改善が効果的です。

【睡眠の病気】
<参考:睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3:2013年)>
1.不眠症

(概要)ストレスなどによる一過性の不眠に加え、不眠と日中の不調が週に3日以上・3カ月以上続くと慢性的な不眠状態とされます。
(分類)入眠困難(寝付けない)、中途覚醒(何度も目が覚める)、早朝覚醒(早く目が覚めてそれ以上眠れない)など
(症状)疲労感や倦怠感、注意力や集中力の低下、やる気・気力の低下、学業低下、いらいら、日中の眠気など

2.睡眠関連呼吸障害群
(概要)眠っているうちに息が止まる(息苦しくなる)病気です。苦しくて何度も脳が目覚め、睡眠が分断されます。
(分類)閉塞性睡眠時無呼吸症候群(肥満や加齢などにより喉がふさがる)、中枢性睡眠時無呼吸症候群(脳や心臓の病気による)など
(症状)閉塞性睡眠時無呼吸症候群の場合は、いびき、日中の眠気、注意力低下、交通事故発生の他、小児では落ち着きがない、成績低下や成長に影響を及ぼすこともあり

3.中枢性過眠症群
(概要)耐え難い眠気が主症状の病気です。季節や周期的に過眠が生じるものもあります。
(分類)ナルコレプシーでは眠気のほか喜怒哀楽でガクッと力が抜けたり金縛り症状が出ることがあります。長時間睡眠者も含まれます
(症状)日中の耐え難い眠気(抗えない眠気)、会話中に眠ってしまうこともあり

【ここがポイント】
1)まず症状に気づき、病気を自覚することが大事です
2)心当たりがある場合は、ひとりで悩まず医療機関を受診、相談しましょう
3)どれも適切な診断と治療が必要です。思い込みや自己判断による解決は避けた方が無難です
4)行動起因性の不眠や睡眠不足の場合は、生活習慣の改善が効果的です

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 =クリックで拡大=
睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors.Shi G. et.al.Neuron(2019)

2024/6/18



眠りの仕組み

11 眠りの病気(後編)

【眠りの仕組み】〜11 眠りの病気〜(後編)
後編は4.概日リズム・覚醒障害、5.睡眠時随伴症、6.睡眠関連運動障害などをお話しします。

これらの睡眠の病気は、本人が特にお困りの場合に加え就寝中のことでご本人が気づかない場合もあります。また治療にはご家族の協力が必要な場合もあります。ご家族で情報を共有、病気を知っておくことが大事になります。

また、重篤化すると回復しづらくなることもありますので、早めに医療機関を受診することが肝要です。不適切な生活習慣・睡眠習慣が原因の不眠や睡眠不足の場合は、これらの改善が効果的です。

【睡眠の病気】
<参考:睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3:2013年)>
4.概日リズム睡眠・覚醒障害群
(概要)睡眠・覚醒リズムが整っていない状態です。不規則な生活リズム習慣や、働く環境が原因の場合もあります。
(分類)睡眠相前進症候群、睡眠相後退症候群、非24時間睡眠覚醒障害、時差障害、交代勤務障害など
(症状)起床困難、入眠困難、不登校、うつ、頭重感、注意力低下、疲労感、ぼんやりするなど

5.睡眠時随伴症群
(概要)睡眠中に生じる望ましくない現象です。
(分類)ねぼけ、歯ぎしり、悪夢、夜驚症、夜尿、レム睡眠行動障害など
(症状)上記症状のほか、レム睡眠行動障害では、夢のまま身体が動き自分やベッドパートナーが負傷することがあります。パーキンソン病やレビー小体型認知症になりやすいとされており注意が必要です

6.睡眠関連運動障害群
(概要)睡眠中や睡眠前後に出現する、無意識な身体の動きや不快感覚により睡眠が妨げられます。
(分類)むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)、周期性四肢運動障害など
(症状)むずむず脚症候群では特に夜に安静にしていると(寝ようと寝床に入る頃)足がむずむずするような不快な感覚により足を動かさずにはいられなくなります。動かすとおさまりますが、安静にするとまた生じます。このため眠りが妨げられます。周期性四肢運動障害も併発することがあり、これは周期的に足がピクピクと意図せず動いてしまいます。

7.その他の睡眠障害
(概要)上記に分類されない睡眠障害です。

病気ではありませんが、ネットでよく「短時間睡眠のススメ」、「短眠は最強スキル」などの情報を目にすることもあるかと思いますが、短時間睡眠は訓練してできるものではなくほぼ遺伝子に支配されています。短時間睡眠者(ショートスリーパー)は1%以下の頻度とされています。(特定の遺伝子を持つものは0.004%)しっかりと十分な良い睡眠をとりましょう。

【ここがポイント】
1)まず症状に気づき、病気を自覚することが大事です
2)心当たりがある場合は、ひとりで悩まず医療機関を受診、相談しましょう
3)どれも適切な診断と治療が必要です。思い込みや自己判断による解決は避けた方が無難です
4)行動起因性の不眠や睡眠不足の場合は、生活習慣の改善が効果的です

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睡眠障害の対応と治療ガイドライン・第3版(じほう社)
A Rare Mutation of β1-Adrenergic Receptor Affects Sleep/Wake Behaviors.Shi G. et.al.Neuron(2019)